葛葉刀子ルート   作:眼鏡最高

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前半、マナ、レン。
後半、刀子、ビャク。


第四話 デート・図書館島

レンが茶々丸ちゃんの腕を粉砕してから四日後。今日、腕が治るはずなので回復祝いに三人でエヴァの家に向かった。

 

ログハウスの呼び鈴を鳴らすとメイド姿の茶々丸ちゃんが出てきた。

うん、しっかり両腕がある。

 

「こんにちは茶々丸ちゃん。可愛い服だね。それに腕が治って良かった」

 

 

「こんにちは。いえ、そんな事はありません。ありがとうございます」

 

最初のうち茶々丸ちゃんは褒めると赤くなっていたが、今は慣れたのか表情は変わらない。レンは回復祝いに持ってきた団子を茶々丸ちゃんに渡していた。軽く話し終わりエヴァの家に入った。

 

「貴様ら、また来たのか、暇な奴らだ」

エヴァはファンシーな服装で優雅に紅茶を飲んでいた。

レンが茶々丸ちゃんの腕を粉々にしてしまったから不便だろうと思い俺達三人はエヴァのログハウスに入り浸っていた。まぁ片腕一本でも茶々丸ちゃんは余裕で家事をこなしていたので、俺達の存在は不要だったがな。

つか俺達がした事と言えば、エヴァと酒を飲んだり、瓶の中で戦ったり、遊んだり、むしろ茶々丸ちゃんの仕事が増えてた気がする…

 

「こんにちは、エヴァさん」

一応、家主のエヴァに挨拶した。

 

「いつも思っていたが。何故ビャクは私に、さん付けなんだ?」

 

「需要と供給。エヴァは、さん付けで呼ばれないだろ。バランスだ」

 

「貴様は馬鹿だな。さん付けは止せ、気持ち悪いわ」

 

「ひどいなぁ。分かったよ」

 

その後、紅茶や緑茶を飲んだり、団子を食べた。

 

「所で貴様らは、人間か?」

のほほ〜んとしていたら、急にエヴァは俺達に話をふった。

 

「さぁ?」

ベルとレンが喋らないので俺が答えた。

 

「とぼけるなよ。吸血鬼の私に隠す必要など無いだろう」

本人は凄んでいるつもりだろうが見た目が見た目なので少しも怖くない。

 

「いや違くてさ。俺達は親の顔すら知らないから。どの血が、どのぐらい入ってるのかなんて分からないんだ」

肩をすくめてエヴァに説明した。

 

その後、自分達で分かる範囲をエヴァに説明した。

 

 

〜〜〜

 

 

マナとアドレスを交換した日から一週間後。

 

今日、迷子の礼に、餡蜜を奢る。

 

朝早くに家を出て、約束ギリギリに、待ち合わせ場所に着いた。

 

「遅いぞ、レン。五、六分前に気が付いたが君が待ち合わせ場所に来れるか心配だったよ。なんと言っても迷子の天才だからね、レンは」

奇跡のようだと、マナは呟いていた。

 

俺はビャクの言葉を思い出し、服を見た。

服の事は、さっぱり分からんが大人びた服装で似合っている。

 

「そうか。服、綺麗だな」

俺が言うとマナは驚いた表情をしていた。

 

「…そうか、ビャクヤだな。あいつに、そう言えと教えられたんだろう」

 

「なんで、分かった?」

 

ふふふ、とマナは笑い出して話した。

 

「まだ君とは短い付き合いだが、あんな事を自分から言うはずが無い。そして君の友人は、とてもフェミニストだ。彼からの受け売りは忘れていい。あれは、むず痒くなるし私は苦手だ」

と締めくくった。

 

「そうか、わかった」

 

とりあえずビャクに書いてもらった団子屋の地図をマナに渡した。

 

「君は、行った事があるんだろう…。何故、私に地図を…」

 

「人には、得手、不得手が、ある」

 

「…いい言葉だが、しまらないよ。レン」

 

そしてマナを先頭に団子屋に向かった。

 

数十分ほど歩き団子屋に着いた。こんなに近かったのか…

 

今は俺は15本目の団子を食べ終わり、マナは5杯目の餡蜜を食べ終えた。

 

「よく食うな」

 

「レンには言われたくないね」

そう言い、マナは6杯目を食べ始めた。

 

けっきょく団子屋には、あと1時間ほど居座った。

 

「この後は、どうするんだい?」

 

マナに聞かれたが。

「うん…」

何も考えて無かった。

 

「…これで終わりかい」

 

「いや、エヴァの家に、行く」

 

そんな感じで急遽だがエヴァの家に向かった。

 

エヴァに挨拶し、魔法瓶を貸してもらった。

 

「ダイオラマ魔法球か。と言うかレンはエヴァンジェリンと親しかったのかい?」

 

マナは魔法瓶に入るなり、俺に尋ねた。

 

「そこそこ、だ」

 

家の方に移動し、軽く飯を食べながら浜辺に行く事を決め、一旦別れた。

適当にあった水着を借り、俺はマナより先に浜辺に着いた。

 

ベルやビャクと海に来た時のように、ビーチボール、パラソル、チェア、冷えたスイカと缶ビール、、昼メシ、後は細々とした物を持って来た。

全部、瓶の中のエヴァ家にあった。

 

全ての準備が終わり、マナが来た。

 

「お待たせ」

白い水着を着ている。胸が大きい。足も綺麗だ。

 

「綺麗だ」

マナは驚いていたが。

 

「ありがとう」

微笑みながら礼を言われた。

 

その後は、海で遊んだり、ビーチバレーで勝負したり、昼飯を食べたり、スイカ食べたり、俺だけビールを飲んだ。

 

夕方になり、俺達は家の方に戻る事にした

 

シャワーを浴び終え出ると、自分の服が消えていた。

代わりに、置いてあった服に着替えた。

 

居間に行くとロボットが料理を並べていた。

茶々丸とは違いロボロボしい、ロボだ。

 

料理を全部並び終えたのか、ロボはどっかに消えた。

 

しばらくするとマナの声だけが聞こえた。

 

「れっレン、居るかい?」

何故かマナはドア越しに俺に話し掛けていた。

 

「居るぞ。どうか、したか?」

マナの方に歩いて行った。

 

「くっ来るな!待て!」

何故か止められた。

 

「どうした?」

 

「少し心の準備が必要なんだ。…レン、聞くが私みたいな女には、やっぱりフリフリやゴシックの、可愛い服は似合わないよな」

マナは息を吐き出し、淡々と自嘲気味に話した。

 

フリフリやゴシックは分からんが。

「可愛い服は、似合うと思うぞ」

 

「…本当かい?」

とても不安そうな声だった。

 

「嘘を言っても、意味が無い」

 

「そうか、君は、そうだね。今から…、そっちに行く。素直な感想を聞かせてくれ」

 

そして扉から出てきたのは童話の姫みたいな白い服を着たマナだった。

 

「可愛いぞ。姫みたいだ」

 

「なっ?!へっ変じゃないか?」

服を握り締め、顔を下に向け、マナは俺に尋ねた。

 

「とても、可愛いぞ」

俺が言うと、ようやくマナは顔を上げた。

 

「レンは意外に女たらし、なのかい?」

何故かマナの顔は赤くなっていた。

 

「さぁ?」

 

冷めるともったいないので、俺達は晩飯を食べる事にした。

 

「と言うかレンもゴシック服だね」

飯を食べてる途中でマナに言われ、顔を上げた。

 

「そうなのか?」

質問してからワインを一気に飲んだ。

 

「そうだよ」

まったく、とマナは呟いていた。

 

晩飯を食べ終わり、今は酒を飲んでいる。

 

「レンは酒好きだね」

 

「大好きだ」

 

「そ、そうかい」

 

「マナも飲むか?」

 

「じゃあ、一口だけ貰おうかな」

 

その後マナは、ぐびぐび何杯も飲んだ。

 

「レンは、どうして子供が好きなんだい?」

二人で五、六本のワインを飲んだ頃、マナに聞かれた。

 

「昔、今も力の加減が、上手く出来ない。色んな物や人を壊した。ただ子供達には、何故か分からないが、優しく触れる事ができる」

 

「そうか…」

 

遅い時間になったので、俺達は寝る事にした。

 

翌日になり、魔法瓶を出た。

 

マナを寮まで送り届け、8時間ほどで自分の寮に着いた。

 

 

〜〜〜

 

 

警備したり、勉強したり、遊んだりし、数ヶ月が過ぎた。

 

ベルは協会の仕事だったり、レンは孤児院や保育園に行ったり、基本的に暇なのは俺ぐらいだ。

 

そんな俺は金曜日の夕方に学園長の爺さんに呼ばれた。

 

学園長室に入ると中には学園長と刀子さんが居た。

 

「用事って何ですか?」

 

「うむ、探し物をして欲しいのじゃ」

 

学園長、言わく。

今後、使う予定だった一冊の本が消えてしまい。それを探して欲しい、との事だ。いや、無理でしょ図書館島で一冊の本を見つけるなんて、砂山の中にある一粒の砂を見つけるのと同レベルだよ。

 

「何、大丈夫じゃ。大体の位置はわかっておる。それに刀子君も一緒に行く、心強いじゃろ。後は、給金も大目に出すぞい」

 

給金が大目なのと、刀子さんが一緒なので、俺は行く事に決めた。

欲深いんじゃない、ただ本能に忠実なだけだ!

 

んで、来ました図書館島。

 

さっさと中に入り、下へ下へ降りた。

 

ようやく禁止区域の入り口にたどり着き、やっと雰囲気が出てきたな。うす暗い石畳のトンネルは、ぽっかり口を開け、少し先すら真っ暗闇で何も見えない。いざ進もうとした時…

 

「こんばんは、学園長から聞いてますよ」

いきなり背後から声を掛けれ俺と刀子さんは飛び退き身構えた。そこにはフードを目深くかぶっている人間がいた。

 

「本を探しに来たのでしょう?」

口元の部分だけが見え、笑っているようだった。俺が今まで出会った人物の中で一二を争う必要も無いぐらい、胡散臭さナンバーワンだ。

 

「何か御用ですか?」

すぐに刀子さんは気を取り直し社会人らしく丁寧に聞いていた。

 

「図書館島の司書なので。一応は挨拶をと。では、くれぐれも気をつけて、いってらっしゃい」

怪しい司書に見送られ俺と刀子さんはトンネルに入った。

 

石畳のトンネルの中はひんやりし水の滴る音が聞こえホラーっぽい感じだ。懐中電灯を付けているが、お先真っ暗で何も見えん。

 

「真っ暗で、お化け屋敷っぽいっすね」

俺は刀子さん軽い感じで話し掛けた。

 

「…馬鹿な事を言ってないで進みますよ」

刀子さんは普段も勉強会の時も、明確に一線を引いて俺に接する。

仕方ないとも思うが、やっぱりね…

 

「了解です」

 

そこからは黙々と進んだ。途中で、槍が飛び出したり、落とし穴だったり、岩が転がってきたり、冒険みたいで、なかなか楽しい。

 

そして突き当たりに行き着いた。円形状の広い空間で、何も無い。刀子さんは地図を睨みながら「地図通りに来たのに…」と可愛いく小さい声で呟いた。仕方ないので来た道を戻ろうとしたら突然、石の壁が道を塞いだ…

 

で、ガコンガコン音がして下から二体の5m程のゴーレムが出てきた。雰囲気的にも今までの経験からもゴーレムは襲い掛かってくるだろう。

めんど、本探しに来ただけなのに…

 

「これ、止められないんですか?」

ゴーレムの攻撃を避けながら、刀子さんに聞いてみた。

 

「見た所、随分と古いゴーレムです。パスワードも分からないので無理ですね」

俺の質問に刀子さんは丁寧に答えてくれる。こうゆう所は優しいよな。

 

仕方ないので俺と刀子さんはゴーレムをブチのめした。

ゴーレムを倒すと一カ所の壁が動き道が現れた。凝った作りだなぁ。

 

道を進むと迷路に出た。

ここには3時間ほど費やした事だけを書いておこう…

 

クタクタのヘトヘトで迷路から出ると、そこは森だった。針葉樹林が広がるツンドラ地帯みたいな景色で、気候は過ごしやすい快適な温度だ。

 

道っぽい所を進んでいたらバサバサと微かに羽音が聞こえ、空を見上げると鳥が飛んでいた。しばらく見ていたらグングン鳥が近づいてきた。

 

「「なっ?!」」

俺と刀子さんの言葉がかぶった。それは何故か…、遠くいた時には小さく見えた鳥は、近付いて来るにつれ馬鹿デカイ大きさだと分かったからだ。

 

鳥は俺と刀子さん目掛けて急降下し鉤爪で攻撃してきた。多分、最低でも10mぐらいの大きさだ。あと鳥の色は真紫で毒々しい。鳥は旋回し上空を回っていたら羽根を飛ばし攻撃してきた。しかも、羽根が刺さった所がジュワジュワ溶けていた。どんだけだよ…

 

「クガ君。あなた囮になりなさい」

くいっと眼鏡を上げながら刀子さんは言った。

 

「えっ?刀子さん見てましたよね?!毒ありますよ!毒!」

 

「名前で呼ばない!葛葉先生でしょ!まったく…、あなは素早いから大丈夫よ。信じてなきゃ、言わないわ。さぁ、早く行きなさい」

 

ホント、ずるいなぁ…

「…わかりました」

 

狙いやすいように、ひらけた場所に躍り出た。服の数カ所が鳥の毒羽根で溶け、狙いを俺に決めたのか鳥は急降下してきた。そこで刀子さんが刀に雷を纏わせ鳥をブチのめした。

 

「大丈夫ですか?」

刀を鞘に戻しながら刀子さんは言い、俺に近付いてきた。

 

「そうっすね。刀子さんがKissしてくれたら一気に全回復します」

 

しかし刀子さんは全スルー、さっさと一人で歩き出した。

刀子さんの言葉で、つい嬉しくなり少し調子に乗ったけどさ。

その反応は、マジで悲しいです、刀子さん…

 

さらに先に進むと火山地帯のような場所にでた。めっちゃ熱い。

刀子さんは渋い表情で地図を見ている。迷ったのか…?

 

立ち止まっていたらドシンドシン音が聞こえ、ドラゴンが来ました。

なかなかの大きさだ。10才ぐらいかね。

 

「逃げますよ」

澄ました感じで言い、刀子さんは走り出した。

 

「りょーかい、です」

まぁ本を探しに来ただけだし、わざわざドラゴンを倒す必要ないな。

それにドラゴンを倒すのは少しばかり骨が折れる。

 

逃げながら走っていたらドラゴンはまけたが。

今度はジャングルに出た。鬱蒼と草木が茂っている。くそ暑い。

 

とりあえず進んでいたら突然、刀子さんが間抜けな悲鳴を上げた。

 

「ひっ!ひぃ〜い!」

完璧に刀子さんは青ざめ引きつっていた。ぶるぶる指差していた。

そこに居たの小型犬ほどの蜘蛛だ。

 

「刀子さん…。蜘蛛、苦手なんですか?」

前を歩いていた刀子さんに近付き聞いてみた。

 

「むっ、無理」

俺の服にしがみ付き、少し涙目だった。可愛いな…

 

とりあえず俺は一旦刀子さんから離れ蜘蛛を蹴り、遠くに飛ばした。

 

振り返りながら「ほら、もう大丈夫ですよ」と言おうとしたが、振り返ると刀子さんの後ろには軽自動車ほどの蜘蛛が糸を垂らし降りてきていた。

 

「刀子さん、絶対に振り返らないでくださいね」

あんなの見たら刀子さん卒倒しそうだ。だがしかし刀子さんは疑問に思ったのか、ゆっくり振り返ってしまった。

 

「いっ…、やぁあああああ!?」

結論から言うと刀子さんは卒倒しなかった。むしろ素晴らしく良い動きで蜘蛛を真っ二つに一刀両断した。

 

「はっ走って!」

一度、俺の方を見てから刀子さんは全力で走り出した。

 

数十分も走り通し、マジで疲れた。

 

刀子さんは辺りをキョロキョロして警戒している。可愛いな。

 

つか何か体が痺れてる?まさか鳥の毒か…他にも違う種類の毒があったのかもな。つか遅効性かよ、あぁヤバイな視界がぶれる。走って毒が回ったか、自分の体を過信してたな、ミスった。刀子さん、期待に応えられなくて、すいません。グルグル頭が回っていた。

 

「クガ君?どうしたの?」

刀子さんの心配そうな声がする。

 

人生は厳しい。不運は続くモノだ。いきなり地面が揺れ、崩れた。

 

刀子さんの声が遠くから聞こえる。視界が不明瞭で体が痺れてる状態では流石に崩落から逃げるのは無理だ。落ちるな、ぼんやり思っていたら不意に体を抱き締められた。

刀子さん助けに来てくれたのか。でも、この位置じゃあ刀子さんも上には上がれないな。とりあえず俺は刀子さんを包み込むように抱き締め、あとは運に任せ、落ちた。

 

 

〜〜〜

 

異変に気が付いたのは蜘蛛から逃げた後だった。少し顔が曇って、いつもと表情が微妙に違っていた。それに体をよく見れば鳥の羽根がかすった所は少し赤く腫れている。

 

紫色の鳥と戦った後にクガ君に声を掛けたが巫山戯ていたので大丈夫だろうと思い無視して歩き出した。あの時しっかり見ていたら、こんな事には。いや、後の祭りね…

 

そしてアクシデントは一気にやってきた。地面が突然、崩れた。

 

足場も確認せず蜘蛛から逃げる事しか考えていなかった。囮も考えれば生徒にやらせるなんて駄目だわ。全部、私の性で生徒のクガ君を危険にさらしてる。しかもクガ君は毒の性なのか動きが緩慢で瓦礫と一緒に落ちている。自然に体が動きクガ君の所まで行き抱き締めた。けど、ここからじゃ上に行けない。

どうするか考えていたらクガ君が私を抱き締めてきた。何度も声を掛けたが聞こえてないのか、ちっとも反応しない。しかもクガ君はガッチリ私の頭を守るように抱き締めている、周りが見えないし、こんな時にフェミニスト精神なんか出さなくていいのに!このまま地面に落ちたら二人共死んじゃうでしょうに!

 

そして突然、水中に沈んだ。

 

水の中に入ったと同時に、あれほど強く私を抱き締めていた腕はスルリと解け、クガ君は水底にゆっくり沈んでいっている。もう!ホントに!

 

沈んで行くクガ君の腕を掴み、落盤した岩を避け海面に向かって泳いだ。

 

「はぁっ!はぁはぁ…」

海面に出て見ると、どうやら湖のようだ。クガ君を状態を確認したが息はしてる。でも早く毒の治療しないと。一番近そう岸に向かって泳いだ。

 

岸に上がり、まずは近くの葉っぱを集め寝床を作った。濡れた服を脱がし、草の寝床に寝かせた。パンツ一枚の姿なので葉っぱを被せた。

 

すぐに私は解毒になる薬草を探しに行った。あちこち走りながら探し、ようやく色々な毒を中和出来る薬草を見つけた。流石は図書館島ね、良かった。

 

走ってクガ君の元に戻り、様子を見たが眠ってるように静かだ。

 

うん。覚悟を決め自分の口の中に薬草を入れた。口の中で薬草を噛み飲みやすいようにした。準備は出来たわ。これは、ただ生徒を助ける為にやるの。そう生徒の為なのよ葛葉刀子!やましい気持ちは一切無いからね!

 

何故か緊張してしまい震えながらクガ君の上半身を起き上がらせた。

クガ君と自分の口を合わせ、ゆっくり口に薬草を流し込んだ。

 

むせる事も無くクガ君は全部薬草を飲んでくれた。

これで大丈夫よ、うん、大丈夫…

 

近くに焚き火を起こし、朝方まで火が持つように木々をくべた。

 

それにしても神鳴流の地獄みたいな修業が役立つなんてね。

 

一度クガ君を見てから、刀を近くに置いた。

 

そして私は横になり、眠る事にした。

 

眠る事に。した。

 

 

〜〜〜

 

 

目を覚ますと、草が敷き詰められた場所に寝っ転がっていた。辺りは明るく、側には刀子さんの後ろ姿と焚き火で魚を焼いてる様子が見えた。次に目に入ったのは綺麗な湖だ、ぼんやり俺は湖を見ていた。

 

ただ良い匂いつられ腹の虫が鳴った。

すると刀子さんが凄い勢いでバッと俺の方に振り向いた。

 

「腹、減りました」

 

「まったく…。起きるなら、早く起きなさい」

刀子さんは静かに優しく言い聞かせるように呟いた。

涙目だったように見えたが、病み上がりの幻覚だろう。

 

魚を食べ、水を飲み干し、一息入れ、上から落ちた後の事を聞いていた。

 

運良く湖に落ち、多分その時毒も一緒に流れたんだろうと刀子さんは強調し、その後俺は半日以上も寝ていたようで、今は土曜日の夕方らしい。

 

地底なのに明るい、図書館島、謎だな。

 

少しして夕暮れになり、日?は完全に沈んだ。

 

刀子さんは既に寝ている。

最初は俺の心配していたが、自分も魚を三匹食べ、今までの事を話し終え疲れたのか、すぐにうっつらうっつらし、俺の方に倒れ込んで来たと思ったら寝ていた。俺の膝枕で刀子さんは寝ている。

 

星、では無いだろうが、地底の天井では何かが輝いている。綺麗だ。

刀子さんの頭を撫でながら思ったが、なんか幸せだなぁ。

 

んで日曜の朝になった。

 

まだ朝早い時間に刀子さんは「う〜ん」と寝返りを打ち、ぼんやり俺と目があった。

 

「おはようございます。刀子さん」

 

「へっ?……うわっ!!」

目が点になり、間があってから、飛び起きた。しかも止める間も無く刀子さんは飛び起きたので頭と頭を盛大にぶつけた。

 

 

 

「頭、痛いわぁ」

 

「だから!悪かったって言ってるでしょ!」

 

俺と刀子さんは今、森の中を歩いてる。

 

朝飯は前日に刀子さんが見つけていた果物を食べ、本題である本を探してる。あと地図に、おそらく俺達が落ちた湖が描いてあり、本がある場所に近いはずだ。多分…

 

10分ほどして、本が有るであろう場所に着いたが。パッと見、何千冊もの本が山のようにある。川の中にあったり、砂に埋まったりしている。近くに落ちていた本を手にとった。本を見ると魔法でシールドでもかけているのか、少しも汚れてない。魔法様々だな。

 

いやぁ、でも。これは探す気が起きない。何千冊だよ。

そんな事を考えていたら奥まった場所に台座があり、一冊だけ本が置いてあった。気になり本の方に近付くと刀子さんが大きな声を出した。

 

「あれです。メルキセデクの書、あれが探してた本です」

簡単に見つかりましたね、と笑っていた。

 

で、何とかメルクの書を取りに行こうと更に近づいたら、後ろにあった石像が動き出した。

 

しかし、このゴーレム大きさは5mほどだが雰囲気がヤバイ。コーティングされてるのか体が黒光りしている。しかも体中に紋様やら魔法陣が描かれている。古いゴーレムのはずだが、新品のようだ。

 

横に居る刀子さんは既に抜刀し真剣な表情で刀を構えている。

 

「先に、行きます。」

駆け出しながら刀子さんに言い、ゴーレムに近付いてからナイフを取り出し関節部分を狙って攻撃したが傷一つ付いて無かった。

 

「こいつ、めっちゃ硬いですよ」

ゴーレムのパンチをバク転でかわし、刀子さんに報告した。

 

「クガ君!あまり無茶はしないで!さがってなさい!」

いつの間にか刀子さんは…、過保護になっていた。

 

「いや、でも、こいつ強いですよ」

一旦ゴーレムから距離を置き、奴を指差した

 

「私が、やります」

そう刀子さんが言うと、雰囲気がガラリと変わった。

 

目が…めちゃくちゃ恐い。怖いです…

子供ならチビって泣いてる、もしくはトラウマもんだよ。

 

で、刀子さんは俺の一歩前に出て刀を上段に構えた。

 

「…神鳴流奥義…疾風剣」

風が撫でるように静かに呟き、刹那の一瞬に振り下ろされた。

 

ゴーレムが右足を出すと、左半分が置いてけぼりの状態だった。

綺麗に左右真っ二つになっていた。

 

そして刀子さんが刀を鞘に戻すと同時にゴーレムは倒れた。ハンパねぇ…

 

「刀子さんって、戦う者じゃなく、殺す者だったんですね」

俺は呆気にとられ馬鹿のように呟いていた。

 

「否定はしません。さぁ帰りますよ」

俺の方に振り返った刀子さんはクールに答えた。

 

あと目は、普通の目に戻っていた。

やっぱり普通の目の方が良いな、うん。

 

いやぁ、疲れた、疲れた。

 

早く寮に帰って寝よ。

 

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