FGOの世界に転生して、Aチームに所属したら異星の神に選ばれてしまった件について   作:ハセカズ

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ちょっと、都合により次回投稿はいつになるか分からないです。
今回の最後にパンゲアの絵を載せたから許して。




前回までのあらすじ

??「あと一歩のところまでカルデアを追い詰めておきながら仕留め損なうとはとんだ間抜けのあつまりじゃのう、日本のクリプター率いる集団は。マスターがマスター‥‥それも仕方ねェか‥‥‥!!日本のクリプターは所詮‥‥先の時代の敗北者じゃけェ‥‥!!」


第23話 始源神界領域 高天原(タカマガハラ)5‥‥パンゲア挿絵あり

はるか上空、高天原(タカマガハラ)にて。

神々の住まうその居住区は、地上に住まう人間たちの様子を見渡すことが出来る。

 

神々の1柱、この世のものとは思えぬほどの美しさを持つ伊邪那美(イザナミ)高天原(タカマガハラ)から下界の人間たちの様子を見ていた。

 

「ここにおられたか、伊邪那美(イザナミ)様」

 

伊邪那美(イザナミ)にそう話しかけたのは火之迦具土神(ヒノカグツチ)だった。

 

「あら、今は2人きり。昔みたいに母上と呼んでもいいのですよ、迦具土神(カグツチ)

 

「‥‥‥まがりなりにも貴方は神世七代の一柱。血縁関係があろうと、そのように軽々しく接することは出来ませぬ」

 

そのように答える火之迦具土神(ヒノカグツチ)だったが、伊邪那美(イザナミ)が向ける眼差しは慈愛の眼差しで満ちている。いや、実際の子だけでなく人間そのものを彼女は自身の子共同然に愛していた。

 

汎人類史と違い、今もなお生き永らえている伊邪那美(イザナミ)は黄泉の国に行く事も無く、「天の戦い」が起きるまで夫であるイザナギとも離縁することは無く良妻として夫を、子共を、そして人間を愛する聖母さながらの神であった。

 

「今日も地上の民達は変わらぬ幸福、永遠に続く今を享受しています」

 

「左様。我々が与える恩恵にて」

 

「ええ‥‥」

 

何処か浮かない顔を浮かべる伊邪那美(イザナミ)であったが、それをみた火之迦具土神(ヒノカグツチ)が声を掛ける。

 

「‥‥‥我らは全てにおいての上位種。故に顧みることも媚びることも許されぬ。ましてや、悩むことなど尚更‥‥貴方もどうか神としての責務を果たされるように」

 

「‥‥‥‥」

 

その言葉を最後に火之迦具土神(ヒノカグツチ)伊邪那美(イザナミ)に背を向ける。

一人になった伊邪那美(イザナミ)が再度、地上に目を向けた。

 

その地上では現在、神の作り上げた彫像が如き男と、この異聞帯において神にすら認められた剣士の死闘が繰り広げられていた。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

カルデアがストームボーダーに逃げるまでの殿役を務めた、ヘラクレス。

暴風さながらの圧倒的な力の放流でありながらも何処か洗礼された剣技が敵セイバーに食らいつく。

嵐さながらの剣戟に対して、異聞帯の沖田総司も自身の剣技を以て向かえうつ。

 

「─────オオオオッ!!」

 

「─────ハアァァッ!!」

 

両者の戦闘の余波だけで、周囲にあった木々が吹き飛ばされ、ぶつかり合った魔力の衝撃波はそれだけでサーヴァントを傷つけてしまいそうな程だった。まさに神話の決戦とも言える様な光景。

 

両者の戦闘からそれなりの時間が経ったが‥‥劣勢に追い込まれているのはヘラクレスの方だった。

 

両者のスペック自体にはそれほどの差があるわけではない。素早さに関しては沖田が遥か上を行くが、筋力や耐久性能に関してはヘラクレスの方が上。まともに戦えば両者共にただでは済まない。

だが、それでもやはり厄介なのが、多重次元屈折現象という神の権能にも等しい御業にあった。ヘラクレスがいくら優れていると言っても、逃げ道を完全に防いでしまっているそれは物理的に回避不能であるため、攻撃を受けざるを得ない。しかも、恐ろしいことに異聞帯の沖田総司の攻撃は全て多重次元屈折現象からなる同時行動によるものだった。

 

こちらが攻撃をしても、攻撃を防ぐという行為と攻撃するという異なる行為を全くの同時に行ってくる。逃げても回避できない。そのため、相手が何かするたびに必ずこちら側が手傷を負うという結果になっていた。これでヘラクレスが多次元屈折現象に何かしら対抗できる類の宝具なり、スキルなりを持っていた場合は話が別だが、その類の能力をヘラクレスは持ち合わせていない。

 

「ここまでとは‥‥」

 

その剣技は数多いる英霊の中でも最高峰のヘラクレスをして舌を巻かざるを得ない。

難敵であることは見た瞬間に理解できたが、その能力は自身の予想を遥か上をいっていた。

動きに一切無駄なく、神速で振るわれるその剣撃はもはや芸術に等しい。それに見切り能力や観察眼も凄まじく、ヘラクレスがどう動いても必ず最善手を以て食らいついて来る。

眼前の難敵は多次元屈折現象だけの剣士では決してない。純粋な剣の腕はもしかしたら自分を上回っているかもしれない。

 

ヘラクレスがこれまで戦ってきた剣士の中でも間違いなくトップクラスの難敵。

しかし‥‥だからこそ自身が命を掛けてでも踏破するに相応しい試練。

そんな心中のなかヘラクレスが自身の秘奥義を放つ。

 

「──────『射殺す百頭(ナインライブス)』!!」

 

それは、手にした武具、あるいは徒手空拳により様々な武を行使するヘラクレスが所持する中でも最高の宝具。槍で放たれれば9つ刺突からなる御業となり、弓で放てば、ドラゴン型のホーミングレーザーを9発同時発射する弓撃ともなる。今回、セイバーのクラスで据えられたヘラクレスによって放たれたそれはハイスピード9連撃の斬撃となり、沖田に襲い掛かった。圧倒的なまでの神気が纏わさった、それは、如何な英霊であろうと容易く引き裂き、並大抵の宝具では到底、止めることが出来ない一撃。

 

‥‥‥‥‥だがあろうことか、沖田はその9つの御業をスキルを使うわけでも、宝具を使うわけでも無く、()()()()()()()()

 

「ぬッ!?」

 

目の前のセイバーが強敵であるということは、ヘラクレスも分かってはいた。故にこれで倒せるとは思ってはいなかったが、流石に自身の秘奥義を何の宝具も使わず、しかも初見で完全に見切られたことに驚きを隠せなかった。

そして、ヘラクレスからの攻撃を凌いだ沖田がお返しと言わんばかりに、自身の奥義を叩きつける。

 

「──────『無明九段突き(むみょうくだんづき)』!!」

 

「──────ッ」

 

先ほどのヘラクレスが放った9つの剣劇の意趣返しとでも言わないばかりに放たれた9つの刺突。だが、両者が放った一撃は似ている様で、その本質が全く異なる。

ヘラクレスが先ほど使用した、対人用の射殺す百頭(ナインライブス)は超高速からなる9連撃の斬撃だが、沖田の無明九段突き(むみょうくだんづき)は超高速ではなく、全くの同時に放たれる9つの刺突なのだ。放たれた刺突数は確かに9つであったが、ヘラクレスの目には3つの刺突にしか見えない。3つに分裂した刺突それぞれにもう2つの刺突が、同時同位置に挟まっていたのだ。

 

1つは回避したが、残り2つの事象崩壊現象を引き起こした強烈な突きが頑強なヘラクレスの肉体を消し飛ばした。肉体がここまで損傷したとあっては、例え英霊であったとしても死は免れない。

だが、その常識を覆すだけの術をヘラクレスは持っている。バラバラになった肉体が、まるで時間が逆行するかのように元に戻る。その身体にはかすり傷一つとして残ってはいない。

 

十二の試練(ゴッド・ハンド)

ヘラクレスが持つ宝具の一つ。神話においてヘラクレスが生前踏破した十二の偉業の具現化した、究極の鎧と化した彼の肉体そのものを表すその宝具は12の命を、即ち11回まで蘇生する事が出来るという破格の性能を所有していた。故に一度殺された程度ではヘラクレスにとってはそこまで痛手にはならない。だが、ヘラクレスの顔色が良いとは言えなかった。

 

「(‥‥‥‥今ので4()()()()()()())」

 

ヘラクレスが命のストック数を確認する。

蘇生回数が11もあるヘラクレスの十二の試練(ゴッド・ハンド)であるが、だからと言って油断できるものではない。あの異聞帯の沖田は一度の攻防で自身の命を4つ削って見せたのだ。残りのストックは8。油断すればあっという間に消耗してしまうだろう。

 

「ハァ──ッ!!」

 

ヘラクレスに向けて再度振るわれた、超高速ではなく3つとも完全同時かつ異なる方角から別々に放たれる斬撃。しかも、3つの斬撃それぞれにもう一つの斬撃が同時かつ同位置に挟み込まれており、次元崩壊現象を引き起こすそれは神の彫像ともいえるべきヘラクレスの肉体であってもあっという間に切り裂いてしまう。

 

それが再びヘラクレスに振るわれて‥‥‥‥()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()にとどまった。

 

「ッ‥‥!それは‥‥」

 

「敵ながら見事───ここから先は私も出し惜しみ無しでいかせてもらう」

 

何時の間にか、ヘラクレスの右腕に巻かれていた、一条の帯。その宝具から巻き上がる凄絶な神気は異聞帯の沖田をして警戒させざるを得ない。

それは戦神の軍帯(ゴッデス・オブ・ウォー)と呼ばれる、生前殺めたアマゾネスの女王が持っていた、纏えば戦神アレスの神気を身に宿すことが出来る帯。仮に現代で使った場合は、神秘の薄さから一定以上の能力の引き上げは不可能だが、この異聞帯では神代がそのまま続いている為、本来の力を発揮している。

 

そして、今回ヘラクレスはその帯の能力アップを耐久値にのみ集中していた。

文明の利器であれば決して通さない神獣の裘も、一度受けた攻撃には耐性がつき2度目以降の攻撃が効きにくくする十二の試練(ゴッド・ハンド)も対概念破壊を含めた事象崩壊現象による攻撃は貫通してくる。

 

しかし、神獣の裘と十二の試練(ゴッド・ハンド)による攻撃耐性に、神代に等しい異聞帯にて極限まで能力が高められた戦神の軍帯(ゴッデス・オブ・ウォー)の防御性能上昇による一点集中は対粛清防御にも似た守りを得て、事象崩壊現象を凌ぐことに成功していた。

 

そして、ヘラクレスの変化は防御能力が上がっただけに留まらない。

 

「──────『射殺す百頭(ナインライブス)』!!」

 

先ほどと同様に振るわれた9つの超高速斬撃。ソレを沖田は難なく回避し、自身もまた多重次元屈折現象による複数斬撃をヘラクレスに浴びせる。しかし、それに全く怯むことなく、ヘラクレスは再度、宝具を打ってくる。

 

「『射殺す(ナイン)─────百頭(ライブス)』ッッ!!」

 

 

躱しても躱しても次から次へと超高速斬撃を振るって来るヘラクレス。

沖田の攻撃は躱すことは出来ない。ヘラクレス自身、優秀な見切り能力があろうとも、物理的に回避不能であればもうどうしようもない。

 

ならば攻撃を受ける前提で、行動すればいいだけの話。

そんな意思で、絶え間なく連発で発動された『射殺す百頭(ナインライブス)』は、光速と見違うほどの鋭さで瞬きにも満たない間に1000を超える斬撃になって沖田に襲い掛かっていた。何度躱されようと関係ないと言わないばかりに振るわれる斬撃の嵐は、沖田から余裕を奪っていく。

 

「く───ッ!」

 

同時行動により、攻撃と防御を全くの同時に行える沖田であるが、それでも連続で振るわれる超高速斬撃徐々に押されつつあった。その神気と魔力の応酬が続くその場所にはサーヴァントでも近づけない。

 

「これ近くに居る俺達もヤバくないか‥‥?」

 

「ふふ、ふふ、ふふふふふゥフフフフフフハハハハッ!何とも凄まじい魔力の応酬!流石、世界に名を轟かす大英雄といった所でありましょうや!」

 

そう余裕そうに言いながら、ヘラクレスに魔術による炎を放つリンボであるが、

あの2人の魔力の奔流により、ヘラクレスに触れることすら出来ずに魔力弾を霧散させられていた。

 

「───ッ」

 

流石にこのままでは、不利だと感じ取ったのか沖田が後ろに下がり、いったん距離を置こうとする。

 

「させん、『射殺す百頭(ナインライブス)』ッ!!」

 

だが、沖田を逃がさないとばかりに再度、自身の秘奥義を放つヘラクレス。

先ほどまでの対人用に振るわれた斬撃と違い、対幻想種用のそれは圧倒的なまでの神気と魔力が込められた、9つのドラゴンの姿となり、沖田とヘラクレスの周りドーム状に覆った。

 

「逃げ場を‥‥」

 

逃げ足では沖田のほうが遥かに勝るが、それならその長所を潰してしまえば良い。

ヘラクレスの宝具により、活動できる場所が限られたこの場所でなら、筋力と耐久力で勝るヘラクレスが有利。しかし、沖田は焦った表情を見せることもなく自身の秘奥義を放とうとしていた。

 

「『無明(むみょう)───」

 

再び放たれようとしたその御業に、ヘラクレスが構えをとる。

あの9つの斬撃は回避不能。そして、速度の違いから、攻撃を止めるのももう間に合わないとなれば、自身の射殺す百頭(ナインライブス)をぶつけて威力を弱めるなりして少しでも削られる命を最小限にするのが最善手だろう。しかし、彼の心眼スキルはそれでは不十分だということを本能的に伝えていたが故に警戒もしていた。

 

「───九段突き(くだんづき)』!!」

 

結果としてヘラクレスの警戒は正しいものであった。沖田が宝具を発動した瞬間に沖田の姿が消えて、()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ッ─────!!」

 

すぐに十二の試練(ゴッド・ハンド)により、蘇生を果たすヘラクレスであったが、その顔は驚愕に染まっている。

 

「(今のは───ゼロ時間移動か‥‥!)」

 

沖田の、無明九段突き(むみょうくだんづき)は突き技以外にも様々な形で応用が効く。

今回は、足の移動に応用し、「同時間、同時位置に存在する」という8つの同時行動からなる事象崩壊現象はゼロ時間移動を可能にし、更にソレと同時に振るわれた9つ目の同時行動による斬撃がヘラクレスの首を落としたのだ。

 

最早神の所業としか言えぬその御業にヘラクレスが戦慄する。異聞帯の沖田総司の実力には何度も敬服したがそれでもより一層そう思わざるを得ない。いかな天賦の才、そして研鑽を持ってすれば、あの領域にまで踏み込めるのだろうか。

 

これで残り命のストックは7つ。それにゼロ時間移動ということもあり宝具発動時点で、沖田の射程に入っていたら、もう回避は不可能だ。しかし優れた見切り能力を持つヘラクレスは既に今の技の弱点を見抜いていた。

 

「─────『無明九段突き(むみょうくだんづき)』!!」

 

再度、放たれたゼロ時間移動の斬撃。血しぶきが宙に舞う。

しかし‥‥沖田が振るった剣はヘラクレスの()()()()()()()()で止められていた。

そして、目にもとまらぬ速度でヘラクレス手が剣を持っていた方の沖田の腕を掴み、足を自身の足で踏んづける形で束縛した。

 

「沖田総司───捉えたり」

 

「─────ッ!!」

 

沖田は無明九段突き(むみょうくだんづき)による9つの同時行動のうち8つをゼロ時間移動に費やし、残り1つの斬撃でヘラクレスに攻撃していた。つまり、攻撃そのものに事象崩壊現象が伴えない弱点があるのだ。

 

無論、ゼロ時間移動というある意味で光速を超えた速力を持っての攻撃なので破壊力そのものは凄まじい。しかし、それでも先ほどまでとは違い攻撃が分裂せずに一方向にしか来ないのであれば、攻撃が来るであろう箇所に戦神の軍帯(ゴッデス・オブ・ウォー)の防御力アップを一点集中して防ぐことは不可能ではない。高ランクの心眼スキルに今までの戦いの経験で積み重ねてきた、観察眼を持つヘラクレスだからこそできる芸当だった。

 

そして、ゼロ時間移動は点から点へと移動する空間移動と違い、線から線への移動なのだ。時間が掛かっていないだけで、確かに足を使って移動したという事実が存在する。

つまり‥‥‥足を封じられた今、発動することは出来ない。

 

「『射殺す(ナイン)────百頭(ライブス)』!!」

 

沖田に振るわれる9つの超高速斬撃。動きを束縛された今の沖田にこれを躱すことは出来ない。

 

「─────『無明九段突き(むみょうくだんづき)』!!」

 

だが、9つの斬撃に対応するかのように沖田が9つの手刀による突きを放つ。

剣を持った方の腕は拘束されているが、残った片手に魔術による防御と魔力放出スキルによる強化を加え、さらに威力の低い斬撃の側面方向に攻撃をぶつければ弾くことは出来る。

 

しかし至近距離で攻撃を弾いている為、飛び散る神気と魔力により無数の裂傷を負う沖田。

この世界に召喚されてから初めてダメージらしいダメージを負う。

それは、ヘラクレスも同様であったが耐久力という点においてはヘラクレスの方が勝る。

故にこの場においては、ヘラクレスの方が有利だ。

 

相手が()()()()()()()()の話だが。

沖田とて、ヘラクレスの実力は理解している。ゼロ時間移動の弱点を見破られ、2回目は通用しないという事も分かってはいた。それにも関わらず使ったのは、もう一人のサーヴァントの存在があったからに他ならない。

 

「おやおやおやおや。拙僧のことを忘れてはいないでしょうか、大英雄殿ッ!!」

 

沖田とヘラクレスの周りにはドーム状に形成された射殺す百頭(ナインライブス)が張られていたが、リンボもまた一級のサーヴァント。時間を掛ければ突破することも可能だ。

‥‥‥そして、沖田を束縛している今、リンボからの攻撃は回避出来ず、更に戦神の軍帯(ゴッデス・オブ・ウォー)の防御力アップも今は剣の食い込んだ脇腹と、沖田の腕を抑え込んでいる方の腕に集中している状態だ。

 

「ぐ──ッ!!」

 

リンボの魔力弾が、ヘラクレスの頭に直撃する。呪術にも似た、それはヘラクレスの対魔力性能をすり抜けて、脳に傷を与えていた。

 

「『無明(むみょう)─────九段突き(くだんづき)!!」

 

脳を損傷し、沖田を束縛していた力が弱まった隙に、ヘラクレスからの拘束を抜け出てた沖田は、藤丸に放ったのと同様に9つの突き全てを重ねた、突きをヘラクレスに放った。

 

レーザービームの様に放たれたそれは分裂こそしていなかったものの、咄嗟に発動された一点集中の戦神の軍帯(ゴッデス・オブ・ウォー)による防御能力も、人理の武器では貫けない筈の神獣の裘も、一度受けた攻撃に耐性がつくはずの十二の試練(ゴッド・ハンド)の力も全てを貫通し不死の敵だろうと殺傷するだろう事象崩壊現象からなる一撃は、ヘラクレスから6()()()()を持って行った。

 

「これで残り1つ。時間が惜しい。次で終わりにします」

 

「‥‥‥‥‥」

 

沖田の言葉通り、命の残機はもう一つしかない。いよいよ跡が無くなった。

そしてヘラクレスに止めを刺すべく沖田が自身の聖剣を開放する。

汎人類史では単なる切れ味のいい名刀であったが神秘性の高い神代においてその刀は聖剣として打たれ、更に沖田自身が魔術による強化と無明九段突き(むみょうくだんづき)による同時多発行動をこの剣にで使われ続けて行った結果、対概念兵器としての能力が備わり、三種の神器にも匹敵する武器となっていた。

 

「真名開放───」

 

沖田が自身の宝具に魔力を込めるのと同時に、ソレに応えるかのようにヘラクレスも自身の宝具に魔力を込める。原典においてかの騎士王の聖剣よりも優れるとされる、それは火力だけならエクスカリバーをも凌ぐ。宝具の発動準備に入っただけで、周囲に凄まじいまでの魔力が走る。その場にいる全員が、これが最後の激突になると理解していた。そして、両者の宝具が放たれる。

 

「─────『轟く巨雄の聖剣(マルミアドワーズ)』!!」

 

「─────『菊一文字則宗(きくいちもんじのりむね)』!!」

 

極大の極光が衝突し合う。対城宝具の轟く巨雄の聖剣(マルミアドワーズ)と対概念宝具の菊一文字則宗(きくいちもんじのりむね)

押していたのは、菊一文字則宗(きくいちもんじのりむね)だった。轟く巨雄の聖剣(マルミアドワーズ)から放たれる極光がジリジリと押される。

 

「(‥‥‥やはり押し敗けるか)」

 

対概念兵装として鍛えられ不死の神だろうと殺せるソレは、轟く巨雄の聖剣(マルミアドワーズ)の火力をも突き破ろうとしていた。だが、負けが分かったとしても時間を稼ぐことは出来る。

 

「■■■■■■■■■■────ッ!!」

 

ヘラクレスの叫びに応えるかのように、轟く巨雄の聖剣(マルミアドワーズ)の光が力を増す。ヘラクレスが破れようが、カルデア側が逃げるだけの時間を稼げればこちら側の勝ちなのだ。

 

だが、それも限界が近づいていった。少しづつ押し進んでいた菊一文字則宗(きくいちもんじのりむね)の光が遂にヘラクレスを捉える。

 

「‥‥見事」

 

その言葉を最後に、極光がヘラクレスを飲み込んだ。

カルデア側が去ってから、実に3時間後の出来事だった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

宝具同士の衝突により生まれた極大の光が収まるころにはヘラクレスの姿は何処にもなかった。セイバーがヘラクレスを消滅させた。

 

だが‥‥実質的には俺達の敗北といってもいい。

 

「マスター。カルデアを追跡します。まだ、そこまで遠くに行ってはいない筈です」

 

「‥‥‥‥いや、いい。もうとっくにあいつらはストームボーダーの中だろ。それこそ、神でも追跡が難しいレベルでのステルス性能で隠れている筈。次にストームボーダーの中から出て来るとしたら、傷が完治した後」

 

「‥‥‥‥」

 

「‥‥もう、追跡は無理。‥‥‥‥‥ゲームオーバーだ」

 

‥‥‥‥‥詰んだ。あれが‥‥あれが一番うまくいく可能性が高かった策なのにぃ!!

夜通し考えて思いついた策が‥‥。セイバーが藤丸の首を落とした瞬間は「やったか!?」と思ったのに‥‥。いや、むしろそう思ってしまってのが駄目だったのか?

 

首が落ちても死なないって何なの?藤丸君まだ人間の枠組みからは外れていなかったよね?いつから人間やめたんだよ!!あと一歩のところまで追い詰められて結局は逃げられるって、典型的な主人公勝ちパターンじゃないか。やばい、やばいって‥‥。

 

「マスター、諦めるのはまだ早いかと。今後もやり方次第ではやれない事も無いかと」

 

「いや‥‥今回のが一番可能性が高かったんだぞ?可能性が一番高かった策でも駄目だったのに、それより可能性が低い策で成功するとは思えないし‥‥それにセイバーの正体もあいつらに知られちゃったし」

 

セイバーの正体が知られた以上は同じ策はもう通用しない。

それに、今回は、マスターの藤丸が死に体だったからラーマ、モードレッド、エルキドゥ、ホームズの4騎がかりでもセイバーは圧倒出来たけど、藤丸が完治した後の万全な状態ではこうもいかないだろう。

 

セイバーは強力なサーヴァントだが、エルキドゥもセイバーに見劣りしない程強力なサーヴァント。勿論、一対一ならエルキドゥが相手でも十分勝てる見込みはある。だが、流石にエルキドゥ含めた4対1で、今回みたいに魔力不足の縛り無し、近くに死に体のマスター無しの状態で真正面から渡り合うのは流石に厳しいだろうし。

 

真正面からでは勝ち目が薄い。だからこそ、今回の策だったのに‥‥失敗した。

まあ、セイバーの言う通り、まだ、可能性が無いことも無い。

真っ向勝負からで厳しいのであれば、藤丸達が神々と戦い消耗した後を狙う等の手はある。

それでも、今回失敗した以上は上手くいかない気もするが‥‥‥‥。

 

くそ‥‥令呪を切るという手もあった。今回はあと一歩の所までカルデアを追い詰めていたのだから、セイバーに令呪ブーストを掛ければ届いていた可能性が高い。

だが‥‥()()()のことを考えると、令呪を切ることができなかった‥‥

 

そう考えるとリンボが微笑みを浮かべながらこちらに近づいて来た。

 

「心配されるな、我が主よ。貴方には拙僧が授けた秘策があるではありませんか。あの策を持ってすればカルデアも異星の神のことも、貴方の悩みは全て解決されますとも」

 

「‥‥‥その奥の手は、失敗した時のリスクが大きいから出来ればやりたくなかったんだけどな。ただ、こうなった以上はそうも言ってはいられないか‥‥。もう一度聞くけど、上手くいく可能性は高いんだよな?」

 

リンボの語る奥の手。それは、()()()()をリンボとセイバーに話したときに、リンボから提案された策。正直、この世界において余裕なんて無かったので、少しでもカルデアへの勝率を上げるために話した訳だが‥‥上手くいけば、リンボの言う通り、異星の神問題もカルデアも悩み要素全てを解決できるかもしれない一手だ。だが‥‥失敗した時のリスクがハッキリ言ってデカすぎる。だからこそもう一度、リンボにそのことを確認した。

 

「ンフフフフフフ。ええ、勿論ですとも。この()()()()の全ては、根源から始まっております。拙僧も沖田殿も、この世界も全て全て全て全て!根源によってその存在を定義づけられている!存在だけに飽き足らず、拙僧たちがいつどこ何をして何を話すのか、文字通り全てが!!()()()()()を除いてですが。然し!これは逆説的には、根源に定義づけられたこと以外は拙僧たちは存在を含めて何も出来ないという事。では‥‥‥‥()()()()()()()()と我々が交わればどうなるのでしょうか?」

 

「‥‥‥‥」

 

「─────それ即ち消滅!消滅である!!根源はこの型月世界における絶対のルール!そこに属さぬものとの交わりは‥‥根源によって記載のない行動はこの世界からの消滅を意味するッ!! 型月世界の創造神によってこの世界の全てが根源に属していると決められた以上、第2の根源に等しい天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)ですらこの定義には逆らえぬ!!」

 

「確かに、それについては私と貴方でもう何度も検証をしましたが‥‥」

 

「ええ、その通りです、その通りですとも。沖田殿と拙僧の魔術にてもう何度も検証したではございませぬか、マスター。拙僧を信じなされ。貴方の魂に拙僧たちが如何様な術を掛けようとも‥‥アナタの魂に触れた途端に消滅が確認されたのですから」

 

「‥‥‥‥その理論だと、根源に属さない俺の魂はこの世界には存在できないという事にならないか?というかそもそも魂が入ってる今の身体も消滅しなければおかしいし。魂は別でも身体はこの世界で生まれたものだから、普通に根源に属しているものだろ?」

 

「根源が全てだというルールは、あくまでも型月作品の中での話ですが故。外から来たマスターにはこれは適応されませぬ。故にこそ消滅するのは一方的に相手側という事になるのですよ。マスターの身体が消滅しない訳に関しては‥‥拙僧も明確な根拠があるわけではなく予想でしかありませんが‥‥貴方様をこの世界に()()()()()()とやらが、そこら辺のことを上手くやってくれたのでは?でなければ転生させるという行為が無意味になってしまいますからねぇ。魂に定着するべき身体のみ消滅しない様にと細工があるものかと。これに関しても拙僧の式神で検証済みですので。ンッフフフフフ…」

 

「まあ、確かにそうか‥‥」

 

「故にこそ拙僧の策は、上手くいきますとも。貴方様は必ずや()()()()()()()になることが出来るでしょうぞ!()()()()()()()()()()()()()()()()に!!」

 

高笑いを続けるリンボだが‥‥やっぱり怖い。

失敗した時のリスクがどうにも‥‥‥とはいえもう腹を括るしかない所まで来ている気もするが。一応、俺達クリプタ―陣営のことは、神々側も干渉しないというか『耳』が付かないということになっている。リンボがそこら辺の契約を取りまとめてくれた。

 

空想樹のことや異星の神関連の情報をむこう側に提供することと引き換えに。そういう約束なわけだから神様達が約束を破っていない限りは、まだ俺達の策のことは神様側も知らないとは思うが‥‥

 

まあ、そもそも神様方がカルデアを仕留めてくれれば、良いのだが‥‥ハッキリ言って望み薄だし。‥‥やるしかないのか。そう考えていると、今度はセイバーがこちらに話しかけてきた。

 

「マスター。マスターの仰られる原作知識関連のことで思い出したのですが、カルデアの者たちが気になることを言っておりました」

 

「ん‥‥‥?」

 

そう言って沖田が魔術で投影したのは、空色の髪と赤い瞳が特徴の11~13歳ぐらいの少女だった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

ストームボーダーにて。

 

気を失っていた藤丸が目を覚ました。後少しでも遅ければ、取り返しのつかない所ではあったが、ストームボーダーにて治療を受けた藤丸は何とか一命を取り留めていた。

 

「ここは‥‥」

 

「立香先輩!良かった‥‥」

 

「マシュ‥‥?確か俺達は‥‥」

 

記憶が混濁としているが、それでも必死に記憶をたどろうとする。

あのクリプタ―と戦闘になったこと。そして‥‥沖田に首を落とされたこと。

藤丸が少しづつ思い出していこうとするなか、ダ・ヴィンチが藤丸に声を掛けた。

 

「ちゃんと喋れるまで回復したようで何よりだ。もう3日も寝たきりの状態だったからね」

 

「え‥‥‥3日もですか!?」

 

「うん、本当に危ない状態だったからね」

 

後1分でも治療が遅ければそのままお陀仏だったと聞かされ本当に自分が危ない状態だったと自覚する藤丸。その後、ダ・ヴィンチからの説明を受けて、自分の首が落ちた後の事柄も全て把握した。汎人類史のサーヴァントを悉く殲滅したのがセイバーの正体が沖田だったこと、デオンが消滅したこと、そしてそんなカルデアの窮地に駆け付けてくれたのがヘラクレスだったことも。

 

「うむ。立香の首が落ちた時は心臓が止まるかと思ったが、結果的にはどうにかなったと言える。これも私の日頃の行いが良いからに違いない。」

 

そうドヤ顔で言うゴルドルフ。

なお、藤丸のサーヴァント、特にエルキドゥは消滅寸前だったが、今は傷も完治している。

沖田に落とされたマシュの左腕もエルキドゥが密かに回収していたらしく、元通りになっている。だが‥‥良いニュースばかりでは無かった。

 

「このタイミングで君が目覚めてくれたのはある意味、幸運だったとも不幸ともいえる。先ほど日本の空想樹の動きが()()()になった。魔力値が凄い勢いで上昇している」

 

「それって‥‥‥」

 

「ああ、恐らく空想樹が()()()()()()()している」

 

「なっ、それじゃあ今すぐ──いッ!?」

 

「立香先輩!?」

 

藤丸が身を乗り出そうとするのと同時に首元に激痛が走る。

倒れそうになった藤丸をマシュが支えた。

 

「異聞帯の沖田君に切断された首の神経は何とかつなげることが出来た。けど、まだ病み上がりな上に無茶をすれば繋げた神経がまた異常をきたすかもしれないから気を付けてね」

 

「‥‥‥‥空想樹の完成まであとどのぐらいの猶予があるんですか?」

 

「この様子だとオリュンポスの空想樹と同じ域に至るまで6時間かからないだろうね」

 

完成された空想樹がオリュンポスのキリシュタリアの言葉通り、外部からの攻撃を受け付けないのであれば今のカルデア側にソレを何とかする術はない。一刻も早く搾取しなければならないだろう。だが、問題は山積みだ。

 

「現状で我々が討伐した神はヒダル神だけ。残りの神は最低でも11柱はいる上に、あの異常なまでに強い沖田君にリンボもいる。それらの壁を突破してあと6時間以内に片付ける必要がある」

 

「ぬぬぬ‥‥‥それはもう不可能といってもいいのでは‥‥?あの神やセイバーだけでなくスルトやアルジュナめを圧倒した例の少女もいるのだろう‥‥?」

 

なお、藤丸とクリプタ―の戦いの時には例の少女はいなかったというのがカルデアの結論になっている。確かにヘラクレスがカルデアの窮地に駆け付けてはくれたが、仮に例の少女もソコに加わったとなれば、間違いなく藤丸は殺されていた。カルデア側とクリプタ―が戦闘になった初めの内はどこかに隠れ潜んでいるのかもしれないという考えがあったが、確実に敵を殺せるタイミングになってもまだ、隠れ潜んでいるというのは不自然すぎる。

 

故に何らかの事情によりその場にいなかったか、もしくは望み薄ではあるがカルデアが日本に突入するまでの間に汎人類史側のサーヴァントの誰かが倒してくれたという可能性がある。仮にそうだとしたら「異聞帯の民に空想樹の効果を再現する」というのも消滅しているかもしれない。その逆で術者本人が消えたことで、永遠に解けなくなってしまっている可能性もあるが。

 

「確かにMr.ゴルドルフの言う通り厳しい状況ではあります。ハッキリ言って勝つのはもう絶望的だと言ってもいいでしょう」

 

「言い返さんでもわかっておるわ!そもそも、勝ち目など殆ど無いというのは日本に突入する前から分かってはいたことであるからな‥‥。だが、それでも我々は進まなければならんのだよ!そうでなければ‥‥今まで消えていった異聞帯の者達に顔向けできん‥‥」

 

ゴルドルフの言葉に藤丸が同意するように頷く。

 

「ええ、他の世界を消した俺達には責任があります。どちらの世界が優秀とか関係なく進まなくちゃいけない責任が。‥‥‥俺の言いたかったこと、所長に取られちゃいましたね」

 

「ふん!いつもは私の言いたいことをお前に取られてばっかりだからな。私も言う時はいう。だてに『ムジーク家のゴルドルフここにあり!』とカッコよく散ろうとしているわけではないのだよ」

 

「いや、前にムニエルさんも言っていましたけど、死ぬ前提で戦おうとしないでくださいよ‥‥確かに死ぬ覚悟はこの世界に入る前にしましたけど‥‥」

 

ジト目でゴルドルフを見つめる藤丸。だが、自分のやるべきことを改めて自覚した。であれば、後は進むだけだ。次のストームボーダーの向かい先は空想樹。

 

空想樹完成まであと6時間。カルデアが空想樹に向かっている以上、勝つのが日本異聞帯にせよカルデアにせよ少なくとも決着はつくだろう。

 

カルデアが空想樹付近にまで近づいた所で、藤丸達がストームボーダーの外に出る。

メンバーはエルキドゥ、マシュ、ラーマ、モードレッドの4騎だ。

なお、新たなサーヴァントの補充に関してはカルデア側の負担できる魔力や藤丸が病み上がりだという点を考慮してされなかった。

 

 

そして、空想樹までの距離が100mほどとなったタイミングで、エルキドゥが突如何かを察知したかのように上空に顔を上げた。

 

「来るよ!!」

 

その時、はるか上空から無数の光帯が藤丸達に向かって降り注いだ。

 

「マスター!『いまは脆き夢想の城(モールド・キャメロット)』!!」

 

マシュがそれらの光帯を自身の宝具にて防御する。

その凄まじいまでの威力を持っていた光帯は、エルキドゥの援護もあってようやく防ぐことが出来た程の破壊能力だった。

 

「2人とも大丈夫!?」

 

「ああ、何とかね。それよりも‥‥空を見てごらん。どうやら神自ら僕達を歓迎してくれるようだ」

 

エルキドゥの言葉につられて空を向けると、そこには白色を基調とした神御衣を羽織った紫髪の中性的な男がいた。

 

「お前たちの進軍もここまでだ。────カルデアの者たちよ」

 

日本異聞帯の中でも、三貴神に数えられる神────月読命(ツクヨミ)神がカルデアの前に立ちふさがった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

とある場所にて。

そこには、異星の神の使徒である千子村正とラスプーチンがいた。

 

「『異星の神』はどうした?ここに来るなり工房に閉じこもっちまって。あれだけ息巻いたのに大人しいもんだ。やっぱりあの王サマに傷付けられて日和っちまったのか?」

 

「そう言うな。まさか、あそこまで対策をしていて尚、あれだけの手傷を負わされたのだ。異聞帯のモノ、特に()()()()()()()においては絶対的な優先権がある故に圧倒できるという考えは捨てなければなるまい。流石に()()()()()の域にまで到達した王。一筋縄ではいかないようだ」

 

やれやれと首を振るラスプーチン。とはいえ、そのおかげで『異星の神』が使徒の存続を許可するようになったので、ある意味助けられたともいえるが。

 

「それで神サンはより強力な身体を求めているってわけか。」

 

「ああ、『異星の神』は今の器より、より強固な器をお望みだ。アラヤが安定した世界では眠りにつきガイアが出現する世界では蠢動するもの。オールトの雲より飛来した、極限の単独種(アルテミット・ワン)をね」

 

「それで‥‥首尾よく今より強い身体を手にしたとして勝てるのか?」

 

「さて、どうだろうね。白き滅び(セファール)、数多の極限の単独種(アルテミットワン)、アトランティスの機神達、そしてその機神達全ての母神(カオス)‥‥‥パンゲア異聞帯において飛来してきたその全てを、かの王は瞬く間に殲滅している。今や、根源における世界のほぼ全てを内包した極大の極限の単独種(アルテミット・ワン)だ。」

 

「聞いてるだけでもとんでもないな、あの王サマ‥‥」

 

「それも仕方あるまい。かの王に対抗できるとすれば、同じく対根源宝具の域に至ったもののみ。それこそ───原初の天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)のようにね。さて、話はここまでだ。君も異星の神から与えられた役目を全うするように」

 

その言葉を最後にラスプーチンは異星の神の望みを叶えるべくその場を去った。

 

 

 

 

 




おまけ1 パンゲア世界の十二機神達

汎人類史と同じようにパンゲア異聞帯に到着したが、到着した場所の魔力濃度が神様でもヤバいレベルの場所だったため、攻撃を受けたと勘違いしたゼウス達がパンゲア異聞帯に向けて攻撃を開始。そのままパンゲアにやられるという形に。ゼウスがやられる直前にカオス神を呼んでいるが、そのカオス神もパンゲアにやられてる。

ただその後、何とかアバターを動かせる程度には無事だったゼウス達はパンゲア異聞帯に住み着いてギリシャ地帯の神様になる。なお、本体である機体は修復出来ずに完全に壊れてしまい、性格等は汎人類史のオリュンポス神と若干違いが出てる神がいる。第5話参照してね。

例えば、ゼウス神は口調などは大西洋異聞帯のゼウスと同じだが性欲神になっており、パンゲアに襲い掛かって光帯を喰らった過去がある。



おまけ2

パンゲアの絵を描いてみたので載せてみました。
ただ、ツールで書くの無理だったので鉛筆で書いてあるかつ雑な所がありますが、ご了承ください。


パンゲアの絵

【挿絵表示】


パンゲアの絵(SD)

【挿絵表示】



皆さんの中のパンゲアってこんな感じで合っているでしょうか?
取り敢えず皆の意見聞きたいので、アンケ取りました。ただ、皆の意見を知りたいだけで、書き直すかどうかは作者の気分と時間の都合によりますのでご了承ください。









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