影でひっそり生きようとしたら無理でした   作:ろーたそ

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今回に関しては古手川メインです

古手川視点での出来事です




第10話

私の名前は古手川唯

彩南高校の生徒の一人

最近では学校に通う生徒たちの風紀が乱れていることから、私は朝の挨拶や持ち物検査、身だしなみのチェックといったものをしっかりと学校生活を充実に過ごせているかを確認していた

 

「おはようございます」

「おはようございまぁーす」

「挨拶はきちんとする!!」

 

私は今日も正門に立ち、学校に入っていく生徒一人一人に挨拶をする

最近では学校自体が緩んでいるように見えてしまうため、挨拶の仕方などは社会に出てもしっかりと挨拶しないといけないため、今のうちに学んでおかないといかない

 

さて、今回私が正門の前でこうやって立っているのは勿論、朝の挨拶もあるのだが一人の男子生徒を待っているのである

 

「ねぇねぇシンー!見て見て!」

「なんだこれ」

「筋肉トレーニングくん!」

「また変な発明品だな…」

「違うよ!これはね!シンが最近筋トレ凄くしてるからその支えになるためのモノ!これはね、持ち運びできるようになってていつでもどこでも筋トレの器具になることができるの!」

「へぇ〜それはすごいな……いや普通にすごくね?」

「でしょー!」

 

ようやく来た

そう、彼 笠木心を私は待っていたのである

 

「ようやく来たわね!笠木くん!」

「ん?んぅ〜、これはこれはツンデレで有名な古手川さんじゃねぇーでやすか!」

「誰がツンデレよ!それよりララさん!発明品を

学校に持ち込むのは禁止と言ったはずです!」

「えぇ〜」

 

この男、笠木心は彩南高校でも中々の問題児である

数週間前までは極普通の生徒として私も見ていました

風紀委員でもないのに資料運びなど、雑務などにも暇だからと手伝ってくれたりなど心強かった印象がありました

一風紀委員として私はすごく嬉しかった

だけど、そんな彼の印象もある出来事で一瞬で消え去った

そう、更衣室覗き事件!!

彼は水泳部の更衣室で女子が着替えているところを全裸で入ったということが私の耳に届けました。それが嘘だと初めは思ったが、水泳部全員が見たとのことで、それから彼の印象がやはり他の男と同じで変態に変わったのをいまでも覚えている

ダラけ始めているのか、笠木くんの姿はしっかりとしたものではなかった

制服のボタンがしっかりと付けれてなかったり襟が立ってたりと身だしなみがとにかく悪い

 

「しっかりと学校に来る前には身だしなみはきっちりと整えてきてください!」

「いや……今日はあれなんだよ。色々と家であって…」

「といってどうせ着る時間がなかったんでしょ。しっかりしな……きゃっ!?」

「ちょっ!?」

 

彼が言い訳をしている所に私は更に注意をしようと前に出るが、なぜか足を何も無い場所で片方の足が引っかかり、前に倒れる

目の前には笠木くんが居ることから、彼へと私は倒れていく

とくに怪我などはないが、なぜか胸部に何かが当たっているのを感じる

目を開けて見れば、そこには私の下敷きになっている笠木くんが居り、私の胸が顔に当たっているのを見て、すぐに冷静さを取り戻す

 

「ハレンチな!!」

「へぶっ!?」

 

 

 

 

 

その瞬間、彼の顔に紅いもみじが付いた

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 

「大丈夫?」

「強烈なのを喰らったぜ……なんか今日は不運すぎるというかなんなんだよ……」

「保健室に保冷剤貰いにいく?」

「ああ、そうするとするよ」

 

つい勢いで笠木くんの頬を叩いてしまった私は彼が保健室へと向かうのを見届けた後、罪悪感で心が苦しかった

あれは彼がしたことではなく、自分から足を躓いてしまい転けたというのに、まるで彼のせいであるかのように頬を叩いてしまったのだ

謝ろうと機会を伺っていたけど、いまララさんと2人で保健室へと向かってしまった

まだ朝だから一限目が終わった後に謝ろう

 

 

だけど、そう簡単に謝る機会が数時間後に訪れることはなかった

 

 

一限目終了後

 

 

「あの笠木くんさっきのこと…」

「心!ジュース買いに行こうぜ!」

「猿山、そんなに声出さなくても聞こえてるわ」

 

二限目終了後

 

「笠木くんちょっといい「シンくんー!」」

「なっ!?ルン抱きつくのに俺のところに飛び込んでくるな!!」

「………ハ、ハレンチよ!!」

「なにが!?」

 

三限目終了

 

「あの…」

「シンー!見て見てこれ!新しい薬作ったの!」

「ララって発明品の他にも薬なんて作れんの?なんの薬?」

「えへへー内緒♡」

 

四限目終了

 

休み時間、教室には居なかった

 

結局、昼休みになるまで謝る機会が訪れることはなく、時間は過ぎていくばかり、昼休みには笠木くん達は結城くんや猿山くん達と食堂に昼食を食べに行ってるため、クラスが一緒でこうも話す状況を作れないとなるとなにかに邪魔されてるんじゃないかと思ってしまう。いま向かっても友人との交流を邪魔してしまうから行こうにも行けない

まさかここまで謝るのに時間が掛かるとは思っていなかった

 

「はぁ……私はどうすれば……」

 

そう悩んでいる時に……

 

ドドドドドドド…

 

後ろからなにやら変な音が聞こえてくる

私は後ろを振り返ると…

 

「女だぁぁぁぁぁぁ!!」

「見つけたぁぁぁぁぁ!!」

「むっひょぉぉぉぉぁ!堪りませんぞぉぉぉぉ!」

 

 

「な、何事!?猿山くん達も校長先生も廊下を走らない!!」

「「「古手川だぁぁぁぁぉぁあ!!」」」

 

「え、えぇ!?」

 

なにかに取り憑かれたかのように、猿山くん達は私を見ると、標的をこちらへと変えて獲物を狙うように走ってくる

目が血走っていたりと、只事ではないことが見て分かるが、こちらへと向かってくる猿山くん達の様子を見て逃げようにも足が動かなかった

 

「どう……して……」

 

足が震えている

あの目は、エロい視線を向けてくる目だということが分かってしまう

逃げたい……

でも足が動かない…

誰か……助けて……助けて!!

 

 

 

「古手川!!」

「っ!?」

 

その時、聞き覚えのある声がした

走ってくる猿山くん達の後ろから物凄い勢いで飛び跳ねて、猿山くんや校長先生達の前に着地すると、私の方へと走ってくる

 

「なにやってんだ!!いま猿山達はお前をターゲットにしてんだ!!早く逃げろ!!」

「で、でも……足が動かなくて!!」

「そういうことかよ。これは仕方ねぇ事だ!ハレンチなんて言うなよ!」

 

そのまま私の方へと走ってくる笠木くんは体勢を低くすると、私の腰と背中を持ち上げて横にして笠木くんは私を抱き上げる

少女漫画で言うところのお姫様抱っこである

 

「きゃっ!?//////」

「これは仕方ないことだから!け、けっしてアンタのためじゃないんだからね!!」

「ふざけないで!!」

 

 

「笠木てめぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

「許さん、許さんぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!」

「ワシに抱かせてくれぇぇぇぇぇぇ!!」

 

「そ、それよりもあれはどういうことなの?」

「ララが作ってくれたジュースを猿山たちが飲みたいって言って飲ませたらなんかああなった。」

「本当にどういうこと!?」

「あとから聞いたら欲望に忠実になる薬を盛ってたらしい」

 

曰く、ララさんは笠木くんにその欲望に忠実になる薬を入れたジュースを飲ませて笠木くんにくっ付いてほしかったとか…

それを猿山くん達が先に飲んでしまい、「女」というを欲しがる彼らの気持ちが一気に跳ね上がると共に、その欲望に忠実となったためあのようになったらしく、私を狙う前も、他の女の子が目に映れば襲おうとしていたらしい

 

「このままだと埒があかないな…しっかり掴まってろよ古手川!!」

「ちょっ!!なにを!?ええぇぇぇぇぇぇぇ!!??」

 

笠木くんは追いかけてくる猿山くんたちから逃げるために、私を抱き上げたまま窓から外へと出る

ここは3階、追いかけられている内に猿山くん達は一切息切れせずにこちらへと走ってくるのに、このまま追いかけら続けたら捕まるのは目に見えてるため、笠木くんは窓から飛び降りる

普通、ここから落ちたら地面に足を付いたとしても骨折してしまうだろう

だけど、そんなことを気にしないかのように窓から笠木くんは飛び降りたのだ

 

「ワン・フォー・オール フルカウル!!」

 

何か笠木くんが呟くと、笠木くんのその両足からは眩しい光を放たれていた

その光は優しく彼の足を包み込むような真っ白な色で見惚れてしまうくらいに綺麗だった

そこから私が頭で考えるにはあまりにも非現実的なことばかりであった

着地すると、笠木くんの足は折れる所か、その状態を保ったままであり、次に笠木くんが動き出すと先程まで走っていた時よりも何倍、何十倍と速かった

気がつけば、校舎の裏に着いていた

 

「ふぅ……ここまで来ればあいつらもわかんねぇだろ」

「その……」

「ああ、悪いな古手川。急にこんなことになっちまって」

 

彼の足から光は消える

どういうことなのかは私には分からない

だけど、助けられたことにはすごく感謝している

あのままだと本当に彼らに襲われていたからだ

 

「さっきはありがとう…」

「ん?まぁ気にすんなって、あいつらに古手川が襲われる姿とか俺見たくないしな」

「………なんで助けてくれたの?」

「なんで?」

「今日の朝、私が躓いてしまってその時に笠木くんのせいじゃないのに顔を叩いてしまって、何度も謝ろうとしたけど謝れなくて、更には助けられて……」

 

あの時、強く当たりすぎて彼を傷つけてしまった

それだけで私は自分が許せなくて自分を責めてしまう

 

「なんだよ。まだそのこと気にしてんのか?あれに関してはもういいっての……それに俺が古手川を助けたい理由はな……大切な人が傷つく所は見たくないからだ」

「大切な……人……」

「ああ、少なくとも俺の中では古手川はすげー大切な存在だよ」

 

なんでだろう

笠木くんに大切な人と言われた瞬間、すごく顔が熱くなってる

顔だけじゃなく、身体も胸が締め付けりるような感覚がある

彼のこちらに向けてくる笑顔を見ると、頬が緩んでしまう…

 

「まぁもうあの時のことは気にするな。こういう時こそ笑顔で居ろってことさ……はぁい、スマァイル」

「……ふふっ……」

 

笠木くんは自分の指で自分の口を上げて笑顔を無理やり作る

さっきの無邪気な笑顔の方がかっこいいのに、いまの無理やり笑顔を作ってるのはダサく見えるけど、こんな風に言ってくれる彼がいま一番かっこよく見える

 

「いいえ。気にしなくてもいいと言われても私は気にします……ですからごめんなさい……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そしてありがとう」

 

 

「おうよ」

「だけど!これから先、ララさんとのハレンチな所を見たらすぐ減点ですからね!」

「相変わらず厳しいなぁ〜。もうちょい肩の力抜こうぜ?」

「逆に笠木くんの場合は抜きすぎよ!!」

 

 

ちゃんと謝れて良かった

いつのまにか胸の中にあった嫌な感じは温かいモノに変わっていた




今回も読んでいただかありがとうございます

相変わらずの駄文に草も生えん…

今回笠木くんの言っていた謎の発言ですが次回の話で絡めるのでその時に………というよりかは普通に能力の名前ですが、考えたのですが普通にヒロアカから持ってきました。いやほんとすみません

そしてUA80000超え本当にありがとうございます!
こんな沢山の人に見ていただいてるのはすごく嬉しいです
もし良ければ更新が遅かったりするかもしれないですが気長に待っていただけると嬉しいです

次回はなるべく早く出そうと思うのでよろしくお願いします!
コメント、悪い点などあれば教えてもらえれば嬉しいです!

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