「そうですねぇ……貴方は確かにパワーはあります」
もう何度目だろうか。
うつ伏せで息絶え絶え。
そんな俺に母さんは語り掛けてくる。
「ですが、それだけです。どれ程力が強くとも当たらなければ意味がありません」
何とか立ち上がる。
気が付けば日もすっかり高くなっている。
「そして、貴方は義手義足の重みが掛かっている。それは必ず動作に重さの影響が出るという事」
「こなくそッ!」
「このように」
「うぉっ!?」
立ち上がって掴みかかろうとした所を足払いで掬われる。
「今のパトリックさんには速さが足りません。勿論単純なスピードは機械が入っている分たしかにあります」
「ぎゃふっ」
「ですが、初動というものはどうしても遅れがちです」
「ごぇ」
「貴方は好戦的で短気、すぐ手が出る様に見えて攻撃攻撃には必ず思考を挟みます。それが遅れ」
「あぎゃ」
「思考が体の各部位に届くまでには、実は時間が掛かります」
「ごひゅ」
「相手の攻撃に対して、無意識に体が動けば最もよいのですが……ジョージさんにはその才能が無かったのか体術はめっきりでしたね」
俺をぼっこぼこにしながら母さんは淡々と俺の戦い方へ指摘を入れていく。
確かに俺は今まで、武器と手足に頼って戦ってきた。
「げほっ……なるほど、な!」
歯を食いしばって立ち上がる。
正直もうボロボロ。
「根性は一流ですね」
「当たり前だ!なんせ……」
自分でも口角が吊り上がっているのがわかる。
勝てない。
どう足掻いても埋められない実力差がある。
でも、
楽しい。
この戦闘が、強者との闘いが、とんでもなく楽し
「ごへぁ!?!??!」
顔面に拳が突き刺さった。
「……駄目ですよ、パトリックさん。
「が、え……?」
「快楽を見出してはいけません。それは必ず貴方を破滅させます」
「なん、」
「以前にも……楽しさ、快楽を感じて敵を取り逃した経験、あるはずです」
「で……」
「貴方には
「えっ」
「これは私の一族が背負う業。貴方が背負う必要は無いのです」
「じゃあ……どうしろって言うんだ」
「心を鎮め、熱情を頭から取り払ってください」
「んな無茶な……戦闘中に熱くなるなって」
「その熱さが、貴方の限界になってしまいます
俺の、限界……。
俺は……。
「……俺は、強くなりたい」
「ええ、存じています」
「俺を鍛えてください」
「勿論」
「……ありがとうございます」
拳と掌を合わせ、一礼する。
以前スコーチに教わった礼だ。
「……ふふふ、きちんと礼節は教わっている様ですね。では、少し本気で行きますよ」
「まだ、本気じゃなかった……!?」
「今日の所は、私の動きに慣れてください」
「無、」
「無理は聞きません」
「ごぶぇあ!?」
見えねぇって。
今日何度目か分からない大地との抱擁を交わすのだった。