ソードアートオンライン~グランドメモリアル~ 作:Wandarel
「ごきげんよう皆様、パンドラでございます。前回でぐりん様の正体があの力だったとは……。そして、動き始めた歯車は少しずつ噛み合い同調し、大いなる力になるでしょう。
ふむ、予定よりも少し早いですが、先手を打ちましょうかね……。
あぁ、こちらの話です。
それでは皆さん、どうぞお楽しみください。」
どうも皆さん、作者のWandarelです。
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
SAOの映画を見たり、仮面ライダーの映画を見たり色々ありましたがようやく投稿出来ました。
感想や評価は私のモチベーションに繋がるのでどうかよろしくお願いします!
第6層フロアボスの攻略会議は順調に進んでいた。
ぼっちとして想定外だったことはALSリーダーのキバオウに攻略し隊のギルドに直接、攻略会議に来るように言いに来たことだった。
ぶっちゃけビーターである以上あまり関わりを持つのは危険と思っていたが。
今はビーターという肩書きがある以上あまり派手には動かないようにして情報だけを聞き取ろうとしていた。
ディアベル
「以上が、今回のフロアボスに関する情報だ。なにか意見がある人はいるかい?」
ディアベルのその問いかけに、キバオウが手を上げた。
ディアベル
「キバオウさん、どうぞ。」
キバオウ
「……単刀直入に言わせてもらうわ。今回のボス、想定外のことがあるとしたらどんなパターンがあるんや、ビーター。 」
……名指しをされたのなら仕方ない。
どうやらキバオウは俺もしくはキリトのようなベータテストで先行していたゲーマーとして、1層でのあの出来事を起こさせないためにゲーマーとしての知識を信じて聞いてきたんだろう。
ならば、悪役らしいセリフと共に答えるのがビーターだ。
ぼっち
「ふ、その程度のことも俺に聞かないと分からないとはな……。奴は獣タイプだ。キメラのように翼を持っているが、空中からの飛び込み攻撃に使うための飾りに過ぎん。想定外のことが万が一あるとすれば形態変化による攻撃パターンの変化だ。あの手のボスは形態変化したりして攻撃パターンがガラリと変わる。このくらい知っておけアホどもが。」
嫌悪の視線を感じたがこの程度で怯むほどぼっちは弱くない。
これくらい言って対抗心を燃やさせれば多少は強くなろうとするだろう。
ディアベル
「それじゃ、DKB、ALS、ASSの三部隊で今回のボスに挑もうと思う!明日の朝9時にフロアボスダンジョン付近に集合するように!解散!」
その言葉と共に散り散りに人が去っていった。
先程のASSとはアインクラッド攻略し隊の略称らしい。
少数精鋭のため、意見が通ることは滅多にないが……。
ぼっち
(やれることはやっておくか。)
店の入口の扉が開く。
でぐりん
「いらっしゃいませ。」
そこにいたのは少々紫かかったそこそこ有名な女性プレイヤーだった。
でぐりん
「ご注文は?」
ミト
「そうね……カキフライ定食でも頼もうかしら。」
ミトはカウンター席に座り、待っているとでぐりんが手際よく作り上げたカキフライ定食をもってきた。
ミト
「いただきます。」
ミトもまた1口入れただけでもとろけるほどの美味しさだった。
ミト
「おいしい……久しぶりね、こんなに美味しい物食べたのは。」
でぐりん
「気に入ってくれて光栄です。」
でぐりんはいつものように私情を挟まず淡々と料理人であり続けた。
が、今回は少々特殊な客だったのはでぐりんにとって想定外だった。
ミト
「……ASSの「チワワ」があなたの事をずっと心配そうにしてたけどなにかしたの?」
でぐりんは皿を洗う手を止めてしまった。
が、再び皿洗いを始めながらこう言い返した。
でぐりん
「特に何も。」
ミト
「……アンタはそれでいいの?」
でぐりん
「あぁ、構わない。俺は料理人であって前線を戦えるプレイヤーじゃない。だからせめて死にゆくであろう前線の連中にうまい料理を振る舞うことしか出来ん。」
ミト
「……後で後悔するよ、その考え方。私も理由は違えど同じようなことをしたことあるから。」
ミトはごちそうさまといって料金を支払い、店をあとにした。
でぐりん
(……俺が、龍希と肩を並べる資格なんてない。)
でぐりんは手元のベルトを見た。
でぐりんの脳裏に映ったひとつの未来。
脚竜の名で戦う親友。
それがポリゴンとなって砕ける未来。
力があれば助けれたであろう未来。
それを変えうる力は手元にある。
だが……。
でぐりん
「俺に……そんな資格はないんだっ!!」
フロアボスダンジョンのモンスターを侮ってはいけない。
どれだけレベル差があっても、多数に囲まれたらそうそうには動けない。
だからこそ、最善の注意を払って戦う。
だが、フロアボスのために温存もしておかなくてはならないので、無駄な消費は少なめに。
だが、少数精鋭のASSにとってはそんなことはあまり関係なかった。
ぼっち
「今回もフロアダンジョンのモブ共はちょろかったな。」
yun
「油断してると足すくわれますよー。」
ぼっち
「平気だ、コケてもただではこけん。」
オクト
「うん、ぼっちさんらしいですね。」
ぼっち
「オクト、後でノルマ増加な。」
オクト
「んな理不尽な。」
こんなやり取りを戦闘中に繰り広げるくらいだ。
だが、俺はやはりひとつ、心配事があった。
脚竜
(でぐりん、大丈夫かな。)
脚竜はでぐりんの事がやはり頭から離れなかった。
1人の親友として、優しすぎる龍にとっては放っておけなかった。
そんな状況で脚竜はモブの攻撃をモロに食らった。
脚竜
「ぐっ……!!」
大きく怯んで壁に叩きつけられ、その隙を逃さぬように襲われそうになった。
が、シグレの斬撃でなんとか事なきを得た。
シグレ
「大丈夫、脚竜!?」
脚竜
「おう、大丈夫大丈夫!」
ぼっち
「………愚弟、でぐりんのことが気になるのはわかるが今は戦場だ。ぼーっとするな。」
脚竜
「悪い、兄貴。」
脚竜はそういうとすぐに弓を持ち直した。
そうこうしてるうちに、フロアボス部屋の前までたどり着いた。
3ギルドの派閥のリーダーが扉を開くと同時に叫ぶ。
ディアベル
「DKB!行くぞ!」
ディアベルの掛け声とともにDKBは雄叫びをあげる。
キバオウ
「ALS!DKBとASSに遅れんなよ!」
キバオウの掛け声に咆哮するALS。
ぼっち
「野郎共、出番だ。派手に行くぞ!」
攻略し隊一同
「おうっ!!」
攻略し隊もまた、少人数ながらも他の攻略組に負けないほどの気迫で同時に入った。
第六層フロアボス
「ピアーズ・ザ・ローグ・マンティコア」は雄々しい雄叫びをあげた。
ぼっち
「愚弟、狙撃体勢!」
脚竜
「OK!」
ぼっち
「盾、ヘイト管理!」
オクト
「ラジャー!」
ぼっち
「yun、ミホはタイミングを見てアタッカーとオクトの補助の兼任!」
yun
「うーい。」
ミホ
「はいはーい!」
ぼっち
「シグレ、ついてこれるな?」
シグレ
「もっちろん!」
ぼっち
「各位、散開!どこにもLAを取らせるなよ!」
攻略し隊
「了解!」
この間、わずか5秒。
攻略し隊の連携練度は大きく上がっていた。
攻略し隊には文字通り隙がない。
一層のコボルトロードのような取り巻きもいないため、集中はしやすい。
武器も推定二十数名はいるであろうALSとDKBほど優れたものでは無いのにたった6人で引けを取らない程の戦力を持つのはやはり、総司令ぼっちのセンスと副司令シグレの状況把握能力によるものだろう。
弓による雨の如き連撃を放つアーチャー。
短剣による華麗な一撃を放つリッパー。
盾と片手棍による全てを守るガードナー。
細剣と回復スキルによる援護にて活躍するフェンサー。
状況を把握しいち早く行動を起こすセイバー。
前線にいながらも全てを見抜くコマンダー。
全ては各々の判断で最大限に動けるようにしているからである。
そして、ALSやDKBもまた、ビーターと呼ばれている男2人に負けまいと必死に戦っている。
最初の時のようなALSとDKB同士で揉め合って統率も何も無い戦い方を変えたのは紛れもなくキリトとぼっちだろう。
そして、ALS、DKB共に優れたリーダーがいるからこそか、着実に攻略へ向かっていけた。
今もこうして既にボスのHPも半分以下になってきた。
順調だ。何もかもが。
アルゴの攻略本も大きく役立ってるのもあるが、アスナ、キリトと同じく、あぶれてはいるものの凄まじい動きで敵を葬り、ボスにも着実にダメージを与えている紫髪のミトとかいう奴のおかげでもある。
ぼっち
「……アンタ、キリ坊やアスナと同じくらいに強いな。」
ミト
「ありがと。でも今は私を口説いてる場合じゃないでしょ?」
ぼっち
「それもそうだ……なっ!!」
ぼっちが十二王方牌大車併を放ち、ボスを怯ませた。
ゲージも残り二本に入った。
脚竜
「喰らえ!」
脚竜が適正距離から弓スキル「サジッタレイン」を放ち大打撃を与えた直後だった。
ピアーズ・ザ・ローグ・マンティコアは咆哮をあげ、形態を少しだけ変えた。
ぼっち
(ベータ時代と比べたら形態変化が早いな。)
ぼっち
「各位!警戒態勢を………」
ここまで言った時、ぼっちは異常を感じた。
ピアーズ・ザ・ローグ・マンティコアは未だに咆哮をあげている。まるで、何かを待ってるかのように……。
ぼっちは記憶の片隅にあった「それ」を思い出した。
慌てて辺りを見渡した。
「それ」の予兆はプレイヤーの足元だ。
だが、見た限り自分も含め誰もいないように見えた……。
近くにいた肉親を除いては。
脚竜
「兄貴!なんか変じゃないか!?」
ぼっち
「愚弟、今すぐ避け……」
直後、脚竜は大きく吹き飛ばされた。
なんの予兆も……いや、正確には予兆はあった。
だが、ぼっちも気づくのが遅れた。
キバオウ
「な、なんや!?なんでチワワが吹っ飛ばされたんや!!?」
ディアベル
「……ありえない。」
ミト
「……なんで、コイツが持ってるの……。フォーカス攻撃を……」
キバオウ
「なんやそれ……そないな攻撃あるの聞いとらんで!」
アスナ
「フォーカス攻撃ってなんなの?!」
キリト
「プレイヤーの足元にターゲットサークルが出てきて、青になったタイミングで回避すれば回避できるフロアボスモンスター限定スキルだ……。制限時間内に特定のアクションをしないと大ダメージを受ける必中攻撃だっ!!」
吹っ飛ばされた脚竜に攻撃が集中し、今度は直接攻撃されて吹っ飛ばされた。
脚竜のHPが大きく削れ、レッドラインに入った。
次に一撃を喰らえば間違いなく脚竜は死ぬ。
だが、誰もこの不測の事態に対応出来ず、ぼっちやyun、キリトですらも判断が遅れた。
そして、脚竜もまたスタンがかかり身動きが取れなくなっていた。
脚竜
「やべぇ……このままじゃ……。」
必死に動こうともがくが、無意味だ。
迫り来るピアーズ・ザ・ローグ・マンティコア。
もうこの距離では誰も届かない。
脚竜
「あぁ、詰んだな……」
オクト
「脚竜ぅぅぅぅ!!」
誰もが悲惨な終わりを迎えると思っていた時だった。
ピアーズ・ザ・ローグ・マンティコアが突然吼えた。
脚竜が目を開けると、ピアーズ・ザ・ローグ・マンティコアの目の部分に1本の両手槍が刺さっていた。
そして、声が聞こえた。
???
「ALS、DKB!ぼーっとしてる暇はない。攻撃態勢へ!フォーカス攻撃のモーションも今ので把握出来たはずだ!」
突然のプレイヤーからの声に戸惑いながらも、ALSとDKBは素早く動いた。
体勢を立て直し、再びピアーズ・ザ・ローグ・マンティコアとの戦闘を始める。
フォーカス攻撃のモーションとターゲットを取られた時の対処法がわかった以上、彼らの敵ではない。
脚竜
「……待ってたぜ、でくりん。」
でくりん
「待たせたな、脚竜。立てるか?」
脚竜
「おうよ。」
脚竜はでくりんから差し伸べられた手を取った。
でぐりん
「さて、勝つためにもこの力を使わせてもらうか。」
でぐりんはそう言うとベルトを装着して、2つのボトル状のアイテムを取り出した。
そして、ボトルのアイテムを振り、差し込んだ。
ソルト!ペッパー!ベストマッチ!
ほのかに香る塩と胡椒の匂い。
戦いの場には相応しくない匂い。
だが、今この戦いの場を彩ることになるのは、間違いないでぐりんだけだろう。
レバーを回し、待機に入る。
Are you ready?
でくりん
「変身!」
辛みのサマーソルト!
ソルトペッパー!イェーイ!
でぐりんの変身を間近で見たALSとDKBは動揺を隠せなかった。
キバオウ
「な、なんや……それは!?」
でぐりん
「この力は仮面ライダーというものだ。
仮面ライダービルド。
創る、創造するのビルドだ。以後よろしく。」
でぐりんは一息ついてこういった。
でぐりん
「さぁ、調理を始めようか。」
脚竜
「でぐりん、援護するぜ!」
でぐりん
「一応信用しておこう!」
でぐりんの放つ一撃は凄まじいものだった。
あのフロアボスのHPをかなり削れている。
シグレ
「す、すっごい!」
ぼっち
「あれが…仮面ライダーか。」
だが、それ以上にでぐりんと脚竜の連携が常軌を逸していた。
お互いが全力を尽くして、お互いが自然体でしっかりとカバーしあえている。
そして、フロアボスのHPも残りわずかとなった。
脚竜
「でぐりん!決めろよ!」
でぐりん
「当然だ。」
ビルドがレバーを回す。
Lady Go!!
ボルテックフィニッシュ!
奇妙な形をしたグラフのようなものにピアーズ・ザ・ローグ・マンティコアが挟み込まれ、その真ん中を貫くように、グラフに沿ってビルドがキックを入れた。
体感だが、かなり凄まじい威力だったと思う。
でぐりんがかなり綺麗な体勢で着陸し、でぐりんの頭上にMVPのマークが出た。
それと同時にでぐりんは変身を解除した。
キバオウ
「なんや、あの圧倒的な強さ……。」
ディアベル
「……君、もしかしてロマーラのシェフかい?」
でぐりん
「その通り、ロマーラシェフのでぐりん。ただの料理人だ。」
脚竜
「んじゃ、でぐりんも攻略に参加すんのか?」
ぼっち
「悪いが攻略し隊は空きがないな。」
ディアベル
「DKBとしても、戦力は十分にある。」
キバオウ
「ほんならウチのギルド来てもええで。なんせ人手不足というよりかは料理人不足や。」
でぐりん
「いや、俺ははなからASSに所属するつもりだ。」
ぼっち
「さっきも言っただろう。枠はもうないぞ。しかもロマーラのメシが割引になるわけでもあるまい。」
ぼっちがそう言うとでぐりんは残念そうにこう言った。
でぐりん
「それはそれは……ASSに入ればロマーラの料理を毎日のように食べれるのに。残念残念。仕方ない、ALSに入ろうかな。」
キバオウ
「おう、歓迎するで!」
ぼっち
「悪いなキバオウ、でぐりんはもうウチの所属だ。手を出さないでもらおうか。」
キバオウ
「はぁ!?さっき枠無い言いよったやろ!」
ぼっち
「気が変わった。だから手を引けいがぐり。」
キバオウ
「なんでや!!ていうか誰がいがぐりや!!」
yun
「マジか、あの一人頭四千円弱の飯タダかよ。」
でぐりん
「食材さえ提供してくれたらな。」
ミホ
「ねぇ!ドーナツ作れる!!?」
でぐりん
「無論だ。」
ミホ
「わーい!!」
脚竜
「……でぐりん、改めてよろしくな!」
脚竜が手を差し出す。
でぐりんの答えはひとつだ。
でぐりん
「あぁ、死ぬほどうまい料理食わせてやる。」
こうして、仮面ライダーの力と共に第6層を突破した。
当然、その仮面ライダーがASSに所属したことも告げられた。
突然だったが、でぐりんがそれを望んだ。
そして、攻略し隊ギルドに香ばしい匂いが……。
でぐりん
「勝利の晩餐セットだ。」
脚竜
「おっふぉ!コロッケ!コロッケだ!」
ぼっち
「ふむ、ビーフシチューか。」
yun
「おー、美味そう。」
オクト
「ほ、ホントにタダなのか!?」
でぐりん
「当然だ。ギルメンから金を取る理由はないだろう?」
シグレ
「でもでぐりん、お店の方もたたんじゃうの?」
でぐりん
「あぁ、値段改定をして新しく料理屋を始めようと思う。」
脚竜
「まぁ客引きは必要ないな!」
でぐりん
「何故だ?」
脚竜はでぐりんのその反応に弓を構えて答えた。
脚竜
「顔がかっこいいから女子集まるでしょ?」
でぐりんは困惑した。
yun
「はいはい落ち着きなさい。」
ぼっち
「いいからさっさと食うぞ。」
攻略し隊一同
「いただきます!」
攻略し隊に、料理人でぐりんが加わった。
????
「仮面ライダービルドか……。予定通り成長を続けてるようで何よりだ。この調子で頼むぜ、でぐりん。」
????
「時は来た……。ここから未来は動き出す。災厄の未来を変える為に、私も待つとしよう。この雪山で……。」
ぼっち
「脚竜、お前ならあるいは。」
オクト
「クソっ!動け!動けよ!」
yun
「あんたに出来ることをやればそれでいいんじゃない?」
脚竜
「また、俺は………」
???
「戦え……戦え……」
脚竜
「うおぉぉぉぉッ!!」
次回
SAOGM第二十五話〜イレギュラー:シューター〜
キリト
「どうして、それが使えるんだ脚竜……。」