ありふれた能力世界最強   作:コロンKY

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ガンホー再び

カムを救出し、ゲートを通ってハウリアやティオ達が待機している岩石地帯に空間転移して来たハジメ達は、ハウリア達の熱狂的な歓迎に出迎えられた。

 

 ハウリア達は、お互いに肩を叩き合い、鳩尾を殴り合い、クロスカウンターを決め合って、罵り合いながら無事を喜び合っている。

 

 と、その時、歓声を上げるウサミミ達の様子を眺めていたハジメの耳に風切り音が響いた。

 

 ごく自然な動作で掲げられたハジメの手。そこには黒い鞘に収められた見覚えのある刀が片手白羽取りの要領で掴み取られていた。

 

「……何のつもりだ、八重樫?」

 

 鞘に収めた状態の黒刀でハジメに殴りかかった襲撃者の正体は八重樫雫、その人だった。雫は、片手の指先で掴んでいるだけにもかかわらず、いくら力を込めてもビクともしないハジメに舌打ちしながらも、尚、ギリギリと力を込める。

 

「……ストレス発散のために南雲君に甘えてみただけよ。大丈夫、私は、南雲君を信じているわ。そのマリアナ海溝より深い度量で受け止めてくれるって……だから大人しく! 私に! タコ殴りに! されなさい!」

「……あ~、うん、ピンクはそんなに嫌だったのか? ……良かれと思って用意したのに」

「嘘おっしゃい! あなたの意図はわかっているのよ! 絶対、悪ふざけでしょ! 何となく雰囲気に流されたけど! ある意味、自業自得ではあるけれど! 一発、殴らずにはいられない、この気持ち! 男なら受け止めなさい!」

「んな、理不尽な……」

 

 どうやら仮面ピンクのダメージが思ったより深かったらしい。

 

確かに、拒めばよかっただけなので、場の雰囲気や仮面自体の優秀な機能に流された雫の自業自得ではある。しかし、そうとは分かっていても、明らかに悪ふざけが入っていたハジメの言動と帝国兵の罵りが地味に効いて、雫は八つ当たりせずにはいられなかったのだ。

 

 もっとも、ハジメと雫の実力差は明らかであり、実際、黒刀の鞘がギチギチと音を立てるだけで押し切れる気配は全くない。なので仕方なく、雫は黒刀の能力を一つ解放することにした。文字通り、ハジメなら多少痛みは感じても受け止めるだろうと、ある意味、信頼を寄せて。

 

「こんのぉ! 〝奔れ、雷華〟!」

「お? おぉ~」

 

 しかし、バチバチと放電する黒刀を掴みながら、痛がるどころか、むしろ感心した様子を見せるハジメ。雫は思わずツッコミを入れる。

 

「ちょっと、南雲君。電撃を流しているのに、なんで平気なのよ?」

「いや、何でも何も、お前、俺がレールガン放っているところ何度も見てるだろうに。雷を生身で扱うのに、この程度の電撃が効くわけ無いだろ? それより、よくその機能を発動できたな」

「くっ、仕方ないわね……今回は引くわ。でも、いつかその澄まし顔を殴ってやる。それと、能力は王国錬成師達の努力の賜物よ」

 

 もっともな返答に、雫は、渋々といった様子で引き下がった。背後には目を丸くしている光輝達がいる。どうやら、ちょうど戻って来たところらしい。思いがけない雫の行動に驚いているようだ。

 

 香織とユエはどこかジト目で雫を見つめている。小声で「……雫ちゃんが八つ当たりするなんて……」「……甘えとも言う」と話し合っており、どうやら、二人のやり取りはじゃれ合っているようにしか見えなかったようだ。

 

「ボス、宜しいですか?」

 

 ようやく、ド突き合いを終えたらしいカム達が、ハジメの方へ歩み寄ってきた。真剣な表情であることから、ハジメも、唯の再会の挨拶というわけではなさそうだと察する。

 

 ハジメは錬成で手っ取り早く椅子を車座に用意すると、その内の一つに腰掛けて視線で了承の意を伝えた。

 

「まず、何があったのかということですが、簡単に言えば、我々は少々やり過ぎたようです……」

 

 そう言って、始まったカムの話を要約すると、こういう事だ。

 

 亜人奴隷補充の為に、疲弊した樹海にやって来た帝国兵を、カム達ハウリア族は相当な数、撃破している。それが、帝国兵をかなり警戒させたらしい。というのも、単なる戦闘の果ての撃破ではなく味方の姿が次々と消えていき、見つけた時には首を落とされているという暗殺に近い形だったからだ。

 

 正体不明の暗殺特化集団という驚異を前に、帝国はその正体を確かめずにはいられなかった。そこで一計を案じたらしい。それが帝都での包囲網だ。要は誘い込まれたということである。

 

 カム達も、あっさり罠にはまるという失態を犯したわけだが、それは、帝国が直接樹海に踏み込んで来るというまさかの事態に対する少なくない動揺があった、としか言いようがない。

 

 または、看過できない程大勢の亜人を捕獲されてしまい頭に血が上ったということや、焦りが隙を生んだということもあるだろう。帝国の襲撃が、樹海を端から焼き払ったり、亜人奴隷に拷問まがいの強制をして霧を突破したりという、非道な方法だったというのも原因の一つかもしれない。

 

 普段のフェアベルゲンなら、それでも組織的に動いて戦うことは出来ただろうが、おそらく、魔物の襲撃によって疲弊している情報も掴まれていたのだろう。タイミングも絶妙だった。

 

 まさに泣きっ面にハチ状態では、カム達も完全には冷静になりきれなかったのだ。

 

 そして、帝国兵側も相当驚いたことだろう。何せ、網にかかった正体不明の暗殺集団が温厚で争い事とは無縁の愛玩奴隷である兎人族だったのだから。しかも、樹海の中でもないのに、包囲する帝国兵に対して連携を駆使して対等以上に渡り合ったのだ。当然、その非常識は帝国上層の興味を引く。

 

 その結果、

 

「我等は生け捕りにされ、連日、取り調べを受けていたわけです。あちらさんの興味は主に、ハウリア族が豹変した原因と所持していた装備の出所、そして、フェアベルゲンの意図ってところです。どうやら、我等をフェアベルゲンの隠し玉か何かと勘違いしているようで……実は、危うく一族郎党処刑されかけた上、追放処分を受けた関係だとは思いもしないでしょうなぁ」

 

 

「で? 捕虜になった言い訳がしたいわけじゃねぇんだろ? さっさと本題を言え」

「失礼しました、ボス。では、本題ですが、我々ハウリア族と新たに家族として向かえ入れた者を合わせた新生ハウリア族は……帝国に戦争を仕掛けます」

 

 カムの鋭い眼差しでなされた宣言に、その場の時が止まる。

その静寂を破ったのはシアだった。

 

「何を、何を言っているんですか、父様? 私の聞き間違いでしょうか? 今、私の家族が帝国と戦争をすると言ったように聞こえたんですが……」

「シア、聞き間違いではない。我等ハウリア族は、帝国に戦争を仕掛ける。確かにそう言った」

「ばっ、ばっ、馬鹿な事を言わないで下さいっ! 何を考えているのですかっ! 確かに、父様達は強くなりましたけど、たった百人とちょっとなんですよ? それで帝国と戦争? 血迷いましたか! 同族を奪われた恨みで、まともな判断も出来なくなったんですね!?」

「シア、そうではない。我等は正気だ。話を……」

「聞くウサミミを持ちません! 復讐でないなら、調子に乗ってるんですね? だったら、今すぐ武器を手に取って下さい! 帝国の前に私が相手になります。その伸びきった鼻っ柱を叩き折ってくれます!」

 

 興奮状態で〝宝物庫〟からミラードリュッケンを取り出し、豪風と共に一回転させてビシッ! とカムの眼前に突きつけるシア。その表情は、無謀を通り越して、唯の自殺としか思えない決断を下したカム達への純粋な怒りで満ちていた。

 

全身から淡青色の魔力を噴き出し物理的圧力をもって威圧するシアの迫力は、それこそ勇者を筆頭に異世界チート達すら軽く越えるものだ。

 

 睨み合う、あるいは見つめ合う二人を誰もが固唾を呑んで見守る中、やはり動くのはこの男、ハジメである。いつの間にかシアのすぐ後ろに迫っていたハジメは、シアの毛玉のように丸くてふわっふわのウサシッポを鷲掴みにし、絶妙な手加減でモフモフした。

 

「ひゃぁん!? だめぇ、しょこはだめですぅ~! ハジメしゃん、やめれぇ~」

 

 実は、シアはウサミミを触られる気持ちよさとは別の意味で、ウサシッポをハジメに触られると〝気持ちよく〟なってしまうのだ。

「どうだ、少しは落ち着いたか? カムの話はまだ終わっていないんだ。ぶっ飛ばすのは全部聞いてからでも遅くはないだろ?」

「うっ……そうですね……すいません。ちょっと頭に血が上りました。もう大丈夫です。父様もごめんなさい」

「家族を心配することの何が悪い? 謝る必要などない。こっちこそ、もう少し言葉に配慮すべきだったな。……最近どうも、そういう気遣いを忘れがちでなぁ。……それにしても、くっくっくっ」

「な、なんですか、父様、その笑いは……」

「いや、お前が幸せそうで何よりだと思っただけだ。……ボスには随分と可愛がられているようだな? うん? 孫の顔はいつ見られるんだ?」

「なっ、みゃ、みゃごって……何を言ってるんですか、父様! そ、そんなまだ、私は……」

「カム、まさかと思うがその話をしたのは、俺に参戦を促す為じゃないだろうな?」

「ははっ、それこそまさかですよ。ただ、こんな決断が出来たのも、全てはボスに鍛えられたおかげです。なので、せめて決意表明だけでもと、そう思っただけですよ」

 

「理由は?」

「意外ですな、聞いてくれるのですか? 興味ないかと思いましたが……」

「俺に鍛えられたおかげで決断が出来たって事は、お前等が無謀をやらかそうって原因は俺にもあるってことだろう? それだけなら、知ったことじゃないが……」

 

 そう言って、ハジメはチラリとシアを見る。それで察したカムは、どこか嬉しげに目元を緩めると「なるほど」と頷き、理由を話しだした。

 

「先程も言った通り、我等兎人族は皇帝の興味を引いてしまいました。それも極めて強い興味を。帝国は実力至上主義を掲げる強欲な者達が集う国で、皇帝も例には漏れません。そして、弱い者は強い者に従うのが当然であるという価値観が性根に染み付いている」

「つまり、皇帝が兎人族狩りでも始めるって言いたいのか? 殺すんじゃなくて、自分のものにするために?」

「肯定です。尋問を受けているとき、皇帝自らやって来て、〝飼ってやる〟と言われました。もちろん、その場でツバを吐きかけてやりましたが……」

 

 皇帝の顔にツバを吐いたというカムの言葉に、ハウリア達は「流石、族長だぜ!」と盛り上がり、光輝達は「あの皇帝に!?」と驚愕をあらわにした。

 

 無理もないだろう。歴史上、皇帝陛下の顔にツバを吐いた者など亜人以外の種族も含めてカムが史上初なのではないだろうか。流石のハジメも、思わず「ほぉ」と感心の声を上げたほどだ。

 

「しかし、逆に気に入られてしまいまして。全ての兎人族を捕らえて調教してみるのも面白そうだなどと、それは強欲そうな顔で笑っていました。断言しますが、あの顔は本気です。再び樹海に進撃して、今度はより多くの兎人族を襲うでしょう。また、未だ立て直しきれていないフェアベルゲンでは、次の襲撃には耐え切れない。そこで、もし帝国から見逃す代わりに兎人族の引渡しでも要求されれば……」

「なるほどな。受身に回れば手が回らず、文字通り同族の全てを奪われる……か」

「肯定です。ハウリア族が生き残るだけなら、それほど難しくはない。しかし、我等のせいで、他の兎人族の未来が奪われるのは……耐え難い」

 

 どうやら、思っていた以上に、カム達は状況的に追い詰められていたようだ。

 

 カムの言う通り、ハウリア達だけが生き残ることは、樹海を利用しての逃亡とゲリラ戦に徹すればそれほど難しくはないだろうが、その代わりに他の兎人族が地獄を見ることになる。彼等が 〝強い兎人族〟という皇帝の望みに応えられなければ、女、子供は愛玩奴隷にそれ以外は殺処分になるのがオチだからだ。

 

「だが、まさか本気で百人ちょいなんて数で帝国軍と殺り合えるとは思っていないだろう?」

「もちろんです。平原で相対して雄叫び上げながら正面衝突など有り得ません。我等は兎人族、気配の扱いだけはどんな種族にも負けやしません」

 

 そう言って、ニヤリと笑うカム。それでハジメもカムの意図を察する。

 

「つまり、暗殺か?」

「肯定です。我等に牙を剥けば、気を抜いた瞬間、闇から刃が翻り首が飛ぶ……それを実践し奴らに恐怖と危機感を植え付けます。いつ、どこから襲われるかわからない、兎人族はそれが出来る種族なのだと力を示します。弱者でも格下でもなく、敵に回すには死を覚悟する必要がある脅威だと認識させさます」

「皇帝の一族が、暗殺者に対する対策をしていないと思うか?」

「もちろんしているでしょうな。しかし、我等が狙うのは皇帝一族ではなく、彼等の周囲の人間です。流石に、周囲の人間全てにまで厳重な守りなどないでしょう。昨日、今日、親しくしていた人間が、一人、また一人と消えていく。我等に出来るのは、今のところこれくらいですが、十分効果的かと思います。最終的に、我等に対する不干渉の方針を取らせることが出来れば十全ですな」

 

 何ともえげつない策だ。だが、皇帝一族を暗殺するなどと言うよりは、よほど現実味がある。

 

 ただ、それだと、帝国側に脅威を感じさせるには必然的に時間が掛かってしまうので、大規模な報復行為に出られる可能性が高く、帝国側が兎人族の殲滅に出るか、それとも脅威を感じて交渉のテーブルに付くか、どちらが早いかという紛れもない賭けだ。それも極めて分の悪い賭け。

 

 それでもやらなければ、どちらにしろ兎人族の未来は暗いのだろう。既に全員、覚悟を決めた表情だ。

 

「……父様……みんな……」

 

 

「シア、そんな顔をするな。以前のようにただ怯えて逃げて蔑まれて、結局蹂躙されて、それを仕方ないと甘受することの何と無様なことか……今、こうして戦える、その意志を持てることが、我等はこの上なく嬉しいのだ」

「でも!」

「シア、我等は生存の権利を勝ち取るために戦う。ただ、生きるためではない。ハウリアとしての矜持をもって生きるためだ。どんなに力を持とうとも、ここで引けば、結局、我等は以前と同じ敗者となる。それだけは断じて許容できない」

「父様……」

「前を見るのだ、シア。これ以上、我等を振り返るな。お前は決意したはずだ。ボスと共に外へ出て前へ進むのだと。その決意のまま、真っ直ぐ進め」

 

 カムが、族長としてでも戦闘集団のリーダーとしてでもなく、一人の父親として娘の背中を押す。自分達のことでこれ以上立ち止まるなと、共に居たいと望んだ相手と前へ進めと。

 

 泣きそうな表情で顔を俯けてしまうシアに優しげな眼差しを向けたあと、カムはハジメに視線を転じて目礼する。娘を頼みますとでも言うように。

 

 無言無表情のハジメの代わりに光輝が、いかにも「俺が何とかする!」とでも言いそうな雰囲気で腰を上げるが、雫の黒刀に後頭部をぶん殴られて撃沈した。ストレスが溜まっているようで、止め方が普段になく大分過激だ。

 

 ハジメが反応を示さないでいると、シアがハジメに振り返る。だが、シアが口を開く前に、何を言う気か察したカムが叱責するようにシアの名前を強い口調で呼び止めた。

 

「シア!」

「しあ!」

 

 それにビクッ! と体を震わせるシア。

 

「ハジメさん、カービィさん……」

 

 シアの瞳に、僅かばかり期待の色が宿る。

 

「今回の件で俺たちが戦うことはない」

「っ……そう、ですよね」

 

「おい、こら、早とちりするな。戦わないが、手伝わないとは言ってないだろう?」

「ふぇ?」

 

「今回の件は、ハウリア族が強さを示さなきゃならない。容易ならざる相手はハウリア族なのだと思わせなきゃならない。この世界において亜人差別が常識である以上、俺が戦って守ったんじゃあ、俺がいなくなった後に同じことが起きるだけだからな。何より、カム達の意志がある。だから、俺は一切、戦うつもりはない」

 

 ハジメはそこで、シアの頬を撫でるとカムに視線を向ける。

 

「だが、うちの元気印がこんな顔してんだ、黙って引き下がると思ったら大間違いだぞ?」

「し、しかし、ボス……なら、一体……」

 

 ハジメは、周囲を睥睨しながら、スッーと息を吸うと雷でも落ちたのかと錯覚するような怒声を上げた。

 

「返事はどうしたぁ! この〝ピー〟共がぁ!」

「「「「「「「「「ッ!? サッ、Sir,Yes,Sir!!」」」」」」」」」

「聞こえねぇぞ! 貴様等それでよく戦争なんぞとほざけたなぁ! 所詮は〝ピー〟の集まりかぁ!?」

「「「「「「「「「「Sir,No,Sir!!!」」」」」」」」」」

「違うと言うなら、証明しろ! 雑魚ではなく、キングをやれ!!」

「「「「「「「「「「ガンホー! ガンホー! ガンホー!」」」」」」」」」」

「貴様等の研ぎ澄ました復讐と意地の刃で、邪魔する者の尽くを斬り伏せろ!」

「「「「「「「「「「ビヘッド! ビヘッド! ビヘッド!」」」」」」」」」」

「膳立てはするが、主役は貴様等だ! 半端は許さん! わかってるな!」

「「「「「「「「「「Aye,aye,Sir!!!」」」」」」」」」」

「宜しい! 気合を入れろ! 新生ハウリア族、百二十二名で……」

「「「「「「「「「「……」」」」」」」」」」

「帝城を落とすぞ!」

「「「「「「「「「「YAHAAAAAAAAAAAAAA!!!!」」」」」」」」」」

 

 膳立てをするとは何をする気なのか、帝城を落とすなどそれこそ不可能ではないのか、そんな疑問は熱狂するハウリア達の頭からはすっかり吹き飛んでいた。

 

「……うぅ~、シズシズ、あの人達こわいよぉ~」

「大丈夫よ、鈴。私も怖いから……ていうか南雲君の発想とノリも十分怖いけど」

「南雲の奴……へへ、まさかハー○マン先生を取り入れていたとはな、やるじゃねぇか」

「龍太郎!? なんで、ちょっと親近感持ってるんだ!? どう見ても異常な雰囲気だろ!?」

 

 雫達が、それぞれ唖然とした表情で異様な熱気に包まれるハウリア達の様子を眺めていた。一名、ハジメが参考にした対象をリスペクトしていたようで、いい笑顔を浮かべていたが。

 

ティオ「う~む、すごいのぉ~。兎人族がここまで変わるとは。流石、ご主人様じゃ。あっさり帝国潰しを目的にしよるし。堪らんのぉ~。あんな気勢で罵られてみたいものじゃ」

カービィ「ボクはへーきだよ。」

ユエ「変態ドラゴンは黙れ。」

ティオ「っ!? ハァハァ」

メタナイト「落ち着けティオ。」

「うん、ティオさんはちょっと自重しようね? それより、シアの表情見てよ、ユエ。蕩けてるよ」

「……ん、可愛い。シアが泣かないためだから……嬉しくて当たり前」

「だよね~。いいなぁ、私も、あんな風に言われてみたいなぁ~」

 

 その後、帝城落としの詳細を詰めたハジメ達は、その時に備えて各々休むことになった。

 

 シアは、しばらくの間、ハジメの傍を離れたがらなかった。いつもの元気の良さは鳴りを潜め、しかし、決して暗く沈んでいるわけではなく、頬を薔薇色に染めてしずしずとハジメの服の裾を掴んだまま寄り添うのだ。

 

 ウサミミが時折、ちょこちょことハジメに触れては離れてを繰り返す。その様は、ただただ、傍でハジメを感じていたいという気持ちをあらわしているようだった。

 

 




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