高畑ティーチャーのお願いで俺達三人はマホラ学園に来た。まだ俺達が小さく弱い時に高畑には色々と世話になたからだ。まぁでも仕事だ、給料が出るし、学校にタダで通える。
ただ日本に三ヶ月ほど早く着いた。めっちゃ、暇だ!マトン食いたい!
そんな時、プラプラと俺が歩き角の道を曲がり、女性と出合い頭にぶつかった。眼鏡をかけ、服装はスーツでパンストがエロい、長髪の姫カットが印象的だ。
お互いたたらを踏んで立ち止まった。女性は急いでいる様子で「すいません」と一言呟き、すぐに走り去った。
ふと視線を下に向けると、サイフが一つ落ちていた。
多分ほぼ間違いなく、さっきの女性のだよな。中身を覗くとカードやら保険証が入っていた、なまえは「葛葉刀子」か。今すぐ追いかければ間に合うか、女性が走り去った方向に少し速足で向かった。少しばかり歩き公園をうろついていたら、さっき知ったばかり名前が聞こえた…
「刀子さん…僕に隠し事あるでしょ」
噴水の前にスーツ姿の若い男と、先程の女性が向かい合っていた。雰囲気が微妙だ、なんつーか別れる寸前のカップルみたいだ。流石に今、話し掛けるのは無理だな…
「それは、そのうち話すって…」
すっごい小さい声で女性は言い、しりすぼみに消えた。
「わかった。…もう別れよう」
おぉ、持ち直した。やるな男性と思ったが、急転直下に話しが飛んだ。
「…わかったわ。じゃっ、さよなら」
しかも女性の方も二つ返事で頷き、クールに長髪を綺麗になびかせカツカツとヒールの音を鳴らし、歩き去った。しばし呆然と見ていたが、あわてて女性を追いかけた。
女性の後ろ姿が見えたので声を掛けようとしたら女性は、盛大に、見事に、コケた。
しかも起き上がる気配が無い…、仕方なくコケたままの女性に声を掛けようと近づいた。
「お姉さん、えっと、大丈夫?えっ?」
声を掛けたのは良いが、それと同時に『グシャ』と俺の足下で何かが壊れる音が聞こえた。足を退けると女性がかけていた同一の眼鏡があった。ただ無惨な姿だ。どうしよ!ヤバス!
マジヤバス!こんな時に!眼鏡!壊しちゃったよ!と俺が焦っていたら女性が一言一言、話した。
「男の人、追いかけて、来てない」
「えっ、いや。俺達だけです。」
さっきの男の事だろうと思い辺りを見渡したが人っ子一人いない。
その事を女性に話すと、女性は大噴火した。
「もう最悪!彼氏と別れるし!コケて!ヒールは折れる!知らない男に眼鏡は壊される!それに今!気がついたけどサイフも無くしてる!なんなのよ!…うっ、うわ〜ん」
まくし立てて言い、女性は地べたに座りながら、思いっきり泣き出した。
えんえん女性が泣き続けていたら、いつの間にかギャラリーが増えていた。しかも皆さん白い目で俺を見ている。おれ!関係ねぇのに!まるで加害者だよ!
周囲の視線に耐えきれず、無理矢理に女性を背負い近場の居酒屋に入った。
そして数時間後、完全に女性は「葛葉刀子」さんは酔っ払い絡んできた。元カレの愚痴から始まり、上司の不満、元旦那まで永遠と続いた。無理矢理に酒を飲まされたり、靴を直しに行かせれたり、終いには意味不明に何度も殴られた。
で、なんとか刀子さん居酒屋から連れ出した。もちろん払いは全て俺だ。
グデングデンの刀子さんに自分の肩を貸しフラフラ歩いている。俺も酒をガバガバ飲まされたので足取りが少し危うい…
「気持ち悪〜い、休みた〜い」
呑気な声で刀子さんは言っている。
「いや、この辺、ラブホしかないですよ」
周辺は怪しい感じの歓楽街だ。
「疲れた〜、休む〜」
刀子さんはグイグイ俺の服を引っ張りラブホに連れ込もうとしている。酔っ払いのクセに凄く力が強い。
「俺も男なんで襲っちまいますよ」
女に飢えてないが、酒が入ってるし、刀子さん美人だし、なによりタイプだからな…
まぁ、念の為に脅してみたが。
「平気だよぉ。私、強いから」
エッへンと胸を張り本人はかっこ良く言ったつもりだろうが、バックに見えるラブホで滑稽だよ。刀子さん…
「じゃあ、行きましょ」
もう酔っ払いを説得するのが面倒臭くなり刀子さんにしたがった。
テキトーに一番安い部屋に決めた。刀子さんは部屋に入るなり、はしゃいでいる。
「あれれ、襲わないの?ビャクく〜ん?」
刀子さんはベッドに座り、おちょくるように俺の名前を呼んだ。
「酔っ払いなんか、襲わないよ」
なんか、もう溜め息が出るわ…
「びゃく君は、紳士だなぁ。うん、なら私が襲う!」
はっ?!と思った瞬間には口をふさがれ、深いキスをしてきた。
そしてベッドに押し倒された。
〜〜〜〜
頭、痛い。う〜ん、でも、あったかい。
この抱き枕、気持ちいいなぁ。
ん?私、抱き枕なんて持ってたかしら?
目を開けると美形が私の横でスースー寝ていた。悲鳴を上げなかったな自分を褒めたい。きっと常日頃から剣の修業をしているからね。そして私は何を思ったか隣の男を観察した。銀髪で後ろ髪が少し長い、肉体もしまって綺麗だ。相当な美形だ。しかも若いわね…
ここで、ようやく私は自分の体を確認した。まぁ、やってしまったが、ゴム使ってくれたようだし中には出されてない、うん、良かった。そこからは急いで服を着て、昨日の事を段々と思い出した。テーブルに三万円を置き、部屋代を払い、さっさと私は逃げた。
〜〜〜〜
いつものように私は神社の前を掃除していたら、子供の泣き声が聞こえた。箒を置き泣き声の方に行く途中で子供の声が止まった。念の為に見に行くと、五才くらいの女の子と、赤髪の私より背が高い男が居た。
「どうした?」
赤髪の男は子供に目線を合わせる事もせず、無表情で女の子を見下ろしていた。
まるで巨人と小人だな。
「ちょうちょ、おいかけてたら、かえり道が、わからないの」
女の子は泣きながら、したったらずな口調で答えている。
「食え」
いきなり男は懐から棒付きキャンディーを差し出した。
ちなみ男はずっと無表情だ。
「ありが、とう。お兄ちゃん」
女の子は泣き笑いの顔でキャンディーを受け取り、少し元気が出たようだ。
「俺も、迷子だ。一緒に、行くか。」
はい?!当たり前のように男が言うので一瞬、自分の耳を疑ってしまった。
「お兄ちゃんもメイと同じなんだ。メイついてく!」
何故か女の子は元気になり、二人で意気揚々と歩き出そうとしていた。
「いや、ちょっと待て!」
思わず私は大きな声で止めていた。
私は女の子がどこで遊んでいたか聞き出し、近くの公園だろうとあたりを付け三人で歩き出した。
「レンお兄ちゃん、たか〜い」
女の子メイちゃんは赤髪男『レン』に肩車されて喜んでいる。
レンは私より頭一つ分ほど大きいので、最初は肩車をするのを心配していたが揺れないように歩いているので今は安心して見ていられる。あと、また懐から駄菓子を出しメイちゃんにあげている。
公園に着くと、すぐにメイちゃんの母親は見つかった。母親に何度も御礼を言われ、メイちゃんに手を振り別れた。
「それで君も、迷子なのかい?」
「あぁ」
もともと口数が少なかったが、メイちゃんと別れてからは余計に無口だな。
それに一度も表情が変化してない、ずっと無表情だ。
「どこに、行きたいんだい」
「黒学、学生寮」
高校生か、人の事を言えないが、まったく見えないな。
この後、しっかり私は説明したが、最初の曲がり角で何度も間違え仕方なく寮の近くまで案内した。
〜〜〜〜
目的の人物も見つからないので、暇つぶしにベルに会いに教会に来たが、シスターシャークティの凄まじい怒鳴り声が聞こえてきた。
「ベル!何度、言ったら分かるのです!タバコは吸っては駄目だと、あれほど言ったでしょう!あなたは未成年なんですよ!ベル!」
ドカドカバキバキ音が聞こえ、一旦静まり、教会の扉が開きベルが出て来た。ただアホみたいなタンコブを頭に付けてあらわれた。
「ベルも、こりないねぇ。バレない場所で吸えば良いのに、わざわざ見つかる場所で吸うなんてマゾなのか?」
「うるせぇよ」
「無愛想で、目つき悪いからなぁ、ベルは」
「ビャク、お前に言われる筋合いはねぇ。いつもヘラヘラ笑顔の糸目だろ。それに一度寝た女をニヶ月も探してる奴にな」
「それを言われると、辛いねぇ」
綺麗な青空だ。
もうすぐ入学式か…