予定外の話、なんとなく書きました。
あと10話じゃ話まとまらない、かも…
今日、俺は年齢詐称薬を飲み、髪を真っ黒に染め、知らない人の披露宴パーティーに出ている。涙ながらに花嫁が父親に手紙を読んでいる。
なにゆえ、こんな事になったか。それは日曜日の日までさかのぼる。いつものように勉強会をしていた時の事だ。
「今度の日曜日、暇ですか?」
なんの脈絡も無く刀子さんが俺に話し掛けてきた。
「えっ?暇、ですけど…なんですか?」
まさか…デートの誘い!?
「その、ですね、あの………して」
照れた表情が可愛い!ただ声が小さ過ぎて聞こえない。
「えっ?なんて言いました?」
何度か言われたが、マジで聞こえない。
「だから!彼氏のフリ!…して…よ…」
最初はデカイ声だったが、急激に声はしぼみ霧散した。
「へっ?良いですけど、なんで?」
「友達の披露宴パーティーがあるの。彼氏居るって言っちゃったから。それで連れて来いって、だから…その」
「…どんだけ見栄っ張りなんです。バカですか、刀子さん」
「仕方ないでしょ!彼氏、居るって!言っちゃったんだから!」
そんな感じで披露宴パーティーに行く事が決まった。
前日に、俺と刀子さんの設定を考え、あと確認の為に年齢詐称薬を飲んだが殆ど40代まで姿形は変わらなかった。そこで刀子さんが無理矢理に俺の髪の毛を黒色に染めた。寮に帰る時には帽子をかぶり、絶対に誰にも見られないようにと何度も釘を刺された。あと刀子さんは伊達メガネやスーツなど色々な物を用意していた。
結婚式の当日になり俺は刀子さんの自宅に向かった。
まず年齢詐称薬を飲み、スーツに着替え、伊達メガネをし、用意オッケーだ。
披露宴が始まる前には刀子さんの友達数人に紹介され質問攻めに合い、ヘトヘトに疲れた。そして俺は今、花嫁とその父親が泣きながら抱擁しているシーンを見ていた。ちなみに席には俺と刀子さんだけだ。
刀子さんの服装は、髪を結い上げ、黒のドレス、クリーム色のストールに、同じクリーム色の靴だ。落ち着いた大人の女性だ、見た目はな。でも、本当に綺麗なドレス姿だ。
「刀子さんは、どんな結婚式やったんですか?」
暇で刀子さんに俺が聞くと凄い目で睨まれた。
「結婚式はしてません。これ以上聞いたら、わかりますね」
顔は笑っていたが、すごく眼が怖い。
式はとどこおり無く終わり、乱痴気騒ぎ状態になっていた。新郎の友人達が一気飲み競争をしたり、新婦の友人の1人が歌を熱唱していた。
そんな様子を見ていたら、新婦さんがこちらに歩いてきた。
かるく刀子さんと話していたが、新婦さんは突然グルンと首を俺の方に回し話し掛けてきた。
「君が、刀子の彼氏か。若いわね」
「初めまして、山田太郎です。ご結婚、おめでとうございます」
俺は偽名を精一杯の作り笑顔で名乗った。いい名前が思いつかず、こうゆう名前の方が逆に疑われないと考え決めた。見た目の年齢は25ぐらいだ。
「で、どこで刀子と出会ったの?」
すごい疑わしい目つきで新婦さんは俺を見ている。
「公園です。落し物を拾って」
これは嘘ではない。本当の事だ。
「ふ〜ん…」
「もう、いいでしょ、百合」
刀子さんは若干焦った感が出ていた。ちなみ新婦さんの名前が百合だ。
「あと一つ。刀子のどこが好きなの?」
「笑った顔が可愛い事、怒らせると怖い事、時々間が抜けてる事、酔っ払うとからむ事、つまり刀子さんの全部が好きです」
まっすぐ新婦さんを見つめ答えた。
〜
披露宴は無事に終了し、俺と刀子さんは披露宴会場を出た。披露宴会場はマホラ学園から少し離れた都心の場所にある。外はすっかり暗くなりネオンが光っていた。
「いやぁ、合格もらっちゃいましたね」
前を見たまま、横に並んで歩いてる刀子さんに俺は話し掛けた。
「そもそも嘘なんですから、合格以前の問題です」
俺が刀子さんの全部が好きだと言った後に新婦さんから「合格!」との言葉を頂き、刀子さんをよろしく頼むようにお願いされた。とりあえず俺は頑張りますと返事を返した。まだ付き合ってもいませんとは言えないので。
どうでもイイ話をしながら駅の方向に歩いていた時に刀子さんが「あっ」と声をあげた。どうしたのかと思い刀子さんの視線をたどると…
たぶん刀子さんの元カレらしき男が歩いていた。可愛い女性と一緒に。
段々と距離が縮まってくると、いきなり刀子さんが俺の腕に自分の腕を絡ませた。目と鼻の先まで近づくと男の表情が変わった刀子さんに気がついたな。
そして特に何も無く、すれ違った。
少しばかり歩き角を曲がって刀子さんは俺から腕を外した。刀子さん無言で立ち止まってる。
「酒、飲みに行きませんか?」
「…良いですよ」
ポツリと刀子さんは返事をしたので、俺は刀子さんの手を掴み居酒屋に向かった。手が熱かったのは多分、俺の気のせいだろう。
今日も、絡み酒でした。
〜〜〜
今日、学校が、休みだ。
孤児院に行く事にした。
1時間ほどで今日は孤児院に着いた。
園の中に入ると子供達の声と共に群がってきた。
いつものように、高い高いをしたり、肩車をした。
「こんにちは、レンさん」
子供達を一通り空に放り投げ終わると。
「千鶴か、久しぶりだな」
「そうですね。レンさんは、いつも居ますね」
千鶴と軽く話し、また子供達と遊んだ。
内緒で菓子もやった。
昼寝の時間になり、今は寝かしつけている最中だ。
「那波お姉ちゃんとレンお兄ちゃんは仲良し?」
女の子に聞かれた。
仲良し…仲良し、なのか?
「もちろん仲良しよ」
いつの間にか千鶴が来て、答えていた。
そうか。俺と千鶴は仲良しだったのか。
「じゃあ、チュウするの?」
違う女の子に千鶴が聞かれ。
「そこまで仲良しじゃないわ。キスは恋人同士でするものだからね」
にっこり笑いながら答えていた。
そんな事を話し、子ども達を寝かしつけた。
夕方になり、俺と千鶴は子供達にバイバイし、帰り道の途中だ。
「千鶴は子供みたいだ」
「初めて言われました。どこがですか?」
驚いた表情をしていた。
「小さい」
「レンさんから見たら殆どの人が小さいでしょう」
何故か呆れた表情になった。
「そうか、まぁ、無理するなよ」
なんとなく千鶴の頭を撫でた。
そんな時、マナに偶然、遭遇した。
「ずいぶん仲が良いんだな」
「あぁ仲良しだな」
「そうか」
少しマナの表情が固い気がするな…
「じゃあな」
さっさとマナは歩き去った。
俺は千鶴に別れを言い、警備に向かった。
〜〜〜
日曜日、俺は遊園地に来ている。
美空に俺がシャティの事を好きだと知られ「口が滑っちゃうかも。そう言えば私ずっとフジPに行きたかったんですよねぇ。あぁ、でもお金がないなぁ」と脅されフジPにやって来た。
ココネとシャティには内緒だ。これ以上の人に知られたくないし、シャティは言わずもがな。
チケット代から交通費、食事まで全て払わせられた。
仕方ないと自分に言い聞かせ、諦める事にした。
ジェットコースター、お化け屋敷、メリーゴーランド、ティーカップ、柱の落ちる乗り物、ゴーカート、最後に観覧車に乗った。
さて帰るかと遊園地を出た時に、とんでもない強風と雨が吹き荒れだした。電車は止まり、土砂崩れで道路はふさがった。
仕方なく近場にある古臭くボロい旅館に泊まる事に俺達はなったが、部屋が一つしか空いてなく二人同じ部屋になった。
で、まずシャティに電話する事にした。
友達と遊園地に来たら、たまたま美空に会ったと話すとシャティは普通に納得していた。それで肝心の帰れなくなった事を話すと。
「わかりました。あっ…」
何故か突然シャティは声を出した。
「どうした?」
「あの…くれぐれも…その…」
「だから、なんだよ?」
「ふっ、ふしだらな行為は駄目ですよ」
「んな事!しねぇから!」
そんなアホな事を話し、電話を切った。
素泊まりなので外で飯を食い、さっさと寝た。
翌日。
電車で帰ったが、電車の中で美空は眠りこけていた。
マホラ学園に到着し、背負って美空を連れ帰った。