ソードアートオンライン~グランドメモリアル~ 作:Wandarel
「皆様ごきげんよう、パンドラでございます。前回、ナツ様はアリア様の無茶振りに付き合わされた結果、彼女に大きな変化があったようです。友情とは素晴らしいものですねぇ。さて、今回あの二人はまた別のゲームで遊ぶようです。さてと、私もそろそろあの計画の準備をせねば……。それでは皆様、またお会いしましょう。」
というわけで皆さん、お久しぶりです。
作者のwandarelでございます。
今回もSAOではなく、リアルの方での話になっておりますのでご了承を。
前回に初めて遊戯王の演出をしてみましたが、中々に難しくて、まだまだ半人前のデュエリストだということを、改めて思い知りました……。
今年の投稿はこの十九話で最後ですが、これから先も、精一杯頑張って投稿し続けていきますのでよろしくお願いします。
もちろん、今回も評価や感想、誤字指摘などしていただけるととても励みになるので、ガンガンいこうぜでお願いします!
そして、最初に言っておく!今回もカオスだ!
柚子はさっそく家に帰ってから奥にあるかつて自分が使っていたVRゲームの本体を取り出してきた。
柚子
「おぉ、これまたほこりまみれ……。」
長年使っていなかったのでほこりが大変なことになっている。柚子は丁寧にほこりを払いながら周りの掃除をしていた。
あのデュエル以降、ナツこと夏輝は他の人にも心を開くようになり、文字通りクラスの人気者になった。
そして夏輝はちゃんと笑ってくれるようになった。
お見舞いの態度も大きく変わって、柚子としては嬉しい限りだった。
柚子
(なんとなく放っておけなかったから声をかけて、そっから夏輝も変わったし……しかも私におすすめのゲームを薦めてくるほどに仲良くなっちゃったし。)
ご飯も食べ終わったし、明日から週末二日休み。というわけで夏輝が『タドルウォーリアーズ』について教えてくれる事になった。
柚子は久々に出したその本体を取り付け、ゲームを起動した。
仮想世界へと入り、柚子はニューゲームを選択し、データの作成を始めた。
見た目はもちろん、デュエルリンクスのアバターをイメージ。ネームは『アリア』だ。
システム音声
「
アリア
「……うわぁ!」
アリアはゲームスタートと同時に広がったその綺麗なVR世界にとても興奮した。弟の囚われているSAOには及ばないにしても、グラフィックはたぶん最高峰であろう。こんなゲームがあるのを初めて知った。
アリア
「すっごい………あいてっ!」
景色に見とれていると、後ろからチョップを仕掛けられた。
ナツ
「おう、よく来た。」
アリア
「おぉ、ナツ!このゲームすご……い?」
アリアは初めてのゲームをプレイするにあたって、情報ある程度集めているが、ちらほらと最強装備も見ていたことがある。
だが、アリアが調べれる限りでは最も最強だと言われてる有名なプレイヤー十人のスクショの装備のうちの一式をナツは装備していた。
アリア
「……え?ナツ、その装備……。」
ナツ
「ん?あーこれ?私このゲームでは日本限定だけど全国ランク四位なのよね。さすがに世界には勝てないけどね。」
アリア
「す、すげぇ……。これ課金がっつりしたの?」
ナツ
「いや、無課金で七年くらいやってたら出来るよこの一式装備は。あとランクは特に気にしなくていいから。」
アリア
「そういやランクって?」
ナツ
「あー簡単に言えば……アンタ、モンハンやってた?」
アリア
「うん、やってる。」
ナツ
「あれのハンターランクみたいなの。私いわゆる古参プレイヤーだからランク高いのよ。」
アリア
「なるほどね。」
しかしそれを踏まえてもこの差は凄すぎる。
ナツ
「んじゃまずは基本からね。まずコントローラーのABYXあるでしょ?大体、基本的なボタンはPSとあんまり大差はないから。」
アリア
「ほうほう。」
ナツ
「まずはYボタン。これは格ゲーで言う弱攻撃みたいなやつ。まぁ無双ゲームでは大体通常攻撃って言われてるのは知ってる?」
アリア
「うんうん、弟がゼルダ無双してたからなんとなくは。」
ナツ
「そんじゃXボタンは?」
アリア
「チャージ攻撃!」
ナツはアリアの答えにその通りと答えて続けた。
ナツ
「じゃBボタンは?」
アリア
「回避行動!」
ナツ
「じゃ押してみ。」
アリアはナツに促され、Bボタンを押すと、ジャンプした。
アリア
「うぉぉ!飛んだァッ!!」
ナツ
「答えはジャンプよ。基本的によく使うアクションの一つだから覚えておいてね。」
アリアの着地と同時にナツが説明を加えた。
アリア
「てことはこのありがちなスティックは移動だよね?」
ナツ
「まぁそこは基本的に変わらんでしょ。」
アリアは新しい感覚のこのゲームにわくわくしながら、色々さわっていた。すると、何故か謎のポーズをとった部分があり、アリアはかなり驚いた。
アリア
「え、何今の構え?どこのボタン?」
ナツ
「R1ボタン押してみ。」
アリアは言われた通りにボタンを押すと、さっきの謎の構えをした。
ナツ
「それでXボタン押してみ。」
アリア
「うん!」
アリアはそのままXボタンを押すと魔法詠唱を行い、チュートリアルで見た回復エフェクトが出た。しかもアリアがよく知ってる効果音も出た。
アリア
「………ん?ちょっと待ってこの技って?!」
ナツ
「おう、このタドルウォーリアーズはね、あの幻夢コーポレーションとスクウェア・エニックスとコーエーテクモゲームスの異色超コラボを果たしたある意味最強の無双ゲームよ。」
アリア
「マジか!だから今さっきホイミを使ったのか!」
ナツ
「そういうことー。まぁスキルは組み替えで変わるんだけどね。」
アリア
「てことはこれのYボタンは……」
押してみると、キアリーのエフェクトが出た。
アリア
「すっごいすっごい!何このマジモンのファンタジーゲーム!」
アリアは斬新ながらもめちゃくちゃ面白すぎるこのゲームをとても気に入った。
ナツ
「あーあとL1は……。」
アリア
「あー大丈夫、大体わかった!」
ナツ
「よっしゃ、じゃあ行きますか、レベリングに。」
アリア
「うむ!」
その後は一通りの操作を教えていたが、ナツもアリアの隠された才能に舌を巻いた。
たった数分で最適な動きをマスターしていたのだ。
ナツ
「さすが新体操やってるだけはあるわね。飲み込みが早すぎるわ。」
アリア
「まあね!」
しかし、ナツはこの時にようやく気づき、草影にアリアを引っ張り隠れた。
アリア
「ちょ、なになに?!」
ナツ
「……やっべ。」
アリア
「ん?何かいるの?」
ナツがヤバいと言ったのでさっきまでいた方向を見ると、なんかゴキブリのような装備をしたプレイヤー(?)がいた。
アリア
「なにあれ?」
ナツ
「……あれ、別モードで条件クリアしたら使える最強の武将よ。エネミーネームは呂布。めちゃくちゃ強いけどこのモードではドロップアイテムは最強クラスよ。まぁ、レイドでも組まないと勝てやしないって言われるくらいに強いし、最大二人パーティーでしか挑めないまさに鬼畜仕様よ。未だに呂布倒した奴いないから今は諦めとけ。」
ここまで言った時にナツはアリアを見失っていた。
ナツ
「……アリア?」
アリア
「呂布ゥッ!!その首(ドロップアイテム)寄越せェッ!!」
この後、見事に返り討ちにあいました。
ナツ
「お前やっぱバカだろ。」
アリア
「……バカって言わないで。」
ナツ
「よしっ、そんじゃ本格的にレベルを上げに………」
アリア
「待って。」
ナツはアリアに言葉を遮られ、アリアが続けた。
アリア
「……私に一週間ちょうだい。来週の土曜日には呂布倒せるようにしておくから。」
ナツ
「………言っとくけど一週間で強くなれるほどこのゲームぬるくないわよ。しかも話聞いてた?二人じゃ勝てないって。百人レイドでも勝てないんだしさ。」
アリア
「いーや、私達なら出来る。」
ナツ
「……その自信はどこから?」
アリア
「相棒がナツだから!」
ナツ
「………はいはい、その眼はどうしてもやりとげたい眼ですねわかります。」
アリア
「上等、そうでなくちゃ!」
ナツ
「オッケー、んじゃ来週まで私は待つわ。もちろん集合場所はこの広場ね。」
アリア
「うん、わかった。」
アリアとナツはそこまで言うと、お互いにログアウトした。
夏輝
「さてと、あそこまで言ったんだからアイツがどうなるかちょっと楽しみね。」
コツ
「パウッ!」
夏輝
「……ん?どしたコツ。」
コツ
「グゥー。」
夏輝
「……はいはい、散歩ですね。」
それから一週間経つまではいろんな事があった。私も独自のルートで呂布の攻略法を考えていたり、大学で流行りだしたデュエルリンクスの相手をしたりと……。
だけど、どんなにしても柚子はタドルウォーリアーズの進捗は教えてくれなかった。けど、私も変わった事があるとしたら、そんな柚子に対してとても楽しみにしていることだ。
しばらく前の自分なら誰かを信用したりするなんてあり得なかっただろうし、暗い人生を生きてきたんだろう。けど、今は私の隣にはとんでもないバカがいる。私みたいなひねくれた人間を相手にする物好きなんてそうそういないから。だからこそ、私は柚子という一番面白い人間に出会えてよかったと思えてる。
夏輝
「……なんてバカなことがあったのよ、父さん、バカ弟共。そんで、瑠衣。」
私は病院で今もデスゲームと戦っている四人にそんな事を話した。今思えば昔の私ならこんなことしてなかったかもしれない。
そして今日この日は一週間前にアリアが約束した日だった。
夏輝
「………行くか。」
夏輝はタドルウォーリアーズを起動し、ログインした。
フレンドの項目でログイン状況を確認してみたが、どうやら今回は時間通りに来たようだ。
ナツ
「…よしこい。」
アリア
「お待たせぇー!」
ナツ
「……マジかよ。」
アリアはとある装備を一式揃えていたが、要求素材のレア度はとんでもなく高い奴だ。どれだけクエストクリアしても手に入らないような装備を一式揃えた上で、かなり力強く感じた。
アリア
「すごいでしょ、このビアンカ一式セット!めちゃくちゃ苦労したぜよ。」
ナツ
「……お前まさか授業中寝てたのって。」
アリア
「メッチャゲーム・ムッチャゲームしてました。」
ナツ
「おい。」
アリア
「あ、ナツその装備って!」
ナツ
「おう、これは呂玲綺一式よ。私のスタイル的にも合うのよね。」
アリア
「確かに身長低い割には胸大きいもんね。」
ナツ
「脚蛇家秘伝、笑いのツボッ!!」
アリア
「うっ……アッハハハ……なんでハハハ……私今回なにもしてないアッハハハハハハ!」
ナツ
「殴られたい?」
アリア
「アハハ……ごめんなさい。というかVRでも効くのかそれ……。」
ナツ
「……なるほどね。」
アリア
(あ、ヤバい墓穴掘った。)
呂布の元に向かう道中の敵は出来る限りは無視した。呂布を相手するのに余計な消耗をしていると勝てる戦いも勝てなくなるからだ。
アリア
「そーいやランクもめちゃくちゃ上がったな。」
ナツ
「そりゃアンタ、メタルチケット使ったんならガンガン強くなるでしょ。そんで、アリアはアタッカータイプ何にしたの?」
アリア
「うーん、チャージ攻撃タイプかなぁ。」
ナツ
「やっぱそうなるよね。」
アリア
「だってチャージ攻撃豊富だといろいろとスキル連結組み込みやすいしね。」
そして、私達は呂布の元にたどり着いた。
アリア
「作戦は確か、最初に馬から落とすのよね。」
ナツ
「わかってんじゃないの。だけどかなりダメージ与えないと落ちない。」
アリア
「だからこその連携プレイでしょ?」
ナツ
「ま、ぶっつけ本番だけどね。」
呂布
「……また来たのか雑魚共が。」
アリア
「雑魚かどうかはわかんないよ?」
呂布
「ほう、いつぞやのうるさい羽虫か……。お前ごときが俺に挑むとはな。」
アリア
「誰が羽虫だコノヤロー!!」
ナツ
「まぁまぁ落ち着けアリア。アンタは羽虫じゃなくてバカだ。」
呂布
「ふん、あの時逃げた腰抜けもいるのか。」
ナツ
「んだとコラァ!やってやろうじゃねぇかオイ!」
アリア
「落ち着いてナツ!アンタは腰抜けじゃなくて腑抜けよ!」
アリア&ナツ
「………あ?やんのか?」
呂布
「……つまらん戯れ言は済んだか?ならばすぐにあの世に送ってやる!」
アリア
「……来るよ。」
ナツ
「はいはい。」
呂布が赤兎馬で突っ込んで来たのを確認して二人はすぐさま戦闘モードに入り、お互いに武器を構えた……だが。
ガギャアァァァンッ!!
一度武器がぶつかっただけでもわかるくらいに強い衝撃が来た。
第一の関門である呂布を赤兎馬から落とすのはかなり厳しいようだ。
アリア
「隙ありィ!!」
アリアが閃光魔法「ベギラゴン」を放った。
辺り一面が焼き焦げるほどの火力が前方に集中し、火柱を立てる。
アリア
「よーし、どうよ!」
呂布
「………ぬうぉぉぉぉぉっ!!」
しかし、呂布は赤兎馬に乗りながらその爆炎の中を突き抜けてアリアに一撃を加えた。
アリアが十メートル位吹き飛んでいった。
アリア
「ぐっふぇっ………。」
ナツ
「……マジかよおい。」
一撃でアリアの体力が半分以上も減らされた上に、先ほどの魔法ダメージを一切受けてないようだ。
アリア
「嘘……あれ最上位魔法だよ!?」
ナツ
(くそっ、やっぱりか!)
サービス開始から今年で四年経ち、呂布が実装されたのは二年前。その今までの間で呂布を倒したプレイヤーはおらず、挑む人間も少ないため、圧倒的に情報が足りなかった。だが、これで判明したこともある。
ナツ
(魔法攻撃は無効、たぶん状態異常系のデバフスキルも一切効かない。しかも属性の弱点はなしで全て軽減。なら………。)
ナツ
「アリア!こいつには魔法もデバフも効かない!真っ正面から属性ありでもいいから物理攻撃連発で攻めるよ!」
アリア
「はいよ!」
二人はかけ声に合わせて、呂布を挟み込むように走り、同時に攻撃を行った。
二人の武器と呂布の方天戟が激しくぶつかり合い、火花が散る。そしてその度にナツとアリアが大きくのけぞりそうになる。
そして、ナツ一人でつばぜり合いに入ったが、ナツがある程度一人で踏ん張っていたが、STRの合計値のため、ナツは怯んだ。
呂布
「お前だけで俺の攻撃を止められると思っているのか!」
ナツ
「いちいちうるせーな。私は足止めだっつの。」
呂布の背後からアリアが突っ込み、あらかじめ組み込んでおいたチャージ攻撃を仕掛けた。
アリア
「大地斬ッ!!」
一撃。
アリア
「海破斬ッ!!」
二撃。
アリア
「空裂斬ッ!!」
綺麗な三連撃が呂布に叩き込まれた。
呂布
「ぐっ……。」
ある程度呂布にダメージは与えれたようで少し呻き声をあげた。だがしかし、ゲージはそこまで減っておらず、赤兎馬からも落ちていない。
呂布
「……ふん、その程度か。」
だが、この時をナツは待っていた。ナツは呂布がその隙を見せた瞬間に既に構えていた。
ナツ
「つるぎの舞ッ!!」
ランダムに四~八回の攻撃力依存の踊り。
運良く、八回攻撃確定演出が見られた。しかも三回ほど会心の一撃のエフェクトも出た。
呂布
「ぐぉっ……!」
そこまで無茶をしてようやく呂布を赤兎馬から叩き落とした。
呂布
「……ふん、少しは歯ごたえがありそうだ。」
ナツ
「……死ぬなよアリア。」
アリア
「……わかってるっての。」
お互いに拳を合わせて、呂布に突っ込んでいった。
BGMが通常の戦闘モードの曲から
「THEME OF LUBU -DW ~ MIX-」
へと変わった。
ここからが本当の呂布戦への到達ライン。
あくまで騎乗戦はおまけだ。
呂布
「おぉぉぉぉッ!!」
武器が再びぶつかり合う。だが、さっきとは比較にならないくらいに威力が桁違いに上がっていた。
ナツ
(クッソッ!!火力上がりすぎでしょ!?)
アリア
「たぁぁぁっ!!」
再びつばぜり合いに入った。(一応二対一なのだが)もちろん呂布はめちゃくちゃ強い。だけど………。
ナツ
(アリアとなら………!)
アリア
(ナツとなら…………!)
ナツ&アリア
「行けるッ!!」
ほんの少しだけ私達の方が勝っていた。
ナツ
「キメワザ行くわよアリア!」
キメワザッ!
アリア
「オッケー決めるわ!」
キメワザッ!
呂布がよろめいたのを見て、同時に必殺技を放つ。
ナツ
「ギガスラッシュッ!!」
ギガクリティカルスラッシュッ!!
アリア
「アバンストラッシュッ!!」
アバンクリティカルストラッシュッ!!
ナツ&アリア
「うぉらぁぁぁっ!!」
その二つの斬撃が呂布を切り裂き、呂布が大きく吹き飛んでいった。
気がつくと、周りには大勢のプレイヤーがいた。
あの呂布にたった二人で挑んでいるプレイヤーが居ると聞いてきたのであろう。
アリア
「……やっば、私達すごい人気。」
ナツ
「バーカ、呂布に二人で挑む奴なんていないから気になってきただけに決まってんでしょ。それよりも………」
呂布
「ほう、この俺をここまで追い込むとはな……。」
あれだけのチャージ攻撃とキメワザを叩き込んだにも関わらず、呂布の体力は半分から少し減っているぐらいだった。
アリア
「あ、あれだけ叩き込んだのに……。」
ナツ
「………アリア。」
アリア
「何?」
ナツ
「ここで諦める?」
アリア
「……寝言は寝てから言おうか。」
ナツはその言葉を聞いてあのときのデュエルの時のように不敵に笑って言った。
ナツ
「そんじゃ、呂布倒すか!」
アリア
「もっちろん!」
呂布
「そろそろ本気でいかせてもらおう……ぬぉぉぉぉぉっ!!」
呂布が雄叫びと共に解除不可能なSTR上昇バフがかかる。
ナツ
「あと半分!」
アリア
「ぶっちぎる!」
呂布、アリア、ナツの三人が雄叫びをあげて走り、武器が再びぶつかり合う。大きな金属音が鳴り響いた。
だが、ナツとアリアの方が大きくのけぞった。
そこに呂布がキメワザ「無双乱舞」を撃ってきた。
攻撃の全てを被弾し、観衆達が多くいる方面に一気に吹き飛ばされた。
周りがざわめき、アリア達の体力がゼロになった……。
が、二人はまるで何事もなかったかのように立ち上がった。
ナツ
(……万が一の備えに感謝ね。)
正確には特殊アイテム『兵糧丸』のおかげである。体力がゼロになったとき兵糧丸を消費して一度だけ体力を半分にして蘇生できるアイテムだが、このアイテムは特殊で、長年やってようやく二つ目が手に入るようなレア物だ。
アリア
「……兵糧丸なくなっちゃったね。」
ナツ
「……やるっきゃないっしょ。」
アリアとナツが再び呂布に向かって突撃した。
熱く、激しく、武器がぶつかり合った。一撃一撃が重くて、何回も弾かれそうになる。ガードしても貫通でダメージが入ってくる。
周りから応援の声がし始めた。歴代で初めて呂布を倒せるのではないのかと、全てのタドルウォーリアーズのプレイヤーがそう思っていた。
だが、ナツとアリアにはその歓声すら聞こえなかった。目の前にいる呂布の猛攻を捌くのにかなり集中してるのもあるが、アリアとナツは口元が笑っていた。
アリア
(楽しすぎる……最ッ高にテンション上がってる!)
ナツ
(もう二度とこんなことないだろうなと思ってたけど、今ならはっきり言えるわ。)
三者共に大きくのけぞった時にナツはアリアに聞こえるように大声で言った。
ナツ
「アリアー!楽しいな!」
アリアも笑って大声で返した。
アリア
「おーう!最後まで楽しもう!」
あらゆる斬撃攻撃を叩き込んだ。もはや、回復魔法を唱える猶予なんて無かった。斬って斬って斬りまくって、斬られて、叩きつけられて、投げられて、気がつくと呂布の体力がもうすぐでゼロになるところまで来ていた。
アリアとナツの体力はレッドライン。次に一撃でも食らえば終わりだ。
追い付かれないように呂布から距離をとった二人は、お互いに顔を見合わせ、頷いた。
ナツ&アリア
「バイシオン!ピオリム!」
ナツ
(……あとはお互いにキメワザ一発分の無双ゲージか。)
ナツ
「行こうぜ相棒!」
アリア
「よしきた!」
最後のバフをかけて、そこから呂布へと一気に詰め寄り、文字通り最後のつばぜり合いに入った。
呂布
「うおォォォォォォォォッ!!」
アリア&ナツ
「うあァァァァァァァァッ!!」
激しく拮抗し、世界が割れるほどの雄叫びが響いた。武器が悲鳴を上げ始め、割れそうになる。だが、諦められなかった。
ナツ
(やりとげてみせる……アリアと一緒に!)
アリア
(絶対、絶対に行ける!だから私は闘う!)
アリア
「私達の絆が嘘じゃないことを証明するために!」
ナツ
「私達のバカな夢の為に!」
アリア&ナツ
「その首寄越せ呂布ゥゥゥゥゥッ!!」
呂布が大きくのけぞった。チャンスは今しかない。
アリアとナツは同時にキメワザを発動した。もちろん、歴代の無双ゲームの仕様通り、瀕死状態ではSPキメワザになる。
キメワザスペシャルッ!
ギカクリティカルブレイクッ!
アルテマクリティカルソードッ!
ナツ
「ギガッ!ブレイクゥゥゥゥゥッ!!」
アリア
「アルテマッ!ソォォォォォドッ!!」
二つの大きな斬撃が呂布に入り、呂布は雄叫びを上げながら倒れた。
タドルウォーリアーズで呂布の到来から二年、ようやく呂布を二人の女傑が倒したのだ。
ナツ
「………言うこと覚えてる?」
アリア
「………もっちろん。」
アリア&ナツ
「呂布ッ!討ち取ったりィ!!」
二人が高らかにそう叫び武器を高く掲げると、周りのプレイヤーから拍手と歓声が響いた。もちろん、世界で初めて呂布を倒した二人組だからだ。ナツはその歓声を聞いて、改めてアリアと二人で成し遂げた偉業を確認し、涙が出始めた。
ナツ
「あれ……クソッ……涙が止まんない……」
アリア
「あー夏みかんが泣いてるー。」
夏みかん
「誰が夏みかんよ!……バカ柚子!」
アリアも感極まってめちゃくちゃな顔になりながら泣いていた。
呂布
「………おい。」
ナツ&アリア
「ヒュイッ!?」
いきなり呂布に声をかけられ、二人が同じように変な声を出した。
呂布
「この俺に敵う奴がいるとはな…。俺の武に怖じる事なく挑んできた貴様らはそこら辺の雑魚とは違うようだ。」
そのセリフと共にアリアとナツにお知らせが届いた。
内容は、NPC武将『呂布』が使用可能になったということだった。
アリア
「………え?えぇぇっ!?呂布さん仲間になってくれるの!?」
呂布
「勘違いするな。たまたま利害が一致しただけにすぎん。」
ナツ
「ま、マジかよ。」
二人が驚いていると呂布からアリアとナツに二つの装備アイテムを投げられた。
一つはその強さは噂だけでしか聞いたことのない呂布の装備の『無双方天戟』、もう一つは存在は明かされていたが入手方法が一切不明だったはずの『天空のつるぎ』だった。
アリア
「………。」
ナツ
「………。」
呂布
「くれてやる。次の戦いも俺を楽しませてみろ。」
ナツ&アリア
「えェェェェェェェェェェェッ!?こいつが持ってたのかよ天空のつるぎ!!」
呂布
「お前達ならば奴を倒せるかもしれんな。」
ナツ
「……奴?」
ナツの疑問に反応するかのようにアリア達にミッション受注の法螺貝の音がなった。
ミッションの内容は古志城へ向かえとだけだった。
呂布
「……次の戦いを楽しみにしているぞ、最上の獲物共。」
呂布はそういうと赤兎馬に乗り、走り去っていった。
アリア
「古志城ってなに?」
ナツ
「……最近になって解禁された無双OROCHIレイドイベント限定のステージよ。どうやら、次でようやくこのゲームを制覇したことになるわね。」
アリア
「……まぁ、何はともあれ!こうして呂布撃破したんだし、今は喜ぼう!」
ナツ
「………ハァ、つくづくアホねアンタ。」
アリア
「……そういや呂布と戦ってどれくらいたったの?」
ナツ
「えーっと、五時間……。」
ナツがそういうと二人同時にぐぅ……とおなかが鳴った。
アリア
「……この後予定ある?」
ナツ
「ないな。」
二人はログアウトして、空かせたお腹を満たしにいくことにした。
夏輝
「ふぃー、長かっ……うぶっ!?」
コツ
「グゥ……。」
アビー
「クゥン…。」
夏輝
「え、何?お前ら心配してたの?」
コツ
「パウッ!」
夏輝
「おーそうかそうかよしよし。」
三十分後に、柚子と大学前で合流し、そのままレストラン『AGITΩ』に向かった。
柚子
「呂布撃破に乾杯~♪」
夏輝
「乾杯するほどの事じゃないっての。」
柚子
「んーうまい!」
夏輝
「お金あるときの行きつけだからねー。そりゃうまいに決まってるでしょ。」
柚子がスマホをいじっていると、あっと声をあげた。
柚子
「見てみて夏みかん!私達がっつり写ってるよ!」
夏みかん
「え?……うわぁ、おもいっきり写ってる……。」
柚子
「これで私達はもう有名人ね!」
夏輝
「普通に勘弁してほしいんだけど。」
夏輝はそう言って柚子が残していたステーキの最後の一切れを食べた。
柚子
「あー!最後の一切れッ!?」
夏輝
「夏みかんって言ったお前が悪い。」
柚子
「ひっどーい!」
呂布撃破のあの時、タドルウォーリアーズでとある称号を二人は獲得していたのだが、それを知っているのは一部のゲーム雑誌のみである。
その称号は、呂布を二人で撃破した時に入手できるものだ。
『その二人、無双』
ナツ
「従来の無双ゲーならではの仕様ね。」
アリア
「……あれ?なんか敵のグラフィック違うくない?」
???
「待っていたぞ、お前達をォッ!」
ナツ
「………全裸の変態?」
???
「ブゥゥゥンッ!」
次回、SAO・GM
第二十話「神との激突」
ナツ
「全裸の変態が着ぐるみの変態になった……。」
アリア
「失礼でしょうが。」