FGOの世界に転生して、Aチームに所属したら異星の神に選ばれてしまった件について 作:ハセカズ
前回までのあらすじ
「────ハアァアア!!」
日本における主神でもある、彼女から放たれる権能は同じ神であったとしても致命傷は免れない。それに続くように、モードレッドも自身の剣に赤雷を纏わせて敵に立ち向かう。
‥‥だがそれでも相手が悪すぎた。
「クソが!触れることすら出来ねぇのかよ‥‥!」
というよりも触れることすら出来ていない。あの神の身体に触れる前に消滅してしまう。
「ほら、返すよ」
「危ない───!」
モードレッドに放たれた魔力光弾。ソレが当たる前に、
『嘘‥‥だろ‥‥。あんなの、あんなのどうしろってんだよ!?』
その光景を見ていた、カルデア職員の誰かが叫んだ。
攻撃一つ一つが地球を揺らし、星を容易く粉微塵にしていく。今までの敵とはあまりにも次元が違い過ぎた。
「マスター‥‥出力を少し抑えた方がよろしいかと。下手をすればこの星が壊れかねないです」
「相当抑えているんだがな‥‥まだ、力の調節が上手くいかないか。まあ、
「ンンンンンン。動作一つで星が壊れ、宇宙が崩壊する!何という力!何という極上か!いやはやいやはや!これほどの破壊を間近で見れることの幸運といったら!」
今ですら十分、有り得ない程の力を見せつけているというのに相手は全く本気を出していない。今までの攻撃も力のコントロールのテスト感覚で放たれたものでしかない。
「グアァッ!?」
「モードレッドさん!?」
「‥‥‥‥今度は抑え過ぎたか。まあ、少しは分かってきた。私も暇ではない、次で終わりにさせて貰う」
次に放たれた光弾は
『ホ、ホームズ君‥‥ダ・ヴィンチ君。何か手はあるかね‥‥?』
『‥‥‥‥残念ながらありません。』
『うん、あれは前に私が有り得ないと否定した第2の根源そのもの何だろうね‥‥我々ではもう対処できない‥‥完全に詰みだね‥‥‥』
「‥‥‥‥‥」
ホームズとダ・ヴィンチの言葉をカルデアの誰も否定できない。
誰もが諦めムードになっていた。だが‥‥藤丸の言葉が場の空気を変えた。
「皆‥‥戦いはまだ終わっていない。最後まで戦おう。俺達はその覚悟を以て日本異聞帯に来たはず」
「立香‥‥先輩‥‥」
藤丸自身アレに勝てるとは思っていない。今まで起こしてきた奇跡の全てを総集結しても、今まで紡いできた縁を全てをぶつけたとしても、アレの足音にも届かないだろう。
だが、勝てないと分かっていても最後まで足掻こうという意思は残っている。なら、後は力尽きるまで戦うだけだ。そうして藤丸が手に力を込めたところで‥‥
「神ですら絶望するだけの力を見せられても諦めずに進もうとする。ああ‥‥やはり、あなた方に道を譲ったのは正解でした。だからこそ、あなた方の為にこの命を役立てることをこの世界の神として誇りに思う。‥‥‥藤丸さん、貴方にはこれからも多くの困難が立ちふさがるでしょう。多くの悲しみが貴方を襲うでしょう。でも‥‥決して立ち止まらないでください。この世界でも見せてくれたように‥‥あなた方はその輝きを決して失わないでください」
「
急にそんなことを言われ困惑する藤丸を置いて、
「貴方がどういった方法で
「ソレが分かってるなら、早く諦めて欲しいんだがね?さっきも言っただろ、私も暇じゃない。他の異聞帯に異星の神‥‥それにこの世界に存在する数多の危険要素の対応。やることは山積みなんだ。投降するなら命は取らないが?」
「いえ、残念ながらソレは出来ません。どれだけ絶望的な状況になろうとも‥‥どれだけの困難に立ちふさがろうとも、諦めない輝きを私は見ることが出来た。ならば────その輝きを守り、汎人類史に繋ぐことこそが私の使命!」
その言葉と共に────
だが、クリプタ―が
「私もようやく覚悟を決めることが出来た。そしてこれは奇しくも、
「何を言って‥‥」
次の瞬間、カルデアの機器がとある現象を捕らえた。
ホームズが信じられないものを見たかのように驚いている。
『────
「え‥‥?」
藤丸達、カルデアの一行も突然起きた事に困惑する。だが、相手側の沖田総司は自身の心眼スキルが嫌な予感を感じ取ったのか、ここにきて焦りを見せていた。
ソレをさせまいと、
「──────『
全くの同時に放たれた9つの突きがレーザービームの様に
だが、それですら
「ッ‥‥!」
いくら主神とはいえ9つの突き全てを重ねた自身の宝具を弾かれたことに驚く沖田。
だが、彼女の心眼スキルは先ほどから最大限の警報を鳴らしている。あの光から現れようとしているモノをここに来させてはいけないと。自身の宝具が通用しないのであれば、手段は一つ。
「マスター!あの光から現れようとしているものは危険です!すぐに
「ンンンン。癪ですが、拙僧も沖田殿と同意見です。いやな予感がしますぞ」
「‥‥ああ、どうやらその方が良さそうだ。これで─────本当に終わりだ!」
そう言いながら、
「ッ‥‥
それを見た藤丸とマシュ、モードレッドが
藤丸達にアレを止める手段は存在しない。
だが、不意に空から声が聞こえた。
「‥‥‥世話が焼ける。
その直後にソレは起きた。
「ッ────!?」
太陽と見違えるほどの業火が
「あれは────
アトランティスにて一度は戦った業火の神。
その神が
だが、到底届かない。カルデアを苦しめた恐るべき炎の権能を持っても、
とはいえ、視界を覆う程の炎の嵐。
日本のクリプタ―からすれば鬱陶しいことこの上ない。
「格下の神が‥‥私の邪魔をするなッ!!」
うるさい蚊でも払うかのように出力された、光帯。それは
だが、
「ふん‥‥これで意識が割かれるとはやはり劣等種。‥‥‥‥数秒は稼いだ。後は託す─────母上」
「‥‥ええ、大儀でした。
光帯にのみ込まれる直前に最後の言葉を残した
「さあ────これで終わりだ!」
「ッ────!」
その光帯がカルデアも
だが、同時に
そして、奇跡が起こる。
「何ッ────!?」
光帯がかき消された。
「あなた‥‥達は‥‥」
表れた2人組に藤丸が思わず言葉を失う。
藤丸からの言葉にウインクをしながら、答えたのは、男よりの中性的な容姿でありながらも何処か色気を感じさせる青色の髪の人物だった。
「うん、君がカルデアの藤丸立香か。なるほど、良い魂をしている。
次に女より中性的な容姿の銀髪の人物が、
「同意。ここまでよく耐えた。
2人とも
ソレを見たリンボが信じられないものを見たかのように、肩を震わせていた。
「まさか、あの2柱は‥‥。いや、有り得ぬ!自身より格下の神霊ならともかく、遥か上位の神を呼び寄せるなど、いくら主神とはいえ不可能なはず!!ましてや相手は
『同格‥‥?まさか貴方達は‥‥‥』
リンボの言葉を聞いたダ・ヴィンチが、2人の正体にたどり着く。
だが、リンボの言う通りソレは信じられない事実。
「
「同じく造化三神の一柱────
「
バカな、この身体と同じ造化三神の神が何故‥‥」
2柱の名乗りに場の空気が固まる。造化三神。日本の神話において天地開闢の際に現れたという
『信じられない‥‥‥
「そ、それでは
ダ・ヴィンチとマシュの言葉を
「いや、
「‥‥‥つまり、
「厳密にいえば違うけど、似たようなものさ。天の戦いで
「そして
かつて、
だが、この星は神代が続いた環境であり何よりもこの場には造化三神である
その様子を見たリンボが忌まわしげに、2柱の神を見やる。
「ンンンンンン許し許し許し難し!汎人類史では、子を産み死した母神の分際で造化三神を呼び寄せるなど!だが、以前としてこちらが有利であることに変わりないわ!今この場にはいる、マスターは、否!『異星の神』は既に
「‥‥‥‥‥」
リンボは笑いながら2柱の神々に悪態を吐き、沖田総司が静かに構える。
だが、2柱の神の視線はリンボと沖田ではなく
「さて、日本異聞帯での出来事は根源から見させてもらったよ。君が何故、
「‥‥‥‥」
「同意。アナタの住む世界には興味があるけど‥‥あの頭の固い
黙って2柱からの言葉を聞いていた、日本のクリプタ―が2柱のことをみやる。
「こんな展開になるとはな‥‥全く────イラつかせてくれる」
「ッ‥‥!」
明らかな怒気が感じられるその身体から放出される魔力は存在しているだけで、全てを圧し潰してしまいそうな程だった。
「だがお前達が死ねば今度こそ終わりだ!お前達も他の邪魔者も必ず殺す!私の敵はみな殺す!今宵、残らず抹消してくれようぞ!」
「くる‥‥!」
それは、直撃すれば星自体が一瞬で蒸発する程の破壊力を秘めていた。
だが‥‥‥それを
「何ッ!」
全力でなかったとはいえ、自身の攻撃を防がれたことに驚くクリプタ―。
「─────『
次に沖田総司が9つの突き全てを重ねた、必殺奥義を放つ。本来であれば、対城宝具ですら貫通する威力であるが、2柱には通用しない。というよりも、触れることすら出来ていない。
攻撃が当たる前に2人の存在規模故に、斬撃自体が消滅してしまった。
「やはり通じない‥‥」
自身の宝具が全く通用していないことを再認識した沖田。あの2柱に干渉できるのは
「さあ、いくよ!」
そして、今度は
「ぐっ‥‥!?私に傷を‥‥!」
「馬鹿な、
驚くクリプタ―とリンボであるが、それはカルデアの面々も同様であった。先ほどまでは何をしても触れることすら出来なかったあの体に干渉し、更に攻撃を通すまで至ったのだ。
『傷を負わせた。こ、これは、もしや‥‥!』
『ええ、3柱とも魔力を感知できませんので、ハッキリとは言えませんが‥‥‥こちら側にも勝ちの目が出てきたと言っても良いでしょう』
『や、やはりそうか!良し、いいぞ!そのままやってしまえ!』
ストームボーダーからの通信通り今の戦力であれば、
「君達はこっちに来ちゃだめだよ。ボク達の近くに居るだけで死ぬ可能性があるからね。君達はサーヴァントの方を抑えて欲しい」
「わ、分かりました!」
サーヴァントの相手というのは、リンボと沖田を相手してほしいという意味だろう。
そして、先ほどからこの星が壊れてしまわない様に、気を遣いながら戦っていた
「
「確かに、そうだね。それじゃあ‥‥君もボク達と一緒に来てもらおうか!」
「ッ‥‥!?」
恐らくは3柱とも別空間に移動したのだろう。
日本のクリプタ―のことはあの2柱に任せるしかない。
つまり、藤丸達のやるべきことはただ一つ。
「‥‥‥‥‥」
沖田総司が無言で藤丸達のことを見据える。
後方ではリンボが術式を展開していた。
「‥‥マスター、指示を」
「うん。マシュ、モードレッド────行くよ!」
藤丸の号令でマシュとモードレッドが沖田とリンボに飛び掛かった。
・・・・・・・・・・・・・
固有結界内にて戦う造化三神の神々。その戦いの余波が少しでも漏れれば、それで地球どころか宇宙がお終いという規模の戦いになっていた。
「さあ、消えろッ!」
その身体から凄まじいまでの破壊力を秘めた魔力が放出される。
元は対根源であり、今は宇宙の最高神という至高の存在。彼の権能は一つ一つが宇宙を破壊し、世界を創造するに等しいもの。
「
「分かってる!」
だが、ソレを迎え撃つ2柱の神も
「今度はこっちの番だよ!」
「その程度の攻撃!」
だが、本来であれば一つ一つが宇宙規模の破壊力を秘めたその群体ですら、
「‥‥隙だらけ。ワタシがいることを忘れないで」
「ぐっ!?」
いつの間にか、クリプタ―の後ろを取っていた
その様子を冷静に見ていた
「‥‥やっぱり、アナタはただの人間。
「ッ‥‥‥‥!」
無言で
だが、現在クリプタ―はそれが出来ていない。
彼の魂は根源界外に存在するもの。根源に属していない以上、根源が絶対という根源に属する側からの干渉は受け付けない。だが、彼の魂からであれば話は別だ。
魂そのものに生物の設計図、元の身体の情報などが存在している以上、例え誰の身体を乗っ取ろうが元の人格や記憶は保っていられる。だが、やはり定着した体にもその身体の記憶という情報が存在している。そして、魂は定着した体に存在する記憶を読み取る。本来であれば他人の身体から記憶を読み取ろうと、それはあくまでも記憶ではなく記録としてでしか本人の魂には残らない。つまり実際に経験して得た記憶ではなく、乗っ取った者の行動を鏡越しにみたかのような「記録」でしかないのだ。故に例え魂が体の情報を読み取ろうとも本来の人格にはさほど影響を及ぼさない。
‥‥‥だが、その『記録』の情報量があまりにも膨大だった場合は話が別だ。
元は対根源というこれ以上ない情報の塊。クリプタ―が
故に本来であれば、元の人格に影響をきたさない様に少しづつ
「ちっ、ちょこまかと‥‥!」
「ほら、また隙が出来た」
「ぐあっ‥‥‥!」
目の前のことばかりに集中すれば、後ろががら空きになる。そんな基本的なミスをして再度、攻撃を受けてしまう、クリプター。
「確かに君の身体は
「でも、アナタの戦い方はハッキリ言って雑。巨大な力をただただまき散らしているだけ。汎人類史で言うところの『力のごり押し』というやつ。それなら私たち2柱がかりで、どうにかならないこともない」
その言葉と共に再び連携攻撃を仕掛けて来る、2柱の神。ソレを見た
「ぐあぁッ!?」
「っ‥‥!」
今までとは比較にならない、その広範囲攻撃は流石に凌ぎきれなかったのか、2柱の神がダメージを負う。ソレを見たクリプタ―が笑みを見せる。
「戦い方が雑か‥‥なるほど確かに私も元はただの人間。知恵も戦闘の技術もお前達には到底及ばない。ああ、認めようじゃないか!だが、あえて言おう!それがどうした!力のごり押しだけで何とかなるだけの差が─────私達には存在する!」
「ぐっ‥‥!」
別空間に逃げようとも、別宇宙に移動しようとも、概念権能による絶対防御を施そうとも全てを破壊し迫りくる圧倒的な力の渦。こうなってはもはや、技術も関係ない力の押し合いでしかない。
確かにこの2柱は
「ぐ‥‥これはちょっと不味いかも」
「同意。凄く野蛮なやり方だけど、これを凌ぎ続けるのはワタシ達でも難しい」
「ああ、でも負けられない。
「肯定。
創造神としての権能を全力開放して、無数の宇宙空間を生み出しソレを流星群のように使役する
それを
「さあ、いい加減にくたばって貰おうか!過去の亡霊共!」
「否定。くたばるのはアナタ。勝つのはワタシ達」
「ああ、同じ造化三神として
「やれるものならやってみろ!!」
3柱の神気が衝突し宇宙がいくつも壊れる程の衝撃が、固有結界内に走る。
神と神を乗っ取った人間の戦いが3柱しかいない世界で続いていた。
・・・・・・・・・・・・・・
「─────『
「─────『
モードレッドの宝具と沖田の宝具が衝突する。
その衝撃波だけで神の建造物である筈の
地面に亀裂が走る。
「ンンンンンンッ!!さあ────砕け散れっ!!」
「─────ハアアアァ!」
リンボの呪術による攻撃をマシュがその大盾で凌ぐ。
戦況は完全に互角だった。以前は異聞帯の沖田総司に手も足も出なかったが
「──────『
「‥‥‥ぐっ!!」
3つに分裂した斬撃それぞれにもう2つずつの斬撃が同時同位置に挟まったそれが
モードレッドに襲い掛かる。全てを躱すことは出来ない。だが、今のモードレッドであれば多次元屈折現象からなる斬撃を受けきる事が出来る。
モードレッドの宝具の一つ「
沖田総司からの斬撃も、纏っている雷を貫き、鎧を損傷させはしたがモードレッドの身体には多少の切り傷を与えた程度だった。
「ッ‥‥‥!」
だが、それでもやはり異聞帯の沖田総司の剣術は凄まじかった。
いや、互角に戦えるようになってその凄さをより実感できていた。
今のモードレッド達は神霊規模の強さを得ている。生前はともかく今の通常サーヴァントとして召喚された沖田総司とは霊基出力に相当な差がある。本来は戦闘において圧倒してしかるべき筈なのだ。
それを自前の剣術と戦闘の上手さだけで戦況を互角にまで持ち込んでいる異聞帯の沖田総司が異常ともいえた。
だが、カルデア陣営と沖田、リンボの陣営には決定的な違いが一つあった。
それは霊基出力差による耐久力の差である。
攻撃を受けてもその圧倒的な霊基によりいくらかの余裕があるモードレッドとマシュに比べて、沖田とリンボは相手からの攻撃を1つでも受ければ致命傷になりかねない。
常に攻撃を完璧に捌き切らなければならないリンボ、沖田に対して少しは余裕があるマシュとモードレッド。それでも異聞帯の沖田は神の領域に至った剣技がある故に問題はない。どれだけの攻撃を受けようが捌き切るだけの自信がある。だが‥‥‥味方までもがそうであるとは限らないのだ。
「─────ドオラアァァァッッ!」
「ぐあぁああああっ!?」
無数に放たれるモードレッドの雷撃。その一つがとうとう、リンボを捕らえた。
以前に比べ遥かに強化されたその雷撃は、リンボの防御結界をいとも簡単に突き破った。本来であればそのリンボは式神であるが、神霊規模となり強化されたモードレッドの電撃は空間を飛び越え、式神ごとリンボの本体にまでダメージを届かせていた。
「ぐ─────おのれ‥‥!狂犬の分際でよもやここまでの霊基を得ていようとは‥‥!拙僧の計画が妨げられるなど、あってはならぬ!我が策は完璧だったはずだ!儂の策通りにマスターに
「ああ、そうかい。寝言の続きはあの世で好きなだけ喚くといいさ‥‥‥へっ。これでようやくお前の顔も見納めだな、リンボ。『
「ッ─────!」
モードレッドの剣に莫大な魔力が込められる。
それを見たリンボの顔が青ざめる。
「ま、待て!そうだ!情報交換というのは如何であろうなァ!?我が主の秘中の秘!貴様らの、否!この世界の在り方を根底から覆す究極の情報『型月世界』の様々を貴様らに、」
「────
「ッッッギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!?」
モードレッドの宝具がアルターエゴ・リンボこと蘆屋道満を飲み込む。
宝具の魔力が消えた後には何も残っていなかった。そして‥‥リンボが消滅したことで、拮抗が完全に崩れた。
「ッ──────!」
それでも多重次元屈折現象を巧みに操り何とか持ちこらえる沖田。
無数の雷撃を同時行動と縮地スキルを活かして捌き、マシュからのシールドバッシュをその巧みな剣術にて受け流す。
だが、それも限界だった。多重次元屈折現象並びに魔力放出スキル、魔術などを常にフル活用し、僅かのミスすらも許されない沖田。2対1となり生じた綻びを突いて、遂にモードレッドの剣が沖田総司を捕らえた。
「チッ‥‥いい加減にくたばりやがれッ!」
「ぐっ‥‥!」
モードレッドからの斬撃を受け膝をつく沖田。霊基を破壊された以上は、先ほどのリンボと同様、消滅はもう免れないだろう。
だが勝利をおさめた筈のモードレッド達の表情はとても勝者が浮かべるようなものでは無かった。
「たく‥‥‥霊基にここまでの差があって手こずるのかよ‥‥。勝った気がしねえな‥‥」
「はい‥‥
何処か浮かない顔をするモードレッドとマシュであるが、意外なことに2人をフォローしたのは沖田からだった。
「これは戦‥‥どんな手を使おうが、結果こそが全てです。今はこの勝利を素直に受け入れるのがよろしいかと」
「まあ、そうだな‥‥。なら素直にそうさせてもらうぜ。それにしてもアンタ、消えかけているのに随分と余裕そうじゃねえか」
「ええ、確かに私とリンボは貴方達に破れました。ですが‥‥‥まだ、我々の負けが決まったわけではありませんから」
その言葉を最後に沖田総司が不敵な笑みを残しながら消滅する。
リンボと沖田が消滅した。これでこの場の敵は全て片付いた。
「これで後は‥‥」
「────ああ、後はお前達だけだ」
「────ッ!!」
藤丸の言葉に応えたのは、日本のクリプタ―だった。彼がここにいるということは‥‥‥
「‥‥‥‥‥‥」
藤丸が今は身体が
‥‥‥決着の時は近い。
多分、次回で決着かな。