ヒロアカ世界に転生したと思ったら個性が『召喚』で修羅場なんですがそれは   作:旅鴉

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五千年ぶりの投稿
前書いてた下書きは死にました




この世界で生きること

「あのね、私ヒーローになろうと思うの」

 

そう言うと同じ食卓にいた面子は揃って表情をしかめた。

 

 

私は呼子 結(よびこ ゆい)。

前世は糞ゲーマー、今世は美少女。

そして"個性"は『召喚』。

過去に縁を結んだあらゆる存在を召喚・使役することが出来る。基本『ゲームで集める・育てる』などしたキャラクターを、姿を思い浮かべながら名前を呼ぶだけでいつでもどこでも喚び出せるのだ。

喚び出したキャラクターはこの世界に安定して肉体を保てる『家族』タイプと、わずかな時間しか姿を保てない『お客』タイプに分けられる。その辺の差は私もあまり分からないが、私のその作品への入れ込み具合や、やりこみ、課金、親愛度や絆などの『縁の強さ』の他、ゲームそのもののシステムに影響されるようだ。

 

 

例えば、艦娘や刀剣男士や貴銃士、文アルの文士、なむあみの仏様、バンケツの英傑、ポケモンなどは基本『家族』に分類される。

設定上プレイヤーに所有されたり、生活基盤や生命維持・顕現にプレイヤーの力が必要な設定だったりする系統だ。あとただ単にこの辺は課金ややりこみが強かった。

 

逆に『生活基盤や生命維持などでプレイヤーに依存しない』キャラクターや、プレイヤーがキャラクターになって動くタイプのゲーム、原作がゲームではなくアニメや漫画のものは『お客』だ。例えばカービィとかマリオとかオリマーとかガンダムとかコンパチヒーロー、あとおそ松さんや文スト、ヒプマイなどなど……その辺はどんなゲームをいくらやりこんでてもお客だった。あと名前のあるポケモントレーナーとかも呼べはしたがこちらだ。恋愛ゲームやアイドルゲーム系もこっち。デジモンはやりこみが足りなかったのか何なのかこっち。

 

あと同じ作品でもキャラや育て具合によって変わるのもいる。例えばともだち妖怪はウィスパー・ジバニャンは家族だが、あまり育ててないレベルの低いじんめん犬はお客、育てたカンストかおベロスは家族。

FGOの英霊に関しては絆5・レベル60以上じゃないとレア度やキャラに関わらずお客。

 

 

『家族』に関しては一度召喚すると私が生きている限りはどんなに遠くにいても何年でもこの世界に存在を固定できる。勿論全キャラそのまま肉体を持って存在し続けられたらどれだけの場所があっても足りないので日替わりでこちらに居てもらってるが、霊体化してるだけで向こうが来たい!と思えば勝手に姿を現して来ることもある。ちなみに例え遠くで何かしてたとしても、私が呼べばすぐ目の前に連れてこれる。

 

『お客』は何回召喚しても、あくまでも私が喚ばないと来ないし、この世界に体を固定できる時間は最短のキャラで10分。まぁ合わなくてチュートリアルくらいしかやらなかったようなゲームでも、名前と顔さえ覚えていればそれだけ来てくれるからありがたいけど。

 

 

こんな最強個性だが、勿論デメリットはある。

どうやら彼らは私の体力?というか生命力?を削って存在しているようで、一定数を超えると私が倒れる。そうじゃなくても基本歩くことすらギリギリ、走るなんてもっての他状態。病弱な深窓の令嬢みたいになってる。中身ゲーマーだけど。ちなみに30人の『家族』と15人の『お客』ならお客の方がキツい。

 

 

なので反対されるのは予想してた。だって基本誰かにお姫様抱っこされるか車椅子で移動、箸より重たいものなんて持ったことありません!レベルの私がそんな事言ったら誰だって反対する。私もする。

 

「駄目に決まってるだろう?危なすぎる」

「そうだね……堂守にヒーローは、難しい、かな……」

 

我らが初期刀歌仙と、主治医薬師如来様が首を横に振った。それに続いて他の皆も反対する。何なら床に寝っ転がってたブラッキーとエーフィすら首を横に振ったし、棚の上で寝てたモクローまで反対した。

 

でも私もそれなりに理由があるのだ。

 

「『個性の無許可使用』。今は私が孤児でこの身体だから見逃されてるけど、大人になったらそうも行かないはず」

「「「!!」」」

 

あの日、私は結局両親を失った。両親がお金持ちだったことや保険金……そしてお金や法律に強いキャラを召喚し色々な給付金や敵被害者救済措置などを手配してもらったり、株とかで当ててくれたりしたのでお金には全く困らず生活できている。あの事件のあった場所から遠く離れたこの土地で皆と暮らして、もう10年近く。学校で具合が悪くなった時などは彼らが保護者代わりに来てくれるし、家事や買い物も任せられる。しかし私が二十歳を超えたらそうも行かないだろう。数が多すぎるし騒がしいけど、私だって皆と気軽に会えないのは悲しいのだ。

 

「それに、戦闘狂タイプや戦いの場でしか自分を認められないタイプの子達がいい加減限界だと思う」

 

私のゲームの好みは基本バトルがあるものだったし、武器や兵器擬人化も多い。

そうじゃなくても鬼の英傑とかタケミカヅチみたいな軍神、スナイダーとか同田貫とか降三世明王とか……戦場大好き!系はかなりあれだ。筋トレしたり敷地内で喧嘩したりしてるが鬱憤が溜まっているのはわかる。いつか爆発してしまって、人に迷惑をかけるかもしれない。純粋にヒーローを志している人には悪いが、彼らの活躍の場を作ってあげたいのだ。もちろん殺しはさせられないしかなり加減はしてもらう必要があるけど。

 

「あとこの私の個性、特に『家族』タイプの貴方たちに関しては正直『ヒーローレベルに強い生命体を軍隊レベルに呼び出せる』わけで。私を利用しようとする敵が現れる可能性はあるし、そもそも世界でもかなり類を見ない個性だからヒーロー科に来て個性を扱う訓練をしっかりして欲しいって雄英の偉い先生からお話が来たの。私や貴方たちに悪気がなくても、例えば何か起きて私の個性が暴走してしまって呼び出せるキャラ片っ端から召喚して暴れさせたりしちゃったら?誰かが操られたり闇堕ちしたりして私の支配から抜けて、敵みたいに街で大暴れしちゃったら?」

「……確かに」

 

艦娘は見た目こそ美少女だけど出す破壊力は本物の戦艦級。刀剣男士や貴銃士は艦娘には劣るがかなりの身体能力を発揮するし元が武器だけあって戦闘センスは高い。文士たちも身体能力は底上げされているし、そもそも本の世界に人を引きずり込んだり、あと彼らの攻撃は肉体ではなく精神に訴えるので喰らうとどんな相手でもかなりダメージが入る。仏や神なんか言うまでもないし、英霊もヤバい。ポケモンだって伝説や幻級は勿論普通に暴れられたら大変だし。妖怪もSランク以上も凄いが、Eランクですら取り憑いたら面倒な事件を起こす。『お客』だって呼び出したらヤバい奴らばかりだ。

 

皆を信じてない訳じゃない。制御しきれない自信がないわけでもない。それでも、この世界で皆と生きるためには出来る限りのことはしないといけない。

 

「私、何も出来ないし戦場では足手まといだけど。みんな、手伝って」

「…っ、勿論デース!提督がそこまで私たちのことを考えてくれていたなんて……感激デース!」

 

抱きついてきた金剛に、彼女を押し退けながら長谷部が私の手を取る。

 

「ええ、主命とあらば。俺は主に何処までもついていきますよ」

「うん!僕も司書さんとずーっと一緒にいたいし、それが皆のためになるのなら!」

 

宮沢賢治先生がぎゅっと抱きついてきた。帝釈天も箸を置いて私を見据える。

 

「それがこの衆生と、そして堂守のためになるのなら俺たちも力を貸そう」

「勿論でうぃすよ!アタクシたちも大事な友達の結たんと離れるわけにはいきませんよ!」

「それが頭の望みなら」

 

ウィスパー、バンケツのジライヤが続く。ブラッキーとエーフィ、モクローも私にすり寄ってきた。が、それらをひっぺ返してシャスポーが私を抱き締めた。

 

「それがマスターの望みなら。……ずっと一緒にいようね、マスター♡」

「……いいよぉ、マスターの今回の頼みはきいてやるよぉ。でも、……お前距離がちけぇんだよシャスポー」

 

あっ、始まった。

新シンがシャスポーを私から引き離す。後ろでは「提督に軽々しく触らないでクダサーイ!」と金剛が叫び数秒後には乱闘になった。

 

 

最大の問題はこれだ。皆の事は好きだ。それこそ家族のように。

 

なのだが、私への好感度が皆何故かぶち上がっており、性別種族混合地獄のハーレムみたいになってる。私を取り合ったりお前馴れ馴れしいんだよ!と喧嘩が始まるなんて日常茶飯事だ。好かれるのは悪いことじゃないし、嫌じゃないけどこの『好き』の中で更に『主・マスターとして好き』『子供のように思っている』『恋愛・性欲対象として好き』『私を親のように思っている』『友達だと思っている』……など細分化されるわけで面倒くさいしうるさい。

 

そして私は一人しかいないし誰のものでもないのでこうなる。いや、この中から一人選んで付き合ったら絶対ヤンデレ化した一部に血祭りに上げられそうだけど。

 

被害が及ばないようにとこっそりジライヤが私を膝の上に移動させた。夕食はすっかり修羅場だ。

 

「……みんな共闘するんだから仲良くしてねー……」

 

愛されってこんな面倒なんだな。

 

全くもって話を聞かずに部屋の隅でこっそり盗み出したケチャップを直吸いしてたピカチュウをぼんやり見ながら私は晩御飯に戻った。

ケチャップはもっとしっかりしまいこもう。

 

 

 

 

 

 

 

「じゃじゃじゃじゃ~ん!というわけで結たんにはこれをプレゼントでうぃす」

「何これクソデカ妖怪pad?」

「ノンノン、これはスティーブ・ジョーズや虚空蔵菩薩様、キャスギルやエジソン、ミチザネサマに朝尊に明石さんなどなどなど!!!皆の力を結集して作り上げたウルトラミラクルスーパーエキストラアルティメットゲームpadでうぃすー!」

「長い上にくそださいネーミング」

「なんと!このpadには我々の元ネタのゲームやゲームアプリが全て入っていて操作可能でうぃす!更に妖怪Wi-Fiを利用しているので地球上どこでも通じる他、時空や時限操作の出来る方々にお願いして何時の時代のゲームでもサ終済みのゲームも出来るのでうぃす!さらに大容量かつバッテリーも……」

「えっ」

 

ウィスパー今なんて?サ終したゲームも出来るって?マ?

 

「えっ……まって……てことは千銃士もなむあみもバンケツもでみめんも、他のあれもこれも出来るの……???????」

「ええ!まぁ新規イベントや更新があるわけではないでうぃすが、既存キャラを育てたりストーリーを読むくらいは」

「神では!?!?!?!?あっポケモンも出来る妖ウォもできる!とうらぶもなむ皆も私がやってたアカウントやセーブデータそのまんま!!!や、やったー!!!!!!!!!!!!」

 

しかもゲームで育てたステータスは喚び出す子達に同期される!やったね!結ちゃん!!家族が増えるよ!!!!!!

 

 




チートアイテムによって私がハマったゲームのキャラをいつ実装されたキャラでも新しいゲームでもぶちこめる設定になった

あとピカチュウはアニメ準拠でケチャップ好きだしジバニャンはチョコボーが好き

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