FGOの世界に転生して、Aチームに所属したら異星の神に選ばれてしまった件について   作:ハセカズ

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はい、続きです。









前回までのあらすじ


天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)「乗っ取られてみた」


第26話 始源神界領域 高天原(タカマガハラ)8

「────ハアァアア!!」

 

伊邪那美(イザナミ)様が自身の権能を全力で開放して、眼前の敵に迫る。

日本における主神でもある、彼女から放たれる権能は同じ神であったとしても致命傷は免れない。それに続くように、モードレッドも自身の剣に赤雷を纏わせて敵に立ち向かう。

‥‥だがそれでも相手が悪すぎた。

 

「クソが!触れることすら出来ねぇのかよ‥‥!」

 

伊邪那美(イザナミ)の権能もモードレッドの攻撃も何一つとして通用しない。

というよりも触れることすら出来ていない。あの神の身体に触れる前に消滅してしまう。

 

「ほら、返すよ」

 

「危ない───!」

 

モードレッドに放たれた魔力光弾。ソレが当たる前に、伊邪那美(イザナミ)が自身の権能の力による空間転移にてモードレッドを退避させたが‥‥その魔力光弾はそのまま真っ直ぐ進み、近くに在った3000mはありそうな巨大な山を吹き飛しながらそのまま大気圏を突き破り直線上にある星々を次々へ粉々にしていった。

 

『嘘‥‥だろ‥‥。あんなの、あんなのどうしろってんだよ!?』

 

その光景を見ていた、カルデア職員の誰かが叫んだ。

攻撃一つ一つが地球を揺らし、星を容易く粉微塵にしていく。今までの敵とはあまりにも次元が違い過ぎた。

 

「マスター‥‥出力を少し抑えた方がよろしいかと。下手をすればこの星が壊れかねないです」

 

「相当抑えているんだがな‥‥まだ、力の調節が上手くいかないか。まあ、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)がこの星に張りめぐらしていた権能も最低限は残してあることだし、大丈夫だとは思うが。もう少し抑えるか‥‥」

 

「ンンンンンン。動作一つで星が壊れ、宇宙が崩壊する!何という力!何という極上か!いやはやいやはや!これほどの破壊を間近で見れることの幸運といったら!」

 

今ですら十分、有り得ない程の力を見せつけているというのに相手は全く本気を出していない。今までの攻撃も力のコントロールのテスト感覚で放たれたものでしかない。

 

「グアァッ!?」

 

「モードレッドさん!?」

 

「‥‥‥‥今度は抑え過ぎたか。まあ、少しは分かってきた。私も暇ではない、次で終わりにさせて貰う」

 

次に放たれた光弾は伊邪那美(イザナミ)も間に合わなかった為、モードレッドに直撃してしまった。とはいえ、今度は先ほどより威力が抑えられたものだったため、消滅することは無かった。伊邪那美(イザナミ)からの加護によりマシュもモードレッドも回復力が相当上がっている為、この程度なら直ぐに傷が治る。とはいえ根本的な解決にはなっていないが。

 

『ホ、ホームズ君‥‥ダ・ヴィンチ君。何か手はあるかね‥‥?』

 

『‥‥‥‥残念ながらありません。』

 

『うん、あれは前に私が有り得ないと否定した第2の根源そのもの何だろうね‥‥我々ではもう対処できない‥‥完全に詰みだね‥‥‥』

 

「‥‥‥‥‥」

 

ホームズとダ・ヴィンチの言葉をカルデアの誰も否定できない。

誰もが諦めムードになっていた。だが‥‥藤丸の言葉が場の空気を変えた。

 

「皆‥‥戦いはまだ終わっていない。最後まで戦おう。俺達はその覚悟を以て日本異聞帯に来たはず」

 

「立香‥‥先輩‥‥」

 

藤丸自身アレに勝てるとは思っていない。今まで起こしてきた奇跡の全てを総集結しても、今まで紡いできた縁を全てをぶつけたとしても、アレの足音にも届かないだろう。

だが、勝てないと分かっていても最後まで足掻こうという意思は残っている。なら、後は力尽きるまで戦うだけだ。そうして藤丸が手に力を込めたところで‥‥伊邪那美(イザナミ)が藤丸に微笑んだ。

 

「神ですら絶望するだけの力を見せられても諦めずに進もうとする。ああ‥‥やはり、あなた方に道を譲ったのは正解でした。だからこそ、あなた方の為にこの命を役立てることをこの世界の神として誇りに思う。‥‥‥藤丸さん、貴方にはこれからも多くの困難が立ちふさがるでしょう。多くの悲しみが貴方を襲うでしょう。でも‥‥決して立ち止まらないでください。この世界でも見せてくれたように‥‥あなた方はその輝きを決して失わないでください」

 

伊邪那美(イザナミ)神‥‥‥?」

 

急にそんなことを言われ困惑する藤丸を置いて、伊邪那美(イザナミ)神が天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の身体を乗っ取った人間の方を見やる。

 

「貴方がどういった方法で天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の肉体に乗り移ったのかは分かりません。ですが、その身体は天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)のもの。この根源において最強の存在。私の力ではどうやっても貴方には敵わないでしょう」

 

「ソレが分かってるなら、早く諦めて欲しいんだがね?さっきも言っただろ、私も暇じゃない。他の異聞帯に異星の神‥‥それにこの世界に存在する数多の危険要素の対応。やることは山積みなんだ。投降するなら命は取らないが?」

 

「いえ、残念ながらソレは出来ません。どれだけ絶望的な状況になろうとも‥‥どれだけの困難に立ちふさがろうとも、諦めない輝きを私は見ることが出来た。ならば────その輝きを守り、汎人類史に繋ぐことこそが私の使命!」

 

その言葉と共に────伊邪那美(イザナミ)神の身体が光を放ち始めた。

だが、クリプタ―が天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)を乗っ取った時の重圧的な光とは違い‥‥どこか優しい安心できるような温かい光だった。

 

「私もようやく覚悟を決めることが出来た。そしてこれは奇しくも、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)が地球に張り巡らせた力を()()()()()()()()()で可能になった。確かに貴方はこの世界において最強。ですが‥‥‥貴方と()()()()()()であれば対抗は出来ます」

 

「何を言って‥‥」

 

次の瞬間、カルデアの機器がとある現象を捕らえた。

ホームズが信じられないものを見たかのように驚いている。

 

『────伊邪那美(イザナミ)神の魔力値が急激に上昇!いや────これは()()()()()()()()()()()()()()()‥‥?』

 

「え‥‥?」

 

藤丸達、カルデアの一行も突然起きた事に困惑する。だが、相手側の沖田総司は自身の心眼スキルが嫌な予感を感じ取ったのか、ここにきて焦りを見せていた。

ソレをさせまいと、伊邪那美(イザナミ)神に向けて自身の宝具を放つ。

 

「──────『無明九段突き(むみょうくだんづき)』!!」

 

全くの同時に放たれた9つの突きがレーザービームの様に伊邪那美(イザナミ)神に放たれた。カルデア一行を苦しめ、ヘラクレスをも仕留めた神の域にまで達した御業。

だが、それですら伊邪那美(イザナミ)の纏う光に弾かれてしまった。

 

「ッ‥‥!」

 

いくら主神とはいえ9つの突き全てを重ねた自身の宝具を弾かれたことに驚く沖田。

だが、彼女の心眼スキルは先ほどから最大限の警報を鳴らしている。あの光から現れようとしているモノをここに来させてはいけないと。自身の宝具が通用しないのであれば、手段は一つ。

 

「マスター!あの光から現れようとしているものは危険です!すぐに伊邪那美(イザナミ)神を止めてください!」

 

「ンンンン。癪ですが、拙僧も沖田殿と同意見です。いやな予感がしますぞ」

 

「‥‥ああ、どうやらその方が良さそうだ。これで─────本当に終わりだ!」

 

そう言いながら、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)に肉体を乗っ取ったクリプタ―が手に魔力を込める。

 

「ッ‥‥伊邪那美(イザナミ)神を!」

 

それを見た藤丸とマシュ、モードレッドが伊邪那美(イザナミ)を守ろうと伊邪那美(イザナミ)の前に出る。だが、到底足りない。天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)に肉体から放たれる魔力は対粛清防御であろうと容易く打ち破るだろう。

 

藤丸達にアレを止める手段は存在しない。

だが、不意に空から声が聞こえた。

 

「‥‥‥世話が焼ける。伊邪那美(イザナミ)様と並ぶのであれば、それ相応の力を見せよ、劣等種共」

 

その直後にソレは起きた。

 

「ッ────!?」

 

太陽と見違えるほどの業火が天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の身体を襲いかかったのだ。空から権能による業火を放ち続けるその神にはカルデア側も見覚えがあった。

 

「あれは────迦具土神(カグツチ)神!?」

 

アトランティスにて一度は戦った業火の神。

その神が伊邪那美(イザナミ)の邪魔はさせないと、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の身体を乗っ取ったクリプタ―に迫っていた。

だが、到底届かない。カルデアを苦しめた恐るべき炎の権能を持っても、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の身体に触れることすら出来ない。身体に届く前に全て消滅していた。

 

とはいえ、視界を覆う程の炎の嵐。

日本のクリプタ―からすれば鬱陶しいことこの上ない。

 

「格下の神が‥‥私の邪魔をするなッ!!」

 

うるさい蚊でも払うかのように出力された、光帯。それは火之迦具土神(ヒノカグツチ)の権能を瞬く間に飲み込み、あらゆる攻撃をも遮断する炎の鎧ごと火之迦具土神(ヒノカグツチ)を飲み込もうとしていた。

 

だが、火之迦具土神(ヒノカグツチ)の顔には恐れは何も無かった。

 

「ふん‥‥これで意識が割かれるとはやはり劣等種。‥‥‥‥数秒は稼いだ。後は託す─────母上」

 

「‥‥ええ、大儀でした。迦具土神(カグツチ)

 

光帯にのみ込まれる直前に最後の言葉を残した火之迦具土神(ヒノカグツチ)とその言葉に応えた伊邪那美(イザナミ)。超魔力で練られたそれは、かつて天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)が授けた不死の加護ごとその命を破壊していった。そして火之迦具土神(ヒノカグツチ)を仕留めた、クリプタ―が次の獲物を仕留めるべく、手に魔力を込める。

 

「さあ────これで終わりだ!」

 

伊邪那美(イザナミ)に向けて放たれた極大の光帯は先ほど火之迦具土神(ヒノカグツチ)に向けられたモノより、更に巨大だ。

 

「ッ────!」

 

その光帯がカルデアも伊邪那美(イザナミ)も全てを飲み込まんと迫りくる。

だが、同時に伊邪那美(イザナミ)の放つ輝きが最高潮に達する。

そして、奇跡が起こる。

 

「何ッ────!?」

 

光帯がかき消された。伊邪那美(イザナミ)が消滅し‥‥そして、光から現れた2()()によって。

 

「あなた‥‥達は‥‥」

 

表れた2人組に藤丸が思わず言葉を失う。

藤丸からの言葉にウインクをしながら、答えたのは、男よりの中性的な容姿でありながらも何処か色気を感じさせる青色の髪の人物だった。

 

「うん、君がカルデアの藤丸立香か。なるほど、良い魂をしている。天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)に認められたことはある」

 

次に女より中性的な容姿の銀髪の人物が、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)に目を向ける。

 

「同意。ここまでよく耐えた。天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)を乗っ取った、あの人間はワタシたちに任せて」

 

2人とも天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)とよく似た宇宙を思わせるような色彩の服装を纏い、そして何よりも‥‥2人からは魔力を感じ取ることが出来なかった。天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)とスルトやアルジュナを圧倒した例の少女と同じように。

ソレを見たリンボが信じられないものを見たかのように、肩を震わせていた。

 

「まさか、あの2柱は‥‥。いや、有り得ぬ!自身より格下の神霊ならともかく、遥か上位の神を呼び寄せるなど、いくら主神とはいえ不可能なはず!!ましてや相手は天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)()()()の神であろうがッッッ!」

 

『同格‥‥?まさか貴方達は‥‥‥』

 

リンボの言葉を聞いたダ・ヴィンチが、2人の正体にたどり着く。

だが、リンボの言う通りソレは信じられない事実。

 

()()()()の一柱────高皇産霊神(タカミムスビノカミ)

 

「同じく造化三神の一柱────神皇産霊神(カミムスビノカミ)

 

高皇産霊神(タカミムスビノカミ)神皇産霊神(カミムスビノカミ)だと‥‥!

バカな、この身体と同じ造化三神の神が何故‥‥」

 

2柱の名乗りに場の空気が固まる。造化三神。日本の神話において天地開闢の際に現れたという天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)を含めた3柱の独神。神としての格はリンボの言う通り、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)と同格。

 

『信じられない‥‥‥冠位(グランド)どころじゃない‥‥!天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)と同格の造化三神の神々‥‥それも恐らく生前同様の状態で召喚されている!』

 

「そ、それでは伊邪那美(イザナミ)神が御二方の蘇生を‥‥?」

 

ダ・ヴィンチとマシュの言葉を高皇産霊神(タカミムスビノカミ)が首を振ることで否定する。

 

「いや、伊邪那美(イザナミ)の力じゃボクたちの蘇生は無理だ。サーヴァントシステムの様にボクたちの力を再現することが出来ないからね。出来ることは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。その為の紐綱を彼女が担ってくれたんだ」

 

「‥‥‥つまり、伊邪那美(イザナミ)が根源にいるあなた達がこちらに来れるように繋いだ道を使って、ビーストクラスと同じように自分から召喚されたというでしょうか‥‥?」

 

「厳密にいえば違うけど、似たようなものさ。天の戦いで天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)に破れ、死後も天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)が星に張った結界によりボク達ももう干渉できなくなっていた。でも、その結界もあの人間が自分から回収して解いてくれたからね」

 

「そして天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の権能によって殺された以上、ワタシたちがこの星に現れるには外部からの手助けが必須。ワタシたちが渡ってこれるだけの道をあの子は自分の全権能と命を以て成し遂げた。だから、その想いにワタシたちは応える」

 

かつて、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の権能によって自力で日本異聞帯に来ることが出来ない様に殺された2柱。

だが、この星は神代が続いた環境であり何よりもこの場には造化三神である天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)という2柱にとっては極大の縁が存在している。故に召喚難易度が下がっており更に2柱が完全な状態で召喚されるための土台も揃っている。そこに伊邪那美(イザナミ)が命と引き換えに作った、根源から地球へと2柱を日本異聞帯の内部から引っ張り寄せる為の繋がりとあの2柱自身が根源から加えた力もあり、この場に召喚されたのだ。

 

高皇産霊神(タカミムスビノカミ)高皇産霊神(タカミムスビノカミ)。魔力が全く感じられないにもかかわらず、宇宙が圧し掛かってくるような重圧。それも味方であったとなればこれほど心強いことは無い。

 

その様子を見たリンボが忌まわしげに、2柱の神を見やる。

 

「ンンンンンン許し許し許し難し!汎人類史では、子を産み死した母神の分際で造化三神を呼び寄せるなど!だが、以前としてこちらが有利であることに変わりないわ!今この場にはいる、マスターは、否!『異星の神』は既に天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の力を得た身!そも貴様ら2柱の神格も天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)に分けられた力があればこそ!我が『異星の神』の力には到底及ばぬ!カルデアごと全て嬲り殺してくれようぞ!」

 

「‥‥‥‥‥」

 

リンボは笑いながら2柱の神々に悪態を吐き、沖田総司が静かに構える。

だが、2柱の神の視線はリンボと沖田ではなく天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の方に向いていた。まず口を開いたのは高皇産霊神(タカミムスビノカミ)だった。

 

「さて、日本異聞帯での出来事は根源から見させてもらったよ。君が何故、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の身体を乗っ取れたかもボクたちは知っている。‥‥まさか根源の外なんてものがあったとはね。世界というのはボクが思っていたよりも広かったらしい」

 

「‥‥‥‥」

 

「同意。アナタの住む世界には興味があるけど‥‥あの頭の固い迦具土神(カグツチ)が、そして伊邪那美(イザナミ)が命を懸けた。天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)も負けを認めてカルデアに道を譲ろうとした。だから、アナタのことはここで止めさせてもらう。この日本異聞帯の造化三神の一柱として」

 

黙って2柱からの言葉を聞いていた、日本のクリプタ―が2柱のことをみやる。

 

「こんな展開になるとはな‥‥全く────イラつかせてくれる」

 

「ッ‥‥!」

 

天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の身体に莫大な神気が纏わさる。

明らかな怒気が感じられるその身体から放出される魔力は存在しているだけで、全てを圧し潰してしまいそうな程だった。

 

「だがお前達が死ねば今度こそ終わりだ!お前達も他の邪魔者も必ず殺す!私の敵はみな殺す!今宵、残らず抹消してくれようぞ!」

 

「くる‥‥!」

 

天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の身体から放たれた、光帯。

それは、直撃すれば星自体が一瞬で蒸発する程の破壊力を秘めていた。

だが‥‥‥それを高皇産霊神(タカミムスビノカミ)神皇産霊神(カミムスビノカミ)が同じく放出した光帯にて相殺した。

 

「何ッ!」

 

全力でなかったとはいえ、自身の攻撃を防がれたことに驚くクリプタ―。

 

「─────『無明九段突き(むみょうくだんづき)』!!」

 

次に沖田総司が9つの突き全てを重ねた、必殺奥義を放つ。本来であれば、対城宝具ですら貫通する威力であるが、2柱には通用しない。というよりも、触れることすら出来ていない。

攻撃が当たる前に2人の存在規模故に、斬撃自体が消滅してしまった。

 

「やはり通じない‥‥」

 

自身の宝具が全く通用していないことを再認識した沖田。あの2柱に干渉できるのは天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の力を得た自身のマスターだけだろう。

 

「さあ、いくよ!」

 

そして、今度は高皇産霊神(タカミムスビノカミ)の放った様々な権能の込められた光玉が、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)に食らいつく。

 

「ぐっ‥‥!?私に傷を‥‥!」

 

「馬鹿な、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の神体に傷を付けるだと!?」

 

驚くクリプタ―とリンボであるが、それはカルデアの面々も同様であった。先ほどまでは何をしても触れることすら出来なかったあの体に干渉し、更に攻撃を通すまで至ったのだ。

 

『傷を負わせた。こ、これは、もしや‥‥!』

 

『ええ、3柱とも魔力を感知できませんので、ハッキリとは言えませんが‥‥‥こちら側にも勝ちの目が出てきたと言っても良いでしょう』

 

『や、やはりそうか!良し、いいぞ!そのままやってしまえ!』

 

ストームボーダーからの通信通り今の戦力であれば、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)が相手でも戦える。そう考えた藤丸が2柱を援護すべく、行動しようとするが、ソレを高皇産霊神(タカミムスビノカミ)に止められる。

 

「君達はこっちに来ちゃだめだよ。ボク達の近くに居るだけで死ぬ可能性があるからね。君達はサーヴァントの方を抑えて欲しい」

 

「わ、分かりました!」

 

サーヴァントの相手というのは、リンボと沖田を相手してほしいという意味だろう。

そして、先ほどからこの星が壊れてしまわない様に、気を遣いながら戦っていた神皇産霊神(カミムスビノカミ)高皇産霊神(タカミムスビノカミ)に話しかける。

 

高皇産霊神(タカミムスビノカミ)。この星だとワタシたちの全力に耐えられない。別空間にワタシたちの戦闘にも耐えられる世界を作っておいた。そこで戦うべき」

 

「確かに、そうだね。それじゃあ‥‥君もボク達と一緒に来てもらおうか!」

 

「ッ‥‥!?」

 

高皇産霊神(タカミムスビノカミ)の言葉と同時にあのクリプタ―と高皇産霊神(タカミムスビノカミ)が消失する。神皇産霊神(カミムスビノカミ)の姿も消えていた。

恐らくは3柱とも別空間に移動したのだろう。

 

日本のクリプタ―のことはあの2柱に任せるしかない。

つまり、藤丸達のやるべきことはただ一つ。

 

「‥‥‥‥‥」

 

沖田総司が無言で藤丸達のことを見据える。

後方ではリンボが術式を展開していた。

 

「‥‥マスター、指示を」

 

「うん。マシュ、モードレッド────行くよ!」

 

藤丸の号令でマシュとモードレッドが沖田とリンボに飛び掛かった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

固有結界内にて戦う造化三神の神々。その戦いの余波が少しでも漏れれば、それで地球どころか宇宙がお終いという規模の戦いになっていた。

 

「さあ、消えろッ!」

 

天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の身体を乗っ取ったクリプタ―。

その身体から凄まじいまでの破壊力を秘めた魔力が放出される。

元は対根源であり、今は宇宙の最高神という至高の存在。彼の権能は一つ一つが宇宙を破壊し、世界を創造するに等しいもの。

 

高皇産霊神(タカミムスビノカミ)!」

 

「分かってる!」

 

だが、ソレを迎え撃つ2柱の神も天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)と同格の地位にある造化三神の神。天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)から『自身と同格の神格』を付与された、2柱の神々は宇宙そのものといっても良い結界を張り防御する。

 

天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)からの魔力波が止んだと同時に、高皇産霊神(タカミムスビノカミ)の周りに権能が込められた光玉が出現する。高皇産霊神(タカミムスビノカミ)は天の生産・生成の「創造」の神だ。天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)から、『同格の地位』を渡されたこの神は文字通り宇宙の創生ですら指先一つで行ってしまう。

 

「今度はこっちの番だよ!」

 

高皇産霊神(タカミムスビノカミ)が生み出した、その光玉から様々な生物が生みだされる。極大の魔力と無数の銀河を内包した宇宙、光り輝く権能の鎧を纏う無数の空、超重力の漆黒の星々。その全てが天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の肉体を襲い掛からんと迫る。

 

「その程度の攻撃!」

 

だが、本来であれば一つ一つが宇宙規模の破壊力を秘めたその群体ですら、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)が腕を一振りしただけで残らず消し飛んでしまった。だが、相手は1柱だけではない。

 

「‥‥隙だらけ。ワタシがいることを忘れないで」

 

「ぐっ!?」

 

いつの間にか、クリプタ―の後ろを取っていた神皇産霊神(カミムスビノカミ)が極大の熱量を秘めた天体をぶつける。その攻撃は確かに、絶対無敵である筈の天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の肉体に干渉し傷を負わせていた。

 

その様子を冷静に見ていた神皇産霊神(カミムスビノカミ)

 

「‥‥やっぱり、アナタはただの人間。天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)であれば‥‥いや、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の権能を十全に使えていれば、今の攻撃も受けることも無かった」

 

「ッ‥‥‥‥!」

 

無言で神皇産霊神(カミムスビノカミ)を睨め着けている様子が神皇産霊神(カミムスビノカミ)が口にした言葉が事実であるということを証明していた。そもそも、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の権能を十全に使えていた場合は、神皇産霊神(カミムスビノカミ)高皇産霊神(タカミムスビノカミ)の召喚自体も防げていた筈なのだ。本来の天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)が持つ、未来を見通す権能。これがあれば、今回の様に不意を突かれることも、神皇産霊神(カミムスビノカミ)高皇産霊神(タカミムスビノカミ)の召喚も予見できていた。

 

だが、現在クリプタ―はそれが出来ていない。

彼の魂は根源界外に存在するもの。根源に属していない以上、根源が絶対という根源に属する側からの干渉は受け付けない。だが、彼の魂からであれば話は別だ。

 

魂そのものに生物の設計図、元の身体の情報などが存在している以上、例え誰の身体を乗っ取ろうが元の人格や記憶は保っていられる。だが、やはり定着した体にもその身体の記憶という情報が存在している。そして、魂は定着した体に存在する記憶を読み取る。本来であれば他人の身体から記憶を読み取ろうと、それはあくまでも記憶ではなく記録としてでしか本人の魂には残らない。つまり実際に経験して得た記憶ではなく、乗っ取った者の行動を鏡越しにみたかのような「記録」でしかないのだ。故に例え魂が体の情報を読み取ろうとも本来の人格にはさほど影響を及ぼさない。

 

‥‥‥だが、その『記録』の情報量があまりにも膨大だった場合は話が別だ。

元は対根源というこれ以上ない情報の塊。クリプタ―が天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の身体を乗っ取った時に魂が読み取る情報を無意識の内にセーブを掛ける程に。

 

天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)がこの星に張っていた、無数の権能と力の回収、必要な最低限の知識。たったこれだけの情報を一度に開放しただけでも、既に元の人格に影響をきたし、一人称や振舞い方に変化が出ている。今はまだ、本人の人格の根とも言える様な重要な部分は変わっていない。だが、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の力を一度に全て開放すれば、間違いなく()()()()()()()()()()だろう。

 

故に本来であれば、元の人格に影響をきたさない様に少しづつ天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の情報を読み取っていく必要がある。だが、今はそんなことをしている暇は無い。

 

「ちっ、ちょこまかと‥‥!」

 

「ほら、また隙が出来た」

 

「ぐあっ‥‥‥!」

 

目の前のことばかりに集中すれば、後ろががら空きになる。そんな基本的なミスをして再度、攻撃を受けてしまう、クリプター。

 

「確かに君の身体は天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)のもの。その存在規模は間違いなく最強。同格の地位にあると言っても、ボク達では天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)に敵わない。」

 

「でも、アナタの戦い方はハッキリ言って雑。巨大な力をただただまき散らしているだけ。汎人類史で言うところの『力のごり押し』というやつ。それなら私たち2柱がかりで、どうにかならないこともない」

 

その言葉と共に再び連携攻撃を仕掛けて来る、2柱の神。ソレを見た天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の身体を乗っ取ったクリプターが全方位にありったけの神気を放出する。

 

「ぐあぁッ!?」

 

「っ‥‥!」

 

今までとは比較にならない、その広範囲攻撃は流石に凌ぎきれなかったのか、2柱の神がダメージを負う。ソレを見たクリプタ―が笑みを見せる。

 

「戦い方が雑か‥‥なるほど確かに私も元はただの人間。知恵も戦闘の技術もお前達には到底及ばない。ああ、認めようじゃないか!だが、あえて言おう!それがどうした!力のごり押しだけで何とかなるだけの差が─────私達には存在する!」

 

「ぐっ‥‥!」

 

天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)のありったけの神気が全方位に放出される。

別空間に逃げようとも、別宇宙に移動しようとも、概念権能による絶対防御を施そうとも全てを破壊し迫りくる圧倒的な力の渦。こうなってはもはや、技術も関係ない力の押し合いでしかない。

 

天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の力は日本に存在する全ての神々の力を束ねてもなお、到底及ばないとされるがそれは神皇産霊神(カミムスビノカミ)高皇産霊神(タカミムスビノカミ)を含めてのことなのだ。

確かにこの2柱は天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)と同格の地位であるが故に、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)に干渉できる。傷を負わせることもできる。だが、それだけだ。あの絶対神を倒すにはまだ足りない。

 

「ぐ‥‥これはちょっと不味いかも」

 

「同意。凄く野蛮なやり方だけど、これを凌ぎ続けるのはワタシ達でも難しい」

 

「ああ、でも負けられない。伊邪那美(イザナミ)迦具土神(ヒノカグツチ)に託されたからね。それに天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の想いもある。君も珍しくやる気みたいだしね」

 

「肯定。天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)ならともかく、その力を使役しているだけの人間には負けられない」

 

創造神としての権能を全力開放して、無数の宇宙空間を生み出しソレを流星群のように使役する神皇産霊神(カミムスビノカミ)高皇産霊神(タカミムスビノカミ)

それを天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)を乗っ取ったクリプタ―がただただ巨大な力を以て迎え撃つ。

 

「さあ、いい加減にくたばって貰おうか!過去の亡霊共!」

 

「否定。くたばるのはアナタ。勝つのはワタシ達」

 

「ああ、同じ造化三神として天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)の身体を乗っ取った君にはたっぷりと灸をすえてやるとしよう!」

 

「やれるものならやってみろ!!」

 

3柱の神気が衝突し宇宙がいくつも壊れる程の衝撃が、固有結界内に走る。

神と神を乗っ取った人間の戦いが3柱しかいない世界で続いていた。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「─────『菊一文字則宗(きくいちもんじのりむね)』!!」

 

「─────『我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー)』!!」

 

モードレッドの宝具と沖田の宝具が衝突する。

その衝撃波だけで神の建造物である筈の高天原(タカマガハラ)の建物が崩壊し、

地面に亀裂が走る。

 

「ンンンンンンッ!!さあ────砕け散れっ!!」

 

「─────ハアアアァ!」

 

リンボの呪術による攻撃をマシュがその大盾で凌ぐ。

戦況は完全に互角だった。以前は異聞帯の沖田総司に手も足も出なかったが伊邪那美(イザナミ)からの加護により、神霊にも匹敵する力を手にした今では互角に打ち合うことが出来ていた。

 

「──────『無明九段突き(むみょうくだんづき)』!!」

 

「‥‥‥ぐっ!!」

 

3つに分裂した斬撃それぞれにもう2つずつの斬撃が同時同位置に挟まったそれが

モードレッドに襲い掛かる。全てを躱すことは出来ない。だが、今のモードレッドであれば多次元屈折現象からなる斬撃を受けきる事が出来る。

モードレッドの宝具の一つ「不貞隠しの兜(シークレット・オブ・ペディグリー)」は本来であれば自身の正体を隠す、毒の干渉を阻害する以外は多少頑丈である程度の効果しかないが、神霊規模の霊基出力を得ることで宝具の効果も上昇し、更にモードレッド自身の雷を身に纏うことで次元干渉をも跳ね除ける程に強固な防御力を得ることに成功していた。

 

沖田総司からの斬撃も、纏っている雷を貫き、鎧を損傷させはしたがモードレッドの身体には多少の切り傷を与えた程度だった。

 

「ッ‥‥‥!」

 

だが、それでもやはり異聞帯の沖田総司の剣術は凄まじかった。

いや、互角に戦えるようになってその凄さをより実感できていた。

今のモードレッド達は神霊規模の強さを得ている。生前はともかく今の通常サーヴァントとして召喚された沖田総司とは霊基出力に相当な差がある。本来は戦闘において圧倒してしかるべき筈なのだ。

 

それを自前の剣術と戦闘の上手さだけで戦況を互角にまで持ち込んでいる異聞帯の沖田総司が異常ともいえた。

 

だが、カルデア陣営と沖田、リンボの陣営には決定的な違いが一つあった。

それは霊基出力差による耐久力の差である。

攻撃を受けてもその圧倒的な霊基によりいくらかの余裕があるモードレッドとマシュに比べて、沖田とリンボは相手からの攻撃を1つでも受ければ致命傷になりかねない。

 

常に攻撃を完璧に捌き切らなければならないリンボ、沖田に対して少しは余裕があるマシュとモードレッド。それでも異聞帯の沖田は神の領域に至った剣技がある故に問題はない。どれだけの攻撃を受けようが捌き切るだけの自信がある。だが‥‥‥味方までもがそうであるとは限らないのだ。

 

「─────ドオラアァァァッッ!」

 

「ぐあぁああああっ!?」

 

無数に放たれるモードレッドの雷撃。その一つがとうとう、リンボを捕らえた。

以前に比べ遥かに強化されたその雷撃は、リンボの防御結界をいとも簡単に突き破った。本来であればそのリンボは式神であるが、神霊規模となり強化されたモードレッドの電撃は空間を飛び越え、式神ごとリンボの本体にまでダメージを届かせていた。

 

「ぐ─────おのれ‥‥!狂犬の分際でよもやここまでの霊基を得ていようとは‥‥!拙僧の計画が妨げられるなど、あってはならぬ!我が策は完璧だったはずだ!儂の策通りにマスターに天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)を乗っ取らせて、究極無二の『異星の神』にする!そして、拙僧の話術にて哀れな操り人形とし、破壊と快楽の限りを尽くして思うさま甘美に耽る!それを‥‥それを貴様ら如きにィィィ!おのれ伊邪那美(イザナミ)神!おのれカルデアァ!」

 

「ああ、そうかい。寝言の続きはあの世で好きなだけ喚くといいさ‥‥‥へっ。これでようやくお前の顔も見納めだな、リンボ。『我が麗しき(クラレント)─────」

 

「ッ─────!」

 

モードレッドの剣に莫大な魔力が込められる。伊邪那美(イザナミ)からの加護により霊基が神霊にまで到達したその宝具は対界宝具の域に迫ろうとしていた。

それを見たリンボの顔が青ざめる。

 

「ま、待て!そうだ!情報交換というのは如何であろうなァ!?我が主の秘中の秘!貴様らの、否!この世界の在り方を根底から覆す究極の情報『型月世界』の様々を貴様らに、」

 

「────父への叛逆(ブラッドアーサー)』!!」

 

「ッッッギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!?」

 

モードレッドの宝具がアルターエゴ・リンボこと蘆屋道満を飲み込む。

宝具の魔力が消えた後には何も残っていなかった。そして‥‥リンボが消滅したことで、拮抗が完全に崩れた。

 

「ッ──────!」

 

それでも多重次元屈折現象を巧みに操り何とか持ちこらえる沖田。

無数の雷撃を同時行動と縮地スキルを活かして捌き、マシュからのシールドバッシュをその巧みな剣術にて受け流す。

 

だが、それも限界だった。多重次元屈折現象並びに魔力放出スキル、魔術などを常にフル活用し、僅かのミスすらも許されない沖田。2対1となり生じた綻びを突いて、遂にモードレッドの剣が沖田総司を捕らえた。

 

「チッ‥‥いい加減にくたばりやがれッ!」

 

「ぐっ‥‥!」

 

モードレッドからの斬撃を受け膝をつく沖田。霊基を破壊された以上は、先ほどのリンボと同様、消滅はもう免れないだろう。

だが勝利をおさめた筈のモードレッド達の表情はとても勝者が浮かべるようなものでは無かった。

 

「たく‥‥‥霊基にここまでの差があって手こずるのかよ‥‥。勝った気がしねえな‥‥」

 

「はい‥‥伊邪那美(イザナミ)神からの加護が無ければ、間違いなく私達が負けていた。そう確信できるほどの素晴らしい剣技でした‥‥」

 

何処か浮かない顔をするモードレッドとマシュであるが、意外なことに2人をフォローしたのは沖田からだった。

 

「これは戦‥‥どんな手を使おうが、結果こそが全てです。今はこの勝利を素直に受け入れるのがよろしいかと」

 

「まあ、そうだな‥‥。なら素直にそうさせてもらうぜ。それにしてもアンタ、消えかけているのに随分と余裕そうじゃねえか」

 

「ええ、確かに私とリンボは貴方達に破れました。ですが‥‥‥まだ、我々の負けが決まったわけではありませんから」

 

その言葉を最後に沖田総司が不敵な笑みを残しながら消滅する。

リンボと沖田が消滅した。これでこの場の敵は全て片付いた。

 

「これで後は‥‥」

 

「────ああ、後はお前達だけだ」

 

「────ッ!!」

 

藤丸の言葉に応えたのは、日本のクリプタ―だった。彼がここにいるということは‥‥‥高皇産霊神(タカミムスビノカミ)神皇産霊神(カミムスビノカミ)は破れたという事だった。

 

「‥‥‥‥‥‥」

 

藤丸が今は身体が天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)のものとなったクリプタ―を静かに見据える。全身に負った、凄まじい数の権能による傷や呪いが戦闘の凄絶さを物語っていた。

 

‥‥‥決着の時は近い。

 

 

 

 




多分、次回で決着かな。神皇産霊神(カミムスビノカミ)高皇産霊神(タカミムスビノカミ)との戦闘大幅にカットしちゃった‥‥






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