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青年は、ロボボアーマーアイスホイールモードを馬車のようなものだと無理やり納得したものの、車内の快適さに違う意味で目眩を覚えていた。しかし、自分が使命を果たせず道半ばで倒れたことを思い出し、こんなところでのんびりしている場合ではないと気を取り直す。そして、自分を助けてくれたハジメ達と互いに自己紹介をした。
「まず、助けてくれた事に礼を言う。本当にありがとう。あのまま死んでいたらと思うと……アンカジまで終わってしまうところだった。私の名は、ビィズ・フォウワード・ゼンゲン。アンカジ公国の領主ランズィ・フォウワード・ゼンゲン公の息子だ」
驚いたことに、ビィズと名乗った青年はとんだ大物だったらしい。単なる名目だけの貴族ではなく、ハイリヒ王国の中でも信頼の厚い屈指の大貴族である。
ハジメは、少し威圧しながら、事情説明を促すと、ビィズは冷や汗を流しながら咳払いしつつ語りだした。
ビィズ曰く、こういうことらしい。
四日前、アンカジにおいて原因不明の高熱を発し倒れる人が続出した。
症状を訴える人が二万人に上ったという。
直ぐに医療院は飽和状態となり、公共施設を全開放して医療関係者も総出で治療と原因究明に当たったが、香織と同じく進行を遅らせることは何とか出来ても完治させる事は出来なかった。
進行を遅らせるための魔法の使い手も圧倒的に数が足りず、なんの手立ても打てずに混乱する中で、遂に、処置を受けられなかった人々の中から死者が出始めた。
発症してから僅か二日で死亡するという事実に絶望が立ち込める。
そんな中、一人の薬師が、ひょんなことから飲み水に〝液体鑑定〟をかけた。その結果、その水には魔力の暴走を促す毒素が含まれていることがわかったのだ。直ちに調査チームが組まれ、最悪の事態を想定しながらアンカジのオアシスが調べられたのだが、案の定、オアシスそのものが汚染されていた。
当然、アンカジのような砂漠のど真ん中にある国において、オアシスは生命線であるから、その警備、維持、管理は厳重に厳重を重ねてある。
アンカジの警備を抜いて、オアシスに毒素を流し込むなど不可能に近いと言っても過言ではないほどに、あらゆる対策が施されているのだ。
ただ、全く方法がないというわけではない。
一つ、患者達を救える方法が存在している。
それは、〝静因石〟と呼ばれる鉱石を必要とする方法だ。
この〝静因石〟は、魔力の活性を鎮める効果を持っている特殊な鉱石で、砂漠のずっと北方にある岩石地帯か【グリューエン大火山】で少量採取できる貴重な鉱石だ。
魔法の研究に従事する者が、魔力調整や暴走の予防に求めることが多い。
この〝静因石〟を粉末状にしたものを服用すれば体内の魔力を鎮めることが出来るだろうというわけだ。
しかし、北方の岩石地帯は遠すぎて往復に少なくとも一ヶ月以上はかかってしまう。また、アンカジの冒険者、特に【グリューエン大火山】の迷宮に入って〝静因石〟を採取し戻ってこられる程の者は既に病に倒れてしまっている。
生半可な冒険者では、【グリューエン大火山】を包み込む砂嵐すら突破できないのだ。それに、仮にそれだけの実力者がいても、どちらにしろ安全な水のストックが圧倒的に足りない以上、王国への救援要請は必要だった。
なので、強権を発動出来るゼンゲン公か、その代理たるビィズが直接救援要請をする必要があった。
「父上や母上、妹も既に感染していて、アンカジにストックしてあった静因石を服用することで何とか持ち直したが、衰弱も激しく、とても王国や近隣の町まで赴くことなど出来そうもなかった。だから、私が救援を呼ぶため、一日前に護衛隊と共にアンカジを出発したのだ。その時、症状は出ていなかったが……感染していたのだろうな。おそらく、発症までには個人差があるのだろう。家族が倒れ、国が混乱し、救援は一刻を争うという状況に……動揺していたようだ。万全を期して静因石を服用しておくべきだった。今、こうしている間にも、アンカジの民は命を落としていっているというのに……情けない!」
力の入らない体に、それでもあらん限りの力を込めて拳を己の膝に叩きつけるビィズ。アンカジ公国の次期領主は、責任感の強い民思いな人物らしい。護衛をしていた者達も、サンドワームに襲われ全滅したというから、そのことも相まって悔しくてならないのだろう。
「……君達に、いや、貴殿達にアンカジ公国領主代理として正式に依頼したい。どうか、私に力を貸して欲しい」
カービィ「うん!わかった力を貸すよ!」
ハジメ「おいカービィ、なに勝手に……」
「パパー。たすけてあげないの?」
そんなことを物凄く純真な眼差しで言ってくる。
ハジメなら、何だって出来ると無条件に信じているようだ。
ミュウにとって、ハジメは、紛れもなくヒーローなのだろう。そんなミュウとどこか期待するような香織の眼差しに、ハジメは「しょうがねぇな」と苦笑い気味に肩を竦めた。
シアとティオは、そんなハジメに「ふふ」と笑みをこぼしている。ハジメが、ふと傍らのユエを見ると、彼女は……いつも通りだ。メタナイトはカービィの行動に「違う世界に来ても変わらないな」と思っていた。
ハジメが、どんな選択をしても己の全てで力になる。言葉にしなくてもユエの気持ちはっきり伝わった。ハジメは、そっとユエの頬をひと撫ですると、ビィズに向かって了承の意を伝えた。
もともと、【グリューエン大火山】には行く予定であったし、その際、ミュウはアンカジに預けていこうと考えていた。いくら何でも、四歳の幼子を大迷宮に連れて行くのは妥当ではない。なので、大迷宮攻略ついでに〝静因石〟を確保することは全くもって問題なかったし、ミュウは亜人族の子であるから魔力暴走という今回の病因は関わりがないので危険もない。どちらにしろ、ハジメの道程の中で処理できる問題だった。
「ハジメ殿が〝金〟クラスなら、このまま大火山から〝静因石〟を採取してきてもらいたいのだが、水の確保のために王都へ行く必要もある。この移動型のアーティファクトは、ハジメ殿以外にも扱えるのだろうか?」
「まぁ、香織とミュウ以外は扱えるが……わざわざ王都まで行く必要はない。水の確保はどうにか出来るだろうから、一先ずアンカジに向かいたいんだが?」
「どうにか出来る? それはどういうことだ?」
砂漠地帯を滑るように高速で走り出す四輪とロボボアーマーに再び驚きながら、さらには上空を飛んでいるローアに気付き口が開いたままだ。さらにはビィズは、なぜ〝神の使徒〟たる香織が単独で冒険者達と一緒にいるのか、なぜ海人族の幼子が人間族のハジメをパパと呼ぶのか、兎人族と和気あいあいとしているのか、なぜ黒髪の妙齢の女性は罵られて気持ち悪い笑みを浮かべているのかなど疑問に思いつつも、見えてきた希望に胸の内を熱くするのだった。
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「父上!」
「ビィズ! お前、どうしっ……いや、待て、それは何だ!?」
ビィズの顔パスで宮殿内に入ったハジメ達は、そのまま領主ランズィの執務室へと通された。衰弱が激しいと聞いていたのだが、どうやら治癒魔法と回復薬を多用して根性で執務に乗り出していたらしい。
そんなランズィは、一日前に救援要請を出しに王都へ向かったはずの息子が帰ってきたことに驚きをあらわにしつつ、その息子の有様を見て、ここに来るまでの間に宮殿内で働く者達が見せたのと全く同じ様に目を剥いた。
無理もない。なにせ、現在ビィズは、宙に浮いているのだから。
正確には、宙に浮くクロスビットの上にうつ伏せに倒れる感じで乗っかりつつ運ばれているのである。ビィズも衰弱が激しく、香織の魔法で何とか持ち直し意識ははっきりしているものの、自力で歩行するには少々心許ない有様だった。見かねた香織が肩を貸そうとしたところ、ビィズが顔を赤くして「ああ、使徒様自ら私を…」等といって潤んだ瞳で香織を見つめ始めたので、ハジメが、クロスビットを突貫させて無理やり乗せると、そのまま運んで来たのである。
ちなみに、別にハジメが嫉妬したとかそういう事情はない。そうなのかと香織が頬を赤くしてハジメをチラチラ見ていたりしたが、単純に第二、第三の光輝や檜山を作りたくなかっただけである。
クロスビットにしがみつきながらという微妙に情けない姿でありながらも、事情説明を手早く済ませるビィズ。話はトントン拍子に進み、執事らしき人が持ってきた静因石の粉末を服用して完治させたビィズに香織が回復魔法を掛けると、全快とまでは行かずとも行動を起こすに支障がない程度には治ったようだ。
ちなみにカービィがマキシムトマトをあげようとしたが、Mと書いてある怪しいトマトなので計画して食べなかった。
なお、完治といっても、体内の水分に溶け込んだ毒素がなくなったわけではなく、単に、静因石により効果を発揮できなくなったというだけである。体内の水分に溶け込んでいる以上、時間と共に排出される可能性はあるので、今のところ様子見をするしかない。
「じゃあ、動くか。香織とカービィはシアを連れて医療院と患者が収容されている施設へ。魔晶石も持っていけ。残りの俺たちは、水の確保だ。領主、最低でも二百メートル四方の開けた場所はあるか?」
「む? うむ、農業地帯に行けばいくらでもあるが……」
「なら、香織とカービィとシア以外は、そっちだな。シアは、魔晶石がたまったらユエに持って来てやってくれ」
ハジメがメンバーに指示を出す。ハジメ達のやることは簡単だ。香織が、ビィズにやったのと同じように、〝廻聖〟を使って、患者たちから魔力を少しずつ抜きつつ、〝万天〟で病の進行を遅らせて応急処置をする。取り出した魔力は魔晶石にストックし、貯まったらそれをユエに渡して水を作る魔力の足しにする。
ハジメは、貯水池を作るユエに協力したあと、そのままオアシスに向かい、一応、原因の調査をする。分かれば解決してもいいし、分からなければローアでメンバー補充をしてからそのまま【グリューエン大火山】に向かう。そういうプランだ。
ハジメの号令に、全員が元気よく頷いた。
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