次から次へと風が起こり、雲がわき続ける様子をいう。
「風のごとく起こり雲のごとく湧く」とも読む
第一話です
うちのヒロインちゃんの出番はここと最終話位の予定です
今作はあの男が主人公です
映画初登場時(マイティ・ソー)は39歳(中の人)だったのでそれよりも10歳程若いイメージで書いています
ビジュアルやキャラクターは映画準拠ではありますが別のアースの彼なので根本的には別人ですので...
それではお楽しみ下さい
BEEP!BEEP!BEEP!BEEP!
けたたましくなるサイレン。
真っ赤な非常灯が明滅し、怒号と悲鳴、銃声と硝煙の香りが充満する。
フゥと息を吐くと矢筒から一本取り出しつがえる。
『米軍とNATOの連合軍の爆撃が間もなく始まるわ!すぐに退避しなさい!』
無線から聞こえるオペレーターの声に思わず口角が上がる。
出来るわけがない。何故なら
「まだBOSSが奥にいる。あの人が戻るまでは此処を動くつもりはない!」
姿を現した敵兵に矢を射掛ける。
真っ直ぐに翔ぶ矢は寸分たがわぬ軌道で命の火を消していく。
だが敵地の最深部、怒濤のように押し寄せる人の波に防衛ラインがジリジリと下げられていく。
BOOOOM!!!
爆発音とともに地下基地が揺れる。
遂にフィナーレの時間が来た。
あの人のために死んで骨になれるなら。
覚悟を決めていた。
だが...
脳裏に過る顔を振り払うように次の矢をとる。
それまでと違い押し寄せる敵兵の手前に刺さった矢は数瞬の後
BAN!
と爆発を起こしフル装備の敵兵何人かを吹き飛ばす。
しかし稼いだ時間はいくらもない。
もう一度背負った矢筒に手を伸ばすがその指先に感触はなかった。
「...いよいよか...」
態勢を立て直した敵兵の足音。
その時、通信が入る。
『伏せなさい!』
朽葉流 砲砕!
待ちに待った声に体を地に投げ出すと同時に守り続けた背後の扉が吹き飛ぶ。
扉を吹き飛ばした気弾は有象無象を木の葉のように薙ぎ倒す。
「...ハハッ...オレ、必要か...?」
漏れ出す自嘲に自身よりも大柄な男を肩に担いだ少女、いやその眼の強さはそんなものではない。
「勿論必要よ。ありがとうクリント。」
「...⁉️...いえ...あと、作戦中はコードネームでお願いしますBOSS。」
返した言葉にBOSSと呼ばれた少女は破顔する。
~♪
何時の間にいたのか少女のとなりに長身の女が並び立つ。
戦場には、というよりどんな状況にもそぐわない裸同然のような軽装の女は手にしたアサルトライフルで次々と敵兵の眉間に穴を空けていく。
「さあ、撤収しましょう。クーちゃん、ポイントマンを。」
クーちゃんと呼ばれた女は頷きとサムズアップを残すと無人の荒野を行くかのように進んでいく。
それに続く少女の背に我に返ると慌てて立ち上がった男はふと何かの声を聞いた。
「BOSS?今なにか聴こえませんでした?」
その言葉に振り向いた少女の不思議そうな顔に自身の気のせいだと思った男がその言葉を口にしようとしたときに少女の背後、倒れた敵の一人が構える銃口が眼に入る。
最後の力を振り絞って引かれた引き金。
「シオン!!」
叫ぶと共にその射線上に自身の体を割り込ませる。
肩を貫く痛み。
「クリント!?」
TWHIP!
心配の声をあげながら飛ばしたウェブで敵兵の意識を刈り取ったシオンに問題無いと首を振る。
この程度なら作戦行動には支障はない。
「急ぎましょうBOSS!」
claclaaaappp!!!!
声をあげた男の背後に落雷のような音と衝撃がはしる。
同時に自分の体が途轍もない力で引っ張られる。
男、クリント・バートンが覚えていたのは自身を呑み込む真っ黒な孔と、
「クリント!!」
自分を呼ぶシオンの声だった。
~~~~~~
西暦2205年。
歴史の改変を目論む「歴史修正主義者」によって、
過去への攻撃が始まった。
時の政府はそれを阻止するため、
「
歴史の守護役を命ずる。
「審神者」とは物の心を励起し目覚めさせる業を持つ者のことである。
そしてーーーーーー
審神者はかつて精神と技を込めて造られた、
刀剣を人の形に目覚めさせた。
歴史修正主義者の送り込む
歴史を守るために。
これはーーーー
刀剣から生まれた最強の
刀剣男士と、
異世界より迷い込んだ一人の
ーーーー
ザァァァ......
美しい花弁が舞う。
荘厳な境内の中、5人の男が荒い息をつく。
ザッ
「皆、始まったぞ。」
状況を飲み込むことができない彼らに近づいた別の男が繰り返す。
「ついに始まったんだ。」
「だから何がだ!」
困惑からくる強い語気、それを意に介さぬ男が告げる。
「審神者の、代替わり。」
「「「「 ?! 」」」」」
長きに渡り歴史を守護していた審神者。
されど限りある命を持つ「人間」であるが故、時と共にその力は衰える。
その時に新たな審神者を戦いの前線基地である「本丸に招き守護の力を維持する。
しかしその際には「本丸」の防衛力の一時低下は免れない。
故にその事は「最重要機密」、外には勿論のこと仲間にすら秘匿されるべきであった。
ゴゴゴ...
「...でも残念ながら、
気づかれた。 」
「
一人の少年が駆け寄ってくる。
「時間遡行軍だ!
結界を破られる!」
「な...!」
驚く皆を尻目に鶯丸と呼ばれた男が告げる。
「やはり来たか...!
奴らの狙いはーーー」
ドオン!
最初から本丸だったんだ!
天空を揺るがす豪雷は戦いの号砲。
頭上に張られた結界には無数の「刀剣」が突き刺さる。
最終決戦の烽火が上がる。
ーーーー
ハァ
ハァ
眼前に群がる有象無象。
それらを見据える瞳の闘志は消えず。
ハァ
ハァ
「さすがに...」
それでもその身体には無数の傷を負い、
「ここまでか...」
天下五剣と謳われた名刀
ハラ
ひとひらの花弁が舞う。
徐々に数を増やした花弁が三日月宗近の体を包む。
「...?」
知らず閉じられた目を開けたとき、
「間に合ったか...」
己を抱き止める仲間の姿。
お前たち...本丸はどうした...
呆然と問う三日月宗近。
「俺たちにとっちゃ、あんたも本丸だよ、じいさん。」
三名槍が一つがニヤリと笑う。
「それに主の命でもある。三日月を迎えに行けとな。」
写しと呼ばれた傑作が涼しげに言う。
三日月宗近の心に己が主であり、盟友の言葉が届く。
『三日月、過去だけが歴史ではない。
お前にはまだ守ってもらいたいものがある。
私がーーーー
三日月宗近の瞳に火が灯る。
(俺も...焼きが回ったな...)
いつもの調子を取り戻した天下五剣。
「では再び、
始めよう!」
ーーーー
ガシャアァン!
「結界が...!」
「侵入されたのはあっちだ!」
仲間の「帰還」を待つ二振りの刀剣男子、
ゴォオオォォ...
「ククク...哀れなほど手薄だな。」
獰猛な嘲笑を浮かべた異形の者共、時間遡行軍の群がそこにいた。
血に餓えた獣達が次々に襲いかかる。
ザンッ!
一刀の元に遡行軍を切り捨てた鶯丸が不適に笑う。
「留守居役を甘くみてもらっては困る。」
並び立つ不動行光と共に吠える。
「命が惜しいなら退け!」
ーーーー
グゥアァァァ!?
声にならない悲鳴をあげる。
撃たれても、斬られても、
絶対に止まるな。
どれだけ痛くても、止まったら死ぬ。
それが戦場。
だがあれほど叩き込まれたことだが守れそうにない。
自分の体がバラバラにでもなったかのようだ。
まっくらな空間。
上下があるのかも分からない。
(死んだら楽になれんじゃねえのかよ...!?)
天国に行けるとは思ってもいないがあんまりではないだろうか。
ふと痛み以外の感覚に気付く。
(...なんだ...声?光?)
なんでも良い...ここ以外なら...
男、クリント・バートンはその感覚に身を委ねた。
ーーーー
ドオン!
襖をぶち破り遡行軍、『大太刀』が主の部屋へと押し入る。
「審神者よ...代替わりなどさせぬ...」
今まさに代替わりを行おうと光を放つ審神者へと猛然と襲いかかる。
キンッ!
「ここは、汚れた足で入って良い場所ではない。」
鈴のなるような美しい音色と共に悪意の一撃を受け止めた男。
「主、三日月宗近、ただいま戻った。」
カッ!
一際強く輝いた瞬きを背に数瞬、宗近は目を閉じた。
その胸に去来したものは...
「貴様...邪魔するな!」
「......ここへは...」
それを隙とみた大太刀が再び身の丈ほどもある刃を振りかざす。
「 入 る な と 言 っ て い る !!」
真剣必殺の一撃。
凄まじい衝撃で壁を突き破り吹き飛ばされた大太刀。
それを追おうと踏み出した宗近は奇妙な気配に気付く。
振り返った眼前に広がる黒い孔。
唖然としている宗近の目の前でその黒い孔から何かが這い出る。
「なっ...⁉️」
そこから現れたのは時間遡行軍...ではなく、
自分達と同じ刀剣男士でもないことが気配でわかる。
「人間...⁉️」
驚きを隠せない宗近の耳に呻き声が届く。
俯せの状態からヨロヨロと立ち上がろうとする人間、体格からみて成人男性であろう。
『...ぐっ...ここは...』
「ん?
あまりにもその場にそぐわない乱入者に鉄火場であることも暫しの間、宗近は忘れて呆けてしまった。
カチリ
耳慣れた音。
鍔音、その乱入者が手にした刀を眼にした瞬間、宗近の体は自然構えをとっていた。
また乱入者、クリント・バートンも自身に起きた現象に戸惑っていた。
一体何が起こったのか。
突如闇の中に吸い込まれたと思えば真っ暗な空間での際限の無い責苦。
それが今はどうだ。
仄かに鼻腔をくすぐる森の香り。
記憶にある最後の地点は南アフリカ奥地の武装要塞の地下深く。
『...ここは...』
何処だ?
と、頭で考えるより先に体が動く。
自身に向けられた剣意に無意識に反応して手にした刀を構える。
その先にはこの世のものとは思えぬほど、
高貴で美しい男がいた。
「言葉はわかるかな、異国の御仁。」
(日本語...⁉️)
男の口から出た己が主君の母国語に驚くも顔には出さず情報収集に努める。
(場所は...広い部屋。タタミの床。ワシツ?荒れている。壁に大穴、外...青空?!地上か!)
こんな場所があるとはブリーフィングでも聞いていない。
ここは何処なんだ?!
「...見たところ時間遡行軍ではないようだ...
だが何分此方も立て込んでいてな。」
チャキ
男の剣意が増大する。
「答えられぬというならば...
多少手荒になるが許せよ。」
サン!
振り抜かれた刃を紙一重で交わし、こちらからも斬りかかる。
キンッ
キンッ
キンッ
二合三合、打ち合う。
(クッ...⁉️無理だ、勝てない...)
その技量はクリントの遥か上をいっていた。
自身の得物は剣ではないとは言え、クリントに戦闘技術を叩き込んだ師匠の一人はそれの達人だった。
クリントの剣術も一流の領域に足を踏み入れんとするほどの腕前だった。
しかし相手は「刀の付喪神」。
文字通り神の領域にあった。
「...中々やるようだな異国の御仁。」
宗近の言葉に嘘はない。
乱入者の技術は十二分に高い。
だが身体の使い方から本来は剣士ではないことも見抜いていた。
(あの動き...
鉄火場の最中であるがため、
また、クリントの動きが想定よりも凄まじいものだったため、
暫くは気付かなかった。
スッと宗近が刀の切先を下げる。
「...御主、怪我を負っているな?」
「...だからどうした?」
互いの視線が交錯する。
クルリと宗近が背を向ける。
背中越しに僅かに此方に眼をやる。
「暫し待たれよ異国の御仁。俺には先にやることがあるでな。」
そう言い残すと宗近は壁に空いた大穴からふわりと身を躍らせる。
慌てて大穴に駆け寄ったクリントが眼にしたものは、
禍々しい巨躯を誇る異形の化け物
それを取り囲む色取り取りの美剣士達
その中心にいた宗近
彼等から放たれる目映い光に魅了されるクリント
剣士達の流れるような美しい連係攻撃に駆逐された化け物に確信した。
『...ハハッ...あんたら
よく知る光。
何度も見た輝き。
決して彼女達は認めないだろう。
凡そ正道とは呼べない戦いに明け暮れた彼女達の手は多くの血に染まっている。
それがなんだ。
クリントはその手で守られた多くの生命を、未来を知っている。
「正義の意味は、時の流れによって変わる。」
新兵だったクリントの教導に来た一人の少女の言葉を思い出していた。
最もその少女が自分よりも遥かに多くの戦場と年月を経験した
襤褸巾のようにされた後、
武器を与えられ、技術を教わり、知恵を学んだ。
少女は俺の
「BOSS、正義は存在するのか?」
ある時俺は聞いた。
困った顔をした彼女は先の言葉を告げた。
でも、と前置きして俺の胸に手を当てた。
「それは、『光』を放つ。
眩しくて、目が眩むほどの、
でも、惹き寄せられる。」
強い信念は心を魅了する。
「この世界を、共に守りましょう。」
ホークアイ
俺はこの
あこが...れ...t...
......
「...さて...時間遡行軍の気配は消えたが...
万が一ということもある。
遠征組が帰還する前に調べておかねばな。」
宗近がニコリと笑みを見せながら面々を見回す。
「山姥切国広、薬研、骨喰は『門』の周辺の安全確認を。
長谷部、日本号、不動は本丸の外周を...」
言いかけてふと所在なさげにしていた黒髪の少年に、宗近は目をやる。
「倶利伽羅江...だったな。
新たに参陣して早々ではあるが
案内も兼ねて彼らに付いていってくれ。」
不動、と宗近が呼ぶと倶利伽羅江と不動行光は互いに顔を見合わせる。
長谷部、日本号が二人の因縁に、アッと声を出しかけたが
「...よ~し!新入り‼️
この不動行光が本丸を隅々まで案内してやるよ‼️
ついてきなッ‼️」
と目を丸くする倶利伽羅江の首に腕を回すと駆け出していってしまった。
しばらく呆気にとられていた長谷部と日本号がはたと我にかえると大慌てで二人を追いかけていった。
騒々しい一幕を見ていたボロを纏った青年、国広はハァと嘆息すると「行くぞ」と骨喰、薬研を引き連れていく。
そんな守り抜いた日常に笑顔を見せていた鶯丸だが宗近の視線が彼らに向けられていないことに気付く。
本丸に空いた大穴を眺めていた宗近が鶯丸に言った。
「
~~~~~~
スッという音に目を開ける。
木目の見知らぬ天井を見上げていた。
「おはよう、異国の御人。と言ってももう夜だがな。」
美丈夫、が姿を現す。
ゆっくりと体を起こしじっと見つめる。
傷の手当てがされている。
動きにぎこちなさは残るが問題はないだろう。
「さて、俺の名は三日月宗近。
この本丸の近侍を務めている。」
「...傷の手当てをしてもらったようだな。」
「はっはっは、手当ては鶯丸がしてくれたよ。」
しばらくの沈黙の後にクリントが口を開く。
「...そうか...後で礼を言わないとな。」
「...うむ。ヤツも喜ぶだろう。」
「...お前変なやつだな...」
クリントがそういうと宗近ははっはっはと声をあげて笑った。
「...聞きたいことが山程あるが...」
「先ずは怪我を治せ。それに夜も深い。
話は朝にしようじゃないか。」
じじいは朝が早いぞと言うとまた一人で笑った。
毒気を抜かれたクリントも口の端に笑みを浮かべた。
二人は剣を交えた者にしかわからぬ領域で互いの善性を感じているのか奇妙な友情を築いていた。
「さて、異国の御人。
そろそろそちらの名前を訊いてもよいかな?」
「......すまんが名は言えない。
だが......SAMURAI...か
よし...俺の事はこうよんでくれ。」
これはーーーー
刀剣から生まれた最強の
刀剣男士と、
異世界より迷い込んだ一人の
今作の刀剣男士側との絡みは映画主要キャストが基本となります
ちなみに私の推しは
・にっかり
・村正
・巴
です
映画出てきませんでした‼️
いつか劇やミュージカルもみてーなー
それでは気長に次回をお待ちください❗️
評価とか感想あると頑張るかもしれません‼️