改心のシャア   作:ギモアール

2 / 3
ララァはゆく、未来へと、その前にもう一人、シャアとは違い、自身に後悔の念を持つ男のもとへ…


解放

シャアとララァが別れた時、その、ほぼ、同時刻、地球の、カラバが所有するとある基地の士官用室に、アムロはいた。哨戒任務の終了の後、明日へ備えるために寝ていた。軍人は休むことも仕事である。色々な機材や配電盤やコード、脱いだままの制服等が散らばる中、無理やり開けたスペースにポツンとあるベッドに無頓着に寝ているのは、アムロらしいと言えるだろう。そんなアムロのもとに、別れを告げに来るものが現れる。

 

きらめく星の流れの中をアムロは漂う。目を開けて状況を理解したアムロは顔に渋面を浮かべる。

 

ち、また、ララァ スン なのか。もうおれは、見ないと思っていたのだがな。過去の、幻など。おれは、もう彼女に対して、なんの感情もないというのに。くそ!

 

アムロはそう考えながらも、己の心にあるわだかまりが、罪の感情が、後悔が、頭から離れなかった。そう、アムロも囚われていたのだ。過去に自分が侵した、取り返しのつかないことに、過去に。

 

でも、未練はあるのでしょう?アムロ、

 

ララァ スン!!やはり君か!

 

懐かしい声とともに、目の前に光が凝縮し、ララァが現れる。サイド6やニュータイプ同士の時に見た、姿のままだった。当然だ。…死人は、成長など、しない…

 

ふふ、寂しいわ、もう、ララァとは呼んでくれないのね。

 

俺は過去を振り返らない!奴とは、シャアとは違う!だから!

 

ふふ、おかしな人。なら何故こうして私はここにいるの?重力の井戸にこもってまで、私に会うまいとしていた、あなたのところに。

 

く、…

 

俺は言葉に詰まってしまう。そうだ、現にララァはここにいる。俺は、まだ、囚われているというのか、僕は…

 

にこやかに微笑むララァと対称的に、渋面を濃くするアムロ。しかし、苦渋にまみれながらも、アムロは決意する。

 

…そうだ、言わなければ、決意しなければ。そうしなければ、 俺も、ララァも、救われない。過去に囚われたままでは、未来へさえ、進めない!

 

…ララァ スン。たしかに、僕は逃げていたよ。宇宙に上がったら、君と会ってしまうんじゃないかという、不安から。僕は、本当に取り返しのつかないことをしてしまったという、後悔から。だがもう、全ては過去だ。進みゆく今に、必要のないものなんだ。…ララァスン、君は、君は、死人なんだ、過去なんだ。君は今人に、未来に関わってはならないんだ!……俺ももう、未練を捨てる。そうしなくちゃ、君も俺も進めない!君は永遠に僕たちの間を彷徨い続けさせされ、俺たちも永遠に囚われ続ける!それは人間の生と死への冒涜だ!だから!俺は君を、過去を振り切ってでも、未来へ、明日へと進む!君はあの時、刻が見えると言った!だから!俺も、未来を見る!!だから!

 

ふふふ、アムロ、あなたは始めから囚われてなどいないわ。

 

な、何?!で、では、これはなんだ!

 

これは、私が望んだこと。

 

望んだこと…だと…

 

馬鹿な、囚われていないのだったら何故こんなものを見るんだ!?訳がわからない!!

 

私はあなた達を、未来をずっと見ていたかった。でも、それは間違っていたの。私が見ている限り、あの人は私に、過去に囚われ続けている。それでは、あの人も、貴方にも、一生未来が、来ない。希望のなく、悲しみに満ちてしまったままに、死んでゆく。それでは行けないと思ってしまったの。だから私は大佐に話したの。私を、過去を、振り返らないで、と。…もう、あの人は囚われていないわ。未来を、明日を見つめているわ。私も未来を見るために、行かなくてはならないの。だから、これで、最後。

 

最後…だと…

 

ええ、これで本当に、最後だから…

 

その時俺はようやく気づいた。ララァの笑みには今までにない清々しさと、希望が、満ちていた。そこに死人のような儚さは感じられない。永遠を彷徨う悲観もない。まるで、ただ明日を楽しみにしている、少女だ。

 

ララァ スン、君は、な!

 

ララァの体がだんだんと光に包まれる、いや、光に分解、というのか、ともかく徐々にだが、消え始めていた。

 

ええ、こういうことよ。私は漸く、逝くべきところへと逝くみたいね。

 

は!…そういう…ことか。…すまない。俺は、酷い言い方を…

 

 

気にしなくていいわ、アムロ。むしろ嬉しかったわ。

 

嬉しかった?

 

ララァの言葉の意味がわからない。でも、聴き入っていた。過去に頼らないと言ったばかりなのに、だが、これを逃したらもう、聞けない。直感的に、分かる。

 

ええ、私という過去にすがらずに、私の言葉を忘れずに、進んでいくあなたを、見ることができたから。アムロ、貴方は強い人よ。

 

おだてないでくれ。俺は…まだまだだ。

 

ふふ、そういう風に自分を認識できる人を、強い人と言うのよ。自分を理解し、優しくなり、時に厳しく。なかなかできることではなくて?

 

確かにそうだが、俺はまだ、いや、いつまでもそこに至れないだろうな…

 

ふふ、完璧など求めなくていいのよ。今の、あなたのままで、ね。アムロ。私は幸せだわ。あなた達を…未来を…見れて…

 

ララァ スン……

 

ララァは涙を零しながら笑っている。その涙も、光の中に霧散していく。あと僅かなのだろう。

 

俺から1つだけ言わせてくれ。ララァ スン。

君と、出会えて

 

アムロ、こんな時にも、そんな言い方をするの?いくらなんでも、それは酷くてはないかしら?

 

うっ、

 

ララァの言う通りだな。全く、俺は気が利かないな。…しかし、なかなか気恥ずかしいものがあるな。まぁいい。

 

…アムロは気づいていないわけでもないが、ここは精神世界にも近い。自分自身の中では普通にララァと呼んでいることに、アムロは気づいていなかった。そして、そんなアムロの心が見えるララァがそれに気づき、ほくそ笑んでいることも…

 

…ララァ、俺は、僕は、君に出逢えて、本当に良かった。楽しいこと、辛いこともあった。それに囚われることはもうないが、君のことは、忘れない。しまっておく。僕の、心に。だから、その、なんだ、あー、元気でな。向こうに行っても、風邪とかには気をつけるんだ、君のその格好は、どうもその、心配だ。せめて上にコートくらいは羽織って

 

ふふ、ふ、ふ、あはははは!!!ふふふふふふ、あははは!!

 

突然ララァが爆笑しだす。な、何故だ!途中で言葉に詰まったからか?!俺がこういうことに慣れていないことくらい、君は知っているだろう?そこまで笑わなくてもいいじゃないか!

 

く、そこまで笑わなくてもいいじゃないか。俺は真剣に言ってるんだぞ、なのに

 

あは、ふふふ、ごめんなさい。ふふ、ついおかしくてね。ふふふ、まだまだあなたも純粋なのね。いえ、素直、正直者?、真面目?なのかしらね。ふふ、ともかく、とてもアムロらしいわね、本当に。

 

何を言って…あ!

 

そうだ、さっきは死人とまで言ったのに、それを、元気でなだと…俺はガキか!全く、ララァの前では、どうも調子が狂うな。俺らしくもない…

 

 

アムロはもう、大丈夫ね…安心したわ。

 

アムロは少し顔を赤くして頰をかいている。そんなアムロを見てララァはほくそ笑む。俺らしくもないと思いつつも否定しきれていないアムロを嬉しく思っているのだ。それは、周りの状況のせいである種不完全な大人になりかけていたアムロの中に、まだしっかりと、優しくも不器用な、アムロが残っていたことに他ならないからである。

 

ふふ、ララァ、君には相変わらずかなわないな。頭が下がりっぱなしだ。君と話していると、まだ僕がガキだってことに気づかされるれるよ。まだまだだな。僕は。

 

それは違うわアムロ。言ったでしょう、素直、真面目、それらはあなたのいいところよ。決して過去の自分として見て、捨ててはいけない部分だわ。大人になるとはそういうことではないと、あなたが一番、よくわかっているはずよ。

 

…そうだな…

 

自分の両親のことが、特に親父のことが、頭を揺さぶるように思い起こされた。そうだ、それを捨ててしまったら、親父のような人間になってしまう。…つくづく、ララァには頭が上がらないな。

 

ありがとう、ララァ。ララァに言われなければ、俺は、おれでなくなっていたかもしれない。気付けて、よかった…

 

俺は心の底から喜んだ。こんなこと、久しぶりだ。懐かしい、あの、ア バオア クー で、みんなのもとへと、帰れたような。

 

ふふ、貴方なら私が言わなくとも、それに気づくことはできたわ。それに、私が笑ったのは、他にもあるのよ。

 

…ん?

 

もう、特に笑うところなど…わからない。なんなのだろう。

 

貴方がいいお父さんになりそうねと思ったからよ。

 

お、お父さん!?、?

 

アムロは仰天して、顔を赤らめた。

 

お、お父さん!?お父さんって、親父、父親、パパァ!?どど、どういう事だ!?なぜ、おれが?さっぱりわからない!

 

な、何故…

 

だって貴方、風邪がどうとか、服装がどうとかゆってたでしょう?あの時の貴方の顔や言葉から感じるものは、大事な娘が心配で仕方ない、という優しい父のものだったわ。とても、心地が良かったわ。貴方は絶対に、いい父親になれるわ。

 

あ、ああ。あの部分か、それは、その、歳上として、その、義務というか、ブライトやハヤトなら、こう言っていたような、いや、その前に、まだ俺は若いのに…いや、そろそろ結婚している歳か、ともかく、その、それはな、いや!まず君の服だ!やはりそんなひらひらした服は、なんというか、言いにくいのだが、その、肌を見せすぎだ!もっと自分を大事にしてだな…それに生地も薄すぎる!ニュータイプだからと舐めていたら、本当に風邪にかかってしまうぞ!今は夏なんだから、いや、季節はないか、だがなララァ!風邪は油断禁物なんだぞ!この前、俺の同僚がな…

 

 

ふふ、そういうところが父親っぽいのよ、アムロ。すこし、羨ましいわ…

 

顔を赤らめたままブツブツ言っているアムロをよそに、ララァは笑う。孤児院出身のララァには父親の記憶というものがない。だが、アムロから感じるそれには、知らないはずの父を、父性を感じたのだ。ララァにはとても暖かく、眩しく感じた。

 

ほんと、大佐とは真逆なのね…はぁ、

 

だからな、ララァ!…大佐?シャアがどうかしたか?

 

いえ、なんでもないわ、アムロ…

 

…?俺の話が長いか?しかしだなララァ、俺が言っていることはとても大事なことなんだ、だからな、そんな風にため息などつかずにもっと…クドクド

 

アムロはララァのついたため息と、疲れた表情とが、シャアに繋がらなかった。代わりに自分の話が長いから面倒だと受け取って、また話しを続け始めた。いや、これは説教か…もはやただのララァの父ではないか…

 

ララァはアムロと真逆すぎるシャアに対して、呆れていた。たしかにシャアは両親の愛を受ける期間が短かった。しかし、それはある意味アムロも同じである。その飢えた愛情を、母性を、母どころか両親すら知らない自分に求めるなどと…ため息をつくのも当然である。しかし、なんとも奇妙な関係だ。片方の男は少女に母を感じ、その少女はもう片方の男に父を感じる。…やはり、シャアはロリコンなのだ。そうでなければ、ここまで奇妙にはならないだろう。

 

ふふ、本当に羨ましいわ。

 

少しはまともな服を…羨ましい?何がだ?

 

説教、もとい、話しを中断されたアムロは、ララァの笑みに違うものが含んでいると感じて、話を止める。

 

ん?どうしたのだろう。ララァの笑みに、若干の儚さ、いや、嫉妬?どちらもがないまぜになって浮かんでいる。一体、どういう…

 

ええ、羨ましいの、私は。貴方の子供がね。

 

子供?

 

ええ、貴方という、優しくて少し心配しすぎな父を持って産まれる、子供がね。…わたしも、貴方のような父が、家族が欲しかった…

 

ララァ…

 

俺は、ララァの言葉に、感情に、心に、過去を感じた。でも、だからこそ、言わねば…

 

あっちで、探せばいいさ。きっと、きっといる。君を、愛してくれる、父が、母が、家族が…必ずいるさ。そうでなければ、君は、ここにはいないだろう?

 

アムロ……

 

ララァから涙が溢れる。だが、それは悲しみではない。漸く見つけた、希望のような、とても大切な、家族のような。ふ、とてもいい顔をしている。吹っ切れたような顔だな。今までずっと、抱えてきたのだろう。俺はララァを優しく抱いて、ララァの涙を拭う。側から見ればこれは、父と娘にしか見えなかっただろうなと、頭の隅で考えた。父と言われるのも仕方ないか… 少し笑ってしまった。ララァが泣いているのにな…笑う、笑顔、そうか!

 

ふふ、そんな顔をしていたら、家族に会った時、悲しませてしまうさ。ほら、笑って。君には笑顔が似合う。だから、とびっきりの笑顔で、会いに行けばいい。今まで会えなかった分、とびっきりのな。

 

…アムロ…

 

ララァは涙を流すのをやめる。そしてゆっくりとだが、笑い始める。いい笑顔だ。やはり、君は笑っている方がいい。

 

落ち着いたかい?

 

ええ、大丈夫、ありがとう、アムロ。

 

いや、構わないさ。それよりそんな素晴らしい笑顔を、早く君の家族に見せてやらないと、な?

 

ええ、そうね、ありがとう、本当に…

 

俺は少し前から、だんだんと、俺たちの周りの光が眩しく、霧散しているのが増えているのを感じていた。…おそらく時間なのだろう。口には出さない。それに、早くララァを家族にあわしてやりたいしな…

 

それではな、ララァ、行ってくるんだ、家族のところへ、君の家へ。

 

ええ、でも、最後に、ひとつだけお願いがあるのだけど…

 

なんだい?説教が長かったことなら謝るが、こればっかりは君の為だからな、短くするわけには

 

いいえ、それじゃないわ

 

じゃあなんだい?

 

お父さんって、呼んでもいい?

 

え?俺のことか!

 

ララァは顔を赤らめて、こくんと頷いた。意外だった。おれはララァの言葉に驚いたし、少し嬉しさも感じた。が、しかしだなぁ、

 

しかしだなララァ、君はすぐにでも本当の家族に会うのだぞ。それに、その、俺が君のお父さんに対して、気まずいのだが…

 

わかってるわ!そんなことくらい!でも、アムロが、ほんとに、お父さんみたいなの。お願い、今だけでいいから!お願い!

 

うっ、

 

ララァが上目遣いでおれを見て、懇願する。くそ、そんな頼み方をされたら、頷くしかないじゃないか!娘に強請られて、おもちゃを買ってしまう父とはこういう感じなのか…

 

恐らくアムロも、そういう父になるのだろう。

 

分かった、分かったよ、ララァ。

 

ありがとう!アムロ、いえ、お父さん。

 

そう言って、ララァは俺に抱きついてきた。俺は殺しきれない勢いに苦笑しながらも、優しく、ララァに語る。

 

ララァ、元気でな。向こうに行ってもしっかりと頑張るんだぞ。おれ、…お、お父さんも、お前のことは、ずっと、愛している。だから、信じているから、しっかりやってこい。それと、その、向こうのお父さんに、すまないと言っておいてくれ、やはりその、気にしてしまうからな。ともかく、しっかり家族を愛して、お前も愛されてこい。お父さんは、お前の幸せを、いつも、いつまでも、祈っているからな。だから、安心して、行ってこい。

 

はい!わかりました、お父さん。めい一杯、愛して、愛されてきます。だから、お父さんも、新しく、愛する人を見つけてね。お父さんなら、いい人はきっと見つかるわ。本当よ。だから、行ってきます、お父さん。

 

ああ、行ってらっしゃい、ララァ。

 

お父さんもよ?行ってらっしゃい。

 

ふ、そうだな、行ってきます、ララァ。

 

ふふ、ふふふ、あっはっははっはハッハッハー!!

 

二人は真剣な顔で、優しい笑顔で見つめあって、語り合ってから、どちらともなく笑いあった。清々しく、希望と、未来に満ちた、笑いだった。光は眩しさを増し、だんだんお互いの顔すら、見えなくなるほどだった。

 

ララァが俺から離れていく感じがした。ほとんど見えないが、ララァが行くのだろう。未来へと、家族の元へと…少し名残惜しいような、悲しいような、そうか、娘を見送るとは、こんな感じなのか…なかなか、悪くないな。ララァが少し離れて、こちらを振り返ったような気がした。

 

ありがとう、アムロ、でも、あなたも本当に、早くいい人を見つけて、父親になって欲しいわ。

 

ふ、出来たら苦労しないさ。

 

そんなことを言って…ん、

 

どうした、ララァ?

 

ララァが何かに気付いたように、あらぬ方向を見つめる、気がする。もはや何も見えない俺には無理だが…

 

あら、そんなことを言っているけど、もう少ししたら、現れるようね。ふふふ、面白いわね。本当に、ふふふ、アムロ、あなたの時が見えたわ。

 

な!?そ、それは、ララァ、どういう!?

 

それは、貴方自身が、確かめることよ、お父さん、ふふふ。……本当に、ありがとう、アムロ。私と、分かり合えた、私を、思ってくれた、人……忘れないわ……

 

ララァ!!

 

ララァの言葉を最後に光は最高調に輝く。俺は、ただ、見送った。ララァの名前を叫んで。これ以上、言葉はいらない。何かはぐらかされた気もするが…

 

 

 

 

「は!!!

 

俺は跳ね起きた。少し汗をかいてはいたが、気持ちの悪いものではなかった。窓の外はくらい。時間をみると、まだ2時だった。さっきまで見ていた幻、いや、幻ではない、ララァとの会話を思い出す。

 

「…そうか…本当に…ララァは行ったのだな…

 

ララァの感じがしない。衰えはしたが、かなり戻ってきた俺のニュータイプとしての勘が、ララァを捉えられない。今頃、家族と楽しく過ごしているだろうか。

 

「…考えても仕方ないか…ん?これは、

 

俺はふと、目もとに違和感を感じ、触れる。液体の、冷たい触感がした。

 

「…泣いている…のか…ふ、ララァには、本当に感謝しないとな。

 

俺は泣いていたのだ。自分でも、全く気付いてなかったが。だが、これは悲しさではない。ララァをきちんと見送れた、安堵だ。

 

「まぁ、少しは、父親としての寂しさもあるが…な…

 

眠気が急にやってきて、逆らえずに、眠る。俺も頑張って、明日を生きなきゃいけないからな。…そういえば、ララァが最後に言っていた、あれは、どういう…

 

 

翌日、いつもより少し遅く食堂にやってきたアムロをみて、同じ隊の隊員だけでなく、みんなが目を丸くした。いつも影を含んだ笑みを浮かべているのに、今日はそんなところを露にも感じさせないほど、快活な笑顔を見せていた。見惚れた女性隊員まで現れる始末だ。仲のいい隊員がアムロにどうしたんだと聞くと、娘を見送る父親の気持ちを味わったのさ、とだけ言って席に着いた。そんな爆弾発言を皆んなが聞き逃す筈がない。当然ながら周りは騒然となり、阿鼻叫喚の地獄となったのは、いうまでもない…

 




別れを済ませたララァは未来へと進む。彼女が示唆したことは予言か、虚言か。それは誰にもわからない。だが、彼らを解放し、未来へと解き放ったのは確かである。物語は、過去に囚われた男の再出発へと進む。果たして彼は、シャア アズナブルは、どんな道を選んで行くのか…

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。