FGOの世界に転生して、Aチームに所属したら異星の神に選ばれてしまった件について 作:ハセカズ
周りは暗黒で真っ暗だ。そして目の前には眩い光が広がっている。間違いなくこいつが異星の神だろう。
今なんて言った?『君を‥‥‥待っていた。ワタシの伝道者に最も相応しい君を…』ていったのか?俺に向けて。
ははは冗談を。人違いですよ。僕はキリシュタリアじゃありませんよ。
『たしかに君がいなければ彼を選んでいただろう。キリシュタリア・ヴォーダイムをね。だが私が選んだのは君だ。君こそがワタシの伝道者に相応しい』
何言ってんだコイツ。なんで俺が選ばれるんだ‥‥‥?
キリシュタリアに魔術要素でも負け、頭でも負け、体力でも負け、顔でも負け、コミュ力でも負け、性格でも負け、すべて負けている俺がどうして選ばれなきゃいけないんの?‥‥‥なんか言ってて悲しくなってきた。
『それは君がこの世界において唯一の‥‥‥創造者の世界の人間だからだよ。』
‥‥‥今なんて言った?創造者の世界の人間?‥‥‥もしかして俺の前世を知っているのか?
『ああ、ワタシは君の前世を知っている。この世界の、いや次元の外側、すなわち創造者の世界から来たんだろう?君はワタシのことを知っているはずだ…君がこの世界に来たのは奇跡といっても過言ではないだろう。だからだよ…神の如き視点、特別な魂を持つ君にこそ、この役割は相応しい』
魂が特別?俺が別の世界から来た住人だから?
『侵略によって虚空は閉じ、君たち人類もようやく終了を迎える。だがこの喜ぶべき偉業において、神は未だに肉体がないんだ。協力してくれるね?』
俺が外の世界から来たから、原作を知っているから選ばれた?何だそれ。
俺が選ばれたってことは蘇生分の対価は俺が支払わなくちゃいけないってことだろう。
冗談じゃないんですけど。
こうなったからには他の皆は見捨てるしかないが、それでも自分が生き返る分の対価は支払う必要がある。その対価が具体的になんなのかはFGOの第2部4章までの知識しか知らない俺は知らないが「世界の終わりに立ち向かうほどの苦痛」と表現されていた。
つまりそれなりの体験をすることになるのだろう。
そんなこと出来るわけがない。
何なのこれ?
まじ、ふざけんなよ‥‥‥。
マジで何でこんな目に?
そんな感じで若干現実逃避していると
『本来であれば失われたものを戻すのにはそれなりの作業が伴う。人間一人を蘇生するのに、数秒であれ世界を止めるだけの苦痛と労力が必要となる。その対価を支払う必要があるが‥‥‥君の魂は特別だ。世界は君の魂を排斥できない‥‥‥対価を支払う必要はないだろう』
まじすか!?よし。取り合えずは楽に生き返られることは分かった。
後は残りのクリプターをどうするかだな‥‥‥もしこれで対価を支払う必要があるのなら、見捨てるしかなかったけど‥‥‥対価を支払う必要がないならついでに生き返させてもいいかな?
一応まあまあの面識はあるし。そう決めた俺は異星の神に協力する旨を伝え、他の皆も対価なしで生き返させてもらうように頼んだ。
‥‥‥‥えっ無理?俺以外の皆に関しては対価を支払う必要がある?えーまじかよ。ん?待てよ?原作ではAチーム分の対価はキリシュタリアが支払ったんだよな。ならキリシュタリアに後は任せればいいじゃん。よし、そうしよう。キリシュタリアにもチャンス上げてほしいことを伝えると異星の神が戸惑う。
『不可解だ。白紙化地球においてキミは無敵になる。単体で成立するというのに、なぜ彼との競合を求めるのかね?』
だって、他の皆がいないとカルデアと一番真っ先に戦うの自分になりそうだし。主人公と戦うんだ。対策の為の時間はいくらあってもいい。そして万が一カルデアに負けても他の皆のところに逃げれるし。やはり保険は大事だ。というわけでお願いします神様。
『……いいだろう。他でもない君の頼みだ、彼にもチャンスを上げよう』
頑張って!キリシュタリア様。陰ながら応援しています。
そして…他のすべての対価は支払われた。キリシュタリアの手によって。
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「しっかり全員揃ったようだね。分かってはいた、皆負けん気が強い。」
キリシュタリアが口を開く。
「おうとも。あんな話をされて乗らないヤツはいないだろう?規模がでかい話だが断れば死ぬわけだしな?」
「面倒な話だが、チャンスは全員にある。いいさ、やってやる。世界を救えばいいんだろう?」
クリプタ―が集まり会議が始まる。とうとうこの日が来たか…長かったような早かったような…これから始まるんだ藤丸こと主人公という名の大魔王との戦いが。
ちなみに主人公に負けて、味方サポートポジションに収まる的な考えは全くない。
だって世界が元に戻った後で「世界に対する反逆者」として魔術協会から裁きを受けるのは目に見えてし。それにもし俺が外から来た人間だということがバレたらホルマリン漬けコース待ったなし。主人公に勝って何としてでも生き残る。
「それぞれのコフィンの中で異聞帯に接続しているだろう。じき『異星』の神の使徒が来る。彼らの手で、担当する異聞帯に向かってくれ」
皆のリーダーは原作同様にキリシュタリアだ。異星の神にあたかもキリシュタリアを選んだみたいな感じで接してほしいと頼んだおいたから。じゃなきゃ異星の神に選ばれたということで、リーダーというめんどくさい役をやらされるかもしれないし。まあ、俺の分の対価の支払いは要らなかったから、若干怪しんでいるだろうけど、キリシュタリアは自分が異星の神に選ばれたと思ってる筈だ。
俺の担当異聞帯は日本だ。まあ前世でも今世でも日本人だったし馴染みのある国だ。
過った選択、過った繁栄による敗者の歴史。歴史の残滓。“不要なもの”として中断され、並行世界論にすら切り捨てられた“行き止まりの人類史”。それが異聞帯だ。日本の異聞帯はどんな感じになっているのかな?
原作通りなら俺以外の全てのクリプターは主人公に負ける運命にある。つまりどのクリプターの異聞帯よりも強大でなければ主人公には負ける可能性がある。まあ、異星の神に選ばれたのは俺ですし、キリシュタリアのとこよりは、強力になっているはず。俺のところのスーパー日本ロストベルトパワーで主人公を叩きのめす。
何か‥‥‥フラグたってる気がするが。
この時の俺は、かなりの不安と日本の異聞帯に対しての期待が心中を占めていたが。
この時の俺は知る由もなかった。俺の担当異聞帯がもはや日本などとは到底呼べないものになっていることに。そして俺を転生させた神様はちゃんと仕事をしていたことに‥‥‥
「準備はよろしいですか?これから貴方を日本の異聞帯に直接転送します。ふふ、頑張ってくださいね」
「分かった。お願いします。」
そして俺は異星の神の使徒の神様に異聞帯に転送された。
後に残されたのは道化師の要素を歪に混在させた和風装束という、奇怪な装いをした男だけだった。
「異星の神に選ばれた人間...さてさてどうなりますことやら..ふふふふふ、楽しくなってきましたねえ」
「──────ッ」
異聞帯に入った瞬間にその異常を感じ取ることが出来た。エーテルやマナの濃度が異常なまでに高い。現代とは比べ物にならないほどの圧倒的な濃度、濃度、濃度、濃度。
人間は疎かサーヴァントですら肉体が破裂してしまうんじゃないか?
西暦以前の神代…いやそれでも説明がつかない。この世界は、全ての神話の世界が混ぜ合わさっていると言われればそれを疑うことなく信じてしまう。そう思えるほどの圧倒的な濃度だった。
にもかかわらず俺の肉体は原型を留めている。このマナ濃度にも耐えきれている。不快感はなく、むしろ心地よささえ感じる。まるで世界全体が俺のことを祝福しているかのように。
しばらくこの世界に戦慄していたが、次の瞬間、目の前にそれは現れた。何の前触れもなくまるで初めからそこに存在していたと言わんばかりに。そしてそれは口を開いた。
「ずっとあなたを待っていた…マスタ―」
日本の異聞帯はもはや日本の形をしていない。日本以外の全ての大陸が、いや大陸どころか
そして異聞帯の周りは巨大な竜巻ともいえる大気に覆われ、その姿は中に入らなければ見ることはかなわないが明らかに大きさが釣り合っていない。
世界のすべてを合わせた大きさを持つそれは、日本などという小さな場所には到底収まらない。だが日本を覆う嵐の中には確かにそれが存在していた。まるで外と中の空間の密度が違うと言わないばかりに。
それは今より2億5000万年前頃に存在したとされる大陸。かつて世界は大陸一つだけであったされ、それが分裂して出来たのが今の日本やギリシャなどの各地であるという。
本来であれば
故にそこにはあらゆる神話が、神が、人種が存在する。ギリシャ神話が、インド神話が、北欧神話が、すべての神話が矛盾なく存在し、今もなおあらゆる神話の神が生息し続けている。それどころか、本来であれば
そして彼らは、この世界の王に付き従う。この世界の意思そのものである異聞帯の王に。今や地球という星に代わって星の名前そのものになった彼女に。
かつて存在した全てを内包する大陸。
異聞深度_EX Lostbelt No.8
星が生まれる日
BC.250000000 全界統合星域 パンゲア
異星の神は主人公がどこから来たのか? を知っていますが、主人公の中にある原作知識を覗けたわけではないです。
ただ主人公が原作知識を持っているということは知っています。ですので主人公はこの世界のことを何でも知っていると勘違いしています。