ソードアートオンライン~グランドメモリアル~ 作:Wandarel
「ごきげんよう皆様、パンドラでございます。ようこそお越しいただきました。此度も私パンドラが前回の出来事と今回の事少しばかりお話いたしましょう。前回、小さな龍は過去の因縁を断ち切り、更なる強さを得て攻略し隊や攻略組の皆様の努力のおかげか、囚われてから早三ヶ月程が経ち、既に第四層までの攻略を完了し、彼らは第五層にて留まっているそうです。そしてどうやら彼にもようやく休息が与えられるようだ。しかし、そう簡単に休息出来るとは保証しかねますがね。」
という訳でSAO・GM第十六話完成いたしました!
知っている方はお久しぶり、知らない方は初めまして。
作者のwandarelでございます。
今回もカオスたっぷりにお送りしようと思いますので是非とも評価や感想のほうもお願いします!
拝啓、リアルに置いてきた父ちゃん、母ちゃん、ばあちゃんに姉貴、そんで二匹の猫達へ。
オクトです。
今、俺達『攻略し隊』を含むSAOで生きている全プレイヤーはゲームクリアに向かって突き進んでいます。俺に与えられる仕事は相変わらず理不尽極まりないブラックです。しかし、そんな俺にも至福の時が来ました。
オクト
「休暇だぁー!」
そう、現在、SAO攻略組は五層をクリアし、その記念でぼっちさんから休暇を貰えた。しかも三日間も休みを貰えた。一日目は全部寝て過ごしたので、さすがに三日間寝るだけなのももったいないからこうして街をうろついてる訳です。
オクト
「……ふぅ、ホントに休めたの久しぶりだなぁ。」
前にも説明した通り、オクトだけ課せられるノルマの桁がおかしいため、かなり苦労している。
オクト
「………あ、そうだ武器の点検しなきゃ。」
己の所持する武器の耐久値はボロボロだった。最近戦闘続きでメンテナンスをする暇すらなかったからである。
オクト
「うーん、この辺りに鍛冶屋とかあったっけ?」
マッピングに関しては脚竜に任せているのでそこまで覚えておらず、道具屋一つ探すのにもたまに苦戦する。
???
「そりゃどういう事だおい!」
???
「だーかーら言ってるでしょ!どうあっても素材が足りないのよ!」
???
「えぇー!?足りるっていってたから持ってきたのに!」
???
「ちくしょー!どうにか安くならないのかよ!」
???
「それが出来るなら苦労しないわよ!」
街のど真ん中で三人の男プレイヤーと一人の女プレイヤーが口喧嘩を繰り広げていた。だが、この時ある種の奇跡が起きた。ちょうどよく鍛冶屋を探していたのである。
オクト
「おーいリズベットさーん!」
リズベット
「ん?あれ、アンタあの時の!」
女プレイヤーの方は知り合いでしかもぼっちから聞いた情報だと最近彼女の鍛冶師としての腕はかなり上がっていると聞いていた為、ちょうどよかった。
オクト
「これメイスのメンテナンスして欲しいんだけど大丈夫?」
リズベット
「えぇいいわよ。料金は………」
ここまでの流れで三人の男の一人が声をかけた。
???
「おいおい待ってくれよまだこっちの商談が終わってないぞ?」
???
「そうだそうだ…………ん?あれ、お前……。」
オクト
「………?」
???
「あー!て、テメェは!あの時の!」
オクト
「あー、なるほど。………どちら様でしょうか?」
オクトのこの言葉に三人の男はずっこけた。
???
「お前はあの一層での事をもう忘れたのかぁー!!」
オクト
「………あー、思い出した確かにそんな事もあったなぁ。でどちら様でしょうか?」
もう一度三人はずっこけた。
???
「……いや待て。そういやあの時俺達名前言ってなかったな。」
???
「あ、そりゃ覚えてないわけだ。」
オクト
(……え?なにこれ自己紹介始まるパターン?)
トンヌラ
「オレのプレイヤーネームは『トンヌラ』!親父に危うくリアルでそんな名前にされかけた!ちなみにオレの異名は『迅速のトンヌラ』だぜ!」
オクト
「あのー、トンヌラさん?リアルの事をあまり詮索するきはないんですけど、あなたのお父さんって社長辺りの結構偉い人じゃないですか?」
トンヌラ
「え?なんでその事を……。」
オクト
(やっぱりか………)
チンチロ
「オレのプレイヤーネームは『チンチロ』!人呼んで『剛力のチンチロ』よ!」
オクト
「チンチロさん、賭け事大好きですよね?」
チンチロ
「な、何故それを………」
オクト
(……しかもイカサマ普通にしそうだなこの人。)
カンキチ
「オレは『カンキチ』!リアルネームをそのままつけちまった!」
オクト
「プラモデル大好きですよね?」
カンキチ
「ど、どうしてそれを………」
オクト
(だって眉毛繋がりかけてるし。)
リズベット
「なるほど、アンタら三人合わせて『トンチンカン』って訳ね。」
トンチンカン
「「そういうことだ!」」
オクト
(どこからツッコんだらいいんだろこれ。)
トンヌラ
「とりあえず、アンタが相手になるんだよなオクト!」
オクト
「……まぁ、半損決闘なら。」
正直に言えば茶番だが、オクトには逃げられない理由があった。
トンヌラ
「じゃあ、まずは俺からだ!行くぞ!」
決闘開始の合図と共にトンヌラは駆け出した。
早い。その素早さは伊達に『迅速のトンヌラ』と言われるだけはある。
オクト
「まぁ脚竜より遅いけどな。」ゴッ
メイスの一撃で半損させ、デュエルに勝利した。
トンヌラ
「な、なぜ。俺のスピードには………」
~三層での出来事~
脚竜
「見ろ!これが俺の超スピードだぜ!」
もはや残像すら見える反復横飛びを見て、オクトはこう言った。
オクト
「まるで火星ゴキブリだな。」
そういった瞬間、脚竜は反復横飛びの残像を維持したまま綺麗なフォームでその場股上げを始めた。その姿はかつてアニメで見た火星ゴキブリのようだった。
脚竜
「じょうじ!」
脚竜が『じょうじ』としか喋らなくなったときにぼっちがオクトに耳打ちした。
ぼっち
「オクト、こういう時どうすればいいか教えてやる。」
ぼっちはそう言うと脚竜に向かって歩き、残像の付近に来たとき、残像に足払いをかけた。
すると、脚竜は面白い具合に飛んでいった。
ぼっち
「科学的理論でこうすれば止めれるぞ?」
オクト
「おぉ……。」
そんなこともあり今に至る。
オクト
「申し訳ないんだけどアンタより速い奴いるせいか止まって見える。」
トンヌラ撃沈
チンチロ
「ふっ、奴は所詮このトンチンカン最弱。次は俺が相手だ!」
オクト
(普通に負けフラグ言うなぁ。)
デュエル開始と共に重い一撃が来た。オクトもこの一撃の重さには驚いた。
チンチロ
「どうだぁー!手も足も出まい!所詮世の中はパワー型が最強なんだよ!ははははっ!!」
確かにパワーが高ければ相手を圧倒出来るし、ちょっとしたことでも効率はいいだろう。
オクト
「でもパワーの使い方がまだまだだな。」
オクトはその言葉と共にメイスの一撃を放ってチンチロのHPを半損させた。
チンチロ
「な、なぜだ………。」
オクト
「悪いな、俺もパワータイプなんだよ。」
チンチロ撃破。
目には目を、歯には歯を、パワーにはパワーをだ。と思っていたら武器の耐久値がほんとにやばくなってきた。
オクト
(これ以上やったらマジで折れるな……。)
カンキチ
「情けねぇなお前ら!そんならこのトンチンカンのリーダー、カンキチが相手してやるぜ!」
オクトはため息混じりに構えたが、油断していた。
オクト
「ッ!?」
カンキチは紛れもなくセンスのある戦い方をしてきたのだ。
オクト
(回避は可能だが避けづらい、それだけじゃねぇ。何より隙がほとんどない!)
カンキチ
「どうした!そんくらいで根を上げるのか?」
オクト
(ヤバい、このプレイヤーは確かに強い!)
オクトはオールラウンダーなカンキチのプレイングを受けそれを確信した。そして、
オクト
「でもぼっちさんほどではないな。」
バックドロップで叩きのめした。
カンキチが、変な声を上げて頭を押さえていた。
オクト
「申し訳ないんだけど、アンタよりヤバい奴がいるせいか強いんだけど大したことじゃなかった。」
オクト
(………まぁ、ぼっちさんのセンスがチートなだけなんだろうけども。とにかく、守れてよかった。あの時のようになってたら俺は………。)
リズベットはオクトのその顔を見て、何故そのような顔が出たのかを疑問に思った。
カンキチ
「ち、ちくしょー!」
オクト
「あ、そうだリズベットさん。さっき言ってた武器のメンテナンスお願いします。」
リズベット
「OK、任せなさいオクト!」
チンチロ
「……なぁカンキチ。」
カンキチ
「なんだよ。」
チンチロ
「さっきあの鍛冶娘がオクトって言ってなかったか?」
カンキチ
「え?」
トンヌラ
「…………それって攻略し隊のタンクだよな?」
トンチンカンの三人は顔を見合わせたあと、震え始めた。
チンチロ
「ど、どどどど、どうすんだよ!このままじゃ俺達殺されちまうぞ!」
トンヌラ
「いやいやいや!ヤバいって!あの攻略し隊の鬼たる『ぼっち』に目をつけられたら命は無いって噂だぞ!」
カンキチ
「バカヤロー!バレる前に逃げりゃいいんだよ!こういう時は逃げるが勝ちだっつーの!」
オクト
(あながち間違ってないけどなんか誤解がすごいなぁ。)
トンチンカンがそんな話をしているのを聞いてオクトはそんな事を思っていた矢先だった。
???
「こんなとこで道草食ってたのか。」
オクト
「あ、噂をすればぼっちさん。」
当のぼっちがやって来たのである。休暇であるとはいえ、攻略し隊国際条約第五条、『飯はメンバー全員で同じ場所にて食え』のルールがあり、よく見たらもうお昼ご飯の時間を過ぎていた。
オクト
「すみません、武器のメンテナンスしてて……。」
リズベット
「あ、鬼畜で噂のぼっちだ。」
ぼっち
「なんで俺が鬼畜外道なんだよ。俺は人畜無害だぜ?」
オクト&リズベット
(さらっと嘘ついた………。)
この流れを聞いていたトンチンカンは無論、大慌てだった。
トンヌラ
「ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいッ!!」
チンチロ
「もうダメだ、おしまいだぁ………。」
カンキチ
「ぎぇぇぇぇぇぇ!なんでこんな時に来るんだよ!」
ぼっち
「メンテナンス以外にも理由があるだろ。怒らないから言ってみろ。」
オクト
「あー、一層で俺を身代わりにしたの覚えてますよね?そのときの奴等にリズベットがまた絡まれてたんで助けました。」
ぼっち
「………………。」
トンチンカンの三人は既に逃げる準備をしていたが、トンヌラがぼっちに視線を向いた瞬間だった。
ぼっち
「ほほーう?」
本来あり得ない角度に曲がった首とその眼光はたぶん相当なものだと思う。現にトンヌラが震えながら叫んだ。
トンヌラ
「うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!化け物ォォォォォッ!!」
その絶叫をきっかけにトンチンカンの三人は走り出した。そして、ぼっちはそれを追いかけ始めた。
オクト
「……あーあ、ぼっちさん加減してればいいんだけど。」
リズベット
「……ねぇ、アンタ。」
オクト
「ん?どうしたの?」
リズベット
「一層の時もそうだけどなんで助けてくれたの?」
オクトはその質問に少しだけ間を開けて答えた。
オクト
「俺、昔色々あってさ。大切な友達を二人くらい助けれなくてさ。手を伸ばせば助けれたかもしれなかったんだよ。だからその時決めたんだ。どんなことがあっても掴める手があるなら掴んでみせるって。」
オクトは空の方に顔をあげ、さらに続けた。
オクト
「俺さ、ちょっとのお金と明日のパンツがあれば生きていけるって信じてるんだ。辛い事苦しい事があっても生きていける。どれだけ過酷でもな。」
リズベット
「ふふ……変な考えね。でもそれアタシみたいな女だったらどうすんのよ。」
オクトは手痛い所を突かれたようにあっと言って、二人で笑った。
それと同時に今にも死にそうな顔をしたトンチンカンの三人を引き連れてそれはもうとてもとても満足したような綺麗な笑顔と共に口笛を吹きながらぼっちが帰って来た。
ぼっち
「ただいま~♪」
オクト
「お、おかえりなさい………。」
トンチンカン
「…………………。」
ぼっち
「よーし、本人も目の前にいることだし、始めるか。」
トンチンカンの三人がオクトとリズベットの方に向き助けを求めるかのような視線を送ってきたが、こうなったぼっちを止める術を二人は知らないからどうしようもない。
ぼっち
「まずだ。攻略し隊の奴に手を出したというタブーをやらかした時点でアウトなんだが、特別に許してやる。」
トンチンカン
「「ほ、本当か!?」」
ぼっち
「あぁ、本当さ。ただし、今後は俺達攻略し隊の専属鍛冶屋のリズベットにちょっかいをかけないことを誓えるか?」
トンチンカン
「はい!誓います!」
リズベット&オクト
「おい待て。」
ぼっち
「なんだよ?」
オクト
「勝手に専属鍛冶屋にするんじゃねぇですよ。」
リズベット
「まだ野良の鍛冶屋なんだけど………。」
ぼっちはそう言われ、舌打ちをして小声でバレたかと言い、トンチンカンの方に向き直った。
ぼっち
「……んじゃ、これにサインしやがれ。」
ぼっちはトンチンカンの三人にあのメールを送っていた。そう、あのメールだ。
オクト&リズベット
(あ………。(察し))
トンチンカン
「すぐにします!」
三人がサインし、それをぼっちに返信した。
ぼっち
「よーしお前ら。これで晴れてテメェらトンチンカンはこの『攻略し隊』の舎弟になったわけだ。キリキリ働けよ。」
カンキチ
「………ヘ?」
トンヌラ
「いやいやいや!聞いてませんよ!」
チンチロ
「誓約書にもそんなこと………あ。」
カンキチ
「どうしたんだよチンチロ?」
ぼっち
「これから先生きていくのによく覚えておけよ。こういう契約の時には何かしら裏があると思っておけ。その授業料に俺達に貢献する。お前らも俺達から危害を加えられない完璧でWin-Winな関係じゃないか。」
ぼっちは誓約書メールの下の方に『我々トンチンカンの三人は攻略し隊の舎弟となり、月に一回、我々の資金及び資材の4割を攻略し隊に引き渡す事もここに誓います。』と書いていたのだ。
ぼっち
「もう一度言うが、俺がいる間は誰一人として死なせる気は無ぇ。例え舎弟だろうがな。」
オクト
(すげぇカッコいいこと言ってるつもりなんだろうけど……。)
リズベット
(やってることもれなく詐欺師よね?)
ぼっち
「よーし、トンチンカン共、明日からキリキリと俺達の為にも生き残るためにも頑張れよー。」
カンキチ
「だぁー!もうこんなことこりごりだぁァァァァ!」
カンキチの叫びが第五層の街で響いた。
第五層~攻略し隊拠点(借家)にて~
オクト
「……ということがあったりして遅くなりました。」
脚竜
「リア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべしリア充死すべし」
Yun
「落ち着けお前は。」
脚竜はYunからチョップを受けリア充粉砕☆玉砕☆大喝采☆モードを終えた。
ミホ
「ホント知らないうちに仲良くなってるんだねー?」
オクト
「だ、だからそんなんじゃないって!」
シグレ
「ホントかなぁ?」
オクト
「ホントだって!」
ぼっち
「攻略し隊国際条約第六条、リア充は滅ぼしてもよい。」
オクト
「アンタいきなりなんて理不尽極まりない条約作ってんですか!」
Yun
「それ言うってことはリア充かな?」
Yunがいたずらっぽい笑みを浮かべながらそういうとミホとシグレもヒューヒューと囃し立てた。
脚竜
「………滅びろ。」
脚竜は代わりに抹殺モードに入ったが。
オクト
「そんなんじゃないって言ってるでしょうがァァァァッ!!」
オクトの叫びも夜の第五層にて響いたそうだ。
???
(バカ二人が入院した。それだけでも驚いたけど、目を覚まさないバカ二人。でも、もうなにもかもがどうでもよかった私にとっては、驚いただけで特に何も思えなかった。)
???
(たった一人の弟がいなくなって、いつもにぎやかだった家庭が静かになった。それは私にとっては耐え難かった。)
???
「………あ、どうも。」
???
「……え?もしかして隣の病室?」
次回
SAO・GM第十七話「残された人間」
???
「これでも結構やりこんでんのよねこのゲームは!」