FGOの世界に転生して、Aチームに所属したら異星の神に選ばれてしまった件について 作:ハセカズ
前回までのあらすじ
主人公「こっ、こっ、これだぁぁぁァァァァ!!!!!!!!!!!」
神たるアルジュナ。またの名をアルジュナ・オルタ。あらゆるインドの神を吸収して絶対神となった存在。スケールが色々とやばいインド神話の神のほとんどを吸収して力に変えているのだ。おそらく人類悪はおろか星の意思の代弁者であり、ある星の全ての生態系における唯一最強の一体である「アルテミット・ワン」よりも戦闘力は上かもしれない。
そんなヤバイ奴が空からこちらを見つめている。より正確にいれば隣にいるエフィアスとそのマスターである
『な、なぜ奴がここに!?空想樹の所に帰っていたのではなかったのか!?』
『‥‥‥どうやら、また一戦を交えに来たみたいだね。目的は想像がつくけど‥‥』
「ふん、どうやら彼はお前たちの事をよほどの脅威と捉えたみたいだな。あの神がここまでやる気になるのも珍しい。まあ、厄介事を片付けてくれるなら僕としては助かるけどな。」
‥‥何この流れ。このままアルジュナ・オルタとの戦闘に入りの?まあ、エフィアスなら大丈夫‥‥‥か?俺の知る神話の中でもインド神話は規格外のスケールを誇る。アルジュナはその凄いスケールの神たち全員を取り込んであるけどエフィアスならきっと大丈夫だ。本体では無いけど大丈夫なはずだ。まあ、駄目でもここに居る俺は本体ではないので、問題ないけど。
てか、なんで俺とエフィアスをそんな睨んでるの?そんなに睨んでいたら小じわ増えますよ?アルジュナからの威圧感まじやべぇ‥‥おしっこちびりそう‥‥‥‥‥ガタガタガタガタ。
「‥‥もしかして震えてます?」
膝を震わせてる俺に藤丸君が訪ねてきた。
し、しょうがないだろ!あんなのに睨まれてるんだぞ!この異聞帯に来たことを少し後悔している所だよ‥‥‥
「‥‥‥あなた、さっきはかっこよかったのに色々と台無しよ、そこは怖くても我慢しなきゃ。」
「安心して、マスタ―の事は私が守るから。」
「くすっ‥‥あなたは、カルデアに居た頃と変わっていないですね」
マシュが微笑みながら、こちらを見てくる。何なんすかこの空気?俺、敵だよ?目の前にアルジュナ・オルタが居るんだよ?というか、そういう態度を取られるとこの後にやる策がやりにくくなるんだけど。
どうしようか‥‥‥ここでアルジュナ・オルタを倒しちゃうのもあれだし。取り敢えず、アルジュナの足止めしてその隙に逃げるか。後は原作通りにカルデアが何とかするだろ。うん、そうしよう。
「
「「「ッ!?」」」
アルジュナの手に凄まじいエネルギーが顕現する。悪を滅ぼすため、世界を終わらせるため、全ての最後に振るわれる剣。カルデアがインド異聞帯で、初めてその宝具を見たときも「宝具という言葉では説明できない」と称されるほどの力だったが‥‥‥今回のそれは、前に見たものとは、比べるのがもはや馬鹿馬鹿しい程の違いがあった。
普段から神代の真エーテルよりもさらに濃い真エーテルに満ちた世界にいる俺でも思わず戦慄する程だ。まだ発動すらしていないのにただそこにあるだけで、世界が滅びるのではないかと思わせるだけの力があった。
巨人王であるスルトやスカサハ=スカディですらエフィアスの本体ですらない分身の魔力を感じることすらまったく出来なかった。あまりにも次元が違いすぎたためだ。インドの神々を全て吸収したアルジュナも同様だったが、それでも神の直感的な何かが警報を告げているらしい。
故にアルジュナは一切の手加減を捨て、全力で脅威を葬り去ることを決めているとのこと。
世界と宇宙を創造したブラフマー神の力を。宇宙を焼くとまで言われたシヴァ神の力を。そのシヴァをも上回る力を持つヴィシュヌ神の力を。アグニを、インドラを、ブラフマを、ソーマを‥‥自身の持てる全てのインド神の力を限界を超えて注ぎ、
本来なら最初にカルデアが見た「
そしてそのエネルギーは、アルジュナの元から消え‥‥‥直径3メートルほどのエネルギーの塊がエフィアスを包み込んだ。エフィアスを除去するためにあらゆる神の権能を込められたそれは時間という概念を無視して突如として出現した。
本来なら攻撃範囲が超広大であるそれは、範囲を3メートルほどまでに凝縮することで更に威力を上昇させていた。
ちなみにエフィアスは、分身とはいえ相殺はできるらしいが、あれだけ凝縮された力に同程度の力をぶつけると、拡散された魔力の余波だけで、この異聞帯ごと全てを吹き飛ばすことになるらしい。
あれを一瞬で消せるぐらいの魔力を放っても同じ結果になる。
回避した場合も、凝縮された力は行き場を失って魔力が拡散することになる。
どの結果もやばい。
だから、攻撃を受けてしまうという選択肢を取ったらしい。
幸いにもあれは攻撃範囲をエフィアスに対してのみに絞っている。エフィアスが受けてしまえば周囲に被害が出ることはない。
今回は分身なので受ければ傷を負うことにはなるが‥‥そこまででしかない。
特に問題はないとのこと。周囲の被害を防ぎつつあれをどうにかすることも出来ないことはないが、万が一俺に対して攻撃が来た場合に備えて周囲に対して力をあまり使いたくないとのこと。
この世界にいる俺、遠隔操作式人形なのにいい娘だな‥‥‥
だから結果的に攻撃を受けることになったエフィアスだが‥‥‥その結果は‥‥‥
「なっ……馬鹿な!?」
「信じられん‥‥今のを受けて‥‥!」
「───────!!」
アスクレピオスやカルデア、それにアルジュナが驚愕したのは当然だろう。「
無傷というわけではなかった。軽傷というわけでもない。受けたエネルギーの中心地点であった右胸郭あたりが抉れており、そこを中心に罅のような傷が頬や腹部辺りにまで走っていた。しかし傷を負った本人は、どこ吹く風かといわんばかりだ。
エフィアスすげぇ‥‥‥
そして傷口から見えたのは血などではなかった。宇宙だ。傷口からは宇宙らしきものが顔を覗かせている。中国異聞帯の空想樹は内部の「銀河」を露出していたが、あれを想像するのが分かりやすいのかな。何か神秘的だ‥‥‥
「再現」
エフィアスが言葉を口にするのと同時だった。アルジュナを囲むかのように周囲にそれらは出現した。それは、炎でもあり雷でもあり呪いでもある。何千何万という攻撃手段がアルジュナを襲った。攻撃の一つ一つが対界宝具にも匹敵する威力を持ったそれらは、激震と称しても生温いほどの振動が走らせた。その余波で大地がひび割れ、彼の乗っていた白い「ヴィマーナ」が一瞬で蒸発した。
「ぐっ‥‥く‥‥!」
ラーマの「羅刹を穿つ不滅」でもカルナの持つ神殺しの槍でも傷一つつかないであろう身体に未曾有のダメージが入る。全身が血で汚れていたが、すぐさま反撃の準備に入る。自身の周囲にある金、紫、赤、緑、水色、黄色の惑星のような球体にあらゆる神の力を上乗せして攻撃を行う。
「崩壊せよ!」
「無駄、防壁再現。」
惑星からエネルギーを射出する、爆発させる、そのまま衝突させる。サーフボードめいた形状のもの弓に変形して攻撃した。
しかしどれ一つとしてエフィアスに届くことはない。再現された盾や光の壁によって全て防がれていた。
「っ‥‥私は…神だ! 私は全てを手に入れた。故にこそ一切の邪悪を断罪する!」
攻撃の勢いがさらに増す。惑星による弾幕が空を覆いつくした。だがそれでも届かない。徐々に身体が限界に近づいていく。先ほどアルジュナが放った「
だがそれでも、アルジュナは一歩も引かない。
何なの?Mなの?
絶え間なく攻め続ける来る件について。そしてまたアレを発動しようとしていた。
「
そのせいか後ろに再現されたものに反応することが出来なかった。アルジュナの身体に黒い棒のようなものが突き刺さる。再現されたその棒は後ろからアルジュナの腹を貫いていた。そして棒の先端から黒い直方体状の箱のようなものが形成されていき‥‥そのままアルジュナを閉じ込めた‥‥
「やったのか…?」
「馬鹿なあの神が‥‥」
黒い球体からアルジュナ・オルタが出てくる気配はない。というか驚いた…神ジュナが予想以上に強かった。分身とはいえエフィアスが傷を負うなんて初めて見たぞ。傷はもう完治しているけど、うちの最高クラスの主神達でもあそこまでの手傷を負わせることは、無理なんじゃないか?あ、ただの分身であれば神しだいでは傷は負わせられるらしい。
というかあの箱の中がめっちゃ静かなんだけど…生きているのか?
「大丈夫、マスター。まだ生きている。ただ閉じ込めただけだから、後1時間もすれば出てくる」
そうか…ならこの隙に隠れさせてもらうかな。後はカルデアとペペロンチーノが何とかするでしょ。そうエフィアスに指示を出そうとすると…
『な、何だとぉ!?な、なら一刻も早く止めを刺さねば!身動きが取れないのであれば臆することはない!と、止めを刺してもらえますよね?』
ゴルドルフ所長がエフィアスに止めを刺すように催促する。もしアルジュナが出てくれば今度こそ藤丸達はやられてしまうのかもしれないという考えからか。アルジュナによる世界改変を何度も回避できるという保証もない。現時点であの神に傷をつけることが出来るのは、一人だけなのだからある意味当然の行動ともとれるだろう。
「どうした?何故止めを刺さないのだ?」
ラクシュミー・バーイーがエフィアスに問いかける。そうか、ラクシュミーはまだ、カルデアからクリプターとカルデアの関係などを聞いていないのか。だからペペロンチーノと親しげに話していた俺とそのサーヴァントを藤丸達の知り合いか何かだと勘違いしているのか、ここはしっかり否定しておかないと。
その事を皆に伝えるとカルデアの面々は納得したような表情だった。
『うーん、そう来るか。まあ、そうだよね。君に我々を助ける義務はない。今回はあくまで同じクリプターのペペロンチーノが殺されそうになったから手助けしたに過ぎないからね。』
「そうね‥‥‥私たちクリプタ―はお互いに過度な干渉は禁じられている。後はこちら側だけで何とかしなくちゃね。でも、ここまで助かったわ、ありがとうね。」
そう、敵であるクリプターがカルデア側に手助けをする義理など元から無いのだ。ペペロンチーノは現在力が足りていないからカルデア側と手を組んでいるのに過ぎないわけだし。しかしラクシュミー・バーイーは納得していないようだった。
「なっ…何を言っている!身動きの取れないあれに止めを刺せるのは、お前のサーヴァントだけだ!お前は立香たちの仲間ではないのか!?」
いや、違うけど?ペペロンチーノとは、まあ仲間だけど、この異聞帯の問題にそこまで干渉するつもりはない‥‥というか禁止されているし。
俺の回答に対してラクシュミー・バーイーが憤怒の感情を抱いたいるようだった。
「貴様‥‥この世界の状況が分かっていて、言っているのか!奴を放置すれば無辜の民が消され、皆の想いも絆もすべて無かったことにされるのだぞ!」
ひっ!?怖い‥‥‥。人に怒鳴られるのなんて久しぶりだよ。コミュ障の俺はそういうのに弱いんだからやめてくれよ‥‥‥うわっ、ラクシュミーがこっち来た。
「そこまで‥‥これ以上マスターに近づくなら容赦はしない。それにあなたの言い分はただの押し付けに過ぎない。この異聞帯の問題にマスターは何も関係ない。」
「‥‥‥っ!」
そ、そうだそうだ(震え声。
エフィエモン‥‥‥なんてカッコいいんだ。
それに比べて、今にもおしっこ漏らしそうな俺。なんて情けないんだ。
というか、何をそんなに怒ってるんだ‥‥‥?
カルデア側が、民が消えることを気にすることないのでは‥‥‥?
「気にすることをない‥‥だと!?」
‥‥マジギレ寸前だ。やべぇ、やべぇよ‥‥‥。青筋ピクピクさせている件について。迫力がやばい、また震えてしまいそうなんですけど。まじで何をそんなに怒っているんだ?
どうせ消して無かったことにする世界なんだから、アルジュナに消されるかカルデアに消されるかの違いしかないのでは‥‥‥?そのことを伝えると、ラクシュミーが唖然とした表情になった。
「は‥‥?何を言って‥‥いる…?」
「薄々は気づいていたが……やはり、そうか。」
え?何この空気‥‥あっ、そうか!原作だとこの世界が剪定事象で汎人類史を取り戻すにはこの世界を消すしかないとか、クリプターとカルデアが敵対関係にあるとか、聞かされるのはもっと後か!だからか…事情を知らされる前なら、ラクシュミーがあんな怒るのも当然か。
「この世界を消す…?どういうことだ立香!」
「それは‥‥‥!」
「ラクシュミーさん‥‥」
ラクシュミーが藤丸達に掴みかかる。やばい、何この修羅場。原作だとカルデア側からこの事実を知らされたわけだけど‥‥今回は俺の口から聞いちゃったからな。ラクシュミーは今ダヴィンチから説明を受けているけど‥‥カルデアから真摯な態度で明かされるのと何気なく出た発言で事実を知るのとでは印象が全然違う。
そもそも原作通りなら、今の時点だと確かカルデア側はラクシュミーに真実を話そうとしている素振りすら見せていなかった気がするし…ラクシュミーからすればカルデア側は、この世界を消そうとしている事実を隠して、自分達をいいように利用したようにしか見えないからな。…説明終わったな。
「なっ‥‥ふざけるな!お前は、今までそれを知っていて────!私のことも村の者たちのことも利用していたのか!」
「ち、違います!ラクシュミーさん!私たちにそんなつもりは‥‥」
原作以上にラクシュミーが藤丸達に食いついているな。気まずすぎる。
早くこの場から離れたい。目的も果たしたし、俺がここに居てもいいことないだろうし。というわけで頼んだ、エフィアス。
カルデアの皆、後は頑張ってね。
「まっ‥‥」
というわけで俺たちはラクシュミーの制止を無視してこの場から離脱しました。他の皆もいつアルジュナ・オルタが箱から出てきてもおかしくない状況だったから、一先ず話を後にしてその場から離脱している。我に返ったアスクレピオスがカルデアを食い止めようとしているけど…原作通り突破されましたね。
そして1時間後‥‥‥
ラクシュミーと藤丸達はなんやかんやで和解したみたい。仲直りに原作よりも時間かかっていたみたいだけど。アルジュナは‥‥
「足りない‥‥一切の邪悪を絶ち、世界を救う力をもっと‥‥」
「ンンン───然り、然り!神は絶対でなければならない!あなたがまだ足らぬと感じたならば!それを解消させる事こそが、ここにいる私の務めなり!」
空想樹から魔力を吸い上げているな。原作だとそれやるの最終局面だったよね?エフィアスに負けたのが効いているのか?というかリンボがアルジュナの近くにいるんだけど‥‥まさかアルジュナを俺たちに嗾けたのあなたなんじゃ‥‥‥?原作と少しずれてきている気がするけどまあ、カルデアなら何とかなるか。
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終わったな。アルジュナが倒されて、今カルデアとペペロンチーノが最終対決に入っている。凄かったな~アルジュナとの戦い。カルナ、かっけぇ‥‥‥。
あっ、ペペロンチーノやられた。魅入っている場合じゃない。今回人形とはいえ、俺もこの異聞帯に来たのは、俺の仮説が正しいかどうか確認するためなんだ。そろそろ行くか。
よし確認するか‥‥カルデアの中で、殺す>消すなのかを。
先に謝っとくけど、色々とごめん。カルデアの皆。
ま、まあ。生き残りを賭けた戦い何だし、仕方ない。いや、本当にごめん‥‥‥。
というわけでやります!
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クリプターであるペペロンチーノさんとの戦いを制したのは‥‥俺たちカルデアだった。
『────よくやってくれた。伐採成功だ。魔力反応が激減していく。』
「やれるコトは‥‥‥まだ一つだけ、ある、わね。手遅れかもしれないけど。大令呪を──」
「やめとけ。テメェだってわかってんだろ。この怒りは、助走だ。『これからも続く』というために必要な速度だ。目的地じゃねぇ。履き違えるな。だから───これでいいさ。」
アシュヴァッターマンが消滅した。これでこの異聞帯は‥‥‥アーシャも……俺たちはそれでも前に進まなくちゃならない。そして────あのクリプタ―が現れた。
「あら、あなたまだこの異聞帯に居たのね。」
「まあ‥‥‥それで行先は、俺の異聞帯でいいかい?」
「ええ、今回はあなた達に随分と助けられたわね。このお返しは後で必ずさせてもらうわ」
「それじゃあ、転送たのんだ」
するとペペロンチーノさんが消えてしまった。そして彼がこちらを向き話しかけてきた。
「その‥‥‥本当に申し訳ないんだけど」
「え‥‥‥?」
「何というか‥‥‥あなた達に伝えることがあります、カルデアの皆さん方」