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月下に銀翼がはためいた。
だが、それは飛翔のためではない。その銀翼から殺意をたっぷり乗せた銀羽の魔弾を射出するためだ。恐るべき連射性と威力を秘めた銀の魔弾は、標高八千メートルの夜闇を切り裂き、数多の閃光となって標的に殺到する。
それに対するは、ピンクボールと紅色のスパークを迸らせる鋼鉄の兵器。あらゆる敵を粉砕してきた怪物が咆哮を上げる度に、飛来する銀羽は無残に飛び散り四散する。計算され尽くした弾道が、たった一発で幾枚も羽を蹴散らし、壁と見紛うほどの弾幕に穴を開ける。必要なのは踏み込む勇気。それこそが、完璧な回避を実現する。
「ひゃああ!」
お互いの命をベットした死合に似つかわしくない可愛らしい悲鳴が響いた。場違いな声を我慢しきれず出してしまったのは畑山愛子先生だ。ハジメのメツェライもかくやという銀羽の弾幕を撃ち放つ〝神の使徒〟ノイントの攻撃を、紙一重で回避し続けるハジメの片腕に抱かれながら、人生初のドッグファイト(生身バージョン)を経験中なのである。
もちろんそこにカービィもいる。
「先生! 口は閉じてろ! 噛みまくって血だらけになるぞ!」
「そんなこと言ってみょッ!? か、かんじゃった……」
ハジメの忠告も虚しく早速涙目になっている愛子。いや、空中戦が始まった時点で涙目だったので、噛んだことだけが原因ではないが。
ハジメとしても、愛子は特別身体能力が優れているわけでもないので、激しい機動は避けて〝瞬光〟を使い、襲い来る弾幕を最小限の動きでかわしているのだが、それでもジェットコースターなど遥かに超える機動に、愛子は既にグロッキー状態だ。
かといって、そのへんに放り出しておくわけにもいかない。愛子を抱えるハジメに対してノイントの攻撃に容赦がない以上、放り出した途端、愛子の方を狙われかねない。愛子を背にしながら戦うより、抱いて一緒に動く方がずっとマシだった。
それに、この状態がいつまでも続くわけではない。頼もしい仲間が、救援に来てくれているはずなのだ。ハジメは、再び全方位から包み込むように強襲してきた銀羽をシュラークで撃ち抜き回避しながら、ギュッと目を瞑ってハジメにしがみついている愛子に話しかける。
「先生、もう少し頑張れ。今、俺の仲間がこっちに向かってる。そいつが来れば地上に降りられるぞ」
「は、はい! で、でも南雲君は!?」
「もちろん、あの能面女をぶっ殺す」
「うぅ、足手纏いですみません……」
「だったら一回僕に任せて愛子せんせーを守ってて!」
「いいのか?」
「もちろん!」
自分がお荷物になっていることを自覚して歯噛みする愛子。ハジメは、そんな愛子をギュッと抱きしめて宙返りをする。反転した世界で、ハジメの頭上を銀色の砲撃が通り過ぎた。最初に、愛子が幽閉されていた隔離塔の上部を消し飛ばした閃光だ。
再び、シェイクされるような衝撃に声を詰まらせつつも、押し付けられたハジメの胸元から、全く乱れていない規則正しい心音が伝わり、そんな場合でないとわかっていながら妙な安心感を得てしまう愛子。ほんとに、こんな状況で何を考えているんだと自分を叱りつけながらも、より一層強く抱きついてハジメに身を委ねる。
「気にすんな。元より、多少の無茶をするのは想定内だ」
「! わ、私のために……そこまで……」
もちろん、ハジメが言ったのは、神代魔法を修得するために教会側と衝突するのは想定内という意味であって、愛子を助けるためだけという意味ではないのだが……ちょっと、シチュエーションに酔ってしまった愛子は見事に勘違いする。そして、現在進行形で抱きしめられ守られているという状況が、勘違いを加速させていく。一刻も早く目を覚ます必要があるだろう。
「……雑談とは余裕ですね、イレギュラー」
「相手は僕だよ!」
銀色の砲撃と銀羽の弾幕をかわした直後、ハジメのすぐ傍で機械的で冷たい声音が響く。咄嗟に、義手の肘から散弾を背後に向かって放ちつつ、その激発の反動を利用して反転する。その目に飛び込んできたのは、双大剣の片方を盾にして散弾を防ぎつつ、もう一方の大剣を横殴りに振るうノイントの姿だった。
そこにカービィは飛び出す。
銀光を纏う長さ二メートル幅三十センチの大剣は、そこにあるだけで凄まじい威圧感を放っている。そして、その宿した能力も凶悪だ。なにせ、ノイントが操る銀の魔力は全て固有魔法〝分解〟が付与されているのだから。触れるだけで攻撃になるなど反則もいいところだ。
「だったらコピー能力クリエイト!『ドラゴストーム、ウルトラソード、ウルトラソード、ミラクルビーム』」
カービィはスーパー能力を使いドラゴストームで攻撃しながらミラクルビームを飛ばして
その間に二本のウルトラソードで切りつけた。
「あなたは強すぎる。主の駒としては相応しくない」
ノイントが再び銀翼をはためかせ、銀羽を宙にばら撒く。だが、今度はカービィに向かって射出されることはなかった。代わりに、ノイントの前方に一瞬で集まると、何枚もの銀羽が重なって陣を形成する。そう、魔法陣だ。銀色に輝く巨大な魔法陣がノイントの眼前からカービィを睥睨する。
そして……
「〝劫火浪〟」
発動された魔法は、天空を焦がす津波の如き大火。
どうやら、魔弾だけでなく属性魔法も使えたようだ。今まで使ってこなかったのは、単純に銀の魔弾だけで十分だと判断していたためだろう。つまり、本気になったということだ。
「コピー能力クリエイト『ミラー、ミラー、ドラゴストーム、ドラゴストーム』
カービィは攻撃をミラーで跳ね返しながらドラゴストームでノイントを焼き尽くす。
「……これも凌ぐのですか」
と、その時、突如、【神山】全体に響くような歌が聞こえ始めた。
ハジメが、銀羽の弾丸をかわしながら何事かと歌声のする方へ視線を向ければ、そこには、イシュタル率いる聖教教会の司祭達が集まり、手を組んで祈りのポーズを取りながら歌を歌っている光景が目に入った。どこか荘厳さを感じさせる司祭百人からなる合唱は、地球でも見たことのある聖歌というやつだろう。
一体、何をしているんだとハジメが訝しんだ直後、
「……ッ!? なんだ? 体がっ…」
「南雲君!? あうっ、な、何ですか、これ……」
ハジメと愛子の体に異変が訪れた。
カービィは無事なようだ。
体から力が抜け、魔力が霧散していくのだ。まるで、体の中からあらゆるエネルギーが抜き出されているような感覚。しかも、光の粒子のようなものがまとわりつき、やたらと動きを阻害する。
「くっ、状態異常の魔法かっ……流石総本山。外敵対策はバッチリってか?」
ハジメの推測は当たっている。
イシュタル達は、〝本当の神の使徒〟たるノイントが戦っている事に気が付き、援護すべく〝覇堕の聖歌〟という魔法を行使しているのだ。これは、相対する敵を拘束しつつ衰弱させていくという凶悪な魔法で、司祭複数人による合唱という形で歌い続ける間だけ発動するという変則的な魔法だ。
「イシュタルですか。……あれは自分の役割というものをよく理解している。よい駒です」
恍惚とした表情で、地上からノイントを見つめているイシュタルに、感情を感じさせない眼差しを返しながらノイントがそんな感想を述べる。イシュタルの表情を見れば、ノイントの戦いに協力しているという事実自体が、人生の絶頂といった様子だ。さぞかし、神の思惑通り動く便利な存在なのだろう。
そんなイシュタル達司祭の中身はともかく、現在、展開している魔法は正直なところ厄介なこと極まりないものだった。
ハジメは、〝宝物庫〟からオルカンを取り出すと、イシュタル達の方を見もせずに十二発全弾を無造作に撃ち込んだ。今度は、違う種類の悲鳴が聞こえてきたが無視だ。なぜなら、そんな雑音などかき消すような聞きたかった声が響き渡ったからだ。
〝無事かハジメ?〟
その声に、ノイントを警戒しながらもハジメの頬が緩む。待ち人ならぬ待ち人?の到着だ。
「メタナイト、助かった。ちょっとヤバかったんだ」
「メタナイトさん。今から私を地上に降ろして、また戻って来るとすればかなりの時間がかかるのではありませんか? ここは標高八千メートルです。往復するのも大変なはず……」
「私、こう見えて魔力だけなら勇者である天之河君並なんです。戦闘経験はないけれど……援護くらいはしてみせます! 人と戦うのは……正直怖いですが、やるしかないんです。これから先、皆で生き残って日本に帰るためには、誰よりも私が逃げちゃダメなんです!」
愛子の緊張と恐怖、そしてそれらを必死に制しようとする決意が表れた返事を合図に、メタナイトは聖教教会を象徴する大神殿に向かって一気に飛翔した。相手取るのは、数百人規模の司祭達と神殿騎士団。
今、メタナイトと愛子という異色のタッグチームがこの世界最大の宗教総本山に挑むのだった。
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