葛葉刀子ルート   作:眼鏡最高

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第二話 入学式

登校日の前日、学園長の爺さんに呼ばれた。爺さんを最初に見た時は魔族か何かの血が入っているかと思ったが、普通の純粋な人間らしい。

 

「いやぁ助かったぞ。怪我人が続出での、おおいに困っていたのじゃよ」

本当に何から何まで胡散臭い爺さんだ。狸爺と言う言葉がよく似合う。

 

「所で爺さん。何故、俺達を高校に入れた?俺達は年齢不肖で、親の顔も知らん。自分達ですら何も分からないんだぞ」

ベルは無愛想でエセ神父様だが、けっこう真面目で一般常識がある。ただ俺達三人の中での話しだが。

 

「そんなもんは些細な問題じゃ。10歳じゃろうが、30歳じゃろうがな。それに三人共、知能指数は高校生レベルじゃからな」

完璧に馬鹿されてるな…

 

主に俺とベルが爺に言い返してる間に予鈴が鳴り、仕方なく学園長室から退室した。

当たり前だが、レンは一言も喋っていない。いつものように終始無言だ。

まぁ、レンも俺とベルにはポツポツと喋る。あとは子供とは話す、それはレンが子供好きだからだ。子供達の為に必ず駄菓子を常備している。もちろんノーマルな子供好きだ。

 

 

ベルが先頭を歩き、教室を目指そうとしていたら。

 

「ヤバイ…、遅刻する。走るぞ」

時計を見たベルは青ざめた顔で言い、いきなり走り出した。とりあえず俺とレンは顔を見合わせベルの後を追い、走りながらベルに話し掛けた。

 

「遅刻ぐらい、別に平気だろ」

 

「シャークティに言われたんだよ。初日は大事だから、くれぐれも遅刻しないように何度も念を押された。もし遅刻でもしたら…、殺される」

 

ベルは真剣な表情で言い、一段と早く走り出した。俺達は一所懸命に走った。だがマホラ学園は広過ぎた、アホ程だだっ広過ぎた。

 

途中で本鈴が鳴り、ベルは諦めたのか今はタバコを吸いながら歩いてる。

 

ようやく学校が見えてきた。玄関から上履きに履き替え階段を上り教室に向かった。何故か学校は静まり返りシーンとしていた。扉を開けたが誰も、俺達以外人っ子一人いない。無駄話をして数十分ぐらい待っていたら、ぞろぞろ生徒達がやって来た。

クラスの奴に聞いた話しでは体育館で始業式をしていたようだ。

 

「はい。皆、席に座って」

突然と綺麗な女性の声が黒板の方から聞こえた。気配に気が付かなかったが、多分教員だろうと思い振り返ると…。

 

あの女性『葛葉刀子』さんが教卓の前に立っていた。

 

「あら、…あなた達は『ビャクヤ・クガ』君、『ベル・エコー』君に『レン・アカミネ』君ね。三人共遅刻よ。あなた達も早く席に座りなさい」

刀子さんは出席簿を見ながら軽く注意をして俺達をうながした。つーか、俺に気が付いて無い。二三ヶ月前の事だし、酒を飲んでいたけども、普通寝た男の顔を忘れるか?

 

刀子さんは普通に学校の連絡を言い始めた。

「じゃあ、今日は帰っていいですよ」

そして今日の日付と同じ出席番号の奴が号令を言って解散になった。

 

「わるい、用事が出来たわ。先に帰っててくれ」

顔も見ずベルとレンに言い放ち、教室から飛び出した。

 

職員室まで走り、息をととのえ、ゆっくり扉を開けた。職員室を見回すと葛葉刀子さんは机に座り、何かを書いている様子で俺が入って来た事に気が付いていない。が俺が近付いて行くと顔を上げた。

 

「ビャクヤ・クガ君よね。どうしたの?何か用?」

椅子に座り刀子先生は俺を見上げながら聞いてきた。上目遣い可愛いな。

 

「はい。少し込み入った事を相談したいのですが…」

憂い帯びた表情で刀子先生に話した。自分で自分の演技を褒めたいぜ。

だが嘘は言ってない、込み入った事情は本当だしな。

 

「分かったわ。指導室に行きましょう」

大人の女性っぽく言い、椅子から立ち上がり、カツカツとヒールの音を立てて歩き出した。

当たり前だと思うが酔った時やベッドの上とは大違いだな。これがギャップ萌えか?

 

先に刀子先生が進路室に入り、俺は後から部屋に入って後ろ手で静かに鍵を閉めた。さっさと刀子先生は椅子に座り、座るように促されたので俺も席に座った。今は向かい合う形だ。

 

「それで、どんな相談かしら?」

真剣な表情で刀子先生は俺に語りかけてきた。なんか申し訳ないな、でも忘れてる刀子先生を少しイジメるくらい良いよな。

 

「三ヶ月前に、若い男と寝たでしょう?」

いつものように笑顔で俺は語りかけた。

 

「えっ!?なっ!?」

目を見開き、刀子先生は驚いた表情をしていた。

 

「彼氏さんと別れた日に酒一緒に飲んだでしょ、それにもっとイイ事もね。俺の事、覚えてません?刀子さん」

にっこり笑いながら言うと、刀子先生は一気に青ざめた。

 

小声で「びゃ、びゃく」と呟いていた。

 

 

〜〜〜

 

 

これは悪い夢よね。

 

最初は若い男の子と寝てしまった事に落ち込んだが、なかなか気持ち良かったし若いツバメを美味しく頂いたとワン・ナイト・ラブだと思う事にした。

 

三ヶ月ほど過ぎて、そんな事をすっかり忘れ、今年は一年生の担任に決まり頑張ろうと思っていた。

 

始業式の日、三名の生徒が現れなかったが、残りの26名を始業式の会場の体育館に連れて行った。始業式も終わり教室に行くと三名の男子が居た。どうやら遅刻したようね。

 

あんまり口煩いと聞いてくれないので軽く注意をした。それにしても三人共、美形ね。ビャクヤ・クガ君はチャラい系で、ベル・エコー君は不良系ね、レン・アカミネ君は武士系かな。女生徒に人気が出そう。まぁ、私には関係ないわね。

 

ホームルームも終わり職員室に戻って書類整理していたら、視線を感じ顔を上げるとビャクヤ君が私の方に歩いて来ていた。

 

大事な相談があるようなので個室の指導室に行く事にした。

 

そこでビャクヤ・クガは、とんでもない事実を話した。あの若い男しか知らない事実を、だ。と言うか本人だ!眼鏡が壊れて顔は、よく見えなかったけど…同じ銀髪だ。それに名前ビャクヤの、びゃ、びゃく、だわ…

 

二十歳以下、私、犯罪者なの。しかも自分のクラスの教え子。きっとニュースにはバツイチの淫行教師なんて書かれるんだわ。社会的抹殺だわ。こんなの、あんまりよ!だって16才なんかに見えないし!詐欺よ!そっそうだわ、知らんぷりしよう逃げの一手だわ。

 

「しっ知らないわよ。勘違いじゃないの」

少しどもったけれど大丈夫、高校生を騙すなんて簡単よ。

 

「ふ〜ん。そう」

まったく不愉快な笑顔ね!腹が立つわ!

 

「なによ!」

文句あるなら言ってみなさい。そんな感じでビャクヤ・クガを睨んだ。

 

「俺、ケータイで撮ったんだ。その女性と愛し合う映像をさ、これネットにアップしちゃおうかな」

ニコニコ笑いながら、そんな事をビャクヤは、いや最低男は私に話した。

 

「なっ!?あんたね!そんな物を撮ってるんじゃないわよ!この変態最低男!いったい何が望みなの!」

もう気絶させて記憶を消すしかないわね。やる前に、やるしかないわ。

 

「嘘ですよ。そんな物、あるわけ無いでしょ」

馬鹿だなぁ、と笑いながら言った。

 

「…なっ!騙すなんて最低よ!」

この際、自分の事は棚上げよ。

 

「先生が先に騙そうとしたでしょ」

くっ、バレてたのね。

 

「私のはアレよ。大人だから色々あるのよ」

 

「そうですか。つか、もう認めますよね。刀子さん」

 

「くっ。ええ認めるわよ。それで何が目的なの…」

もうホントになんなの、サイテーだわ。

 

「そうですね。俺に勉強を教えてください、頭悪いんですよね」

照れた感じで頭をかきながらビャクヤ・クガは言った。

 

「えっ?それだけで良いの?」

もっと、こう、変なお願いされるかと思ったが拍子抜けする程、普通だ。

 

「不満なら保健体育の授業でも良いですけど」

常に笑顔だが、この時の顔はニヤリと小馬鹿にした笑いだった。

 

「そんな物は却下よ!みっちり勉強を教えてあげるわ!」

まったく大人を馬鹿にして、クソ餓鬼ね。

 

「じゃあ、決まりですね。先生が勉強を教えてくれる代わりに俺は秘密を喋りませんから、安心してください。これから、よろしくお願いします」

それはそれは腹の立つ満面の笑顔だった。

 

その後、仕方なくアドレスと番号を教えた。

「じゃあ、またね。刀子さん」

ビャクヤ・クガは、そう捨て台詞を吐き指導室から出て行った。

 

もう…、疲れた。帰ってビール飲みたい。はぁ…、憂鬱だわ。

 

 

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