FGOの世界に転生して、Aチームに所属したら異星の神に選ばれてしまった件について   作:ハセカズ

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お久しぶりです。

凄く期間が開いた割に、展開があんまり進んでない‥‥。

今やってる章に関しては、後1~3話で戦いが決着の予定です。

また、誤字報告してくれる方、いつもありがとうございます!
誤字が沢山あってごめんなさい‥‥






前回までのあらすじ



藤丸「こ、ここが高天原(タカマガハラ)‥‥!感じる‥‥天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の魔力を‥‥」







第25話 始源神界領域 高天原(タカマガハラ)7

カルデアと天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の戦い。

汎人類史と日本異聞帯の世界を巡るその争い苛烈を極めた。伊邪那美(イザナミ)の加護によって神霊に匹敵する力を得たカルデアの面々であるが、それでも天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)は難敵だった。

 

加護により神霊に等しい力を得たカルデアの面々、そして全力の伊邪那美(イザナミ)が加わることでやっと互角になったほどだ。天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)が自身の権能で生み出した、炎や風、光の球体を捌きながらも、カルデア側が切り札の使用準備に入る。

 

発射までに時間が掛かる切り札だが、今は伊邪那美(イザナミ)、モードレッド、ラーマが

天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)を抑えてくれている。

 

「立香さん!今です!」

 

「分かっています!令呪装填!─────マシュ!」

 

藤丸の手の甲にある3画目の令呪がブラックバレルに装填される。

天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)との戦いの最中に2画消費した。

これが最後のチャンスだ。

 

「はい、マスター!バレルレプリカ、フルトランス‥‥‥!いって‥‥霊基外骨骼(オルテナウス)!」

 

「ッ‥‥!」

 

神をも打ち落とす弾丸。だが、ブラックバレルを以てしても天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)は致命傷を負わない。咄嗟に展開された防御系の権能にてダメージを減らされてしまった。無傷というワケではなく今のでかなりの手傷を与えられた。しかし、カルデア側の令呪が全画消費された以上はもうブラックバレルは撃つことが出来ない。

 

日本の神が不死身であることを考えれば、かなりの窮地と言ってもいい状況だ。

だが‥‥カルデア側の刃は確かに天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)に届いていた。

 

「まさか─────私が先に膝を地につけた‥‥?」

 

ブラックバレルを受けた後の自分を信じられないかのように見る天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)。かなりの傷を負いはしたが、致命傷というワケではない。まだ、戦闘は十分可能だ。それにもかかわらず、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)は片膝を地に付けていた。カルデアの、藤丸の気迫ともいえる何かに屈したかのように。

 

「どうやらそのようですね‥‥天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)

 

「‥‥伊邪那美(イザナミ)

 

「貴方はこの世界にて最も強く、そして人を民達を愛する御方です。我々が貴方と戦えたのも貴方がこの世界の民のことを思うからこそ‥‥」

 

「‥‥‥‥」

 

伊邪那美(イザナミ)の言葉に何も言い返さず黙っている天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)。だが、今の言葉にホームズは疑問を感じたようだった。

 

『‥‥それはどういうことかな? 伊邪那美(イザナミ)神』

 

「‥‥原初の天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)は対根源の存在。日本の神として君臨する際にその力を封じたと私は以前に伝えました。ですが‥‥対根源の力を封じた状態であったとしても‥‥天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)は本来であれば宇宙の最高神に等しいだけの力を所有しているのです‥‥」

 

「宇宙の最高神‥‥?」

 

「ええ、ですから本来であれば‥‥私がいたとしても互角に戦う事はできない。その気になれば宇宙そのものを滅ぼすことが出来るだけの力をあの御方は所有しているのです‥‥」

 

伊邪那美(イザナミ)の話はまだカルデア側に伝わっていない話であるが、かつて白き滅び(セファール)が襲来し、日本の神の殆どが死に絶えた際に、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)は自身の存在定義を日本の最高神から宇宙の最高神へと書き換えている。

 

それはこの宇宙だけでなく‥‥()()()()()()()()()()()()というもの。つまり全ての宇宙において最強の存在へと至っている。

 

だが、伊邪那美(イザナミ)の加護ありとはいえ、実際にカルデアの面々だけで天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)と戦うことが出来たのだ。

 

その理由を伊邪那美(イザナミ)が語りはじめた。天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)が何をしてきたのかを。

 

天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)はかつて白き滅び(セファール)が襲来した時のようなことを二度と起こさないために、力を費やしてきたのだ。

 

「‥‥‥天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)はその力の殆どをこの異聞帯の民を守る為に費やしています。本来であれば全ての宇宙に届くだけの結界をこの星に張り‥‥そして民達にも守りを施して‥‥かつての白き滅びのような外来種がもう二度とこの星に手を出せない様に」

 

例え、外宇宙からの異物であろうと、別惑星からの侵入者であろうと決してこの地球に害をだせない様に施された数えきれないぐらいの数多の権能。それはこの日本異聞帯では現在も生きている。

この神はセファールに破れてからの1万年以上そうして人間たちを守り続けてきたのだ。

 

「貴方はそこまでして人々を‥‥」

 

「‥‥‥‥当然のこと。私は、『天の戦い』で数多の同胞を手に掛けた。人の可能性を信じ、後の世を託そうとする神々を。故にこそ‥‥この星の民達を守らなければならないのだ。そうでなければ、何のための戦いであったか。何のための犠牲であるか。私はこの世界の最高神として人々に平穏をもたらさなければならないのだ‥‥」

 

「確かに人を守り続けたという点において貴方を超える神は後にも先にも決して現れないでしょう。貴方は『天の戦い』で散った神々が担う筈だった、役割をもただの一柱で背負っています。ですが‥‥貴方ももう気づいている筈です。我々がいなくても‥‥人は自立できる。その可能性を彼らは見せてくれました」

 

「‥‥‥‥」

 

伊邪那美(イザナミ)からの言葉にしばらく無言だった天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)であるが、やがて藤丸に声を掛けた。

 

「‥‥‥‥カルデアの藤丸立香よ。1つ問う。汎人類史の民たちは皆、お前の様に強いのか?あらゆる苦を乗り越えられるほどに」

 

「それは、分かりません。ただ、これだけは言えます。今回もこれまでの旅も‥‥俺一人では絶対に乗り越えることは出来ませんでした。そして‥‥俺以外の誰かだったとしても今回、力を貸してくれた皆は協力してくれると思います」

 

その言葉を目を閉じ静かに聞いていた天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)

伊邪那美(イザナミ)も同じ様子だった。

 

「そうか‥‥。人は脆く弱い。だが、だからこそ‥‥‥だからこそ困難を乗り越えるために手を取り合う。そして考える。『人は考える葦である』というのは汎人類史の言葉であったな。まったく‥‥何とも生き汚くしぶとい者たちよな。完璧なる個ではなく群体として障害を乗り越え、未来にたどり着こうとする。ソレが汎人類史の人か‥‥」

 

天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)‥‥」

 

「‥‥この地の空想樹は私が管理・制御している。我が権能に守られているが故に、誰にも干渉は出来ない。‥‥‥だが、ソレを今しがた()()した」

 

「え‥‥それって」

 

「我が膝は其方たちに屈した。空想樹は好きにするが良い。この戦い‥‥其方たちの勝ちだ」

 

「ッ‥‥‥」

 

天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)が負けを認めた。

その事実に、藤丸の胸中に言葉では言い表せない程の歓喜が走った。

ストームボーダーからの通信をよく聞くとカルデア職員の何人かが涙を流し、抱き合っている者もいる。

 

『か、勝った‥‥?勝ったのか?お、おお、おおおおおお!?この世界ではもう死ぬしかないと思っていたが、我々は遂に成し遂げたのだ!ワハハハハハ!』

 

『ええ、どうやら所長の銅像がこの世界に立つことも何とか回避できたようですね』

 

中でも高笑いするゴルドルフ所長の声が良く聞こえていたが、ここまでカルデア職員が喜びを見せるのは人理修復を成し遂げたとき以来だ。

今回は、全員死ぬ可能性が高いと言われていた分、喜びも大きいのだろう。

藤丸もホッと一息ついたところで、ある問題が残っている事を思い出す。

 

あのクリプタ―の仕掛けてきた「民を皆殺しにしなければ世界が消えない」という策についてだ。天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)が負けを認めた以上は、そちらも何とかしてもらえるとは思いたい‥‥そう考えて藤丸が確認しようとしたところで不意に男の声が聞こえた。

 

「ンンンンン。最高神ともあろう御方がこの世界を守るという役割を放棄なさるとは何ということであろうか!ですが安心なされよ。その役目は()()()()()()()()()()()()()

 

その直後に天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)に身体に異変が起きた。

 

「─────ッ!」

 

まるで強烈な電流が流れたかのように硬直してしまう天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)

 

天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)!?」

 

藤丸が異変の起こった天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の方に意識が向くが‥‥その隙を突くかのように遠方から魔力の炎が飛んでくる。

 

「マスター、危ない!」

 

マシュが攻撃をガードする。今の炎にはカルデア側にも見覚えがあった。

 

「リンボ‥‥!」

 

攻撃の届いた方角を見ると、そこにはリンボと沖田そして‥‥日本担当のクリプタ―がいた。だが、クリプタ―の様子がおかしかった。

 

「ぜぇ‥‥ぜぇ‥‥気持ち、気持ち悪い‥‥。思ったより、きつい‥‥」

 

肩で息をしており、顔は真っ青だ。まるでもうすぐ消えてしまう蠟燭のように弱弱しい生気しか感じられない。リンボの支えがあってようやく立てているという状態だ。

 

天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)に起こった異変。そして、今にも死にそうなクリプタ―。それらの状況にホームズは直ぐに答えにたどり着いた。

 

『─────大令呪(シリウスライト)か!』

 

「な‥‥大令呪(シリウスライト)を使ったんですか!?それでは‥‥先輩の命は‥‥」

 

ホームズとマシュの指摘に、リンボが邪悪な笑みを浮かべることで答える。

 

大令呪(シリウスライト)は「新しい世界に塗り替える」という世界を覆す桁外れの力。

元ですら途方もない魔力リソースであるが、そこから更に沖田とリンボによる手が加えられた特別製のそれは、発動すれば文字通り神を縛り思うがままに操る事さえ可能だ。

だが、いくら大令呪(シリウスライト)といえど、最高主神───それも対根源の天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)を縛り付けるというのは流石に無理がある。

 

しかし、日本の神として降臨する際に天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)は対根源としての力を封じており、セファール襲撃後に自身の定義を宇宙における最高主神へと書き換えたが、宇宙の最高神としての力ですらも地球に住まう民を守るため、そしてその運用に殆どの力を費やしている状態だ。

 

おまけに残された僅かな力でさえも今はカルデア達との戦いで決して少なくない消耗をしている。更に大令呪(シリウスライト)もリンボ・沖田の魔術が加わえられ、その上で更に令呪3画をつぎ込まれ、強化されている状態。

ここまでの条件が揃えば大令呪(シリウスライト)の効力を『ただ一度の命令を実行させる』という範囲に絞り、更に命令を単純かつ内容が明確なものにすればただの一度に限り、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)という最高主神に言う事を聞かせるというのも決して不可能ではない。

 

とはいえ、ソレが意味のある行為であるとは決して言えないが。

 

「先輩‥‥なんで‥‥。大令呪(シリウスライト)は命と引き換えにその効力を発揮します!そしてその代償はどんな手段でも絶対に代替できないものだということも貴方は知っている筈です‥‥!」

 

「‥‥‥‥‥」

 

悲痛そうな顔を浮かべるマシュの言葉に返すだけの余裕が無いのか当の本人は無言のままだ。マシュの指摘通り大令呪(シリウスライト)を使った以上、あのクリプタ―はもうすぐ死ぬ。これは神の権能を以てしても覆すのは容易ではない。しかもクリプタ―側が天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)に命令を下せたとしても一度だけ。いくら強化されたと言ってもソレが大令呪(シリウスライト)の限界だろう。

 

「私にカルデアの者たちを始末させる気か‥‥?無駄だ、そんなことをしても私の考えはもう変わらない。私は道を汎人類史に譲ると決めたのだ‥‥!」

 

仮にクリプタ―が天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)を操ってカルデア側を殲滅したとしても、それで大令呪(シリウスライト)の効果は切れる。天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の言葉通り既にカルデアとの決着はついている以上、カルデアがいなかろうが、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)は自らの手で汎人類史が生き残るように行動するだろう。

そもそも、大令呪(シリウスライト)に縛られ無理やり戦わされている天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)であれば伊邪那美(イザナミ)神を含めたカルデアのメンバーで問題なく対処できる。

 

「ハァ……ハァ……。ええ‥‥だからこうするんですよ」

 

だが、当の本人の顔は真っ青だが、自棄になって行動しているような顔では決して無い。

その本人の言葉に、嫌な予感を感じた伊邪那美(イザナミ)が目の前のクリプタ―を抑えるべく、権能にて編まれた光の鎖をクリプタ―に向けて放つがそれを多次元屈折現象からなる9つの突きにて沖田が打ち落とした。

 

「マスターの邪魔はさせません」

 

「ッ‥‥!」

 

ただのサーヴァントである沖田では、伊邪那美(イザナミ)にも天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)は敵わない。だが、曲がりなりにも神の領域にまで届いた最強の剣士。

例え英霊となりその力が削がれていようとも、神の権能にも等しい御業は健在。そのため時間を稼ぐことなら可能だ。故に‥‥その命令を言われてしまった。

 

「さあ、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)! ────()()()()()()()()()()()()()()!!」

 

「ッ‥‥‥‥!?」

 

一瞬、静寂が場に走った。あのクリプタ―の言葉の意味が分からなかったからだ。

だが、大令呪(シリウスライト)で縛られている以上は、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)は自分の意思に関係なく行動することになる。

 

すぐさま命令をした本人に飛び掛かり、そして魂ごとその肉体が天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の体内に取り込まれた。

 

「え‥‥‥?」

 

何が起きたのかが理解できない。いや、というよりはあのクリプタ―は何がしたかったのかが理解できない。藤丸の目にはわざわざ大令呪(シリウスライト)を使って自殺したようにしか見えなかった。

 

「─────っ‥‥あ‥‥?」

 

だが、異変は直ぐに訪れた。

それはクリプタ―を取り込んだ天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の身におこる。

 

「あ、あぁ‥‥?ガ─────アア“ア“ア“ア“ア“!!?」

 

天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)!?」

 

「──────────」

 

突然苦しみだした天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)。だが、時間が停止したかのように急に天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の動きが止まりその身体が光に包まれた。

 

「これは‥‥‥‥!?」

 

その異変にすぐ気が付いたのは、伊邪那美(イザナミ)神だった。

それに続くかのように、ストームボーダーの機器も天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の異変を察知した。

 

『─────天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の魔力量が増大!何だこの魔力量!?天体規模どころの話じゃないぞ!?しかも、凄い速度で魔力量が上昇して‥‥!』

 

『な────有り得ん!何だこの馬鹿げた数値は‥‥!?』

 

カルデアの機器が察知した魔力量は、もはや神どころか星という超極大の生命体ですら到底収まりきらない程のものになっていた。力を振るえば太陽系どころか銀河系が吹き飛んでもおかしくないほどに。しかも、その力ですらもはや過去のものだとでも言わないばかりに魔力量が爆発的に上昇していた。()()()()()で。

 

「まさか‥‥散りばめていた、力を戻している‥‥?いや‥‥ですが‥‥そんな、そんな筈が‥‥!!」

 

天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)を良く知る伊邪那美(イザナミ)神は何故、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の力が急激に増大していたのかについてすぐに気が付くことが出来た。天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)は魔力量が増大しているのではなく、元に戻っているだけなのだ。宇宙の最高神という、この宇宙において無上の存在へと。

 

だが、それはつまり‥‥絶対に有り得ないことが起きているという事に他ならない。

故に伊邪那美(イザナミ)はその可能性を直に否定する。だが、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の力は今もなお膨れ上がり続けている。

 

「(この魔力量‥‥ゲーティアの比ではない‥‥!一体どこまで上がって‥‥!?)」

 

ホームズの考え通りに掛け算方式で爆発的に増大していく魔力量。

獅子王、ティアマト、ゲーティア、スルト、神たるアルジュナ、月読命(ツクヨミ)火之迦具土神(ヒノカグツチ)久久能智神(ククノチ)‥‥魔力が全く感知できない例の少女を除いた考えうる限りの強敵たち。その誰であろうが恐らくはアレの指一本分にすらならない。それほどまでに圧倒的なまでの力の渦だった。

 

「ッ‥‥‥‥」

 

天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)は光に包まれたまま、一切身動きを取っていない。止めるなら今がチャンスだが、この場を動けるものは誰一人としていなかった。

天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の魔力量があまりにも凄すぎて、呼吸をするだけでも精一杯だった。

 

そんな天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の様子を見たリンボが、自身の策が上手くいったことを確信する。

 

「ンンンンンンンンンンンン!フハハハハハ!これほどとは想像以上!もはや、人類悪などという器ですら極小でしかない‥‥無上の存在がここに成るのだ!いやはやいやはや。一時はどうなるかと思いましたが‥‥結果良ければ全て良しとしましょう!儂の策にて!我が主は!最強の『異星の神』へと至るうううううううぅウウウウウウウ────!!」

 

「異星の‥‥神‥‥?」

 

余りの超魔力に存在すらもそのままはじけ飛んでしまいそうな程の圧を受けながらも、

藤丸はリンボの聞き逃すことの出来ないワードに食いついた。

 

「ええ、ええ、ええ。マスターから無限の忠と愛を以て『異星の神』に仕える別なる拙僧の話を聞いた時に考えてしまったのです。『異星の神』の存在を実際に感じ取った時に思いついてしまったのです。拙僧にも‥‥否!拙僧だけの『異星の神』が欲しいと‥‥ね?」

 

「は‥‥‥?」

 

「ええ、拙僧は拙僧の為の『異星の神』が居ても良いと考えたわけです。そして‥‥我が主の魂を見て、そして『原作知識』を聞いて確信しましたとも。我が主なら別なる拙僧が仕える『異星の神』なぞとは比較にならぬ『異星の神』になれると。ええ、ええ、拙僧は思い至った!日の本に!究極無上の『異星の神』を作ってしまえと!」

 

藤丸にはリンボが何を言っているのかが理解できなかった。

それに『原作知識』という謎のワードが出ていた。だが、ソレに気を掛けられる程の余裕が無い。

 

「ンンンンン何たる優雅、何たる合理、何たる王道!いやはやいやはや、どんな人間にも驚くべき点はあるもの。ただの取り柄のない三流魔術師かと思い‥‥ンンッ!失敬!拙僧はマスターの忠実なる下僕。ええ、マスターは根源界外より現れし貴き御方と考えておりますとも」

 

「何を言って‥‥‥」

 

藤丸には、そしてカルデア側の誰もがリンボの言っていることが理解できない。

だが、一つ確かなのは、リンボの後方にいる天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の魔力値がもはや宇宙の全てを凝縮して、人型にしたとしか表現できない程のものになったということだった。

 

「ンンンンンン!さあ─────見るが良い!究極無上の『異星の神』の降誕を!汎人類史もカルデアもこれにてお終い!究極無二の身体!そして根源外の魂!拙僧の策はここに成る!今日こそは根源初の─────()()()()()()()()である!」

 

リンボの言葉に呼応するかのように天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の魔力が更に増大していき‥‥とうとう何一つとして感じ取ることが出来なくなってしまった。

 

「な‥‥ぁ‥‥」

 

それはスルトやアルジュナを圧倒した()()()()()()()()()()()()

ここにきて、カルデアの面々はようやく、例の少女から力らしい力を感知できなかった理由を理解した。

それは小さな蟻が山の大きさを認識できない様な‥‥魔力感知の麻痺現象にも似ていた。

3次元が4次元に干渉できない様に、存在規模に差が付きすぎてしまった結果、機器だろうとサーヴァントだろうと天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の魔力の感知が一切できなくなったのだ。

 

魔力を全く感じ取ることが出来ない。一般人か何かと間違えてしまいそうであるのに、対峙しただけでも悪寒が止まらない。宇宙全てが身体に圧し掛かっているかのような、そこに存在しているだけで星どころか銀河が消滅してもおかしくない程の圧倒的なまでの暴力。

 

「は───はは───」

 

天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の身体を包んだ光が消えるのと同時に、

誰かの笑い声が漏れる。

 

「あ──────はっはっはっはっは!やった、やったやったやったやったぞッ!!」

 

皆が唖然とする中、辺りに響くのは天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の声ではあるが、元の天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)からは考えられない程の品の無い笑い声だった。

 

「あり‥‥えない」

 

眼前の存在に押しつぶされそうになりながらもようやく口を開くことが出来た伊邪那美(イザナミ)神が零した言葉は誰もが思っている考えだろう。元は対根源宝具というこれ以上ない存在の魂。そんなものただの人間が受け入れられるはずがない。いや、例え主神だろうが天体だろうが、耐えきれる筈がないのだ。同じ対根源か()()()()()()()()()でもない限りは。

 

「まさか‥‥本当に‥‥?」

 

「ああ、やってやった!やってやったとも!!ハハハハハ!()は賭けに勝ったんだ!これでカルデアも異星の神もその他いろいろな要素も恐れる必要は無くなったのだ!!」

 

だが、目の前の天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)がいつもと同じ存在であるようには見えない。立ち振る舞いや言動を見るに最悪の事態が起こっているようにしか見えない。

 

「感謝するぞ、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)!お前の身体は頂いた!!」

 

もはや決定的ともいえる言葉に唖然とする一同だが、真っ先に我に返ったのはラーマであった。

 

「あの者のがどういった理屈で神の身体を乗っ取ったのかは余にも分からぬ‥‥。だが‥‥元より覚悟はできている身だ‥‥!」

 

『‥‥気になる要素はいくつもあるがね。ああ、だがMr.ラーマの言う通りだとも。我々はここで立ち止まるわけには行かない。とはいえ流石にあの規模の敵と戦うことは想定していなかったがね‥‥!』

 

ラーマとホームズの言葉に藤丸も自身に喝を入れ直す。とはいえ、震えが止まらない。あれは、藤丸が見てきたどんな強敵とももはや比較すること自体がおこがましいレベルだ。魔力が全く感じられないにもかかわらず、絶対に刃向かってはならないという事が魂までもが本能的に訴えている。同じ地平に存在しているというだけでも宇宙そのものが身体に圧し掛かってきているかのようだ。

 

「‥‥‥まあ、分かってはいたがお前達が諦めるわけがないか。個人的にはここで折れて私の下について欲しかったのだがね」

 

「‥‥‥?」

 

超魔力に押し潰れそうになりながらもクリプタ―の言葉を聞いていたマシュが違和感を覚える。日本のクリプタ―が天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の身体を乗っ取った。

有り得ないことであるが、状況的に見てソレは間違いないだろう。だが、どうにも眼前の存在の振舞い方がマシュの良く知る人物と一致しない。

全く違うというワケではないが‥‥元の性格に天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)が少し混ざったかのような感じだった。

身体が変わった影響なのか一人称も変化しているようだが。

 

だが、そんなこと今は些事でしかない。

眼前の敵は間違いなく、歴代最強の相手なのだから。

カルデア側で真っ先に動いたのはラーマであった。

 

「出し惜しみは無しでいく‥‥!マスター!ありったけの魔力を貰うぞ!」

 

「分かった‥‥!」

 

伊邪那美(イザナミ)の力により神霊にすら匹敵する力を得た面々。サーヴァントだけでなく、藤丸もその加護を得ていたため、もはや藤丸だけでも以前とは比較にならない量の魔力を供給できるようになっていた。

 

「──────『羅刹を穿つ不滅(ブラフマーストラ)』!!」

 

高く飛び上がり放たれた、かつて魔王ラーヴァナを屠った退魔の刃。神霊規模の霊基を得る事でその威力は以前とは桁違いの威力を発揮していた。だが‥‥ラーマは一つ思い違いをしていた。眼前の敵が強大であるというのは理解していた。いや、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「‥‥‥‥え?」

 

月読命(ツクヨミ)の時の様に攻撃が効かなかったワケではない。

まず、()()()()()()()出来ていなかった。宝具が身体に触れる直前で、砕け散ったのだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「おっと」

 

それはクリプタ―からすればただの反射行動でしかなかった。

自身に触れることが出来なかったと言っても、それでも攻撃が来たことにより、反射的にほんのわずかな力を放出しただけに過ぎなかった。

 

「ッ─────」

 

天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の身体から放たれたその破滅的な破壊力を持った極大の魔力光線は空を満たし、高く上昇していたラーマを瞬時に消し飛ばた。

 

「嘘‥‥‥‥」

 

誰かが呟いたその言葉はラーマがやられたことによるものではない。魔力光線はラーマを消し飛ばし、そのまま空へと駆け上がっていった。今は夜という事もあり、空には無数に輝く星が輝いている。だが、誰が想像できただろうか。

夜空に輝く星々の内‥‥()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「イイね‥‥‥‥誰にも負ける気がしないってのは」

 

眼前の男がポツリとそんな言葉を呟いた。

完全に絶望的な戦いだった。だが、それでも、その光景を見せられてなお藤丸の心はまだ折れてはいなかった。

 




次回投稿長引くかも‥‥





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