仮面ライダーAGITΩ-ライダーズスピリット- 作:ナハトムジーク
あのカラスのようなアンノウンと戦ってから俺はアギトの力を使うときに意識を保っていられるようになった。
今まではアンノウンの出現の反応を察知すると意識が飛び自動でアンノウンと戦っていたみたいだけど今は意識を失うことなくアンノウンと戦えている。
アンノウンの反応だ。できれば行きたくないんだけど。
そう思いつつも俺の体は動いていた。バイクに乗り頭の中に来たイメージの場所にバイクを走らせる。
「変身!」
俺はすぐにアギトに変身する。変身するとバイクも変形してかっこいいしスピードも段違いに上がる。何より……
「ぐるる」
俺の体がバイクのスロットルを回し、全速で駆ける。
速度違反で捕まることがない。
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全速で走ったバイクはすぐに現場についた。途中白黒の車に追いかけられた気がするが、知らない。相手はタコ型のアンノウン。それに立ち向かうようにG-3が対峙していた。
「ぐああああ!」
俺の体はアンノウンに向かって駆けていく。
「アギト!?」
「グギャ!?」
アンノウンもG-3の人も驚いたがそれに構わずアンノウンに攻撃を仕掛けた。
相手はタコ型のアンノウンだ! 打撃は効果が薄い! 爪で攻撃しろ! ああ! なんで殴るんだよ!
アギトは俺の考えを無視して戦い始めた。俺の体なのに全く俺の意思で動いてくれない。
攻撃が来るぞ! 防御しろ! うぐっ!?
「ぎゃう!」
防御しようとしているのに全く反応せずに棒立ちで攻撃を食らってしまった。タコのアンノウンの触手で思い切り打たれてしまった。
痛い。辛い。どうして俺がこんな目に!
『殺せ!』
俺の頭から声がする。敵を殺せと、叩きのめせ食い殺せ。アギトに変身するといつも頭の中から声が聞こえる。俺は必死にそれを制御しようとする。
ダメだ。そんな戦い方したくない。俺は怪人じゃない。
「がああああ!」
そんな俺の意思とは裏腹にアギトはラフファイトを繰り広げる。アンノウンに爪を立て咢で食い殺そうとする。
止まれ!言うことを聞けよ!
それでもアギトは止まらない。アンノウンの左手で首を絞め、右手を高々と上げる。右手に炎が宿りアンノウンにとどめの一撃を……刺せなかった。
「ぎゃあ!?」
後ろから撃たれたのだ。振り返るとG-3がグレネードを装備してこちらに向けて構えている。
誤射か!? そう思ったが2発3発と俺にグレネードが直撃して、爆発が起こる。
「ぐぎゃああ!」
爆発の威力は吸収できても当たったグレネードのダメージは吸収できない。俺は吹き飛ばされ地面を転げる。
「見ていてください。今、アギトとアンノウン両方を捕獲、そして撃破して見せます」
その声と言葉を聞き、思い出した。そうだこいつは北條とかいういけ好かない感じの奴だ。
「こちらアギトはどうやらそこまで強いわけではなさそうだ」
そう言ってG-3はこちらにゆっくり近づいてくる。まるで馬鹿にするかのように。
ぶっ殺す!
『殺せ!』
アギトの声と俺の思いが一致した。すぐに立ち上がりG-3のほうに歩きだす。G-3はまたグレネードを発射するが俺は掌でそれを受け止める。ダメージを受け流し、爆発のエネルギーを食らう。
「がああああああ!」
エネルギーが体の中で渦巻き、全身に行き渡る。ミチミチと音を立て体が変化していく。より固く、より強靭に。
「なっ!?」
G-3が驚いてさらに撃ってくるが、もう防御する必要すらない。弾丸は俺の装甲で炸裂し爆発のエネルギーを食らう。
「あ……ああ……」
「ふしゅるるる」
G-3の前にたどり着く。今G-3の目の前にいるのは最大武装をものともしない筋肉隆々の巨大な怪物だ。そんな怪物が目の前に立っていて見下ろされているこいつの気分はどうなんだろうか。まぁ最悪に決まっているけど。なんたってハルクが目の前に立っているみたいなものだ。
「がああああああ!」
「ひゃああああ!? うげっ!?」
手加減しつつその上で思い切りぶん殴る。重いはずのG-3が宙を舞い。5Mは吹き飛んだかな。転げまわった後、G-3は腹にあるベルトに手をやる。するとG-3の装甲が開き中から北條が姿を現した。
「ひぃ……ひぃ……」
北條が無様に逃げる。少し溜飲がさがった。
「があああああああ!」
「ひぃいいいい!?」
だから少し脅かしてやるだけにするか。
次はアンノウンだ。そう思って俺はアンノウンが居るであろう方を見る。
「とおおお!」
「グギャアアアア!」
そこにはアギトと爆散したアンノウンが居た。どうやら俺がG-3と遊んでいる間に倒してしまっていたらしい。
「ふしゃああ!?」
アギトの姿を確認すると俺のアギトが驚いた声を上げ、飛び退く。なぜか俺のアギトは主人公のアギトが苦手らしい。俺の体が勝手に動き出し逃げ出した。
何なんだ。まったく。
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「ただいま」
「おう、おかえり」
家に帰るとそこには弟の響二だけだった。テレビをつけっぱなしにして椅子に座り作業をしている。
「あれ? お前だけか。愛華は?」
「しらね。友達と遊びに行ってるんじゃない?」
そう言うと興味をなくしたのか響二は作業に戻る。テレビを見るとそこにはアンノウンの殺人の情報が映っていた。
「お前も気をつけろよ?」
「はいはい」
響二に気を付けるように言うがあまり真剣に捉えてはいないようだった。まぁこいつの年頃だと週に一件起こる事件より自分のことのほうが大事か。
「出来た!」
響二が声を上げる。そこにはきれいな装飾がされた革財布が出来上がっていた。
「相変わらずうまいな」
「ふふん。そうだろ」
響二には夢がある。レザークラフトの職人になりたいという夢が。そのために学校に通いつつバイトをして自分の道具を揃えている。弟子入りも考えて先を見据えて努力している。そんな響二を見ていると俺は何をしているのかと考えてしまう。俺には夢がない。ただ惰性で学校に行き、目的もなく遊び、そしてゲームや漫画を読み日々を無駄にして過ごしている。昔は俺も夢があった。小さいころ俺はヒーローになりたかった。強く優しい。それでいて正義のために戦う。そんなヒーローに。でも今はそんなことは無理なんだと思っている。俺はそんなヒーローにはなれない。
「? どした?」
「あ、いや」
何も話さない俺を見て響二が聞いてきたが俺は答えられなかった。兄として弟に嫉妬してるとは言えなかった。
「そういえばお前最近どっか行ってたりすんじゃん。どこ行ってんだ? もしかして、彼女でもできたか?」
「出来てねえよ」
彼女とかだったらどれだけよかったか。人外と自分の変身した怪物と一緒になって殺し合いしてるとは言えないが。
「そうか。前に行ってた風谷って人とは? なんか進展あったりした? お前にしては珍しくかわいい子がいるとかって言ってたろ?」
響二はニヤニヤしながら言ってきたが俺の現状はそれどころではない。
「何もないよ。話しかけもしてないしな」
俺がそう言うと響二は大きくため息をついた。
「そんなんだからダメなんだよ。もっとグイグイいかないと。それでもついてんのか?」
「うるせぇ。だいたいお前も彼女なんていないだろ!」
俺が言い返すと響二は笑みを深める。
「残念だったな。彼女はいるんだよな。どっかの誰かさんと違って。いやーもてるのってつらいわー」
こ、こいつ! ムカつくなぶん殴って……いかんいかん。落ち着け。響二の言葉にこれ以上苛つかないように深呼吸をする。……ふぅ。少し落ち着いた。まぁ俺には俺の、こいつにはこいつのペースがある。彼女が居ようといまいと自慢することでも悔しがることでもない。悔しくなんかない。
「……お前、子供の頃と変わったよな」
響二が落ち着いた俺にそんなことを言ってくる。
「前だったら、そこまでムカつかせればぶん殴ってきたのによ。今ではずいぶん平気になったよな」
「……そうだったか? 今も昔も変わらないと思うけど?」
だいたいこいつと喧嘩なんてしたことあったっけ? 覚えてないな。
「は? 俺はお前に殴られて頭縫ったことあるんだけど? いや、俺も仕返しにやってやったけどよ」
「あぁ、そんなこともあったな」
確かに昔は怒ると手が付けられなかった。怒ったらムカつくやつをぶん殴ることしか頭になかった。まるで今のアギトの状態のように。いつしか俺は自分の怒りをコントロールできるようになり、その頃から弟との喧嘩も減っていった。いつかアギトの力を制御しなきゃいけない。
「あんころは喧嘩もしたけどお前も今と違って明るかったのに今じゃすっかり根暗だなw。昔のほうが彼女できたんじゃねーの?」
俺が改めて決心して怒りを制御しようとしていたのにこいつは昔のほうがいいだと? 冗談じゃない!
「成長したんだよ。お前も自分の楽しみじゃなくて勉強でもしろ」
「俺は良いんだよ。職人になるんだから」
そう言うと響二は自分の作業に戻った。こいつに何を言っても無駄だったか。俺はそう考え部屋に行くことにした。
昔のほうがよかっただって? そんなことあるはずがない。制御するんだ怒りを感情を。自分と戦え。この力をいいことに使うんだ。俺はヒーローにならなければならない。
この小説を読んでいただきありがとうございます。
アギトを見直しつつ書いているのですが難しいですね。何話のどのタイミングで主人公を出せば良いか考えつつ書いているのですが、どうやったらアギトの話の流れに沿いつつ改変していけるか難しいです。
それに日常パートが難しいです。仮面ライダーは結構日常パートを濃密に書いているので私もそれに倣おうとしているのですが日常パートを書いたことが無くて四苦八苦しております。
あと、結構書き終わってすぐ投稿しているので、誤字脱字や表現がおかしい点があると思いますので、ここ間違ってるなどがあったら報告していただけたら幸いです。