ソードアートオンライン~グランドメモリアル~   作:Wandarel

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1stフェイズ~アインクラッド~
第一話~デスゲームへの切符~


2022年

現在ソードアートオンライン通称〔SAO〕の最終ベータテストが終了し、今は本格的な運用が行われている。リアルの方でもかなり有名なゲームであり、ベータテストの時もかなりのベータテスターがいたらしい。

そして、その第一層のフィールドで二人のプレイヤーがこのSAOでの基本動作の練習をしていた。

 

???

「…………はぁ、右だ右。そういう時は右に動くんだよ。」

 

???

「だーかーらー!俺は剣じゃなくて銃が使いたいんだよ!はぁ……、銃が使えるって兄貴が言ったからやり始めたのに……。」

 

ふてくされて剣を投げそうにしている男性アバターのプレイヤーの名前は脚竜。VRゲームは始めるまではFPSゲームのプレイヤーだった為、剣の扱いは少々苦手である。

 

ぼっち

「………はぁ、言い訳をする間があるなら動きのひとつでも覚えたらどうだ愚弟。」

 

そういって厳しい言動で脚竜の指導にあたる女性アバターのプレイヤーの名前はぼっち。

様々なゲームで目立った活躍はしてないが、基本的なプレイングスキルはずば抜けて高く、今回は弟の指導のために上層部に上がって様々な武器を与えている。

 

ぼっち

「そもそも、俺はいつか銃が出るかもなって言ったんだけど?」

 

脚竜

「普通に嘘ついてんじゃん……。」

 

ぼっち

「違うな、俺は嘘はつかない。人を騙すのが好きなだけだ。騙されたお前が悪い。」

 

脚竜

「むう………。」

 

この広大な世界では色々なモンスターとの戦いが面白い。

まるで現実の似ている動物と戦闘をしているような感覚がなおのこと面白いと評判のゲームだ。

 

脚竜

「はぁ……せめて何か遠距離武器があればな………。」

 

ぼっち

「そういえば弓があるとは聞いたことがあるぞ。」

 

脚竜

「………まぁ、妥協点かな………。」

 

がっくりしながらも脚竜が基本技の練習をしていると、

 

???

「おーい、ぼっちー!調子の方はどうだ~?」

 

そういって顔立ちの整った黒髪の男と男らしい顔立ちの赤髪の男が来た。

 

ぼっち

「あー、この愚弟はどうしても銃が使いたいって駄々こねてばっかで何にも成長しないのよ。」

 

ぼっちは、人前では女性だと言ってる。まぁ、俗にいうネカマってやつだな。

 

クライン

「あーあ、頑張れよ、脚竜ー。お前には俺も期待してるんだからな!」

 

脚竜

「剣は苦手なんだよクラインさん………。」

 

キリト

「はは、けど、やっぱりぼっちの弟なんだから剣筋はよくなると思うぞ?何てったって上層部攻略のメインの一角だからな。」

 

ぼっち

「ムリムリ、キリト。こいつじゃ私を越えるなんて夢のまた夢よ。」

 

黒髪の男のプレイヤーネームはキリト。ぼっちとはこのアインクラッドの攻略のために一緒に前線にいた仲間である………って聞いてる。

となりの赤髪の男はクライン。ベータテスターの一人で今はキリトと共に行動をしているらしい。

 

脚竜

「うぐぐ、覚えてろよホントに………。」

 

脚竜は悔しそうに文句を言う。

 

キリト

「んじゃ、またな脚竜、ぼっち!」

 

クライン

「また会おうぜお前ら!」

 

ぼっち

「はいはーい。」

 

脚竜

「じゃあねー、クラインさん、キリトさん!」

 

クラインとキリトが去ったあと、ぼっちはどっと疲れたようにため息をつく。

 

ぼっち

「はぁぁぁ~、なんで兄弟なのにこんなことも出来ないんだよ………。」

 

脚竜

「ぐぬぬぬ、反論できぬ………。」

 

ぼっち

「さてと、そろそろログアウトしないと。父さんになに言われるか分からないからな。」

 

脚竜

「OKー。さっさとログアウトしよー!今日の晩ごはんは婆ちゃんの特製焼きそばだって言ってたよ。」

 

ぼっち

「マジかよ。すぐに行かなきゃ!」

と二人同時にメニューを開き、久しぶりに食べれる祖母の作った焼きそばの味を想像しながらログアウトをしようとした。………が。

 

脚竜

「………あれ?何でだ?」

 

ぼっち

「………ログアウトボタンがないだと?」

 

脚竜

「……はぁ、こんなときに限ってバグかよ……。」

 

ぼっち

「まぁ、まだ稼働初日だしな……。つくづく運がないな………。」

 

脚竜

「それは兄貴だけだよ。」

 

サービス開始初日にこんなことなんて……と嘆いていると、突然転移エフェクトに包まれた。

 

脚蛇ブラザーズ

「「うぉぉっ!?」」

 

そして、気がつけば始まりの街の転移門広場に飛ばされていた。

 

脚竜

「な、何だ?人がいっぱい集まってるぞ?!」

 

ぼっち

「……多分、そろそろ運営側が動き出したんだろ。どうせバグの修正が終わったとか言うのがオチだ。」

 

ぼっちと脚竜は割と冷静に会話をしていた。

すると、空が赤く染まり始める、真っ赤な雲かと思っていたが、よくみるとシステム関係のアラートと書かれていたペンタゴンだった。そして、空中に突如黒いローブが浮かび上がった。

 

脚竜

「うぉっ!?びっくりしたぁ……。」

 

茅場

「プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ。私は茅場晶彦、今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ」

 

(何か様子がおかしいな……)

そんなことを思っていたら、茅場晶彦はさらに言葉を続けた。

 

茅場

「プレイヤー諸君は、もうすでにメインメニューからログアウトボタンが消滅していることに気付いていると思う。しかしゲームの不具合などではない。繰り返す。これは不具合などではなく、ソードアートオンライン本来の仕様である。」

 

冗談だと思いたい事を目の前の管理人である茅場晶彦は淡々と言う。その間、周りの人々がざわざわとしているのが聞こえる。

そして、俺達は衝撃的なことを聞いてしまった。

 

茅場

「また、外部の人間によるナーヴギアの取り外し、あるいは破壊や停止が行われた場合、諸君らの脳はナーヴギアが発する高出力マイクロウェーブによって破壊される。

 

 正確には10分間の外部電源切断、2時間のネットワーク回路切断、ナーヴギア本体のロック解除、または分解、破壊のいずれかによって脳破壊シークエンスが実行される。

 

 現時点で、警告を無視して現実世界の人間がナ―ヴギアの強制除装を試みた結果、すでに、213名のプレイヤーがアインクラッドおよび現実世界から永久退場している」

 

さすがの俺達もかなり焦った。

 

脚竜

(もうそんな人数が…………。)

 

茅場

「だが安心して欲しい。この事に関しては各種メディアおよび政府に通達済みだ。以降、これによる退場はないと言っていいだろう。」

ぼっち

(やけに根回しが用意周到だな……。)

 

茅場晶彦

「また、ソードアートオンラインはただのゲームではない。もうひとつの現実だ。

 

 そのため、ゲームクリアされるまで、ありとあらゆる蘇生手段は用いられない。HPがゼロになった瞬間、アバターは永久に消滅し、諸君らの脳はナーヴギアによって破壊される」

 

出来ればその言葉に限っては聞きたくなかった。

ここが現実と同意義であることに………。

 

「ここがもう一つの現実であることをここに証明しよう。今、君たちにプレゼントを贈った。アイテムストレージを確認してくれたまえ」

 

そう言われて手鏡のようなアイテムがプレゼントボックスに入っており、それを見ていると光輝き、思わず目を瞑った。

そして、再び目を開けるといつの間にかその手鏡には自分の顔が写っていた。

 

脚竜

「なぁ兄貴。俺の顔が写ってんだけど。」

 

ぼっち

「奇遇だな、俺もだ。」

 

と言ってお互いの顔を見ると、現実の顔立ち、身長と同じになっていた。

 

脚竜

「…………ネカマなのバレたね兄貴。」

 

ぼっち

「言うに事欠いてそれかお前は……。もっと他にリアクションがあるだろ。あとお前は少しいや、かなり小さくなったな。」

 

脚竜

「シバくぞ。」

 

驚きすぎて周りの人間も混乱している。それは脚蛇兄弟も一緒だった。

 

茅場晶彦

「おそらく諸君は、なぜ私はこんなことをしたのか、と考えているのだろう。何故ナーヴギアの開発者たる茅場晶彦は、このようなことをしたのかと。その目的はすでに達成されている。

 

 この状況を作り出し、鑑賞する。そのためだけに、私はSAOというものを作った。そして、その目的はすでに達成せしめられた。

 

 ――――以上でソードアートオンライン、正式サービスチュートリアルを終了する。健闘してくれたまえ」

 

その言葉と共に茅場晶彦は消えた。未だに茅場に対する怒りやリアルに帰れない事を嘆く人間がいるなか、この二人は少し異常だった。

 

脚竜

「……………マジかよ兄貴。」

 

ぼっち

「……………マジだよ愚弟。」

 

脚蛇ブラザーズ

「「…………………………。」」

 

そういうと二人は早いうちに準備を始めた。

 

脚竜

「んで、方針はどうする兄貴?」

 

ぼっち

「まずはその辺りの狩り慣れた雑魚で10レベ位まで上げる。その後に得意武器のスキルを極める。俺は片手直剣、お前は弓か短剣だな。」

 

脚竜

「りょーかい。」

 

武装を開始して、早い段階で街から出られる準備を始めた。

 

脚竜

「よっしゃ!もしかしたらアイツらに会えるかもしれないから探索し………」

 

ぼっち

「あー、残念ながらその心配はない。もう目の前に居る。」

 

脚竜

「え?!」

 

そこにはキリトとクラインがいた。

だが、見違えるように見た目が変わっており、脚竜の頭に無数の?が浮かぶ。

 

脚竜

「…………え?誰?」

 

クライン

「俺はクラインだ。んでこっちが……。」

 

脚竜

「ま、まさかキリトさん!?」

 

キリト

「………まぁ、そうなるな。」

 

脚竜

(そ、そんなバカな、めちゃくちゃ女っぽい顔じゃん!)

 

クライン

「……ということはお前さんら……まさか……。」

 

とクラインが恐る恐る聞く。

 

ぼっち

「あぁ、俺がぼっちでこっちのチビが脚竜だ。」

 

脚竜

「チビ?今チビって言ったなこの読書狂!」

 

クライン

「ま、マジかよぼっち………女として、お前は完璧なレディだったのに………。」

 

キリト

「……脚竜、結構小さいんだな。」

 

クラインが嘆き、キリトが少し同情的な目で言う。

 

脚竜

「小さい言うな!怒るぞ!」

脚竜は身長の事を言うキリトにキャンキャン吠えている。

 

ぼっち

「まぁ、俺は興味本意だ。せっかくのゲームなんだから異性のアバターを作りたくならない?」

 

脚竜

「それはお前だけだよバカ兄貴。」

 

変な暴論を作る気だったので事前に爆破処理をしておく。

 

ぼっち

「………しかし、驚いた。お前結構細いな。」

 

キリト

「……あぁ、あまり運動をしてなかったからな。」

 

とキリトは苦笑いをする。

 

クライン

「そうだ、お前らはどうするんだ?」

 

ぼっち

「ん?俺たちはこれから街から出てアインクラッド攻略のためにレベリングだ。そういうお前らは?」

 

キリト

「ん?あぁ、俺もそんなところだ。」

 

キリトもこの街に留まり続ける気はないらしい。

 

クライン

「俺はゲーム仲間のやつと合流してからだな。あいつらには迷惑をかけちまったしな……。」

 

クラインはしばらくの間ここに留まるらしい。

 

脚竜

「ふーん、そんじゃ結局皆とはここでお別れって訳か。」

 

脚竜が少し名残惜しそうに言うとキリトが脚竜の頭にぽんと手を置いた。

 

キリト

「大丈夫だ。いつか必ず会えるさ。」

 

そういって手を離した。

 

脚竜

「………そうだな、キリトさん。俺は生きなくちゃいけない。何故なら………」

 

脚竜はうつ向いた。そして真顔になって

 

脚竜

「テメェ今俺の事をガキ扱いして頭撫でただろ。それだけは許さねぇし忘れねぇからな?」

 

キリト

「わ、悪かったよ……そ、そんなに怒らないでくれ………。それじゃ、頑張ってくれよ。」

 

ぼっち

「そういうお前らもな。」

 

クライン

「ま、しばらくすればまた会えるだろ!それまでお互いに生き残ろうぜ!」

 

脚竜

「おう!!」

 

キリトとクラインも別々の道へ歩み始めた。

そして、ここに来て自分がどれ程の事に巻き込まれているのかを改めて再認識した。

これはゲームであって遊びではない。

その言葉は、俺達に重く重く響いていた。

 

ぼっち

「おーい、レベリング行くぞー!」

 

脚竜

「あ、はーい!………そういえば治療ポーションは?」

 

ぼっち

「あ、買い忘れた。」

 

脚竜

「…………バカ兄貴。」

 

一歩踏み出せばそこは死と隣り合わせの世界。怯える人もいれば、突き進む覚悟を持つ人もいる。中には協力してこのゲームをクリアしようという人だっている。

その一方で生産職に就いてサポートに徹する人間もいる。

しかし、この兄弟はそんな世界でも異常だった。

この状況をむしろ楽しんでいる様にも見える。

本来の人間としてはあり得ない感情、それは期待と躍動。

 

脚竜

(たとえどんなことがあっても諦めねぇ!この楽しいゲームをクリアしたい!………あ。)

 

ぼっち

(……帰ったら本でも読もう。………あ。)

 

ここに来て二人は大事なことを思い出す。

 

脚蛇ブラザーズ

((このままじゃコツとアビー(脚蛇家のペット)に会えないじゃん!))

そんなことを思いながらも二人は歩みを進めていく。

ゲームは始まった、ただそれだけだ。

 




作者の(言い訳)あとがきコーナー
初投稿のソードアートオンライン4G第一話、いかがだったでしょうか?
一応原作の方は一周してきたのですが、たまーにセリフや何があったのかを忘れてる部分とか抜け落ちてる部分があったりで思い出すのに相当苦労しています。(^ω^;)
まぁこんな感じにゆるーくギャグを入れつつ、シリアスな感じを醸し出せていければと思います。
次の投稿は少し時間がかかりそうなので気長にお待ち下さい。
それでは、次回をお楽しみに!
バイダレル!(´ω`)ノシ

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