FGOの世界に転生して、Aチームに所属したら異星の神に選ばれてしまった件について 作:ハセカズ
傷だけでなく、いくつもの権能による呪いが刻まれているその様子を見たモードレッドが鼻を鳴らした。
「へっ、随分とお疲れの様だな?小物が分不相応な力を得るからそうなるんだよ」
「‥‥‥‥侮るなよ?残存魔力だけでお前達を片付けるにはお釣りがくる。お前たちを始末した後で身体を癒して残りの障害も片付ける。私がやることに些かたりとも変わりはないのだ‥‥!」
その言葉と共に、
最初に藤丸達に放たれた時とは違い、手加減抜きの攻撃だ。
「ハアッ────!!」
「何ッ‥‥!?」
だが、あろうことかその攻撃はマシュの大盾に防がれてしまった。
マシュ本人もかなり苦しそうな顔をしてはいたが、戦闘不可能という程の手傷を負ったわけではない。自身の攻撃を凌がれたことに驚きを隠せないクリプタ―。
「くたばりやがれ!」
「ぐあぁ!?」
そして、その隙を突いてモードレッドが魔力放出スキルによる電撃を放出する。
以前と違いその攻撃は確かに、
「いた、痛い‥‥?馬鹿な‥‥私がこの規模の攻撃で傷を負うなど‥‥!」
「ふん、やっぱり気づいていなかったか。今のお前からは前みたいな圧力を感じないし‥‥何よりもの魔力を
「ッ‥‥!!」
モードレッドの指摘通り、今の
「ッ‥‥だからといって私に敵うと思うな!」
だが、いくら弱体化したとは言ってもその魔力量はモードレットたちよりも上であることに変わりはない。再度、
「マシュ!」
「はい、マスター!」
それを藤丸からの援護を受けたマシュに防がれる。
そして、モードレッドが先ほどとは違い、魔力放出スキルを自身に纏い弾丸のように突っ込む。
「オラァァァアア!!」
「ちっ、狂犬が‥‥!」
モードレッドの振るう雷剣を魔力を腕に纏わせて受け止めるクリプタ―。
そのまま返す刃でモードレッドを仕留めようとして‥‥モードレッドの身体が発光した。
魔力放出スキルの応用で身体から光を放つモードレッド。そのあまりの眩しさにクリプタ―が目を閉じる。
「っ、眩し‥‥!!」
「ケッ、隙だらけだ!」
「ぐっ‥‥!」
戦闘中に目をつぶるという致命的な愚行を犯したクリプタ―がそのままモードレッドに吹っ飛ばされる。その様子を見ていた藤丸が、自分の考えが間違っていなかったことを確信する。
「‥‥‥やっぱり。戦い方が凄く雑だ。多分、戦闘慣れしていない」
「ッ‥‥!!」
「ああ、初歩的な手には引っ掛かる。攻撃のたびに隙ができる。ハッキリ言って一般人と大差ねぇ。それなら、いくら俺達より魔力が上でもやりようはいくらでもあんだよ」
モードレッドと藤丸の言葉通りに、先ほどまでの様にあまりにも超越した差が付いているなら力のごり押しでも通用するが、その差が縮まった今ではモードレッド達でも十分に対抗できる。モードレッドの雷撃により、更に手傷を負ったクリプタ―。
「ハァ‥‥ハァ‥‥。おのれカルデア、おのれ亡霊、おのれ藤丸立香‥‥!おのれ‥‥おのれ‥‥!」
憎悪の眼差しでカルデアを見やるクリプタ―だが、よく見るとその眼は余裕がなく確かな怯えをみせていた。
もはや蓄積したダメージは今すぐ治療を施さなければ、死が見える域にまで到達していた。日本異聞帯に来てから初めて感じる明確な死のイメージは本人に恐怖を与えるには十分すぎたのだ。
「い、嫌だ‥‥‥!死にたくない!神が、私が‥‥‥
「先輩‥‥‥」
そんな様子を見たマシュが悲痛そうな顔で見やる。藤丸もそんな怯えた小動物のような様子を見せる男を同情的な目で見ていたが、モードレッドだけは別だった。
モードレッドは目の前の男をこの場で仕留めるつもりでいる。
当初はあのクリプタ―が仕掛けてきた『異聞帯の民を皆殺しにしなければ異聞帯が消滅しない』という策があったため生きたまま拘束するというのが方針だったが、それも
今は、
その要因としてはリンボの言っていた「根源の外」、「原作知識」というワードが関連してると思われるが、何にせよ
まだ『異聞帯の民を皆殺しにしなければ異聞帯が消滅しない』策をどうにかできる見立ては立っていないが、そのことを考慮に入れても生かしておけば全滅の可能性が高い以上ここで確実に仕留めるべきなのだ。
だが、いくら弱体化したと言ってもとどめを刺せるのは
だからこそモードレッドは自分の手でやるつもりだった。それでマシュに恨まれることになっても。
「‥‥‥諦めるんだな。ここがテメェの死地だ!」
「うぐぁっ‥‥!!」
モードレッドの魔力放出により再度、吹き飛ばされるクリプタ―。
だが、恐怖におびえながらもその眼はまだ諦めてはいなかった。
追い詰められた獣かのような様子を見せながらも、その身体から莫大な魔力を放出される。
「ぐ‥‥ぅ。おのれ────こうなれば見せてやるぞ!!」
『みんな攻撃に備えて!
ダ・ヴィンチからの通信を受けて警戒するカルデア一行。
それは本来であれば、本人にとってもリスクが高い故に使うことが憚られる手。
しかし、ここまで追い込まれた以上もう手段など選んでいられない。
それはこの根源にて最強。全ての上位に立つ究極位の力。
即ち───
「最後に勝つのは俺だ!さあ、見ろ!これが型月全ての頂点に立つ究極位の宝具!」
「─────『
この宇宙にはアルテミットワンと呼ばれるものが存在する。
その正体は他天体という異常識の生態系における唯一最強の一体。彼らは星の意思の代弁者であり、その星全ての生命体を殲滅できる能力を有する。その星における最強の一。それがアルテミットワン。だが、
この宝具は原初の
「ぐぅぅぅぅぅ‥‥‥!」
記録でしかないとは言え、あまりの情報量に本人の自意識が消えてしまいそうになる。
だが、本人が弱っているせいかその能力が弱体化していることが幸いしどうにか、意識を留めることに成功した。後は相手に止めを刺すだけだ。
「さあ────これで終わりだ!」
「────来る!」
瞬間────
発動された対根源宝具は言ってしまえば根源に迫れるだけの情報量を元に、起こしたいあらゆる事象を強制的に引きおこすというもの。藤丸達を殺すという意思で発動されたソレは、藤丸達を殺傷する為のありとあらゆる要素を引き起こそうとしていた。
「────『
その群体を前にマシュが宝具を発動する。神霊規模の霊基から発動され、顕現する城塞は全盛期のマシュが発動された者よりも更に完璧な形でのものだった。そして、それを補助するかのようにモードレッドが自身の雷を城に纏わせる。その直後、凄まじいまでの衝撃波が
「あ、あぁああああ──────!!」
ソレは時間が止まったかのような光景だった。対根源宝具を打ち破れるものは存在しない。対根源宝具を超えられる存在はこの根源には存在しない。対根源は絶対なのだ。
肉が裂け、血管内の血液が蒸発する。それでも、少女は膝を着けない。
地獄のような時間が続く中でも彼女が諦めることは無い。
「マシュ────!!」
藤丸がありったけの魔力をマシュに回す。それは
「無駄だ!耐えられるわけがないだろ!対根源だぞ!!」
そう嘲笑いながらも
防ぐことは出来ない、躱すことは出来ない、根源からは逃げられない。同じ対根源宝具以外には対抗手段などは存在しない。
「消えろっ!!」
「はあぁあああああ!!」
だから気づくべきだった。宝具発動時で藤丸達が死んでいなかった時点で、
「‥‥‥‥‥‥‥馬鹿な」
攻撃が止んだ後でも藤丸達は確かに生存していた。
ありったけの魔力を使っていたマシュ、モードレッド、藤丸の3人が‥‥‥特にマシュの疲弊とダメージが酷いが、それでもまだ戦闘は何とか可能な状態だ。
「あり‥‥えない‥‥‥!対根源宝具だぞ‥‥‥!型月全ての特効‥‥‥耐えられるわけが‥‥‥!」
そして、奥の手を使った本人は更に消耗し意識が朦朧とする感覚を覚えるが何とか踏みとどまる。
そもそも人間が耐えられるだけの情報量しか流れていなかった時点で、もはや対根源と呼べるようなものではない。死にかけの身体で、更に能力に制限が掛かっている状態で発動できるようなものではないのだ。
今だ生存しているカルデアの面々を憎々しげに見ながら歯ぎしりをするクリプタ―。
眼前の者たちに止めを刺すべく再び攻撃態勢に移る。
「おのれ、カルデア‥‥!忌々しい連中が!!」
「っ‥‥‥させません!」
「また貴様かぁぁぁ!いい加減うっとうしいぞ!!マシュぅぅぅう!!!」
「うあぁっ!!」
怒りと共に再び放たれた光帯を今度は受けきれずにマシュはそのまま吹き飛んでしまった。だが、ソレをチャンスと捉えたモードレッドが魔力放出スキルにより突進し、その剣を
モードレッドの渾身の魔力が込められたそれを、咄嗟に魔力を纏った腕で受け止めるが、予想以上の威力にその鍔迫り合いは少し押され気味となる。宝具を使い、更に消耗したことも要因だろう。だが、弱っているのは向こう側も同じ。純粋な力比べならまだ、クリプタ―側に分がある。
「消耗しているからといって俺に敵うと思ったか!狂犬風情がぁ!!」
「ぐあぁっ!!」
その言葉と主にありったけの魔力を放出して、モードレッドを纏っていた雷ごと吹き飛ばす。ダメージが限界まで蓄積しているのは向こう側も同じ。止めを刺すべく、もう一度あの力を放とうとしていた。
「今度こそ終わりだ!対根源宝具起動─────『
再び放たれたソレは消耗しているからなのか、前よりも小規模のものであるがそれでも今の藤丸達を殺すには十分すぎる程だった。
先ほど同様にあらゆる藤丸達を殺すためのあらゆる要素がモードレッドと藤丸の両者に放たれる。
「─────ッ」
先ほどとは違い遠くまで吹き飛ばされ、マシュの援護が貰えない位置にいたモードレッドはそのまま宝具により魔力の渦にのみ込まれてしまった。
「ぐあぁあああ!!」
そして、同じくマシュが吹き飛ばされたために防御が間に合わず無数に放たれていた光線の一つが藤丸立香の腹を貫いた。先ほど攻撃を凌ぐためにありったけの魔力を使い、既にボロボロだった身体はもう立ち上がるだけの力が残っておらず、そのまま意識を失う。
「立香先輩!モードレッドさん!!」
「次はお前だ!!」
藤丸とモードレッドを仕留め、そのままマシュにとどめを刺すべく、宝具の矛先を向けるクリプタ―。
だが────不意に後方から雷鳴が鳴り響いた。
「──────勝手に殺すんじゃねぇぇええええ!!」
「なっ─────」
信じられないものを見たかのように驚くクリプタ―。
そこには光帯が直撃し、下半身が消滅しながらも雷を纏い弾丸のようにこちらに迫ってきているモードレッドが居た。
下半身が消滅しながらもその眼に宿る闘志には些かの衰えも無かった。
「─────『
「─────ぐぁああああああああああああああああああああああ!!?」
残りのモードレッドの残った全魔力が込められたそれは絶対無敵である筈の神の身体に致命的な傷を与える。
「ぁ‥‥‥ぁぁ‥‥‥」
全魔力を使い果たしたモードレッドが消滅すると同時に余りのダメージ量から、とうとう
もはや限界だった。だが‥‥‥まだ倒れるわけには行かなかった。
「─────ハァアアアアアアア!」
涙を流しながら盾を振りかぶり、こちらに突進してきている少女が残っているからだ。
意識が朦朧としながらも、日本のクリプタ―が目の前の少女を始末するべく残りの全魔力を手に込める。
「死ねえぇぇええええええ!」
「ハァッ─────!」
極光と少女の盾が激突した。
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