よかったら感想、投票お願いします
なんと感想100件越えました!
さらに総合評価が100を超えました、
ありがとうございます!
これからも感想、評価、応援をぜひお願いします!
ドンナーをホルスターに仕舞いながら、地面に転がる男達を通行の邪魔だとでも言うように瓦礫の上に放り投げていくハジメ。積み重なっていく男達を尻目に、ハジメは、何があったのか事情を説明し始めた。
メアシュタット水族館を出て昼食も食べた後、ハジメとシアの二人は、迷路花壇や大道芸通りを散策していた。シアの腕には、露店で買った食べ物が入った包みが幾つも抱えられている。今は、バニラっぽいアイスクリームを攻略中だ。
「よく食べるな……そんなに美味いか?」
「あむっ……はい! とっても美味しいですよ。流石、フューレンです。唯の露店でもレベルが高いです」
「……食いすぎて太るなよ」
「……ハジメさん、それは女の子に言ってはいけないセリフです」
ハジメの言葉に一瞬、食べる手が止まるものの、「後で運動するし……明日から少し制限するし……」などブツブツと言い訳しながら再度、露店の甘味を堪能するシア。そんなシアに苦笑いしながら横を歩くハジメは、突如、その表情を訝しげなものに変え足元を見下ろした。
それに気がついたシアが、「ん?」と首を傾げてハジメに尋ねる。
「どうかしましたか、ハジメさん?」
「んー? いやな、気配感知で人の気配を感知したんだが……」
「気配感知なんて使っていたんですか?」
「基本は常時展開してる」
「う~ん? でも、何が気になるんです? 人の気配って言っても……」
「いや、そうじゃなくてな……俺が感知したのは下だ」
「下? ……って下水道ですか? えっと、なら管理施設の職員とか?」
「だったら、気にしないんだがな。何か、気配がやたらと小さい上に弱い……多分、これ子供だぞ? しかも、弱っているな」
「ッ!? た、大変じゃないですか! もしかしたら、何処かの穴にでも落ちて流されているのかもしれませんよ! ハジメさん! 追いかけましょう! どっちですか!」
「ハジメさん、私にも気配が掴めました。私が飛び込んで引っ張り上げますね!」
「いや、大丈夫だから」
服が汚れるなど気にした風もなく下水に飛び込もうとするシアの首根っこを掴んで止めたハジメは、再びに地面に手を付いて錬成を行った。紅いスパークと共に水路から格子がせり上がってくる。格子は斜めに設置されているので、流されてきた子供は格子に受け止められるとそのままハジメ達の方へと移動して来た。ハジメは、左腕のギミックを作動させ、その腕を伸長させると子供を掴み、そのまま通路へと引き上げた。
「この子は……」
「まぁ、息はあるし……取り敢えずここから離れよう。臭いが酷い」
引き上げられたその子供を見て、シアが驚きに目を見開く。ハジメも、その容姿を見て知識だけはあったので、内心では結構驚いていた。しかし、場所が場所だけに、肉体的にも精神的にも衛生上良くないと場所を移動する事にする。
何となく、子供の素性的に唯の事故で流されたとは思えないので、そのまま開けた穴からストリートに出ることが躊躇われたハジメは、〝宝物庫〟から毛布を取り出すと小さな子供をくるみ、抱きかかえて移動を開始した。
その子供は、見た目三、四歳といったところだ。エメラルドグリーンの長い髪と幼い上に汚れているにも関わずわかるくらい整った可愛らしい顔立ちをしている。女の子だろう。だが何より特徴的なのは、その耳だ。通常の人間の耳の代わりに扇状のヒレが付いているのである。しかも、毛布からちょこんと覗く紅葉のような小さな手には、指の股に折りたたまれるようにして薄い膜がついている。
「この子、海人族の子ですね……どうして、こんな所に……」
「まぁ、まともな理由じゃないのは確かだな」
と、その時、海人族の幼女の鼻がピクピクと動いたかと思うと、パチクリと目を開いた。そして、その大きく真ん丸な瞳でジーとハジメを見つめ始める。ハジメも何となく目が合ったまま逸らさずジーと見つめ返した。意味不明な緊迫感が漂う中、シアが何をしているんだと呆れた表情で近づくと、海人族の幼女のお腹がクゥーと可愛らしい音を立てる。再び鼻をピクピクと動かし、ハジメから視線を逸らすと、その目が未だに持っていたシアの露店の包みをロックオンした。
シアが、これ? と首を傾げながら、串焼きの入った包み右に左にと動かすと、まるで磁石のように幼女の視線も左右に揺れる。どうやら、相当空腹のようだ。シアが、包から串焼きを取り出そうとするのを制止して、ハジメは幼女に話しかけながら錬成を始めた。
「で? お前の名前は?」
「……ミュウ」
「そうか。俺はハジメで、そっちはシアだ。それでミュウ。あの串焼きが食べたいなら、まず、体の汚れを落とせ」
「あっ、ハジメさん。お帰りなさい。素人判断ですけど、ミュウちゃんは問題ないみたいですよ」
ハジメは、シアの言葉に頷くと、買ってきた服を取り出した。シアの今着ている服に良く似た乳白色のフェミニンなワンピースだ。それに、グラディエーターサンダルっぽい履物、それと下着だ。子供用とは言え、店で買う時は店員の目が非常に気になった。
ハジメは、ミュウの下へ歩み寄ると、毛布を剥ぎ取りポスッと上からワンピースを着せた。次いでに下着もさっさと履かせる。そして、ミュウの前に跪いて片方ずつ靴を履かせていった。更に、温風を出すアーティファクト、つまりドライヤーを〝宝物庫〟から取り出し、湿り気のあるミュウの髪を乾かしていく。ミュウはされるがままで、未だにジーとハジメを見ているが、温風の気持ちよさに次第に目を細めていった。
「……何気に、ハジメさんって面倒見いいですよね」
「何だ、藪から棒に……」
「で、今後の事だが……」
「ミュウちゃんをどうするかですね……」
「客が値段をつける……ね。オークションか。それも人間族の子や海人族の子を出すってんなら裏のオークションなんだろうな」
「……ハジメさん、どうしますか?」
だが、ハジメは首を振った。
「保安署に預けるのがベターだろ」
「そんなっ……この子や他の子達を見捨てるんですか……」
ハジメの言葉にシアが噛み付く。ミュウをギュッと抱きしめてショックを受けたような目でハジメを見た。
「あのな、シア。迷子を見つけたら保安署に送り届けるのは当然のことだ。まして、ミュウは海人族の子だ。必ず手厚く保護してくれるさ。それどころか、海人族をオークションに掛けようなんて大問題だ。正式に捜査が始まるだろうし、そうすれば他の子達も保護されるだろう。いいか? おそらくだが、これは大都市にはつきものの闇なんだ。ミュウが捕まっていたところだけでなく、公的機関の手が及ばない場所では普通にある事なんだろ。つまり、これはフューレンの問題だ。どっちにしろ、通報は必要だろう? ……お前の境遇を考えると、自分の手で何とかしたいという気持ちはわからんでもないがな……」
「そ、それは……そうですが……でも、せめてこの子だけでも私達が連れて行きませんか? どうせ、西の海には行くんですし……」
「はぁ~、あのな。その前に大火山に行かにゃならんだろうが。まさか、迷宮攻略に連れて行く気か? それとも、砂漠地帯に一人で留守番させるか? 大体、誘拐された海人族の子を勝手に連れて行ったら、俺等も誘拐犯の仲間入りだろうが。あんまり、無茶なこと言うな」
「……うぅ、はいです……」
「いいか、ミュウ。これから、お前を守ってくれる人達の所へ連れて行く。時間は掛かるだろうが、いつか西の海にも帰れるだろう」
「……お兄ちゃんとお姉ちゃんは?」
ミュウが、ハジメの言葉に不安そうな声音で二人はどうするのかと尋ねる。
「悪いが、そこでお別れだ」
「やっ!」
「いや、やっ! じゃなくてな……」
「お兄ちゃんとお姉ちゃんがいいの! 二人といるの!」
事情を聞いた保安員は、表情を険しくすると、今後の捜査やミュウの送還手続きに本人が必要との事で、ミュウを手厚く保護する事を約束しつつ署で預かる旨を申し出た。ハジメの予想通り、やはり大きな問題らしく、直ぐに本部からも応援が来るそうで、自分達はお役目御免だろうと引き下がろうとした。が……
「お兄ちゃんは、ミュウが嫌いなの?」
見かねた保安員達が、ミュウを宥めつつ少し強引にハジメ達と引き離し、ミュウの悲しげな声に後ろ髪を引かれつつも、当然、そのままデートという気分ではなくなり、シアは心配そうに眉を八の字にして、何度も保安署を振り返っていた。
ドォガァアアアン!!!!
背後で爆発が起き、黒煙が上がっているのが見えた。その場所は、
「ハ、ハジメさん。あそこって……」
「チッ、保安署か!」
そう、黒煙の上がっている場所は、さっきまでハジメ達がいた保安署があった場所だった。二人は、互いに頷くと保安署へと駆け戻る。タイミング的に最悪の事態が脳裏をよぎった。すなわち、ミュウを誘拐していた組織が、情報漏えいを防ぐためにミュウごと保安署を爆破した等だ。
「ハジメさん! ミュウちゃんがいません! それにこんなものが!」
〝海人族の子を死なせたくなければ、白髪の兎人族を連れて○○に来い〟
「ハジメさん、これって……」
「どうやら、あちらさんは欲をかいたらしいな……」
「ハジメさん! 私!」
「みなまでいうな。わーてるよ。こいつ等はもう俺の敵だ……御託を並べるのは終わりだ。全部ぶちのめして、ミュウを奪い返すぞ」
「はいです!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「で、だ。指定された場所に行ってみれば、そこには武装したチンピラがうじゃうじゃいて、ミュウ自身はいなかったんだよ。たぶん、最初から俺を殺してシアだけ頂く気だったんだろうな。取り敢えず数人残して、皆殺しにした後、ミュウがどこか聞いてみたんだが……知らないらしくてな。拷問して他のアジトを聞き出して……それを繰り返しているところだ」
「どうも、私だけじゃなくて、ユエさんとティオさんにも誘拐計画があったみたいですよ。それで、いっそのこと見せしめに今回関わった組織とその関連組織の全てを潰してしまおうということになりまして……」
移動しながらハジメとシアの説明を聞いたカービィ一行とユエ、ティオは、唯のデートに行って何故大都市の裏組織と事を構えることになるのかと、そのトラブル体質に呆れた表情を向けた。
「……それで、ミュウっていう子を探せばいいの?」
「ああ。聞き出したところによると、結構大きな組織みたいでな……関連施設の数も半端ないんだ。手伝ってくれるか?」
「ん……任せて」
「ふむ。ご主人様の頼みとあらば是非もないの」
「ボクたちに任せてよ!」
ドロッチェ「俺も手を貸そう。俺ならどんな警備も軽々と突破できる。」
ハジメ「大丈夫なのか?」
カービィ「ドロッチェ団は悪い奴らじゃないよ!誰かを傷つけるようなことは絶対にしないんだ。」
「疑ってすまなかったな。」
「いい。疑うのも大切だからな。」
シア「は、ハジメさんが謝りましたよ!」
ティオ「重症じゃ!」
「おまえら俺をなんだと……」
現在判明している裏組織のアジトの場所を伝え、ハジメとユエとティオ、カービィとドロッチェとシアの二手に分かれてミュウ捜索兼組織潰しに動き出した。ちなみに、ハジメとシアで別れたのは、ミュウを発見した場合に顔見知りがいた方がいいと考えたからである。
いつも読んでいただきありがとうございます。
好評だったり、続けて欲しいと、いう声があれば確実に続きます!
感想はログインしていなくてもかけるのでぜひ、よろしければお願いします。
評価はログインしていないと出来ないと思いますが気に入っていただけたら是非お願いします。