母さんのしごきが始まってから1週間が経過した。
俺は未だにあの人の影すら踏むことが出来ないでいる。
「はぁっ……はぁっ……」
息がすっかり上がっている。
「……今日はここまでにしましょうか」
「い、いや……まだ!」
「いいえ。その手足では少し限界が見えてきましたね」
「え……」
この手足?
どういう事だ?
「代替品ではこれ以上上達が見込めないという事です」
そう言えばこの手足は仮の代物だったな。
俺の手足、どうなったんだろうか。
「は、はぁ……でも俺の手足は……」
「もしもし?ジョージさん?」
「えっ」
母さんが唐突に電話始めた。
てかつながるの……?
待って、ジョージって言った?
ジョージってまさか……オッサン?
「パトリックさんの手足、直ってますか?ええ、結構。では手配をお願いします」
「えっ、えっ??」
「はい、はい。あともう2ヶ月預かりますね。この子、見込みがあります」
「えぇ!?」
「はい、お願いしますね?ええ、大丈夫です。ああ、体に気を付けてくださいね?貴方はただでさえ薬が効きませんので。それでは」
通話終了したみたいだ。
……ていうかここからあの基地まで繋がるんだ……。
「さてパトリックさん」
「は、はい」
「今日はこれで終わりにします。シャワーを浴びてサッパリしてきてください」
「は、はい……」
「それと、明日に貴方の元の手足と装備が来ます」
「えぇ!?早くないですか!?」
「次からはそれを付けて、稽古をしましょう」
「ですけど、」
「まぁ、それでも私に一撃加えられると思いませんが」
「なんだって!?」
本気の俺でもダメだっていうのかこの人。
「うふふ、ですが……三か月もあれば恐らく体で覚える事は出来るでしょう」
「ぐ、うう」
正直、この一週間ボコボコにされた記憶が蘇る。
「この1週間で上がった反応速度で元々の手足を扱えば……まぁ感覚はズレますが今よりも速く、鋭い一撃が出せるはずです」
「は、はぁ……」
……直ったのか、俺の手足。
装備も来るって言ってたけど……誰がもってくるんだろうか。
本気の俺でも手足が出ないと母さんは言った。
俺の本気がどうなるのかも知らない……いや、
(この日々で俺の癖、動きは全部見切られたと言っても過言ではない……)
取り合えずシャワーを浴びよう……。
「お、お疲れさん。ほらよ」
家に戻ると、エプロンを着けた父さんが俺に水の入ったボトルを投げて寄越した。
「あ、……ありがとうございます」
「まだよそよそしいなぁ。ま、慣れてくれ……どうだ?ハルカさん強いだろう?」
「……本当に」
「ははは、だいぶボコボコにされたみたいだな」
「人生の中で、一番遠い存在に見えてしょうがない……」
「ま、お前さんは体術に関しては見込みがあるってハルカさんが判断したみたいだし……イイ線行けると思うぞ」
「そうですかね……」
ボトルの水を口に含み、ふと疑問に思った。
「……父さんは、母さんに勝てたんですか」
「ん?あー……勝ったと言えば勝ったかな」
いやに含みのある言い方だ。
「惚れたのは、ハルカさんの方だからな」
「ああ……」
間違いなくあのオッサンの父親だよこの人。
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