ありふれた能力世界最強   作:コロンKY

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1UP

 

〝ぬ、抜いてたもぉ~、お尻のそれ抜いてたもぉ~〟

 

 北の山脈地帯の中腹、薙ぎ倒された木々と荒れ果てた川原に、すっかり忘れていた黒竜の何とも情けない声が響いていた。

 

「お前……まさか、竜人族なのか?」

 

 〝む? いかにも。妾は誇り高き竜人族の一人じゃ。偉いんじゃぞ? 凄いんじゃぞ? だからの、いい加減お尻のそれ抜いて欲しいんじゃが……そろそろ魔力が切れそうなのじゃ。この状態で元に戻ったら……大変なことになるのじゃ……妾のお尻が〟

 

「じゃあ、」

と、カービィはコピー能力を使う

「コピー能力バブル!」

カービィはコピー能力バブルでパイルバンカーをストックした。

「そういえばなんでこんな所にいるの?」とカービィ

ハジメも、

「滅んだはずの竜人族が何故こんなところで、一介の冒険者なんぞ襲っていたのか……俺も気になるな。本来なら、このまま尻からぶち抜いてやるところを、話を聞く間くらいは猶予してやるんだ。さぁ、きりきり吐け」と言う。

 

しかしなかなか話さないのでハジメはまた刺して

さらにぐりぐりした。

〝あっ、くっ、ぐりぐりはらめぇ~なのじゃ~。は、話すから!〟

 

その行為はさすがのカービィも引いた。

 ハジメの所業に、周囲の者達が完全にドン引きしていたがハジメは気にしない。

 

 

〝妾は、操られておったのじゃ。お主等を襲ったのも本意ではない。仮初の主、あの男にそこの青年と仲間達を見つけて殺せと命じられたのじゃ〟

 

 黒竜の話を要約するとこうだ。

 

この黒竜は、ある目的のために竜人族の隠れ里を飛び出して来たらしい。その目的とは、異世界からの来訪者について調べるというものだ。

目の前の黒竜は、その調査の目的で集落から出てきたらしい。

その前に一度しっかり休息をと思い、この一つ目の山脈と二つ目の山脈の中間辺りで休んでいたらしい。当然、周囲には魔物もいるので竜人族の代名詞たる固有魔法〝竜化〟により黒竜状態になって。

と、睡眠状態に入った黒竜の前に一人の黒いローブを頭からすっぽりと被った男が現れた。その男は、眠る黒竜に洗脳や暗示などの闇系魔法を多用して徐々にその思考と精神を蝕んでいった。

 

とのこと。

 

そこでカービィはタランザを思い出した。

タランザはプププランドのはるか上空にある、フロラルドに住んでいる。

操るのが得意だ。

操つられたデデデ大王と戦ったこともある。

 

 

〝恐ろしい男じゃった。闇系統の魔法に関しては天才と言っていいレベルじゃろうな。そんな男に丸一日かけて間断なく魔法を行使されたのじゃ。いくら妾と言えど、流石に耐えられんかった……〟

 

 一生の不覚! と言った感じで悲痛そうな声を上げる黒竜。しかし、ハジメは冷めた目でツッコミを入れる。

 

「それはつまり、調査に来ておいて丸一日、魔法が掛けられているのにも気づかないくらい爆睡していたって事じゃないのか?」

 

 

「……ふざけるな」

 

 事情説明を終えた黒竜に、そんな激情を必死に押し殺したような震える声が発せられた。皆が、その人物に目を向ける。拳を握り締め、怒りを宿した瞳で黒竜を睨んでいるのはウィルだった。

 

「……操られていたから…ゲイルさんを、ナバルさんを、レントさんを、ワスリーさんをクルトさんを! 殺したのは仕方ないとでも言うつもりかっ!」

 

「待って!!」

 

その前に立ち塞がるカービィ。

 

「たしかに操られていたからといって悪くないわけじゃない。」

「それに、大方、その話も死にたくなくて適当にでっち上げたに決まっている!」

「ボクは、騙されて痛い目にあったことがある」

カービィはマホロアを思い出した。

マホロアはカービィと友達になる為に無限の力を秘めている王冠、マスタークラウンを持つランディアに挑み、ランディアにバラバラにされた船をカービィの力を貸りて戻した。

カービィたちはランディアを倒し、マホロアはマスタークラウンを手に入れた。

マホロアはカービィと冒険をしたと思い力を願った。

そしてその力は暴走して結局カービィたちに倒された。

その後マホロアは反省して友達になったのだ。

「だったら!」

「だからこそボクはこの竜が本当のことを言っているのはわかるんだよ。」

 カービィが一生懸命説明してなお、言い募ろうとするしつこいウィル。それに口を挟んだのはユエだ。

「……きっと、嘘じゃない」

「っ、一体何の根拠があってそんな事を……」

 食ってかかるウィルを一瞥すると、ユエは黒竜を見つめながらぽつぽつと語る。

「……竜人族は高潔で清廉。私は皆よりずっと昔を生きた。竜人族の伝説も、より身近なもの。彼女は〝己の誇りにかけて〟と言った。なら、きっと嘘じゃない。それに……嘘つきの目がどういうものか私はよく知っている」

〝ふむ、この時代にも竜人族のあり方を知るものが未だいたとは……いや、昔と言ったかの?〟

 

 竜人族という存在のあり方を未だ語り継ぐものでもいるのかと、若干嬉しそうな声音の黒竜。

 

「……ん。私は、吸血鬼族の生き残り。三百年前は、よく王族のあり方の見本に竜人族の話を聞かされた」

 

〝何と、吸血鬼族の……しかも三百年とは……なるほど死んだと聞いていたが、主がかつての吸血姫か。確か名は……〟

 

 どうやら、この黒竜はユエと同等以上に生きているらしい。しかも、口振りからして世界情勢にも全く疎いというわけではないようだ。今回の様に、時々正体を隠して世情の調査をしているのかもしれない。その黒竜にして吸血姫の生存は驚いたようだ。周囲の、ウィルや愛子達も驚愕の目でユエを見ている。

 

「ユエ……それが私の名前。大切な人に貰った大切な名前。そう呼んで欲しい」

 

 だが、それでも親切にしてくれた先輩冒険者達の無念を思い言葉を零してしまう。

 

「……それでも、殺した事に変わりないじゃないですか……どうしようもなかったってわかってはいますけど……それでもっ! ゲイルさんは、この仕事が終わったらプロポーズするんだって……彼らの無念はどうすれば……」

 

「しょうがないけど、しかたないかなぁー」

そう言ってカービィは惜しむようにあるものを取り出す。

それはカービィそっくりなもので『1UP』と書かれている

ちなみにこのカービィは残機をカンストしています。

と、言うよりこれまでの冒険でいつのまにか残機がカンストしていました。

 

それを死んだ人たちに与えた。

 

すると生き返ったのだ!

 

「なっ!?これでいいでしょ?」

 

ついでに途中にあったものもウィルのものだったので返した。

ウィルたちは帰っていった。

 

 そんな中、黒竜が懺悔するように、声音に罪悪感を含ませながら己の言葉を紡ぐ。

 

〝操られていたとはいえ、妾が罪なき人々の尊き命を摘み取ってしまったのは事実。償えというなら、大人しく裁きを受けよう。だが、それには今しばらく猶予をくれまいか。せめて、あの危険な男を止めるまで。あの男は、魔物の大群を作ろうとしておる。竜人族は大陸の運命に干渉せぬと掟を立てたが、今回は妾の責任もある。放置はできんのじゃ……勝手は重々承知しておる。だが、どうかこの場は見逃してくれんか〟

 

 

そのハジメの答えは、

 

「いや、お前の都合なんざ知ったことじゃないし。散々面倒かけてくれたんだ。詫びとして死ね」

 

 そう言って義手の拳を振りかぶった。

 

〝待つのじゃー! お、お主、今の話の流れで問答無用に止めを刺すとかないじゃろ! 頼む! 詫びなら必ずする! 事が終われば好きにしてくれて構わん! だから、今しばらくの猶予を! 後生じゃ!〟

 

カービィ「殺しちゃうの?」

ハジメ「え? いや、そりゃあ殺し合いしたわけだし……」

ユエ「……でも、敵じゃない。殺意も悪意も、一度も向けなかった。意志を奪われてた」

 

結局ユエとカービィにより救われた。

 

ハジメは、そう考えて空いている方の手で黒竜の尻に刺さっている杭に手をかけた。そして、力を込めて引き抜いていく。

 

〝はぁあん! ゆ、ゆっくり頼むのじゃ。まだ慣れておらっあふぅうん。やっ、激しいのじゃ! こんな、ああんっ! きちゃうう、何かきちゃうのじゃ~〟

 

 

〝あひぃいーーー!! す、すごいのじゃ……優しくってお願いしたのに、容赦のかけらもなかったのじゃ……こんなの初めて……〟

 

 

この瞬間黒竜は変態に目覚めてしまったのだが、それを知るのはこの後のこと。

 




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