ありふれた能力世界最強   作:コロンKY

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懐かしきホルアド

 

 

「ヒャッハー! ですぅ!」

 

 左側のライセン大峡谷と右側の雄大な草原に挟まれながら、魔力駆動二輪とロボボアーマーホイールモードが太陽を背に西へと疾走する。街道の砂埃を巻き上げながら、それでも道に沿って進む四輪と異なり、二輪の方は、峡谷側の荒地や草原を行ったり来たりしながらご機嫌な様子で爆走していた。

 

「……シアのやつご機嫌だな。世紀末な野郎みたいな雄叫び上げやがって」

ユエ「……むぅ。ちょっとやってみたいかも」

ハジメが、呆れたような表情で呟いた。ハジメの言葉通り、今、シアはロボボアーマーホイールモードの方には乗っていない。一人で二輪を運転しているのである。

 

魔力駆動二輪は、魔力の直接操作さえ出来れば割と簡単に動かすことができる。場合によっては、ハンドル操作を自らの手で行わずとも、それすら魔力操作で行えるのだ。なので、シアにとっては大して難しいものでもなく、あっという間に乗りこなしてしまった。そして、その魅力に取り憑かれたのである。

 

たまに、乗り物に乗ると性格が豹変する人がいるが、シアもその類なのかもしれない。ハジメの傍らで同じようにシアの様子を見ていたユエが、ちょっと自分もやりたそうにしている。ユエが、「ヒャッハー!」とか言いだしたら、ひどく悲しい気分になりそうなので絶対阻止しようと心に決めるハジメ。

 

そんな、ハジメに、ユエの更に隣で窓から顔を出して気持ちよさそうにしていた三、四歳くらいの幼女ミュウが、いそいそとユエの膝の上によじ登ると、そのまま大きな瞳をキラキラさせる。そして、ハンドルを握りしめ逆立ちを始めたシアを指差し、ハジメにおねだりを始めた。

 

「パパ! パパ! ミュウもあれやりたいの!」

「ダメに決まってるだろ」

 

 

「ミュウ。後で俺が乗せてやるから、それで我慢しろ」

「ふぇ? いいの?」

「ああ。シアと乗るのは断じて許さんが……俺となら構わねぇよ」

「シアお姉ちゃんはダメなの?」

「ああ、絶対ダメだ。見ろよ、あいつ。今度は、ハンドルの上で妙なポーズとりだしたぞ。何故か心に来るものがあるが……あんな危険運転するやつの乗り物に乗るなんて絶対ダメだ」

 

 二輪のハンドルの上に立ち、右手の五指を広げた状態で顔を隠しながら左手を下げ僅かに肩を上げるという奇妙なポーズでアメリカンな笑い声を上げるシア。そんなジョ○ョ的な香ばしいポーズをとる彼女にジト目を向けながら、ハジメはミュウに釘を刺す。見てないところでシアに乗せてもらったりするなよ? と。

 

「そもそも、二輪は危ないんだから出来れば乗せたくないんだがなぁ……二輪用のチャイルドシートとか作ってみるか? 材料は……ブツブツ」

「ユエお姉ちゃん。パパがブツブツ言ってるの。変なの」

「……ハジメパパは、ミュウが心配……意外に過保護」

「フフ、ご主人様は意外に子煩悩なのかの? ふむ、このギャップはなかなか……ハァハァ」

「ユエお姉ちゃん。ティオお姉ちゃんがハァハァしてるの」

「……不治の病だから気にしちゃダメ」

 

 

 「パパ」の呼び名を許容(という名の諦め)してからというもの、何だかんだでミュウを気にかけるハジメ。今では、むしろ過保護と言っていいくらいだった。シアは残念ウサギだし、ティオは変態だし、カービィ一行はメタナイトとドロッチェ以外まともな奴がいない!母親の元に返すまでミュウは俺が守らねば! とか思っているようだ。世話を焼きすぎる時は、むしろユエがストッパーになってミュウに常識を教えるという構図が現在のハジメ達だった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 ハジメ達は、現在、宿場町ホルアドにいた。

 

 本来なら素通りしてもよかったのだが、フューレンのギルド支部長イルワから頼まれごとをされたので、それを果たすために寄り道したのだ。といっても、もともと【グリューエン大砂漠】へ行く途中で通ることになるので大した手間ではない。

 

「パパ? どうしたの?」

「ん? あ~、いや、前に来たことがあってな……まだ四ヶ月程度しか経ってないのに、もう何年も前のような気がして……」

「……ハジメ、大丈夫?」

 

 複雑な表情をするハジメの腕にそっと自らの手を添えて心配そうな眼差しを向けるユエ。ハジメは、肩を竦めると、次の瞬間にはいつも通りの雰囲気に戻っていた。

 

「ああ、問題ない。ちょっとな、えらく濃密な時間を過ごしたもんだと思って感慨に耽っちまった。思えば、ここから始まったんだよなって……緊張と恐怖と若干の自棄を抱いて一晩過ごして、次の日に迷宮に潜って……そして落ちた」

「……」

 

「ふむ。ご主人様は、やり直したいとは思わんのか? 元々の仲間がおったのじゃろ? ご主人様の境遇はある程度聞いてはいるが……皆が皆、ご主人様を傷つけたわけではあるまい? 仲の良かったものもいるのではないか?」

 

「そうだな、カービィと香織以外は助けようともしなかったな。」

 

 

「確かに、そういう奴等もいたな……でも、もし仮にあの日に戻ったとしても、俺は何度でも同じ道を辿るさ」

「ほぅ、なぜじゃ?」

 

 

 

「もちろん……ユエに会いたいからだ」

「……ハジメ」

 

「ティオさん、聞きました? そこは、〝お前達に〟っていうところだと思いません? ユエさんオンリーですよ。また、二人の世界作ってますよ。もう、場所も状況もお構いなしですよ。それを傍から見てる私達にどうしろと? いい加減、あの空気を私との間にも作ってくれていいと思うんです。私は、いつでも受け入れ態勢が整っているというのに、いつまで経っても、残念キャラみたいな扱いで……いや、わかっていますよ? ユエさんが特別だということは。私も、元々はお二人の関係に憧れていたからこそ、一緒にいたいと思ったわけですし。だから、ユエさんが特別であることは当然で、それはそうあっていいと思うんですけどね。むしろ、ユエさんを蔑ろにするハジメさんなんてハジメさんじゃないですし。そんな事してユエさんを悲しませたら、むしろ私がハジメさんをぶっ殺す所存ですが。でも、でもですよ? 最近、ちょっとデレてきたなぁ~、そろそろ大人の階段上っちゃうかなぁ~って期待しているのに一向にそんなことにならないわけで、いくらユエさんが特別でも、もうちょっと目を向けてくれてもいいと思いません? 据え膳食わぬは男の恥ですよ。こんなにわかりやすくウェルカムしてるのに、グダグダ言って澄まし顔でスルーして、このヘタレ野郎が! と思ってもバチは当たらないと思うのですよ。私だってイチャイチャしたいのですよ! ベッドの上であんなことやこんなことをして欲しいのですよ! ユエさんがされてたみたいなハードなプレイを私にも! って思うのですよ! そこんとこ変態代表のティオさんはどう思います!?」

「シ、シアよ。お主が鬱憤を溜め込んでおるのはわかったから、少し落ち着くのじゃ。むしろ、公道でとんでもないこと叫んでおるお主の方が注目されとる。というか、最後さりげなく妾を罵りおったな……こんな公の場所で変態扱いされてしもうた、ハァハァ、心なし周囲の妾を見る目が冷たい気がする……ハァハァ、んっんっ」

 

 

「パパ~、シアお姉ちゃんとティオお姉ちゃんが……」

「ミュウ。見ちゃダメだ。他人の振りをするんだ」

「……シア……今度、ハジメを縛ってシアと一緒に……」

 

メタナイト「落ち着けシア、ハジメが引いている。」

 

シア「はっ!私は何を!」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

ハジメ達は、周囲の人々の視線を無視しながら、ようやく冒険者ギルドのホルアド支部に到着した。

 

 

 

 壁や床は、ところどころ壊れていたり大雑把に修復した跡があり、泥や何かのシミがあちこちに付いていて不衛生な印象を持つ。内部の作り自体は他の支部と同じで入って正面がカウンター、左手側に食事処がある。しかし、他の支部と異なり、普通に酒も出しているようで、昼間から飲んだくれたおっさん達がたむろしていた。二階部分にも座席があるようで、手すり越しに階下を見下ろしている冒険者らしき者達もいる。二階にいる者は総じて強者の雰囲気を出しており、そういう制度なのか暗黙の了解かはわからないが、高ランク冒険者は基本的に二階に行くのかもしれない。

 

 が、最近めっきり過保護なパパになりつつあるハジメが、仮とは言え娘を怯えさせられて黙っているわけがなかった。既に、ハジメの額には青筋が深く深~く浮き上がっており、ミュウをなだめる手つきの優しさとは裏腹にその眼は凶悪に釣り上がっていた。

 

 そして……

 

ドンッ!!

 

 そんな音が聞こえてきそうなほど濃密にして巨大かつ凶悪なプレッシャーが、ハジメ達を睨みつけていた冒険者達に情け容赦一切なく叩きつけられた。

 

 

ハジメのプレッシャー〝威圧〟と〝魔力放射〟を受けながら意識を辛うじて失っていない者も、大半がガクガクと震えながら必死に意識と体を支え、滝のような汗を流して顔を青ざめさせている。

 

 

「おい、今、こっちを睨んだやつ」

「「「「「「「!」」」」」」」

 

 

ハジメは彼等に向かって要求……もとい命令をする。

 

「笑え」

「「「「「「「え?」」」」」」」

 

 いきなり、状況を無視した命令に戸惑う冒険者達。ハジメが、更に言葉を続ける。

 

「聞こえなかったか? 笑えと言ったんだ。にっこりとな。怖くないアピールだ。ついでに手も振れ。お前らのせいで家の子が怯えちまったんだ。トラウマになったらどうする気だ? ア゛ァ゛? 責任とれや」

 

 

「ひっ!」

そう言って逃げていった。

 

 ちなみに、受付嬢は可愛かった。ハジメと同じ年くらいの明るそうな娘だ。テンプレはここにあったらしい。もっとも、普段は魅力的であろう受付嬢の表情は緊張でめちゃくちゃ強張っていたが。

 

「支部長はいるか? フューレンのギルド支部長から手紙を預かっているんだが……本人に直接渡せと言われているんだ」

 

 

「は、はい。お預かりします。え、えっと、フューレン支部のギルド支部長様からの依頼……ですか?」

 

 普通、一介の冒険者がギルド支部長から依頼を受けるなどということはありえないので、少し訝しそうな表情になる受付嬢。しかし、全員から渡されたステータスプレートに表示されている情報を見て目を見開いた。

 

「ぜ、全員〝金〟ランク!?」

 

 

冒険者において〝金〟のランクを持つ者は全体の一割に満たない。そして、〝金〟のランク認定を受けた者についてはギルド職員に対して伝えられるので、当然、この受付嬢も全ての〝金〟ランク冒険者を把握しており、ハジメのこと等知らなかったので思わず驚愕の声を漏らしてしまった。

 

 

 

「も、申し訳ありません! 本当に、申し訳ありません!」

「あ~、いや。別にいいから。取り敢えず、支部長に取り次ぎしてくれるか?」

「は、はい! 少々お待ちください!」

 

 

 やがて、と言っても五分も経たないうち、ギルドの奥からズダダダッ! と何者かが猛ダッシュしてくる音が聞こえだした。何事だと、ハジメ達が音の方を注目していると、カウンター横の通路から全身黒装束の少年がズザザザザザーと床を滑りながら猛烈な勢いで飛び出てきて、誰かを探すようにキョロキョロと辺りを見渡し始めた。

 

 ハジメは、その人物に見覚えがあり、こんなところで再会するとは思わなかったので思わず目を丸くして呟いた。

 

「……遠藤?」

 

「……遠藤?」

 

 ハジメの呟きに〝!〟と某ダンボール好きな傭兵のゲームに出てくる敵兵のような反応をする黒装束の少年、遠藤浩介は、辺りをキョロキョロと見渡し、それでも目当ての人物が見つからないことに苛立ったように大声を出し始めた。

 

「南雲ぉ! いるのか! お前なのか! 何処なんだ! 南雲ぉ! 生きてんなら出てきやがれぇ! 南雲ハジメェー!」

 

「あ~、遠藤? ちゃんと聞こえてるから大声で人の名前を連呼するのは止めてくれ」

「!? 南雲! どこだ!」

 

 ハジメの声に反応してグリンッと顔をハジメの方に向ける遠藤。余りに必死な形相に、ハジメは思わずドン引きする。

 

 一瞬、ハジメと視線があった遠藤だが、直ぐにハジメから目を逸らすと再び辺りをキョロキョロと見渡し始めた。

 

「くそっ! 声は聞こえるのに姿が見当たらねぇ! 幽霊か? やっぱり化けて出てきたのか!? 俺には姿が見えないってのか!?」

「いや、目の前にいるだろうが、ど阿呆。つか、いい加減落ち着けよ。影の薄さランキング生涯世界一位」

「!? また、声が!? ていうか、誰がコンビニの自動ドアすら反応してくれない影が薄いどころか存在自体が薄くて何時か消えそうな男だ! 自動ドアくらい三回に一回はちゃんと開くわ!」

「三回中二回は開かないのか……お前流石だな」

 

 

 

 

そこまで言葉を交わしてようやく、目の前の白髪眼帯の男が会話している本人だと気がついたようで、遠藤は、ハジメの顔をマジマジと見つめ始める。男に見つめられて喜ぶ趣味はないので嫌そうな表情で顔を背けるハジメに、遠藤は、まさかという面持ちで声をかけた。

 

「お、お前……お前が南雲……なのか?」

「はぁ……ああ、そうだ。見た目こんなだが、正真正銘南雲ハジメだ、ちなみにカービィもいるぞ。」

カービィ「やっほー、久しぶりー。」

 

 

上から下までマジマジと観察し、それでも記憶にあるハジメとの余りの違いに半信半疑の遠藤だったが、顔の造形や自分の影の薄さを知っていた事からようやく信じることにしたようだ。

 

「お前……生きていたのか」

「今、目の前にいるんだから当たり前だろ」

「何か、えらく変わってるんだけど……見た目とか雰囲気とか口調とか……」

「奈落の底から自力で這い上がってきたんだぞ? そりゃ多少変わるだろ」

「そ、そういうものかな? いや、でも、そうか……ホントに生きて……」

 

 あっけらかんとしたハジメの態度に困惑する遠藤だったが、それでも死んだと思っていたクラスメイトが本当に生きていたと理解し、安堵したように目元を和らげた。いくら香織に構われていることに他の男と同じように嫉妬の念を抱いていたとしても、また檜山達のイジメを見て見ぬふりをしていたとしても、死んでもいいなんて恐ろしいことを思えるはずもない。ハジメの死は大きな衝撃であった。だからこそ、遠藤は、純粋にクラスメイトの生存が嬉しかったのだ。

 

「っていうかお前……冒険者してたのか? しかも〝金〟て……」

「ん~、まぁな」

 

 ハジメの返答に遠藤の表情がガラリと変わる。クラスメイトが生きていた事にホッとしたような表情から切羽詰ったような表情に。改めて、よく見てみると遠藤がボロボロであることに気がつくハジメ。一体、何があったんだと内心首を捻る。

 

「……つまり、迷宮の深層から自力で生還できる上に、冒険者の最高ランクを貰えるくらい強いってことだよな? 信じられねぇけど……」

「まぁ、そうだな、というかカービィたちの方が強いけどな。」

 

「なら頼む! 一緒に迷宮に潜ってくれ! 早くしないと皆死んじまう! 一人でも多くの戦力が必要なんだ! 健太郎も重吾も死んじまうかもしれないんだ! 頼むよ、南雲!南雲一行!」

「ちょ、ちょっと待て。いきなりなんだ!? 状況が全くわからないんだが? 死んじまうって何だよ。天之河がいれば大抵何とかなるだろ? メルド団長がいれば、二度とベヒモスの時みたいな失敗もしないだろうし……」

 

 

……んだよ」

「は? 聞こえねぇよ。何だって?」

「……死んだって言ったんだ! メルド団長もアランさんも他の皆も! 迷宮に潜ってた騎士は皆死んだ! 俺を逃がすために! 俺のせいで! 死んだんだ! 死んだんだよぉ!」

「……そうか」

 

 癇癪を起こした子供のように、「死んだ」と繰り返す遠藤に、ハジメはただ一言、そう返した。




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