FGOの世界に転生して、Aチームに所属したら異星の神に選ばれてしまった件について   作:ハセカズ

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はい、遅くなりました。
続きになります。

誤字報告をしてくれる方‥‥いつもありがとうございます!!


なお、前回の予告通り今話から「あれ?」というような展開が続きます。
ただこの章を長く続ける予定はないので、結構あっさり終わると思います。
長引くかもですが。








前回までのあらすじ


藤丸「異聞帯の民を皆殺しなんて、無理なのおぉぉ!!」


第19話 始源神界領域 高天原(タカマガハラ)1

カルデア一行が日本異聞帯に突入する数日前。

 

日本では、カウンターとして呼ばれた汎人類史側のサーヴァントと異聞帯側のサーヴァントの戦いが続いていた。

その場で戦っていた汎人類史側のサーヴァントは2騎。

すなわちセイバーである沖田総司とランサーであるディルムッド・オディナである。

 

2騎ともに敏捷ステータスに優れており、ディルムッドは魔力的効果を打ち消す破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)、そして決して癒えぬ傷を与える必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)の2本の宝具を巧みに操り、沖田は3つの突きが全く同時に放たれるという、神域にも到達した必殺奥義を所有している。

 

両者共に歴戦の戦士であり、類まれなる戦闘力の持ち主である。しかし、相手が悪すぎた。

この異聞帯を担当するクリプタ―が召喚した()()()()()()()()()()()は、同じサーヴァントであるとは思えないような強さで両者を追い詰めていた。

 

そして、敵セイバーから放たれた斬撃がランサーをその宝具ごと霊核を切り裂いた。

 

「ぐあっ‥‥!まさか、ここまでとは‥‥!!すまん、セイバー」

 

「ランサー!!」

 

ディルムッドが消滅する。だが、ディルムッドだけではない。

この場には、沖田、ディルムッド以外にもトリスタン、ヘクトール、宝蔵院胤舜、天草四郎時貞の4騎のサーヴァントが集っていたのだ。

しかし、その4騎のサーヴァントという、圧倒的な戦力でさえも敵セイバーに瞬く間にやられるという結果に終わっていた。

 

「っ‥‥‥!!」

 

沖田が歯噛みをする。敵セイバーの事は、元々知っていた。

沖田たちが召喚される以前に召喚されていた汎人類史側のサーヴァントから情報を得ていたからだ。

この異聞帯には大西洋異聞帯と同様に多くのサーヴァントが召喚されていたが、もう生き残りは沖田と今は遠方にいるセイバーのサーヴァント‥‥その2騎だけだ。

 

ギルガメッシュ、クーフーリン、フィン・マックール、アーラシュ、ランスロット、ヒッポリュテ、ゲオルギウス、坂田金時、メディア‥‥いずれも歴戦の英雄達であるが、

その全てが()()()()1()()に殲滅されていた。

 

「まさか、こんなことが‥‥‥!」

 

予想を遥かに上回る敵サーヴァントの強さに沖田が思わず歯噛みする。

だが、何よりも目を引かれるのは‥‥相手の正体だ。

ここは神代が続いたままの日本。それは沖田も理解している。

 

「(しかし、だからといって。世界が違うだけで────()()()()()()()()‥‥!!)」

 

遠方に居るであろうセイバーの力ならこの窮地を打開できるかもしれない。

非の打ち所のない大英雄とまで称されたその存在は、従来の聖杯戦争では英霊6騎を相手にしても問題なく勝利を収めることが出来るとされるほどの規格外のサーヴァントなのだから。

だが、今この場に居ない以上、あとは沖田一人でどうにかするしかない。

 

「ここで死ぬわけには行かない。これまで皆さん方が得た情報を、武器を、カルデアの方達に託すまでは‥‥!!」

 

「‥‥‥‥」

 

そう己を鼓舞しいずれ来るカルデアの為に剣を向ける沖田。

眼前のセイバーはただ静かに沖田を見据えていた。

そして、沖田が来ると同時に────その聖剣が振るわれた。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

ついに日本異聞帯にたどり着いたカルデア一行。

その全員がストームボーダーのメインモニター越しに見えている、空中都市に目がいっていた。

 

「あれは‥‥都市なのか‥‥!?」

 

「どうやらその様ですね、Mr.ゴルドルフ。ここが日本‥‥それも神の存在を考えると、あれは神話における神の国、高天原(タカマガハラ)か?それに都市のすぐ近くに在るもの。間違いなく空想樹だ。どうやらまだ、完成に至っていないようだが、形状がオリュンポスのものに極めて近い。」

 

「うん、どうやらホームズの考えは当たっていたみたいだね。

‥‥‥‥空想樹がオリュンポスと違ってまだ成長しきっていないのが何故なのか分からないけど。何にせよあれは一刻も早く排除する必要がありそうだ」

 

オリュンポスでカルデア側が確認した、完成された空想樹。規模はそれに一歩及んではいないものの、完成間近であるという事は見ればすぐにわかるほどの、形容と魔力値だった。

キリシュタリア・ヴォーダイムの言葉をそのまま捉えるのであれば、完成された空想樹は外部からの干渉を完全に跳ね除ける。

つまり、完成しきってしまう前に一刻も早く採取する必要がある。

 

「ああ、日本異聞帯の空想樹は既に完成していると予想していたが‥‥‥その原因は後で探るとしよう。何にせよ我々の目標が中国と違い隠されていないのは幸運だ。周囲の魔力状況はどうなっている?」

 

「うん。ご想像の通り、大気の魔力濃度が異常だね。オリュンポスにも引けを取らない。完全に神代の数値だね、これは」

 

「む、むぅ。分かってはいたが、やはり神代がそのまま続いた日本なのか、ここは‥‥」

 

オリュンポスと同様に第7特異点、神代メソポタミア以上の魔力値。

それに明らかに神が作り上げたとしか言えない様な、美しさ、神気を纏う空中都市。

ここまでくれば、日本がオリュンポス同様、何かしらの理由で神代がそのまま続いた、世界であるというのは一目瞭然である。

とはいえ、それは日本に10以上の神が居るというのが確認できた時点で予測できたこと。

 

「‥‥‥‥神代がそのまま続いた世界だということも。神様が多数いるということも既に分かっていた事です。だから‥‥今回も進みましょう」

 

「ええ、マスターの言う通りです。敵が強大であるからと言って引く理由にはなりません」

 

そう意気込むのは、藤丸とマシュ。

それに同意するかのように、藤丸のサーヴァント達も頷く。

 

「え、ええい!言われんでも分かっておるわ!もう後には引けんということぐらいにはな!こちら側もこの日の為に準備をしてきたのだ。さあ、行くぞ!!」

 

カルデア側が率いるサーヴァントは、マシュを含めて6騎。

エルキドゥ、モードレッド、静謐のハサン、シュヴァリエ・デオン、ラーマ。

現在のカルデア側が負担できる魔力値、そして戦力を考えて彼らこそが日本攻略に最適であると判断された。

 

それに、不死であると予測される日本の神に対抗すべく生み出された、()()()もある。

カルデア側にも勝算が全くないというワケではない。

 

まずは情報収集として異聞帯の民達と接触することにした、一同。

この世界がどういう成り立ちで出来た世界なのか、この世界を統べる神は誰なのか、カルデア側のデータに無い神が存在するのか、それらを知る必要がある。

 

「ここから500m程先に、集落があるようだ。まずは、そこに住まう民達と接触。そして、この異聞帯の情報を収集する。外に出てもMr.藤丸のバイタル数値は正常なまま。これならこの異聞帯での活動も問題ない」

 

「うん、礼装のおかげだよ。それじゃ行こうか」

 

ストームボーダーのレーダーが察知した、付近にある人の住まう集落。

まずは、そこに向かうことになった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

それから数時間後。藤丸達の突いた集落はそれなりの規模であり、多くの人々がそこにいた。

藤丸達が見た限りだと、人々の生活様式、それに衣装などの文化は大和時代あたりのものに近い。

 

「今日も私達が飢えずに済むのはヒダル神のおかげです。感謝をささげましょう」

 

「勿論です」

 

「皆、元気そうでなによりね。夜に安眠できるのは月読命(ツクヨミ)様のおかげ。本当にありがたい事ですわ。」

 

だが、当然の事ながら汎人類史における大和時代とは違い、ここでは神々がおり、その恩恵を受けられるというのが人々の認識になっている。人々の会話の中に、神々の名が当たり前のように含まれている。

藤丸達一同はそんな民の中に紛れるかのように会話に参加していた。

 

「あら、貴方達は遠方から来た方なのね。これから伊邪那美(イザナミ)神の神殿にお祈りを捧げにいくところなの。貴方達もどうかしら」

 

「す、すみません。私達はこれからやることがありますので、それはまたの機会に‥‥」

 

この集落に住む女性からの誘いをやんわりと断るマシュ。

カルデアの者達は、民達に接触して情報を集めていた。

集落に出向いたのは、ホームズ、エルキドゥ、ラーマ、モードレッド、シュヴァリエ・デオン、マシュ、藤丸の7人だ。なお、気配遮断スキルを持つ静謐のハサンは、別行動で情報収集に出向いている。

 

そして、その数時間後。

現在、別行動を取っている静謐のハサンを含めて、

所定の時間が経った後にシャドウボーダーに合流すると決めていた為いったん戻り、これまで集めた情報を整理することになった。

シャドウボーダーに向かう途中の帰り道で、マシュが集落の人々の事を思い出していた。

 

「何というか、その‥‥とても穏やかな方達でしたね。遠方から来たといった、私達相手にもとても優しく接してくれました」

 

「うん。でも‥‥‥俺達は、この世界の敵だ」

 

「‥‥‥‥」

 

藤丸が、表情を暗くしながらマシュに言う。

どれだけ相手が優しかろうがそれが異聞帯に住まう人々である以上は、最終的に消さなければならない。それに、今回は相手側のクリプタ―が仕掛けてきた策の事もあるため、いつも以上に、マシュや藤丸の心情は複雑な状況であった。

 

「なに落ち込んでるんだよ、マスター。既に覚悟はしてきた筈だろ?」

 

「うむ、モードレッドの言う通りだ。それが余たちの為すべき事である以上、目を背けるわけには行かぬ」

 

「うん‥‥‥分かってる」

 

自身のサーヴァントであるモードレッドとラーマの言葉により改めて喝を入れ直す藤丸。

まだ、シャドウボーダーについてはいないが藤丸達は早速集めた情報を元にこの世界のことを考察していた。

 

「生活文化は大和時代のものに近かった。だが、彼らの言葉を聞くに、争い・恐怖・飢餓・病気・怪我・痛みは神々によって保証されており‥‥‥‥そして労働からも解放されているというように感じ取れた。」

 

「は、はい。繁栄の度合いで言えば、オリュンポスに劣りますが、異聞帯の王や神々によって、住民たちの生活が充実しているという点においては、大西洋や中国異聞帯と同様です。それに‥‥集落の皆さんとの会話から、伊邪那美(イザナミ)神と月読命(ツクヨミ)神という私達の情報にない神がこの異聞帯に存在することが判明しました」

 

伊邪那美(イザナミ)神に月読命(ツクヨミ)神か‥‥‥‥これまた両者共に日本神話では有名な主神クラスの神だね。この二柱の神がオリュンポスを攻めた日本神に該当しない場合、この異聞帯の神の数は最低でも十二柱ということになる。特に伊邪那美(イザナミ)神は天地開闢のときに現れた神世七代に数えられるほどの神。異聞帯の王である可能性もあるね。』

 

『10以上の神がいるというのは分かっていたが、一体何柱の神々が存在するというのだ‥‥!!』

 

 

伊邪那美(イザナミ)神に月読命(ツクヨミ)神という新たに入手した情報に表情を強張らせるカルデア一行。だが、ホームズはそれらの神々よりも、先ほどの集落の民達の生活文化が大和時代に近しいということの方が気になっている様だった。

 

「大和時代‥‥‥確か南九州から畿内に渡ってきた初代神武天皇即位から平城京遷都までの時代。そして、日本神話は神武天皇が大和で即位するより前が神代、それ以降を人代として今日までの日本の歴史に繋がれていった。」

 

「神武天皇の即位‥‥日本の歴史では今より2660年ほど前の出来事だったはず。ホームズ。キミはこの異聞帯発生の分岐点がそこにあると思っているのかい?」

 

「その可能性もあると考えているだけだ。現時点では判断材料が少なすぎるので頭の片隅にでも置いておいて欲しい」

 

シュヴァリエ・デオンからの問いに対してはそう答えたもののホームズとしては、その可能性が高いと踏んでいた。日本神話では彦波瀲武鸕鶿草葺不合命(ヒコナギサタケウガヤフキアエズノミコト)玉依姫(タマヨリビメ)の2柱の神から生まれた神武天皇が日本を建国し、そこから人の時代が始まった。

この異聞帯の人々の生活文化が大和時代で止まっていること、そして神代が続いている事を考えると、神武天皇の時代付近に何かが起きた可能性が高い。

 

「そうだね‥‥ホームズの言う通りまだこの世界について、多くを知れたわけでもないし静謐と合流した後に引き続き情報収集する必要がありそうだね」

 

藤丸のその意見には皆も同意していた。まだ、そこまで多くの情報は得られていないとはいえ、戦闘無しで得られた成果としては十分だった。

大西洋異聞帯の時と違い、異聞帯に侵入したと同時に敵から攻撃を仕掛けられるという事も無かったため、このまま行けば、敵の全容を掴めるかもしれない。とはいえ、空想樹が完成間近な以上、あまり時間を掛けるわけには行かない。藤丸がそう考えていると、エルキドゥが何かを感知したかのような、反応を見せた。

 

「マスター。サーヴァントがこちら側に近づいて来てるみたいだよ」

 

「サーヴァント?もしかして、カウンターとして召喚された汎人類史側のサーヴァント?それともクリプタ―側の?」

 

「良く分からないけど、こちら側に敵意は無いように感じるね。数は1騎のようだけど」

 

優れた気配感知スキルにより、サーヴァントの正確な数を捉えたエルキドゥ。

敵意がないということから、カルデアの味方側としてこの世界に召喚されたサーヴァントであると予測されたが────それは正しかった。

カルデア一行の前に現れたサーヴァントは桜色がかった白髪と浅葱色のダンダラ羽織が特徴の女性だった。

 

「お待ちしておりました‥‥‥‥カルデアの皆さん」

 

「貴方は────沖田さん!!」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

カルデア側が沖田との邂逅を果たしている中、

その様子を遠方から様子見している2人の男が居た。

 

「はぁぁ‥‥遂にこの異聞帯まで来てしまったか‥‥」

 

気だるげに、そして心底嫌そうに溜息を吐いたのは、

この異聞帯を担当するクリプタ―だ。

 

「ンンンンッ。ええッ!ええッッ!!ええッッッ!!!

遂に来てしまいました。来てしまいましたとも。

いくつもの世界を食い潰しッ!この世界をも滅ぼさんとするカルデア一行と雌雄を決める、その時がッ!!」

 

そして、そんな男の言葉に反応したのは、左半身に平安貴族のような狩衣を、右半身にピエロを彷彿とさせるような見た目のサーヴァントだった。

カルデアという脅威がこの世界を侵略して来たという事実に恐れるどころか、実に楽しげな様子だった。

 

「彼らを待ち受けるは、神話を象徴する神々!!

そして、この異聞帯の王は、()()()()()()()()()()()()至上なる存在!!ですが────」

 

そこで、いったん言葉を区切るサーヴァント。

クリプタ―の手によって召喚された、()()()()()()()()()()()()()の言う通り、この異聞帯には、汎人類史の日本神話にて語られる、神々が存在する。

中でも異聞帯の王は『()()()()()』と称される程の規格外の存在だ。その王を知る者は誰もが無敵だと、これ以上の存在などあり得ないとそう思う。

しかし、その存在を知っているにもかかわらず、そのサーヴァントには一つの確信があった。

 

「彼らであれば、必ずやそれらの障害をも乗り越えるでしょう!!この────()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」

 

「‥‥‥‥‥‥」

 

「おやおやおやおやおやぁ?随分と心配そうな顔をなさる、我が主よ。ですがそれも道理。

勝利を約束された、世界の主役である彼らとの戦いですからねぇ。いやはや、いやはや!マスターの忠実なる下僕として、お役に立てるかどうか拙僧も不安にございます」

 

心にも無いことを、微笑みを浮かべながら言うアルターエゴのサーヴァント。

だが、言葉を掛けられた当の本人はそんなサーヴァントの振舞いを気にしていない。

というよりも、カルデアがこの世界に来た以上は、自身のサーヴァントの平常運転な立ち振る舞いにいちいち気を配るだけの余裕がないようだ。

そんなマスターの様子を見つつも、再度サーヴァントが口を開いた。

 

「心配なされるな、我が主よ。我らには秘策がありますがゆえ。この根源に‥‥即ち型月世界に属さぬ貴方の魂を持ってすれば、必ずや!()()()()()()()()()()()()()()()()!!」

 

「だから、その奥の手はリスクが高いからあまりやりたくないんだって。まずは、俺の考えた作戦通りにカルデアを攻める。いいな、()()()?」

 

「ンンンン。『リンボ』とはいつ聞いても良い響きですねぇ。異星の神に召喚された()()()()()が名乗ったのも道理というもの。それで?いつ出向くのですか、我が主よ」

 

()()()()()()()()()()()という情報をさっき聞いた。

‥‥‥恐らく、ヒダル神とカルデアとで戦闘になる。

そこでヒダル神が勝つのが一番だけど‥‥まあ、カルデアが勝つだろうな。仕掛けるのはそこにしよう。ヒダル神と戦って少しでも消耗が多いうちに、やった方が成功しやすい。

むこう側にエルキドゥがいるのが、予想外ではあるけど‥‥こっちには()()()()もいるし、神様方から借りた()()()もいる。たぶん何とかなるだろ」

 

「御意に、我が主よ」

 

クリプタ―にとって一番予想外‥‥というよりも来てほしくなかったのはエルキドゥと呼ばれるサーヴァントだ。エルキドゥは一切の慢心を抜いた、全力状態のギルガメッシュに匹敵する。間違いなくサーヴァント最高峰の戦闘能力を持つサーヴァントである。

しかし、それでも勝てるだけの見込みがクリプタ―側にはあった。

 

「(相手側にはエルキドゥがいるが、それでも俺達の方に分がある。カルデア側は、こちら側のセイバーのことをまだ知らない。それに比べ俺達は相手サーヴァントの真名も宝具も全てを知っている。()()()()()()()()()()()()()()、後は作戦通りカルデアに仕掛ければいい。

‥‥‥何も正々堂々と戦う必要はない。勝つためなら不意打ちでもいいんだ)」

 

そう、内心で呟く日本のクリプタ―。

カルデアとの戦いはそう遠くない未来に起こるであろうことは、本人も分かっていた。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「‥‥‥ッ。あれは───ヒダル神」

 

情報収集の為、気配遮断スキルを駆使して、

藤丸達とは別行動で動いていた、静謐のハサンが思わず息を飲む。遠方からとある存在を確認できたからだ。

12歳ぐらいの栗毛。それに白装束と愛くるしい見た目が特徴の少年。

事前にカルデア側に教えられていた、情報を考えるに間違いなくヒダル神と呼ばれる神の一柱だった。

 

「動植物を食している‥‥?」

 

遠方ではあるが、静謐はその脅威的な視力により、ヒダル神の動向を確認していた。

ヒダル神と思われるその神は身体から飛び出た、口のついた触手のような器官を振り回し、

周りの木や動物たちを片っ端から食い荒らしていた。

ヒダル神とは神話において、取り付いた者に飢餓をもたらすという存在。

オリュンポスにおいても、それらしい振舞いをしていたことから、飢餓神であるというのが、カルデア側の見解である。

 

「(あの神がいる場所は、マスター達とそこまで距離があるというわけでもない。急いで知らせッ───!?)」

 

静謐のハサンがそう考え、再度振り向いた時には、ヒダル神が消えていた。

どこへ消えたと、辺りを見渡す静謐であるが‥‥()()()()()()()()()()()()()()。急いで後ろを振り向き‥‥‥そこに居たのは姿を消した筈のヒダル神だった。

 

「お姉さん、だれ?‥‥もしかしてボクのご飯になりに来てくれた?」

 

「──────ッ!!」

 

幼子を思わせるかのような無邪気な笑顔。だが、そんな見た目からは想像もつかない様な力で肩を掴まれており、振りほどくことが出来ない。

 

「ありがとー!!それじゃあ───イタダキマス」

 

「マス───!」

 

マスターと。言い終えるより早く、静謐はこの世界から消失した。ヒダル神の手に吸い込まれるようにして。

静謐が最後に見たのは、愛くるしい笑顔を見せる少年だった。

少年の身体から、咀嚼音が鳴り響く。

 

骨を砕き、肉を噛みちぎる音が辺りに木霊した。

 

「‥‥おいしい。凄くおいしいッ!!これがさーゔぁんとのお肉かぁ。あぁ、もっと食べたいなぁ。お腹がすいたすいたすいたすいた。‥‥‥あっちに沢山、同じ匂いがする。

あー早く食べたい食べたい食べたい」

 

全身に毒を含んでいる静謐を無害なものであるかのように食した、ヒダル神が子供のような無邪気な笑顔を浮かべながら、新たな肉を求めて、サーヴァントの匂いがする方角に向かった。

 

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