ありふれた能力世界最強   作:コロンKY

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ライセン迷宮

 【ライセン大峡谷】では、相変わらず懲りもしない魔物達がこぞって襲ってくる。

………わけでもなく、前回のカービィの歌で全滅しているのでサクサク進む。

 

「はぁ~、ライセンの何処かにあるってだけじゃあ、やっぱ大雑把過ぎるよなぁ」

 

 洞窟などがあれば調べようと、注意深く観察はしているのだが、それらしき場所は一向に見つからない。ついつい愚痴をこぼしてしまうハジメ。

「カービィ?何か探せる能力はないのか?」

「あったらもう使ってるよ!」

「まぁ、大火山に行くついでなんですし、見つかれば儲けものくらいでいいじゃないですか。大火山の迷宮を攻略すれば手がかりも見つかるかもしれませんし」

「まぁ、そうなんだけどな……」

 

「あっそうだ!思いついたよ!ロボボアーマー!」

するとロボボアーマージェットモードが飛んできた。

「これに乗って空から探せは見つかるかも!」

「「「おぉ!!」」

 

「あっ!見つけた!」

「「早っ!」」

 

ということでそこにあったのは

 

〝おいでませ! ミレディ・ライセンのドキワク大迷宮へ♪〟

 

「……なんじゃこりゃ」

「……なにこれ」

 

「入り口じゃない?」

「ホントにあったんですねぇ、ライセン大峡谷に大迷宮って」

 

 

「……ユエ。マジだと思うか?」

「…………………………ん」

「長ぇ間だな。根拠は?」

「……ミレディ」

「やっぱそこだよな……」

 

 〝ミレディ〟その名は、オスカーの手記に出て来たライセンのファーストネームだ。ライセンの名は世間にも伝わっており有名ではあるがファーストネームの方は知られていない。故に、その名が記されているこの場所がライセンの大迷宮である可能性は非常に高かった。

 

 

「何でこんなチャラいんだよ……」

「そういう人なのかもよ」

と、ハジメにカービィが突っ込む。

 

 

ハジメとしては、オルクス大迷宮の内での数々の死闘を思い返し、きっと他の迷宮も一筋縄では行かないだろうと想像していただけに、この軽さは否応なくハジメを脱力させるものだった。

 

 

「でも、入口らしい場所は見当たりませんね? 奥も行き止まりですし……」

 

シアは、入口はどこでしょう? と辺りをキョロキョロ見渡したり、壁の窪みの奥の壁をペシペシと叩いたりしている。

 

「おい、シア。あんまり……」

 

ガコンッ!

 

「ふきゃ!?」

 

 〝あんまり不用意に動き回るな〟そう言おうとしたハジメの眼前で、シアの触っていた窪みの奥の壁が突如グルンッと回転し、巻き込まれたシアはそのまま壁の向こう側へ姿を消した。

 

 

「「「……」」」

 

 奇しくも大迷宮への入口も発見したことで看板の信憑性が増した。やはり、ライセンの大迷宮はここにあるようだ。

 

無言でシアが消えた回転扉を見つめていたカービィとハジメとユエは、一度、顔を見合わせて溜息を吐くと、シアと同じように回転扉に手をかけた。

 

 

 

 扉の仕掛けが作用して、ハジメとユエを同時に扉の向こう側へと送る。中は真っ暗だった。扉がグルリと回転し元の位置にピタリと止まる。と、その瞬間、

 

ヒュヒュヒュ!

 

 無数の風切り音が響いいたかと思うとそれは矢だ。全く光を反射しない漆黒の矢が侵入者を排除せんと無数に飛んできているのだ。

 

「ボクに任せて!ミックスコピー能力スパークカッター!」

 

「おぉ!ライトセ○バー」とハジメ

 

ブォンブォンとカービィはライ○セイバーのような武器を振り回して矢を消滅させた。

 

最後の矢が消滅する音を最後に再び静寂が戻った。

 

 と、同時に周囲の壁がぼんやりと光りだし辺りを照らし出す。ハジメ達のいる場所は、十メートル四方の部屋で、奥へと真っ直ぐに整備された通路が伸びていた。そして部屋の中央には石版があり、看板と同じ丸っこい女の子文字でとある言葉が掘られていた。

 

〝ビビった? ねぇ、ビビっちゃた? チビってたりして、ニヤニヤ〟

〝それとも怪我した? もしかして誰か死んじゃった? ……ぶふっ〟

 

「「「……」」」

 

 ハジメもユエも、額に青筋を浮かべてイラッとした表情をしている。そして、ふと、ユエが思い出したように呟いた。

 

「……シアは?」

「「あ」」

 

 

 

シアは……いた。回転扉に縫い付けられた姿で。

 

「うぅ、ぐすっ、ハジメざん……見ないで下さいぃ~、でも、これは取って欲しいでずぅ。ひっく、見ないで降ろじて下さいぃ~」

 

 

なぜなら……足元が盛大に濡れていたからである。

 

 

「うぅ~、どうして先に済ませておかなかったのですかぁ、過去のわたじぃ~!!」

 

 

「……動かないで」

 

 流石に同じ女として思うところがあったのか、ユエが無表情の中に同情を含ませてシアを磔から解放する。

 

「……あれくらい何とかする。未熟者」

「面目ないですぅ~。ぐすっ」

「……ハジメ、着替え出して」

「あいよ」

 

 〝宝物庫〟からシアの着替えを出してやり、シアは顔を真っ赤にしながら手早く着替えた。

 

「どんまいしあ。」

 

 

そして、シアの準備も整い、いざ迷宮攻略へ! と意気込み奥へ進もうとして、シアが石版に気がついた。

 

顔を俯かせ垂れ下がった髪が表情を隠す。しばらく無言だったシアは、おもむろにドリュッケンを取り出すと一瞬で展開し、渾身の一撃を石板に叩き込んだ。ゴギャ! という破壊音を響かせて粉砕される石板。

 

 よほど腹に据えかねたのか、親の仇と言わんばかりの勢いでミラードリュッケンを何度も何度も振り下ろした。

 

 すると、砕けた石板の跡、地面の部分に何やら文字が彫ってあり、そこには……

 

〝ざんね~ん♪ この石板は一定時間経つと自動修復するよぉ~プークスクス!!〟

 

「ムキィーー!!」

 

発狂するシアを尻目にハジメはポツリと呟いた。

 

「ミレディ・ライセンだけは〝解放者〟云々関係なく、人類の敵で問題ないな」

「……激しく同意」

「ボクに任せて!!」

「何をする気だ?」

「こうする気!ミックスコピー能力ストーンニードル!」

 

カービィの片手がドリルに変わり、カービィはドリルを次々と飛ばして迷宮を破壊する。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

迷宮を破壊し尽くしたあと、ハジメ達は道なりに通路を進み、とある広大な空間に出た。

 

 そこは、階段や通路、奥へと続く入口が何の規則性もなくごちゃごちゃにつながり合っており、まるでレゴブロックを無造作に組み合わせてできたような場所だった。一階から伸びる階段が三階の通路に繋がっているかと思えば、その三階の通路は緩やかなスロープとなって一階の通路に繋がっていたり、二階から伸びる階段の先が、何もない唯の壁だったり、本当にめちゃくちゃだった。

 

「こりゃまた、ある意味迷宮らしいと言えばらしい場所だな」

「……ん、迷いそう」

「ふん、流石は腹の奥底まで腐ったヤツの迷宮ですぅ。このめちゃくちゃ具合がヤツの心を表しているんですよぉ!」

「……気持ちは分かるから、そろそろ落ち着けよ」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 ハジメ達は、トラップに注意しながら更に奥へと進む。

 

「うぅ~、何だか嫌な予感がしますぅ。こう、私のウサミミにビンビンと来るんですよぉ」

 

 階段の中程まで進んだ頃、突然、シアがそんなことを言い出した。言葉通り、シアのウサミミがピンッと立ち、忙しなく右に左にと動いている。

 

「お前、変なフラグ立てるなよ。そういうこと言うと、大抵、直後に何か『ガコン』…ほら見ろっ!」

「わ、私のせいじゃないすぅッ!?」

「!? ……フラグウサギッ!」

 

 

カサカサカサ、ワシャワシャワシャ、キィキィ、カサカサカサ

 

 そんな音を立てながらおびただしい数のサソリが蠢いていたのだ。体長はどれも十センチくらいだろう。かつてのサソリモドキのような脅威は感じないのだが、生理的嫌悪感はこちらの方が圧倒的に上だ。アンカーで落下を防がなければ、サソリの海に飛び込んでいたかと思うと、全身に鳥肌が立つ思いである。

 

「「「「……」」」」

 

 思わず黙り込む四人。下を見たくなくて、天井に視線を転じる。すると、何やら発光する文字があることに気がついた。既に察しはついているが、つい読んでしまうハジメ達。

 

〝彼等に致死性の毒はありません〟

〝でも麻痺はします〟

〝存分に可愛いこの子達との添い寝を堪能して下さい、プギャー!!〟

 

「「「「…………………………」」」」

 

「……ハジメ、あそこ」

「ん?」

 

 すると、ユエが何かに気がついたように下方のとある場所を指差した。そこにはぽっかりと横穴が空いている。

 

「横穴か……どうする? このまま落ちてきたところを登るか、あそこに行ってみるか」

「わ、私は、ハジメさんの決定に従います。ご迷惑をお掛けしたばかりですし……」

「いや、そのお仕置きは迷宮出たらするから気にするな」

「逆に気になりますよぉ! そこは『気にするな』だけでいいじゃないですかぁ」

「……図々しい。お仕置き二倍」

「んなっ、ユエさんも加わると!? うぅ、迷宮を攻略しても未来は暗いです」

「どんまいしあ。」

 ハジメとユエの容赦のなさに嘆くシア。

 

「はぁ、お前の〝選択未来〟が何度も使えればいいんだがなぁ~」

「うっ、それはまだちょっと。練習してはいるのですが……」

 

 そして再び、というか何時ものウザイ文を発見した。

 

〝ぷぷー、焦ってやんの~、ダサ~い〟

 

どうやらこのウザイ文は、全てのトラップの場所に設置されているらしい。ミレディ・ライセン……嫌がらせに努力を惜しまないヤツである。

 

「あ、焦ってませんよ! 断じて焦ってなどいません! ださくないですぅ!」

 

「いいから、行くぞ。いちいち気にするな」

「……思うツボ」

「そうだね。」

「うぅ、はいですぅ」

 

『ガコンッ!』

 

 

「またか」

 

今度はどんなトラップだ? と周囲を警戒するハジメ達の耳にそれは聞こえてきた。

 

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ

 

 明らかに何か重たいものが転がってくる音である。

 

「「「……」」」

「……ん、ハジメ、カービィ?」

「ハジメさん、カービィさん!? 早くしないと潰されますよ!」

 

「いつもいつも、やられっぱなしじゃあなぁ! 性に合わねぇんだよぉ!」

 

 義手から発せられる「キィイイイイ!!」という機械音が、ハジメの言葉と共に一層激しさを増す。

 

 そして……

 

ゴガァアアン!!!

 

 凄まじい破壊音を響かせながら大玉とハジメの義手による一撃が激突した。ハジメは、大玉の圧力によって足が地面を滑り少し後退させられたがスパイクを錬成して踏ん張る、そして、ハジメの一撃は衝突点を中心に大玉を破砕していき、全体に亀裂を生じさせた。大玉の勢いが目に見えて減衰する。

 

「ラァアアア!!」

 

 

 その顔は実に清々しいものだった。「やってやったぜ!」という気持ちが如実に表情に表れている。ハジメ自身も相当、感知できない上に作動させなくても作動するトラップとその後のウザイ文にストレスが溜まっていたようだ。

 

 ハジメが、今回使ったのは、かつて、フェアベルゲンの長老の一人ジンを一撃のもとに粉砕した弾丸による爆発力と〝豪腕〟、それに加えて、魔力を振動させることで義手自体を振動させ対象を破砕する、いわゆる振動破砕というやつである。

 

 

「ハジメさ~ん! 流石ですぅ! カッコイイですぅ! すっごくスッキリしましたぁ!」

「……ん、すっきり」

「ははは、そうだろう、そうだろう。これでゆっくりこの道……」

 

 

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ

 

 

「あ、あのハジメさん。気のせいでなければ、あれ、何か変な液体撒き散らしながら転がってくるような……」

「……溶けてる」

 

 そう、こともあろうに金属製の大玉は表面に空いた無数の小さな穴から液体を撒き散らしながら迫ってきており、その液体が付着した場所がシュワーという実にヤバイ音を響かせながら溶けているようなのである。

 

「こうなったら次はボクがやるよ!コピー能力クリエイト『ウルトラソード/ウルトラソード/アイス/プラズマ』」

 

カービィはコピー能力クリエイトを発動し、片手のウルトラソードにアイスを纏い凍らせてプラズマで威力がましたウルトラソードで切断した。

 

 

今度こそ部屋の地面に着地した。

 

 その部屋は長方形型の奥行きがある大きな部屋だった。壁の両サイドには無数の窪みがあり騎士甲冑を纏い大剣と盾を装備した身長二メートルほどの像が並び立っている。部屋の一番奥には大きな階段があり、その先には祭壇のような場所と奥の壁に荘厳な扉があった。祭壇の上には菱形の黄色い水晶のようなものが設置されている。

 

 ハジメは周囲を見渡しながら微妙に顔をしかめた。

 

 

「いかにもな扉だな。ミレディの住処に到着か? それなら万々歳なんだが……この周りの騎士甲冑に嫌な予感がするのは俺だけか?」

「……大丈夫、お約束は守られる」

「それって襲われるってことですよね? 全然大丈夫じゃないですよ?」

 

 

ガコン!

 

騎士達の兜の隙間から見えている眼の部分がギンッと光り輝いた。そして、ガシャガシャと金属の擦れ合う音を立てながら窪みから騎士達が抜け出てきた。その数、総勢五十体。

「ははっ、ホントにお約束だな。動く前に壊しておけばよかったか。まぁ、今更の話か……カービィ、ユエ、シア、やるぞ?」

「んっ」

「か、数多くないですか? いや、やりますけども……」

「ここはボクに任せて!」

 

「わかった。」

「んっ!」

「頼みましたよ!」

 

カービィはコピー能力クリエイトのままどんどん敵を殲滅していくが敵もどんどん湧いてくる。

 

 

ハジメたちは祭壇を飛び越えて扉の前に到着した。

 

 

 

「ユエさん! 扉は!?」

「ん……やっぱり封印されてる」

「あぅ、やっぱりですかっ!」

 

 見るからに怪しい祭壇と扉なのだ。封印は想定内。

 

「封印の解除はユエに任せる。錬成で突破するのは時間がかかりそうだ」

 

 

「ん……任せて」

 

 ユエは、背後の扉を振り返る。其処には三つの窪みがあった。ユエは、少し考える素振りを見せると、正双四角錐を分解し始めた。分解し、各ブロックを組み立て直すことで、扉の窪みにハマる新たな立方体を作ろうと考えたのだ。

 

 分解しながら、ユエは、扉の窪みを観察する。そして、よく観察しなければ見つからないくらい薄く文字が彫ってあることに気がついた。それは……

 

〝とっけるかなぁ~、とっけるかなぁ~〟

〝早くしないと死んじゃうよぉ~〟

〝まぁ、解けなくても仕方ないよぉ! 私と違って君は凡人なんだから!〟

〝大丈夫! 頭が悪くても生きて……いけないねぇ! ざんねぇ~ん! プギャアー!〟

 

 何時ものウザイ文だった。めちゃくちゃイラっとするユエ。いつも以上に無表情となり、扉を殴りつけたい衝動を堪えながらパズルの解読に集中する。

 

 

「……開いた」

「早かったな、流石ユエ。シア、下がれ!」

「はいっ!」

 

 

「これは、あれか? これみよがしに封印しておいて、実は何もありませんでしたっていうオチか?」

「……ありえる」

「うぅ、ミレディめぇ。何処までもバカにしてぇ!」

 

 三人が、一番あり得る可能性にガックリしていると、突如、もううんざりする程聞いているあの音が響き渡った。

 

ガコン!

 

「「「!?」」」

 

 仕掛けが作動する音と共に部屋全体がガタンッと揺れ動いた。そして、ハジメ達の体に横向きのGがかかる。

 

「っ!? 何だ!? この部屋自体が移動してるのか!?」

「……そうみたッ!?」

「うきゃ!?」

 

 

 扉の先は、ミレディの住処か、ゴーレム操者か、あるいは別の罠か……ハジメは「何でも来い」と不敵な笑みを浮かべて扉を開いた。

 

 そこには……

 

「……何か見覚えないか? この部屋。」

「……物凄くある。特にあの石板」

 

 扉を開けた先は、別の部屋に繋がっていた。その部屋は中央に石板が立っており左側に通路がある。見覚えがあるはずだ。なぜなら、その部屋は、

 

「最初の部屋……みたいですね?」

 

 シアが、思っていても口に出したくなかった事を言ってしまう。だが、確かに、シアの言う通り最初に入ったウザイ文が彫り込まれた石板のある部屋だった。よく似た部屋ではない。それは、扉を開いて数秒後に元の部屋の床に浮き出た文字が証明していた。

 

〝ねぇ、今、どんな気持ち?〟

〝苦労して進んだのに、行き着いた先がスタート地点と知った時って、どんな気持ち?〟

〝ねぇ、ねぇ、どんな気持ち? どんな気持ちなの? ねぇ、ねぇ〟

 

「「「……」」」

 

 

〝あっ、言い忘れてたけど、この迷宮は一定時間ごとに変化します〟

〝いつでも、新鮮な気持ちで迷宮を楽しんでもらおうというミレディちゃんの心遣いです〟

〝嬉しい? 嬉しいよね? お礼なんていいよぉ! 好きでやってるだけだからぁ!〟

〝ちなみに、常に変化するのでマッピングは無駄です〟

〝ひょっとして作ちゃった? 苦労しちゃった? 残念! プギャァー〟

 

「は、ははは」

「フフフフ」

「フヒ、フヒヒヒ」

 

『ドカーン』

 

すると壁が切断されてカービィが見えた。

どうやら繋がっていたようだ。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

そのあとゴーレム騎士たちに追われたりしながらついに…………………………

 

「ここに、ゴーレムを操っているヤツがいるってことかな?」

 

「おいおい、マジかよ」

「……すごく……大きい」

「お、親玉って感じですね」

 

 三者三様の感想を呟くハジメ達。若干、ユエの発言が危ない気がするが、ギリギリ許容範囲……のはずだ。

 

 ハジメ達の目の前に現れたのは、宙に浮く超巨大なゴーレム騎士だった。全身甲冑はそのままだが、全長が二十メートル弱はある。

 

 すっかり包囲されハジメ達の間にも緊張感が高まる。辺りに静寂が満ち、まさに一触即発の状況。動いた瞬間、命をベットして殺し合いが始まる。そんな予感をさせるほど張り詰めた空気を破ったのは……

 

 ……巨体ゴーレムのふざけた挨拶だった。

 

「やほ~、はじめまして~、みんな大好きミレディ・ライセンだよぉ~」

「「「「……は?」」」」

凶悪な装備と全身甲冑に身を固めた眼光鋭い巨体ゴーレムから、やたらと軽い挨拶をされた。何を言っているか分からないだろうが、ハジメにもわからない。頭がどうにかなる前に現実逃避しそうだった。ユエとシアも、包囲されているということも忘れてポカンと口を開けている。

 

 そんな硬直する三人に、巨体ゴーレムは不機嫌そうな声を出した。声質は女性のものだ。

 

「あのねぇ~、挨拶したんだから何か返そうよ。最低限の礼儀だよ? 全く、これだから最近の若者は……もっと常識的になりたまえよ」

 

「むっ。こんにちは!ボクはカービィだよー」

 

「えらいえらーい。よくてきまちたね☆」

 

 

「「「「…………」」」」

 

「そいつは、悪かったな。だが、ミレディ・ライセンは人間で故人のはずだろ? まして、自我を持つゴーレム何て聞いたことないんでな……目論見通り驚いてやったんだから許せ。そして、お前が何者か説明しろ。簡潔にな」

「あれぇ~、こんな状況なのに物凄く偉そうなんですけど、こいつぅ」

 

「ん~? ミレディさんは初めからゴーレムさんですよぉ~何を持って人間だなんて……」

「オスカーの手記にお前のことも少し書いてあった。きちんと人間の女として出てきてたぞ? というか阿呆な問答をする気はない。簡潔にと言っただろう。どうせ立ち塞がる気なんだろうから、やることは変わらん。お前をスクラップにして先に進む。だから、その前にガタガタ騒いでないで、吐くもん吐け」

「お、おおう。久しぶりの会話に内心、狂喜乱舞している私に何たる言い様。っていうかオスカーって言った? もしかして、オーちゃんの迷宮の攻略者?」

「ああ、オスカー・オルクスの迷宮なら攻略した。というか質問しているのはこちらだ。答える気がないなら、戦闘に入るぞ? 別にどうしても知りたい事ってわけじゃない。俺達の目的は神代魔法だけだからな」

 

 

「……神代魔法ねぇ、それってやっぱり、神殺しのためかな? あのクソ野郎共を滅殺してくれるのかな? オーちゃんの迷宮攻略者なら事情は理解してるよね?」

「ボクは一応そのつもり。」

 

 

「質問しているのはこちらだと言ったはずだ。答えて欲しけりゃ、先にこちらの質問に答えろ」

「こいつぅ~ホントに偉そうだなぁ~、まぁ、いいけどぉ~、えっと何だっけ……ああ、私の正体だったね。うぅ~ん」

「簡潔にな。オスカーみたいにダラダラした説明はいらないぞ」

「あはは、確かに、オーちゃんは話が長かったねぇ~、理屈屋だったしねぇ~」

 

「うん、要望通りに簡潔に言うとね。

 私は、確かにミレディ・ライセンだよ

 ゴーレムの不思議は全て神代魔法で解決!

 もっと詳しく知りたければ見事、私を倒してみよ! って感じかな」

「結局、説明になってねぇ……」

「ははは、そりゃ、攻略する前に情報なんて貰えるわけないじゃん? 迷宮の意味ないでしょ?」

 

 今度は巨大なゴーレムの指でメッ! をするミレディ・ゴーレム。中身がミレディ・ライセンというのは頂けないが、それを除けば愛嬌があるように思えてきた。ユエが、「……中身だけが問題」とボソリと呟いていることからハジメと同じ感想のようだ。

 

 

しかしカービィはまだクリエイトのままである。

「やるぞ! カービィ、ユエ、シア。ミレディを破壊する!」

「んっ!」

「了解ですぅ!」

「はーい」

 

カービィはミレディ・ゴーレムを一瞬凍らせその瞬間に二本のウルトラソードで切断した。

 

 

「ちょっ、なにそれぇ! そんなの見たことも聞いたこともないんですけどぉ!」

 

 

「ミレディの核は、心臓と同じ位置だ! あれを破壊するぞ!」

「んなっ! 何で、わかったのぉ!」

 

「わかった!コピー能力クリエイト!『エンジェル/スナイパー』

 

カービィは狙いを定めて撃ち抜いた。

 

ミレディ・ゴーレムの目から光が消える。

 

 

七大迷宮が一つ、ライセン大迷宮の最後の試練が確かに攻略された瞬間だった。

 

 

 

すると何処からかカービィがボスを倒した時に流れる音楽が!

 

そしてカービィがノーマルの状態で3人に増えた。

 

「「「え?」」」

ハジメ、ユエ、シアは何が起こっているか分からずカービィを見ていたが身体が勝手に動き出して、ハジメ達も踊り出した。

『テテテテテテテッテテ〜テテテテテテテッテ〜テテテテテテテッテテ〜テテッテテッテテ!』

「「「「「「ハァィ!」」」」」」

 

「…って何させるんだ!」

「んっ!?」

「何ですかこれ!」

 

「ボクのパーティがボスを倒したら踊らないといけないやつ。」

 

「「「………」」」

 

「で、でも体力は踊るだけで全回復するんだよ!」

 

「「「………」」」

 

「あのぉ~、へんな踊りを踊っているところ悪いんだけどぉ~、そろそろヤバイんで、ちょっといいかなぁ~?」

 

 

物凄く聞き覚えのある声。ハジメ達がハッとしてミレディ・ゴーレムを見ると、消えたはずの眼の光がいつの間にか戻っていることに気がついた。咄嗟に、飛び退り距離を置くハジメ達。確かに核は砕いたはずなのにと警戒心もあらわに身構える。

 

「ちょっと、ちょっと、大丈夫だってぇ~。試練はクリア! あんたたちの勝ち! 核の欠片に残った力で少しだけ話す時間をとっただけだよぉ~、もう数分も持たないから」

 

その言葉を証明するように、ミレディ・ゴーレムはピクリとも動かず、眼に宿った光は儚げに明滅を繰り返している。今にも消えてしまいそうだ。どうやら、数分しかもたないというのは本当らしい。

 

「で? 何の話だ? 死にぞこない。死してなお空気も読めんとは……残念さでは随一の解放者ってことで後世に伝えてやろうか」

「ちょっ、やめてよぉ~、何その地味な嫌がらせ。ジワジワきそうなところが凄く嫌らしい」

「で? 〝クソ野郎共〟を殺してくれっていう話なら聞く気ないぞ?」

 

「言わないよ。言う必要もないからね。話したい……というより忠告だね。訪れた迷宮で目当ての神代魔法がなくても、必ず私達全員の神代魔法を手に入れること……君の望みのために必要だから……」

 

 

「全部ね……なら他の迷宮の場所を教えろ。失伝していて、ほとんどわかってねぇんだよ」

「あぁ、そうなんだ……そっか、迷宮の場所がわからなくなるほど……長い時が経ったんだね……うん、場所……場所はね……」

 

 

「以上だよ……頑張ってね」

「……随分としおらしいじゃねぇの。あのウザったい口調やらセリフはどうした?」

 

「あはは、ごめんね~。でもさ……あのクソ野郎共って……ホントに嫌なヤツらでさ……嫌らしいことばっかりしてくるんだよね……だから、少しでも……慣れておいて欲しくてね……」

「おい、こら。狂った神のことなんざ興味ないって言っただろうが。なに、勝手に戦うこと前提で話してんだよ」

 

 ハジメの不機嫌そうな声に、ミレディは意外なほど真剣さと確信を宿した言葉で返した。

 

「……戦うよ。君が君である限り……必ず……君は、神殺しを為す」

「……意味がわかんねぇよ。そりゃあ、俺の道を阻むなら殺るかもしれないが……」

 

 若干、困惑するハジメ。ミレディは、その様子に楽しげな笑い声を漏らす。

 

「ふふ……それでいい……君は君の思った通りに生きればいい…………君の選択が……きっと…………この世界にとっての……最良だから……」

 

 いつしか、ミレディ・ゴーレムの体は燐光のような青白い光に包まれていた。その光が蛍火の如く、淡い小さな光となって天へと登っていく。死した魂が天へと召されていくようだ。とても、とても神秘的な光景である。

 

 

「……さて、時間の……ようだね……君達のこれからが……自由な意志の下に……あらんことを……」

 

 オスカーと同じ言葉をハジメ達に贈り、〝解放者〟の一人、ミレディは淡い光となって天へと消えていった。

 

 

「……最初は、性根が捻じ曲がった最悪の人だと思っていたんですけどね。ただ、一生懸命なだけだったんですね」

「……ん」

 

「はぁ、もういいだろ? さっさと先に行くぞ。それと、断言するがアイツの根性の悪さも素だと思うぞ? あの意地の悪さは、演技ってレベルじゃねぇよ」

「でももしかしたらさっきのも演技だったりして……ないよね?」

「ちょっと、ハジメさん。そんな死人にムチ打つようなことヒドイですよ。まったく空気読めないのはハジメさんの方ですよ」

「……ハジメ、KY?」

「ユエ、お前まで……はぁ、まぁ、いいけどよ。念の為言っておくが、俺は空気が読めないんじゃないぞ。読まないだけだ」

 

 

「……」

「わわっ、勝手に動いてますよ、これ。便利ですねぇ」

「……サービス?」

くぐり抜けた壁の向こうには……

 

「やっほー、さっきぶり! ミレディちゃんだよ!」

 

 ちっこいミレディ・ゴーレムがいた。

 

「「……」」

「ほれ、みろ。こんなこったろうと思ったよ」

 

 

「「「「………」」」」

 

「あれぇ? あれぇ? テンション低いよぉ~? もっと驚いてもいいんだよぉ~? あっ、それとも驚きすぎても言葉が出ないとか? だったら、ドッキリ大成功ぉ~だね☆」

 

 

 

ちっこいミレディ・ゴーレムは、巨体版と異なり人間らしいデザインだ。華奢なボディに乳白色の長いローブを身に纏い、白い仮面を付けている。ニコちゃんマークなところが微妙に腹立たしい。そんなミニ・ミレディは、語尾にキラッ! と星が瞬かせながら、ハジメ達の眼前までやってくる。未だ、ユエとシアの表情は俯き、垂れ下がった髪に隠れてわからない。もっとも、先の展開は読めるので、ハジメは一歩距離をとった。

 

 ユエがシアがぼそりと呟くように質問する。

 

「……さっきのは?」

「ん~? さっき? あぁ、もしかして消えちゃったと思った? ないな~い! そんなことあるわけないよぉ~!」

「でも、光が昇って消えていきましたよね?」

「ふふふ、中々よかったでしょう? あの〝演出〟! やだ、ミレディちゃん役者の才能まであるなんて! 恐ろしい子!」

 

「え、え~と……」

 

 ゆらゆら揺れながら迫ってくるユエとシアに、ミニ・ミレディは頭をカクカクと動かし言葉に迷う素振りを見せると意を決したように言った。

 

「テヘ、ペロ☆」

「……死ね」

「死んで下さい」

「ま、待って! ちょっと待って! このボディは貧弱なのぉ! これ壊れたら本気でマズイからぁ! 落ち着いてぇ! 謝るからぁ!」

 

 

 しばらくの間、ドタバタ、ドカンバキッ、いやぁーなど悲鳴やら破壊音が聞こえていたが、カービィとハジメは一切を無視して、部屋の観察に努めた。部屋自体は全てが白く、中央の床に刻まれた魔法陣以外には何もなかった。唯一、壁の一部に扉らしきものがあり、おそらくそこがミニ・ミレディの住処になっているのだろうとハジメは推測する。

 

 

ニコちゃんマークが微妙に歪み悲痛な表情になっているが気にしない。そのまま力を入れていきミニ・ミレディの頭部からメキメキという音が響きだした。

 

「このまま愉快なデザインになりたくなきゃ、さっさとお前の神代魔法をよこせ」

「あのぉ~、言動が完全に悪役だと気づいてッ『メキメキメキ』了解であります! 直ぐに渡すであります! だからストープ! これ以上は、ホントに壊れちゃう!」

 

魔法陣の中に入るハジメ達。今回は、試練をクリアしたことをミレディ本人が知っているので、オルクス大迷宮の時のような記憶を探るプロセスは無く、直接脳に神代魔法の知識や使用方法が刻まれていく。ハジメとユエは経験済みなので無反応だったが、シアは初めての経験にビクンッと体を跳ねさせた。

 

「これは……やっぱり重力操作の魔法か」

「そうだよ~ん。ミレディちゃんの魔法は重力魔法。上手く使ってね…って言いたいところだけど、君とウサギちゃんは適性ないねぇ~もうびっくりするレベルでないね!」

「やかましいわ。それくらい想定済みだ」

 

「まぁ、ウサギちゃんは体重の増減くらいなら使えるんじゃないかな。君は……生成魔法使えるんだから、それで何とかしなよ。金髪ちゃんは適性ばっちりだね。修練すれば十全に使いこなせるようになるよ。まんまるピンクの球体ちゃんは新しい力でも覚えたんじゃない?」

 

「そうだね。コピー能力グラビィティ。」

 

カービィの頭にはビームの蒼いバージョンのやつを被っていた。

 

 




コピー能力グラビティの性能は次回のお楽しみです。

好評だったり、続けて欲しいと、いう声があれば確実に続きます!
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今回は頑張って長文にしてみました。

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