FGOの世界に転生して、Aチームに所属したら異星の神に選ばれてしまった件について 作:ハセカズ
第1話 異星の神に選ばれました
昔は転生系の話をよく読んでいた。神様から何かしらの特典をもらって、異世界に転生してハーレムなり俺TEEEEEE!なりで、夢のような生活を送れる話。
俺もよく転生というものに憧れていましたが…
ある日事故にあって死んだら、異世界に転生することになった。この時の心象は
「よっしゃー!」でした。神様からの転生特典も頼んだし、夢の異世界生活の始まりだ!
‥‥‥そう思っていた時期が俺にもありました。
最初に気づいた異変は頼んだはずの転生特典がいないことだった。俺が頼んだ転生特典は「俺のことを養ってくれてなんでもしてくれる超絶スーパー可愛くて強い女の子」です。
欲望丸出しだったが、どんな世界に飛ばされるかは伝えられていないし、まあこれぐらいはいいですよね?ぐへへへへへ…(ゲス顔 。みたいな気持ちで頼んだはずの特典の女の子がどこにもいない。すでに21歳だが未だにそんな子には出会えていない。
そして二つ目の異変は、この転生先がfateの世界だったこと。それに気づいたのは、生まれた家で魔術だの根源だの時計塔だのについて教えてもらった時だった。しかもFGOの世界。
なんせ現在オルガマリーさんからカルデアへのスカウトを受けていますからね。
まじ、ふざけんな‥‥‥。なんで死亡フラグ満載の型月世界に転生させられた挙句、転生特典なしの状態で世界を救う旅に出なきゃいけないんだよ?
もっと平和な世界で、特典の女の子に養ってもらいながら自堕落な生活を送るつもりだったのに‥‥‥!
どうせ型月世界でも、テンプレ物の異世界転生みたいにチート特典でなんやかんやでなんとかなって、かわいい女の子とウハウハできると思っていたのか?その気になっていた俺の姿は笑いものだったぜ。
Fgo世界への転生はともかく転生特典がないってのは、どういうことだよ。ちゃんと仕事しなさいよ。仕事を。
かといってスカウトを断るわけにもいかない。カルデアにいなかったら焼却された後で漂白に巻き込まれるという地獄が待っているからな。そしてカルデアに行くと…
Aチームに入れられました。レイシフト適性やマスター適性がトップクラスで高いそうです。もしや神様が特典を間違えてこの適性を俺に授けたのか?まじ、ふざけんな‥‥‥
スタッフとして危険とは無縁の環境で働くつもりだったのにAチームって。レフに殺されるの確定じゃないか‥‥‥原作で主人公が爆発を逃れたのはあくまでも一般枠だったからであって、Aチームの俺は任務から外されるということはないだろうな‥‥‥。まあAチームは死んだ後で異星の神さまによって生き返させられるんだけどさ‥‥‥
もう一度死を体験しなきゃいけないの?しかも生き返った後も主人公たちとの対決が待っている。俺が一体何をしたっていうんだよ‥‥‥
爆発を防ぐのは無理だろう。下手な動きをとるとレフに殺される。かといって原作主人公たちと敵対しても勝てる自信がない。原作でもある意味負けなしの皆に勝てるわけがない。だが頭を悩ませているうちにも、時間は残酷に過ぎていく。そして俺はゲームで現実逃避をしていく。
まじやべぇ‥‥‥やべぇよ‥‥‥
はい。とうとうこの日が来てしまいました。今日がレイシフトする当日だというのにろくな対策をとれませんでしたぁぁ。くそぉ。何でこんなことに‥‥‥
何もできないままコフィンに入っていく。一応習った魔術で痛覚は遮断している。前世に経験した死よりはマシなはず。たしかこの後異星の神に選ばれたキリシュタリアが神に直訴して、他のチームを生き返させてくれるようにしてくれるんだっけ?ゲーム知識だとたしか世界を敵に回すレベルの苦痛を代償として支払うんだったよな。しかも7回も。いや俺を入れて8回か。
本当にありがとうキリシュタリア‥‥‥このご恩は一生忘れません!
いや、本当に感謝です‥‥‥
そして爆発が起こった。痛覚を遮断したから、痛みはないが、うわぁグロ。俺の身体は満身創痍もいいとこでもう絶対に助からないだろう。このまま死ぬのか。キリシュタリア、後は頼んだ。何て言うか本当に申し訳ないけど頑張ってください。
そう思いながら意識を手放した。そして気がついて目を覚ますと辺りには誰もいなかった。ここはどこだ?もう生き返った後なのか?そう思っていると
『君を‥‥‥待っていた。私の伝道者に最も相応しい君を‥‥‥』
それははっきりと俺に向けられた声だった。
‥‥‥なんでさ?