イエヤスが生きる!   作:七峰 舞斗

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5話 ナイトレイド

 帝都中央にある宮殿近くのメインストリート、そこで営まれているオープンカフェで向かい合う少年が二人。

 収まりのつかない感情をどうにか飲み込もうとお冷を強く呷るイエヤスと、それを痛ましそうに見守るタツミ。

 

 ゴクッゴクッゴクッゴクッ

 

「ぷはぁ! ハァハァハァ……わりぃ、取り乱した」

「いや、仕方ねぇよ、俺だってまだふり切れてるわけじゃねぇし」

 

 再会した時の明るい雰囲気はもはや霧散し、どんよりとした暗い空気が二人を包み込む。

 イエヤスが落ち着いたことを見届けたタツミはサヨの顛末を話す。

 タツミは帝都に着いた後、とある親切な貴族の一家に拾われて一宿一飯の恩を受けた。だが、一家は裏では帝都に来た辺境の者を言葉巧みに家へと誘い込み拷問や薬漬けにして楽しむサド一家であった。その惨状を目にした時、犠牲者の中にサヨの姿が見つけたタツミは一家を怒りの剣で斬殺したのだと語った。

 

「そんな奴らがいたのかよ……、サヨは……苦しみながら死んだのか、クソッ」

 

 悲しみや憎しみ、怒り等様々な感情でよって震わされる手をもう一つの手で包みなんとか抑えようとするがうまくいかない。

 

「だが、お前が仇を討ってくれてサヨのやつも少しは浮かばれたのかもな」

 

 強がりを口にするが震えた声ではそれも意味はなかった。自分の震え声に気付いたイエヤスは小さく舌打ちをする。

 

「チッ 悪いが今日のところは終わっていいか? ちょっと気持ちの整理をする時間がほしい」

「…………あぁ、気持ちは痛い程分かるからな、いいぜ」

 

 僅かな沈黙の後、了承の返答をするタツミ。何か言いたげな事は幼馴染であるイエヤスにも伝わったが、今回は飲み込んでくれたタツミに甘える事にした。

 席を立とうとするイエヤスだったが、お互いの居場所を確認していなかったことを思い出す。

 

「そういえば、タツミは今何をしているだ? 俺は帝都警備隊で一般隊員をやっているぜ」

 

 問い掛けにタツミは口を開きかけるが、一度閉じてしまった。明らかに言いにくそうな印象を受けるその動作は先ほどのサヨの死を伝えようとした時に似ているが、流石に深刻度合には開きがあった。

 タツミの態度に首を傾げるイエヤスだったが、とりあえず待つことにした。

 

「俺は……………鍛冶屋をやっているよ」

 

 予想外の返答を受けてイエヤスは目を見開いた。

 イエヤス・タツミ・サヨ、三人には一人の元帝国軍人の師匠がおり武だけではなく、趣味人であったことも幸いして様々なスキルを教授してもらっていた。その中の一つに鍛冶があり、確かにタツミは三人の中では一番の適正を認められていた。

 だが、武の才能にも恵まれており、純粋な剣術ならばイエヤスに天秤は傾くが総合的な戦闘センスはタツミに分がある。それが師匠の評価であったのだ。

 そんなタツミが帝国軍に入っていない理由を聞くべき口を開きかけたところでイエヤスは急激に吐き気を覚えて慌てて口元を抑えた。

 

「!? 大丈夫か?」

 

 体調が優れない様子のイエヤスにタツミは音を鳴らしながら勢いよく椅子から立ち上がり心配の声を掛ける。それを手で抑えたイエヤスは大丈夫だと動きで知らせた。

 身体的にも精神的にも限界まで追い詰められたが故の症状だと自覚したイエヤスは気になる事もあるが今日は切り上げるべきだと判断した。

 

 立ち去っていくイエヤスの背を見送りながらタツミは歯を噛み締める。

 仲間達にはこちら側へと引き入れると豪語してしまったが、今のイエヤスに冷静な判断を期待するのは無理であろうという判断の元、勧誘は延期することにした。2、3日後にでももう一度会うように脳内で予定を組みながらタツミもその場を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 自室のベッドにてイエヤスは身を抱くように丸くなっていた。脳裏に映るのは亡くなっていった者たち。

 

 ロクゴウ  オーガ  サヨ

 

「………死って………こんなに身近なものだったんだな……」

 

 イエヤスにとって死とは縁遠いものであった。両親祖父母共に健在、村は重税に苦しんでいるものの餓死者を出すほどはまだ緊迫してはいない。本来辺境の村では脅威となる野生の危険種も師匠の存在のおかげで比較的平和だった。

 そんなイエヤスにとってここ半月での連なる知人の死は心底堪えた。

 

「あっ、タツミにサヨの墓の場所、聞きそこなっちまったな」

 

 微睡始めた目を閉じながら、次会ったら一緒に墓参りにいこうと思うイエヤスであった。

 

  

 

 

 起床時間とともにイエヤスは目を覚ます。

 むくりと起き上がり、昨日の事を思い出す。ゆっくりと両手を上げていき肩と並行の高さで静止。己の顔に向かって全力で叩きつけた。

 

 パアァァァァァァアン!!!

 

 盛大な音がイエヤスの顔から弾き出される。

 あまりの痛さに目尻に涙が溜まる。

 そう、これは痛さからくる涙だ。決していつまでもメソメソしているわけではない。

 

「切り替えの早さが俺の長所だ! サヨが認めた数少ない長所、ここで生かさずいつ生かすって話だよな!!」

 

 自分に言い聞かせながらテキパキと仕事の支度を始める。

 幸いな事に昨日の昼までの睡眠と早めにベッドに入ったことにより、身体の疲労はかなり回復しており、動きに淀みはなかった。

 

 一日のパトロールを終え、詰め所での報告も終えて一旦自室へと帰宅しようとした時、セリューに話しかけられる。

 

「イエヤスくん、ちょっといいですか?」

 

 机の前に何かを広げているセリューの元へとイエヤスが駆け寄ると、セリューは広げられている物を指差す。それは帝都の地図であった。ただの地図ではなく、何か所も印や書き込みがされている。

 

「ナイトレイドが起こした事件の分布と目撃情報をまとめたものです。その傾向からナイトレイドが移動経路として現れそうなところを2カ所に絞りました」

 

 セリューはそう言いながら帝都中央公園と西地区の一角を指差した。

 

「夜の見回りの人数を増やしたにもかかわらず、未だにナイトレイドを捉えられないところを見ると、おそらくはこちらの気配を察せられている可能性が高いと判断してます。なので今日の夜はこの2カ所で気配を殺しナイトレイドが現れるのを待ちます。いわゆる待ち伏せというやつですね!」

 

 新たな書き込みを加えつつ指示を出してくるセリューにイエヤスは感嘆の吐息を漏らす。ただ我武者羅に見回りをすることしか思いつかなかった自分とは雲泥の差を感じ、改めて尊敬の念を送った。

 

「今日は私は公園を担当しますので、イエヤス君は西地区をお願いします。交代制でいきましょう。ナイトレイドを発見次第、警笛を鳴らし足止めに徹してください。すぐに私や他の隊員が駆け付けるので」

 

 理解したかの確認の視線を送り、イエヤスの返事を聞いて満足そうに頷くセリューであった。

 

 

 

 そして次の日の夜

 帝都中央公園は深淵と静寂に支配されていた。

 子供達の喧騒も奥様方の井戸端会議も今は夢の中に納まっている頃であろう。

 公園を彩るために植えられた多くの街路樹、その一つに登り背を幹に預けつつも油断なく視線を動かしている人物が一人。イエヤスである。

 

 静寂の中、ジッとしていながらセリューに見せられた地図を復習の為に頭に浮かべていると不意に幼馴染達との思い出した。

 田舎者らしく帝都に憧れていたあの頃、帝都の地図を眺めてはイエヤス・タツミ・サヨの三人は何処を巡るかなどを思い思いに語っていた。都を囲う万里の城壁、運河を行く巨大な交易船、そして帝都のあかぬけたお姉さんの話に移った所でサヨにお約束の突っ込みをイエヤスは入れられたりもした。

 タツミも同意したにもかかわらず、自分にだけの突っ込みに不平を述べたものである。

 帝都のあかぬけたお姉さんというワードでイエヤスはセリューを連想する。

 それ以外の出会いが主にないのもあったが。

 

 セリュー・ユビキタス。

 イエヤスにとってはオーガ隊長をも超える大恩人である。性格は正義を愛してやまない列女であり、その反面、悪には何処までも苛烈である。一度パトロールの最中、お腹を空かせたコロの為に処刑場へと向かい死刑囚を食べさせている場面を見てドン引いたものであった。だが、本来はただ殺される身である死刑囚を正義の為の力に変える為に有効活用していると考えると有りなような気もしてきたため、イエヤスなりに納得はしていた。悪を殺してご満悦そうなセリューがそこまでの考えで行っているかはいささか疑問ではあったが。

 そんな苛烈なセリューだが、弾けんばかりの笑顔にイエヤスはよくドキリとさせられた。これがギャップってやつか、と理解するがそれでも魅力的なのは違いなかった。

 

 と、そこまで考えていたところで僅かに地面を蹴る音をイエヤスの耳が捉える。

 そちらに視線を向けると人影が二人、公園を横断しようとしている姿が見えた。街灯に照らされた姿はどちらも女性であることが知れたがイエヤスはある事に気が付き手元にあるナイトレイドの手配書と見比べる。

 確信を得たイエヤスが静かに腰の柄へと手を伸ばし、タイミングを見計らう。

 そして

 

「ッ!?」

 

 木から眼鏡を掛けた女に向かって飛び降りながらの奇襲を仕掛けるが寸前で察知され避けられてしまう。

 

「敵!?」

 

 イエヤスの奇襲に女二人は警戒心を露わにして得物を向ける。イエヤスが狙った眼鏡の女は巨大なハサミを、もう片方のツインテールの女は特殊な形をしたライフルを持っていた。

 イエヤスは眼鏡の女に向けて指を差した。

 

「手配書の顔と一致、ナイトレイドのシェーレと断定する。一緒にいる女も帝具を所持していることから仲間と断定!」

 

 ピィーーーーーーッ

 

 セリューとの話し合いの通り、警笛を鳴らしたイエヤスは改めて剣を構えた。

 

「帝都警備隊イエヤス、オーガ隊長の仇!! ここで討たせてもらうぜ!!!」

 

 帝都に来る前のイエヤスであったなら、相対する二人の可憐な見た目に剣を向ける事を躊躇ったであろう。しかし、今のイエヤスは度重なる死に荒み、ようやく見つけた仇を前にして目の前の二人が悪鬼にしか映らなかった。

 

 問答無用の雰囲気で敵意を向けてくるイエヤスに対してナイトレイドの二人は小声で言葉を交わした。

 

「マイン、彼の名前は……」

「そうね、あいつの言っていたやつね、厄介なやつに見つかったわ」

 

 マインと呼ばれたライフルを構えたツインテールの少女は苦虫を嚙み潰したような顔で呟くが、覚悟を決めたように腰を入れて構え直した。

 

「一応捕縛は試みるけど、無理そうならあいつには悪いけど撃ち殺すわよ! 私の顔を見られた以上見逃す選択はないわ!」

 

 マインの言葉に眼鏡をかけた女シェーレは頷くとマインの射線を邪魔しない位置で前に立った。

 

「そうですね。努力はしますが無理はやめておきましょう」

 

 巨大なハサミを構えるシェーレの目から温かみが消える。

 

 

 イエヤスが地面を蹴り突進を始めると同時にマインが撃つ。

 すぐさま真横へと方向転換をして射撃を避けたイエヤスは最初の標的をマインへと定めた。遠距離武器を先に消すのは常套手段である。

 突進を再開するイエヤスだったが、その横からシェーレが大きく開いたハサミの両刃をもって両断してくる。

 しゃがんだイエヤスの頭の上でジャキンと金属音が響く。どう考えても致死レベルの攻撃であり努力とはなんだったのか。

 すかさず撃ち込まれる射撃をイエヤスはシェーレへと切り掛かり押し込む事で回避と両立させる。

 予想外の重い一撃にシェーレはたまらず距離を取ろうと後ろへと飛ぶが、イエヤスは逃がすまいと距離を詰めようとして踏み出した右足を即座に中断させた。

 イエヤスの目の前を銃弾が横切っていく。もし踏み出していれば直撃であったであろう。

 下がったシェーレにマインは意外そうに言葉を掛ける。

 

「シェーレが押し負けるなんて珍しいわね」

「あの剣、おそらく帝具ですね。見た目に反してかなりの重量を感じました」

「なるほど、これは捕縛は諦めたほうがよさそうね」

 

 二人の連携の取れた動きに舌を巻かれるイエヤスだったが、一呼吸を入れる。

 警笛を鳴らした以上時間は味方である。できれば自らの手で斬りたいがセリュー先輩に譲るのも悪くない。

 そう自分に言い聞かせて焦る気持ちを抑える。

 

 マインの射撃が再開され、今までと同じく避けようとするが銃弾が今までと比べ格段に大きくなっていることに目を見開いて驚く。

 

 マインの持つ帝具『浪漫砲台パンプキン』は己のピンチに応じて威力が変動する特殊なライフルである。他にも精神状態でも威力変動が起こる為、捕縛を諦めたマインの射撃は先ほどとは段違いであった。

 

 距離を詰めようとするイエヤスの前に再びシェーレが立ちはばかる。

 イエヤスの連撃をシェーレは一撃一撃を丁寧に捌いていく。最初の一撃は虚を突かれたものの、しっかりと威力を把握して防御に徹すれば問題はなかった。

 シェーレから攻めっけを感じないイエヤスはおそらくはシェーレが耐えている間にマインが仕留める作戦であろうと予測して自分とマインの間にシェーレが入るように立ち回った。

 それでも時折僅かな隙を突いて射線を通してくるマインにイエヤスは冷や汗を掻かされた。そうしてイエヤスの注目がマインへと移り始めた頃を見計らってそれは起こった。

 

「っ!? な、なんだっ!!?? 目が!?」

 

 イエヤスの目の前が白に包まれた。

 夜の闇を切り裂く唐突な光の刃がシェーレの持っているハサミから齎されていた。

 

 『万物両断エクスタス』大型ハサミの帝具であり、どんなものでも真っ二つにできる抜群の切れ味を誇る。またとても頑丈なため防御に使用できるの特徴の一つ。

 帝具には『奥の手』と呼ばれる特殊機能を秘めたものも多く存在する。

 エクスタスの奥の手はとてつもなく発光することができることであった。

 

 突然の閃光にイエヤスは目を焼かれて思わず後退する。だが、それを見逃すナイトレイドではなかった。

 一転攻勢で攻め立てるシェーレとマイン。ぼやける視界の中、精一杯の迎撃をするイエヤスだが、防ぎ切ることは叶わず、身体中を攻撃が掠め、浅くない傷を増やしていく。ギリギリのところで致命は避けているがそれも時間の問題であった。

 

「申し訳ありませんが、これで終わりです」

 

 冷たい声音で死を告げる言葉がイエヤスの耳を支配する中、イエヤスのぼやけた視界はあるものを捉えて、小さく小さく、だが確かに不敵な笑みを浮かべた。

 

「……俺の勝ちだ」

 

 キシャアアアァァァァアァァァァァァァァァァァァァァァアァアーーーーーー!!!

 

 身の毛もよだつその怒号はマインの背後から轟いた。

 マインが振り返る前に巨大な手がマインを捉え握り締める。

 

「な、なに!?」

 

 マインの目が怒号の正体を捉えた。

 それは巨体であった。それは異形であった。それは狂気であった。それはコロであった。

 コロの横に立った帝都警備隊の衣装で身を包んだ女が壮絶な表情をしながら叫ぶ。

 

「握りつぶせぇぇぇ!!!!」

 

 セリューの叫びにコロは応え、握力を込めていく。

 凄まじい圧力がマインを襲う。体中が軋み、悲鳴を上げ、耐え切れずに腕の骨が折れれる音がなった。

 

「あああああああああああ!!!」

「マイン!!」

 

 マインの口から絞り出される絶叫にシェーレは助けるためにコロの腕を切り落とさんと迫る。

 だが

 

「させるかよ!!」

 

 イエヤスが邪魔をする。

 

「っ!! どいてください!!!」

「それはできない相談だぜ!!!」

 

 必死な思いで突破しようとするシェーレと満身創痍ながら食い下がるイエヤス。

 その後ろから響き渡る絶叫が次第に弱くなっていく事実がシェーレを絶望へと落としていく。

 

「あああぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ………ぁっ」

 

 そして

 

「正義!!!執行!!!!」

 

 ブシュウウウゥゥゥウ

 

 コロの腕から赤い噴水が沸き起こる。それは辺りを濡らしコロをセリューをイエヤスを、そしてシェーレを赤く染めた。

 

「………マイン……」

 

 頬に付着した赤いそれをなぞるシェーレ。

 コロが手を広げるとマインだったものが重力に従って落ちる。グチャという音と共に落ちたそれは元が人であったことがかろうじて分かる程度にしか原型を留めてはいなかった。

 

 絶望と共に憤怒の感情がシェーレを塗り潰し始めるが、それ以上に暗殺者としての本能が冷静に撤退の算段をする。

 本能が勝り、撤退を選んだシェーレは奥の手を再び発動させる。

 発光をまともに食らったセリューとコロに撤退するシェーレを追う術はなく、分かっていたイエヤスは追おうとしたが体が限界を迎えていたため、そのまま膝から崩れ落ちた。

 

「イエヤスくんっ!? ……………クッ、大丈夫ですか!?」

 

 完全に見失ったものの追跡しようとしたセリューだったが、イエヤスが倒れたのを確認して、少しの逡巡の後、イエヤスへと駆け寄った。

 抱き起こされたイエヤスはわずかに目を開けセリューへと視線を向けた。

 

「セリュー……先輩……俺言われた通りにやりましたよ。本当はこの手で斬ってやりたかったけど、届きませんでした……」

「そんなことありません! イエヤスくんは悪の帝具使い二人を相手取り、決して屈していませんでした」

 

 セリューは満面の笑みを浮かべる。

 

「イエヤスくんは立派な正義の味方です! 胸を張ってください。そして今は休んでください」

 

 労いの言葉を聞いてイエヤスは安心したように笑みを浮かべて気絶するように意識を手放した。

 失神したイエヤスの頭を膝の上に乗せたセリューは口の中で転がすように小さく呟く。

 

「お疲れ様です。イエヤスくん」

 

 膝枕されるイエヤスを威嚇するように唸るコロにシーーーと人差し指を立てて唇に当てるセリューの顔は満たされたように朗らかであった。

  

 

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