葛葉刀子ルート   作:眼鏡最高

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糞です。
あと二三ヶ月、消えます。
戻らない場合は、死んでます。



第九話 クリスマス

クリスマスイヴの夕方。俺と刀子さんは警備の仕事が終わり、イルミネーションに飾られたマホラ学園の街並み歩いている。カップルやら沢山の男女が居る。

 

「食事にでも行きませんか?」

思い切って刀子さんを誘ってみたら…

 

「…いいですよ」

前を向いたままポツリと刀子さんは了承してくれた。

よっしゃぁ!と心の中で小躍りしていた。だがしかし、遠くで何かヤバイ気配を感じた瞬間、刀子さんの携帯電話が鳴った。

 

電話の相手は学園長のようだ…、しかも内容が…「高位悪魔ほどの強い者が侵入した」「君達の近くじゃ」「気をつけてくれ」「援軍が来るまで頼むぞ」

マジで勘弁してくれよ…これから刀子さんと食事だったのに…

 

刀子さんは一言「わかりました」と返事していた。

そして電話を切った直後。

 

「聖なる夜には血が騒ぐ…それにしてもお嬢さんは美味しそうな血だ」

その言葉を吐いた男は刀子さんを見ていた。モノクルをかけ、中世の貴族っぽい服装をしている。あの胸元の変な白いフリル的なのとか、それっぽい。あと隣には執事服の女性が立っている。髪型はワイルドなウルフカットだ。つかプレッシャーが凄い、雰囲気に飲み込まれてる。ヤバイな…

 

「どう?吸血鬼っぽい?」

男の言葉で一気に雰囲気が間の抜けたモノになった。台無しだよ…

つか辺りを見回したが、さっきまで人が結構居たのに今は俺達以外には人が見あたらない。

 

「あなた方が侵入者ですか」

刀子さんは抜刀し、刀を構えている。

 

「友人に会いに来ただけさ」

多分に吸血鬼であろう男は笑顔で答えていた。

 

「あぁ失礼お嬢さんに少年、まだ名乗っていなかったね。私の名は『ツェッストリ・L・K・ヴァピール』しがない吸血鬼さ。以後よろしく」

さぁルーも名乗りなよ。と吸血鬼は事の女性に促した。

 

「俺の名は『ルー・ウールヘンジ』こいつの執事だ」

俺っ娘だ。初めて見たな。

 

「俺の名はクガ・ビャクヤだ。よろしく。友人ってエヴァか?」

まぁ名乗られたので俺も名乗った。ただ刀子さんには睨まれたけどな。

 

「あぁそうだよ。それより君が、クガ、ビャクヤ、君か」

何故か男は俺の事を上から下までじっくり見てきた。

 

ニコリと男は笑い、何の予備動作も無く。

「オブスクーリー」

始動キーと呪文をはぶき、闇の矢を放った。

 

つか、早い!あっぶねぇ!

なんとかギリギリで俺は避けたが、頬かすった。

 

「なるほど…。僕は彼を相手にするよ、ルーはお嬢さんを頼むね」

 

「おう!任せろ!」

腕をグルグル回し執事の女性は答えた。

 

俺の相手は強制的に吸血鬼になり、執事の相手は刀子さんになった。

 

で、執事の女性はまたたくまに刀子さんに近づき拳をふるった。そこまでのやり取りを視界におさめていたら闇の矢が数十本、俺を目掛けて飛んできた。矢を避けながら俺はナイフを取り出した。

 

「君は近距離型なんだね」

少し離れた位置から男は言い、闇に消えたかと思えば。

「やぁ」

俺の目の前に、闇から男は現れた。ゲート使えるのかよ!

 

「ちっ」

たまらず距離をとろうとしたが。

 

「グラディウス・サングイス」

何語だよと思っていたら、男は掌から血の剣を出し切りかかってきた。

綺麗すぎる剣さばきで男は俺に切りかかってきている。まるで演舞だ。しかも血の剣は液体になったり固体になったり形まで変幻自在で、厄介すぎる。いいのはもらってないが、押されっぱなしで切り傷だらけだ、ちくしょう。

 

「本気、出さないのですか?」

男は一旦俺から距離をとり、にこやかに言った。

 

「言われなくても…、本気!出してやるよ!」

俺は雷獣化して男へ駆け出し、雷化で背後にまわった。

足に雷をまとわせ「万雷!」男の肩から地面に蹴りを放った。

すんなり肩から腕がもげたが、手応えたえがおかしい。

追い打ちはかけずに、何故か俺は男から距離をおいた。

 

「久しぶりですね。腕をもがれたのは」

男は、ゆっくり振り返り俺を見た。

そして男の肩から血がボコボコと出て、血が空中を伸び、地面に落ちている腕に血が繋がり、血が縮み一気に腕が肩に戻った。グルグル肩を回し感触を確かめていた。

 

「真祖の吸血鬼かよ…」

思わず声に出してしまった。普通の吸血鬼を殺した事はあるが、エヴァ以外の真祖に会うのは初めてだな。

 

「えぇ、そうですよ」

笑顔で言い。

「少し本気で行きますよ」

血の剣を消し、真面目な声を出した。

 

一瞬で空気が張り詰め、一瞬で俺の視界から消えた。

 

「があっ!」

顔面の痛みで自分がぶっ飛ばされたのにようやく気がついた。

体勢を立て直し、次の攻撃をかろうじて防いだが、腕がきしむ。

 

「ドリュ・アモルゴス」

男が言った瞬間に、闇の槍が地面から飛び出してきた。

わき腹を少しばかりえぐられ、飛びのいたが。

「ヴローシィ・メラン」

また男が言うと、空から黒い雨のような物が降りそそいだ。

くそったれ!避けきれねぇ!

 

「はっ!」

黒い雨が止み終わり、俺は拳で殴られたようにボコボコの状態になっていた。このままじゃヤバイな…

「くっくっ」

もう笑えてくるぜ。

 

そして男が口を開けかけた時。

 

「豪殺・居合い拳」

その言葉が聞こえ、男は後ろに大きく飛びのいた。

ようやく辺りを見回す余裕が出来たので刀子さんを探すと、片膝をつき頭からは血が流していたが、見た感じでは重傷は無いな。

 

「この麻帆良学園に何用かな、ツェスト君」

まず暗闇から学園が出てきた。珍しく真面目な顔だ。

 

「あまり表舞台は好きじゃない貴方がめずらしいですね」

次に、ゆっくり暗闇からスーツ姿にくわえ煙草のタカミチ先生が現れ。

 

「まったくだ。どうゆう風の吹き回しだ、ツェスト」

最後に二三歩ほど遅れてゴスロリ姿のエヴァが現れた。

 

周りには魔法先生やベルやレンの姿が見える。

あぁ、ホントしんどかった…

 

「近右衛門君、タカミチ君、キティ、久しぶりだね」

やぁ、と男は手を上げていた。

 

「いったい何しに来た?」

胡散臭い目つきでエヴァは男を睨んでいた。

 

「久しぶりにキティに会いたくなってね。それと噂になってる三人を見たくてさ」

にこやかにエヴァに答え、ベルやレンを見て最後に俺を見た。

 

「はっ、戯れ言を言うな。わざわざ貴様が出てきて、それだけではないだろう」

エヴァは大げさに手を振り、鋭く睨んだ。

 

「うーん、まっ、いっか。下見だよ、英雄の息子が来るだろう。あとは久しぶりに悪役をやりたくなってね。まぁ暇潰しさ」

男は口では悩む事を言い、あっさり気軽に教えていた。

 

「英雄の息子だと?」

エヴァは反芻し、学園長を睨んだが。

 

「本当だよ。まだエヴァには言ってなかったけどね」

苦笑い気味にタカミチ先生が答えていた。

 

「じゃあ、そろそろ御暇するよ。またね」

闇のゲートを使い、吸血鬼の男は執事と共に消えた。

 

一陣の風が吹き、やっと終わった実感がきた。

 

 

「あいつ…何者だよ」

俺が疲れきった表情でエヴァに言うと。

 

「私より300年ほど年寄りの吸血鬼だ。運が良かったな、ツェストが本気なら死んでいたぞ」

淡々とエヴァは言い、踵を返し暗闇に消えた。

 

それから魔法先生や生徒は解散し、俺と刀子さんは治療をうけながら学園長に吸血鬼の事を簡単に話して、今は帰路についている。

 

「さすがに今日は無理ですね」

苦笑い気味に俺が言うと。

 

「…クリスマスも暇ですよ」

刀子さんは頷き気味にポツリと言った。

 

「えっ!?マジっすか?良いんですか?」

あまりに返事が良い物で、俺の妄想かと思い尋ねたが。

 

「別に、ただの気分転換です。嫌なら」

「是非!行きましょう!」

刀子さんが喋ってる途中で俺は言葉をかぶせた。

 

デートの内容は後でメールする事を伝え。

 

刀子さんと別れた。

 

明日が楽しみだな。

顔がにやけるぜ。

 

 

 

〜〜〜

 

 

 

クリスマスの夕方。

 

赤い服を着、髭を付け、プレゼントを袋に入れた。

 

準備万端だ。

 

サンタクロースになり、孤児院へ向かった。

 

園の中に入ると、わーわーしながら、子供達が寄ってきた。

 

一通りプレゼントを配りおわり、千鶴と話していた。

 

「びっくりしましたよ。山のように大きい袋を背負って現れたんですから。レンさんは力持ちなんですね」

子供達を遠目に見ながら千鶴は答えた。

 

「レンじゃない。私は、サンタクロースだ」

そう今の俺はサンタクロースだ。

 

「ふふ、そうでした。サンタさんでしたね」

笑顔で千鶴は答えていた。

 

「うむ。良い子の千鶴にプレゼントだ」

俺は袋から千鶴用のプレゼントを取り出した。

 

「まぁ、ありがとうございます。開けても良いですか?」

何故か千鶴は少し頬が赤かった。

 

「もちろんだ」

俺が、そう言うと。

千鶴は丁寧に包装紙からプレゼントを取り出した。

 

「…クマのお人形」

じーっと人形を見ながらポツリと千鶴は呟いた。

 

「お気に召さなかったか?」

なおもじーっと見ていたので千鶴に聞いてみたが。

 

「いえ、とても嬉しいです。大事にしますね」

満面の笑顔で千鶴は、そう言ってくれた。

 

その後、先生達にもプレゼントを配った。

 

園のプレゼントは全部配り終えたので、帰ろうとしたが。

子供達に何度も引き止められたが。

まだ配り終えてない事を言うと。

心良く送り出してくれた。

 

「じゃあな」

園から出て、しばらく歩き。

見送りにきていた千鶴に別れの挨拶をした。

 

「あの、この後、用事あるんですか?」

クマの人形を胸に抱え、頷き気味の千鶴に聞かれた。

 

「まだプレゼントを一つ配り終えてない」

 

「そうですか、気をつけてくださいね」

 

「あぁ、じゃあな」

 

 

千鶴と別れ、女子中の寮に向かった。

 

数時間かけ寮に着き、壁をよじ登り、目的の部屋に向かった。

 

到着し、窓を叩くと、驚いた表情の刹那がいた。

 

寮には刹那だけだった。

どうやらマナは実家の神社にいるようだ。

刹那に別れを言い、飛んで降りた。

 

俺は、神社に向かった。

 

数時間、夜遅く神社に着いた。

 

鳥居をくぐり抜け歩いていたら。

前から仕事着姿のマナが歩いてきた。

 

「君は何をしてるだい…」

マナが呆れ顔で俺に聞いてきた。

 

「君にプレゼントを配りにきた」

 

「…そうかい」

地面に顔を向けマナは呟いた。

 

「 はい」

袋からプレゼントを取り出し、マナに差し出した。

 

しばしの間マナは無言になり、しばらくしてプレゼントを受け取った。

 

マナは包装紙を破き、中身を手に取り。

「デザート・イーグル…」

呟いた。

 

「気に入ったか?」

 

「君の今度の為に言うが、こんなプレゼントを女性にしたら嫌われるぞ。それにサンタクロースがプレゼントに銃って…どうなんだ?」

 

「君が喜ぶと思って、いらないなら違う物を持ってくるが」

 

「いや、もらっておくさ。サンタクロースからのプレゼントだからね」

 

「そうか。じゃあ私は帰る」

 

「ありがとう。レン」

 

「いや。レンじゃない、私はサンタクロースだ。」

 

「ふっ、ありがとう。サンタさん」

 

「うむ。じゃあな」

 

「メリークリスマス」

 

「…メリークリスマス」

 

 

マナと別れ、数時間かけ寮に戻った。

 

 

 

〜〜〜

 

 

 

クリスマスは25日の日没で終わるが。

日本のお遊びクリスマスは日付が変わるまで終わらない。

 

日が沈み、シャティは教会に来ているガキ共や美空ココネに、話を聞かせている。つか神話の話を話している。

 

『とある場所にイタズラ好きのロキがいました。そんなイタズラ好きのロキに皆が手を焼いていました。ある日にロキは、バルドルには加護があり誰も傷を付ける事が出来ないのを知りました。そしてロキは、それが面白く思いませんでした。ある時にロキは加護が唯一効かない幼いヤドリギを見つけ、それで矢を作り、盲目のヘズにヤドリギの矢を投げさせ、バルドルは死んでしまいました。大勢の者がロキの悪戯に我慢が出来なくなり、毒の雫が一滴一滴落ちる場所にロキを貼り付けにしました。その痛みに泣き叫ぶ体を震わせて起こるのが地震です。ロキは今も毒の雫をうけているのです。』

「ですからイタズラはしてはいけませんよ」

とシャティは言い美空の方を見ていた。

「さて、続きを話しますね」

『バルドルの母は悲しみました。世界中の草や木々、皆が泣きました。するとバルドルの体が光り、死からバルドルは蘇りました。母が流した嬉し涙は、地面に落ちると白いヤドリギの実となり、またたく間に成長しました。

そのヤドリギが生えた場所では、争いがなくなり、愛が溢れる場所になりました。』

「めでたしめでたし。おしまいです。」

そしてシャティは話しを締めくくった。

 

色々と話はぶいてたな。まぁガキ共には丁度いいか。

んで、ガキ共は家に帰っていった。

 

クリスマスになると無駄に人が来る。

まぁ学園にある唯一の教会だし、ステンドグラスも大きくて綺麗だけどよ。

デート気分のカップルやら、賽銭を投げようとする爺さん婆さん…

いくらなんでも、あまりに、あんまりだろ!

 

そんなこんなで深夜になり、人は来なくなった。

教会の外の門を閉め、そのまま礼拝堂に向かった。

中に入ると、入り口の横の椅子に座り、シャティが眠りこけていた。

 

めずらしい、相当疲れてたのかね。

綺麗な寝顔だな。まつ毛が長いな。柔らかそうな唇だ。

俺は…変態か…落ち込むぜ。

でもシャティの顔、こんなマジマジと見たの初めてだな。

 

起こそうかどうか迷って、ふと顔をあげると「ヤドリギの枝」があった

 

さっきの神話の話を知ってるなら…、あの事も知ってるはずだ…

 

『息子が生き返りバルドルの母は喜びの涙を流し、それが白いヤドリギの種になり、またたく間にヤドリギは成長した。そこでバルドルの母は喜び、このヤドリギを通る者に全員キスをした。』

 

そこからヤドリギの下で出会った男女はキスをしていいと言う風習が出来た。

 

ヤドリギの下で寝るなんて…

無防備すぎるだろ。

 

………

 

……

 

 

キスをした。

 

軽く触れるだけのキスを。

 

その直後に、シャティは起きた。

 

「ん?ベル?」

シャティは完全に寝ぼけていた。

ぼーっと俺を見ている。

 

もう一度、俺はキスをした。

 

「好きだ。俺は、シャークティが好きだ」

なんか告白してしまった。

 

シャティはポカーンと呆然としていた。

まるで魂が抜け落ちたようだ。

 

そして、俺は逃げた。

 

逃げ去った。

 

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