今回東欧から呼び寄せた二人の女性オペレーター。
アリシア・レイレナードと蒼井紅。
僕にとって彼女たちはただの一兵士では無い。
戦闘力に関しては彼女たちよりも強いものは五万といるだろう。
知識に関しても彼女たちより優れたものは無数に存在しているだろう。
だが彼女達はこの世界の多くが持っていないものを持ち合わせている。
それは彼女たちの精神性だ。
この世界に潜む真実、本当の姿。
それらと真っ向から対峙し、突き進み打ち砕く稀有な精神性を有している。
恐れないわけではない。驚かないわけでもない。納得するでもない。
だが決して歩みをやめるわけではない。逃げ出すわけではない。
彼女達はこの世界の真実を知り、それでも歩みを止めない探索者だ。
僕にとって彼女たちはただの一兵士では無い。
彼女たちは世界の真実にすら喧嘩を売れる大馬鹿野郎であり、どんな状況でも信用できる数少ない人間なのだ。
もちろん僕の部隊だって信用はしてるけどね。
僕たちはみなとみらいに向かって車を走らせている。
運転手は紅。
助手席にアリシアが座り、後席に僕、レスター・ビヤークネスと僕の部下が座っている。
「なあアリシア~」
「何よレスター。猫なで声なんかだして。怖いのだけど」
「ひどいなぁ。オルレアが最近冷たいんだよ~。『兄さんは私よりも仕事が大切なのでしょう』とかつっけんどんなんだ。女性の機嫌を治すいい方法なんか無いかい?」
適当に話題を振る。
僕の信条は仕事前は極限までリラックスだ。
「そういうのを他人に聞いちゃうからオルレアは怒るのよ。私も人のこと言えたことじゃないけど、貴方どうせ妹にすら自分の本心さらさないんでしょ。そういうところ直したら」
「これは手厳しい」
笑いを顔に張り付かせながら、頭を軽く掻く。
「紅んところ姉妹仲いいだろ~?なんかアドバイスとかちょうだいよ」
「直す気はないのね」
アリシアが顔を振り向かせジト目で見てきた。
こういうときはなあなあなスルーに限る。
紅は吸っていた煙草を灰皿に置いた後、口を開いた。
「ん~。私のところは昔からずっと姉妹仲はいいからな~。さっきアリシアも言ったけど本心をさらけ出してくれない兄にちょっと思うところあるんじゃない?私の家は迷ったらすぐ相談だったよ」
「フフーフ。いたいけで可愛い妹には刺激の強い話ばかりだからな~。そもそも僕は常に本心をさらけ出してるよ。誰もそれを疑って裏があるんじゃないかと勘ぐるだけさ」
「貴方のその鉄仮面のせいでしょう。本心と思わせる気がないならなにも意味が無いじゃないの」
「僕は武器商人だよ?仮面無しで交渉事に挑むのは、君たちが銃を持たずに戦場に立つのと同義だよ」
「オルレアとなんの交渉をするっていうのよ…」
「フフーフ。人生はすべて交渉事と選択の連続さ」
トンネルを抜ける。
さあ、もうすぐ今日の戦場に到着だ。