それと同時に、なぜ私がここに居るのかも……。
それじゃ、思い出したついでに後顧の憂いを断つ前準備を始めますか!
あの後、竜也さんと再会できた後の事を語りましょう。
先ずは改めて自己紹介を、私はマリアオルタナ・アニムスフィア。
もう知っていると思うけど、別世界のオルガマリーであり幾つかの分岐世界の一つ魔術が廃れ科学が進歩した世界、所謂戦隊時空と呼ばれる世界ね。
あちらの世界でのアニムスフィア家は、魔術の名門では無かったけど家系図の中には錬金術に傾倒していた時期もあったみたいで、昔から科学の分野で多くの著名な学者を輩出していた科学者の一族だった。
そんな私にもやっぱりその血は流れていて、未来の世界で進歩した科学技術にあっという間に順応できたのよ。
うん、急に人格変わって驚いてるわねこっちの世界の関係者は、通信先のロマン君も固まってるし。
「ふむ、その話からするとだ。」
そんな空気を破って話を切り出したのは、かの有名な万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチ。
正真正銘、私達が前もって召喚に成功していたサーヴァント、因みに元の世界でも同じ様な女の子に転生した天才さんとは知り合いだったりしますレオナちゃん元気かな~。
「私のデスクの上に度々置いてあった、とても興味惹かれるメモの束は君が書いたものだったのか?」
流石は万能の天才、オルガちゃんが寝不足なんかで精神が不安定になっている時に、偶々朧気ながら表層に出来た私がこの世界へ来る時に見た未来視、それを回避する為の秘策を記したメモをアイツにバレないように少しづつ確実に渡した甲斐があるってものだよ。
「メモってあの謎の暗号の事かな?図形だったり、数式だったり、後単語が乱雑に書かれてるだけの。」
イエス!私も、表層に出られる時間が限られてるからね、その僅かな間にアイツにバレずにメッセージを送ろうとしたら、ちょっとずつ分かる人にだけ伝わる様にしなくちゃいけない。
だから、かのダヴィンチノートに肖って本人にメッセージを送っていた訳ですよ!……ってあれ?皆どうしたの?竜也さんは……やれやれって顔してるねぇ、いつも通りだ。
マスター君とマシュちゃんは脱帽って表情してて、見た所キャスターのクラスのサーヴァントさんは……。
「クーフーリンだ。」
あぁ、あのケルト神話の英雄の!えぇっと、じゃあクーフーリンさん、貴方はなんでまたすべてを察したって顔をなさっているんですか?
「うん?いや、嬢ちゃん……姐ちゃんの話しぶりからして、アンタぁ相当頭は切れるがその分性格が頓智気な事になってるだろ?」
え?ん~ん?どうなんでしょ、確かに周囲の人からはクレイジーだマッドだって言われてましたけど、私としては至って普通の科学者兼竜也さんに恋する乙女のつもりなんだけどなぁ?
「いや、元の世界の君も周囲から奇異の目で見られていたからな、ただその活用法には慎重な事もあって理解ある変人位に止まっていたけど。」
……そうだったのか~いや~私も薄々そんな気はしてたけどマジか~……よし!あんまり気にしない様にしよう、じゃなきゃ果たせない目的もあるんだから!これからも迷惑かけるだろうけど、その時は諦めて貰いましょう!
「それは今更だ、君が周囲を気にせず動いたから変わった世界もある、だからこそ俺は君の傍で君を支えると決めたんだ。」
竜也さん……うん!やっぱり、私にはこの人しか居ないね!こんなに、私の事を理解してくれる男性はほかに考えられないよ。
「たはははは!中々胆の座った夫婦だ!そうだそうだ、周りの迷惑なんざ考えてたらやりたい事なんて一つも出来ねぇ!我が道を行っちまえ!」
「同意だね、その他の有象無象の声を気にしていてはどんなに素晴らしい才能も凡才に変えてしまうんだ、だったら他を気にせず才を理解できる一部の人間と付き合った方が有益と言うものさ。」
おぉう!時代に名を遺した英雄二人も太鼓判を押してくれたよ!よぉし、それじゃ先ずはロマン君には早いとこ私達が居た部屋からアレを回収してきてもらいますか。
「アレ?アレって一体……?」
おやおや?ロマン君は私が言ったアレを理解できないのかな?一応、君にも直前に解読しやすく暗号化したメモを渡した筈なんだけどねぇ~?
「えっ?あっ!あのメモの事かな……?」
ロマン君?何一人で百面相をしてるのかなぁ?まさか、残したメモを捨てたりなんてしてないようねぇ?
「あ~ぁオルガ所長、いやマリア博士とお呼びした方が良いか?」
おやおや?どうしたのかなダヴィンチちゃん?何か言いたい事でも?
「うん、君が探して欲しいと言っているアレ等については、私の方から手を回してあるよ。」
ほうほう……流石だねダヴィンチちゃん!ちゃんと保存ケースも持たせてくれたかな?
「あぁ、勿論だともついでに復元装置も準備してある。」
そっかそっか……それじゃ、そっちはお願いね。
「あぁ任せておいてくれ、君たちが戻ってくる頃には始められるようにしておくよ。」
「そっそれでは、僕らはコッチでその……アレの回収を進めておきますので、所長たちもお気を付けて!」
うん、またね~あぁロマン君、戻ったらちょっとお話しようか?
「……はい。」
さてと、それじゃ向こうの様子もある程度分かったから、今度はコッチを整えますか!ん?どうしたのさマスター君そんなに青い顔して?何でもない?そうは見えないけど……あぁ!これから戦いに行くのに相手の戦力も分かってないから不安なんだね?
「あっ!いや……そうですね。」
ふむふむ、それもそうだよね……考えてみればこの時代の冬木市に来てから落ち着く暇もなかったもんね。
そろそろこの特異点の中心事象、つまり変異の原因となった相手の正体くらいは知っておいた方が良いよね。
「それなら俺が知ってるぜ。」
クーフーリンさん、それ本当⁉いいねいいね!幸先いいね!それで、この特異点の中心は誰?
「騎士王、最強のセイバーアルトリア・ペンドラゴンだ。」
……それ本当?いや、聞き間違いかも知れないしもう一度お願い。私、耳が可笑しくなったみたいで敵はアーサー王って聞こえたんだけど?
「あぁ、聞き間違いじゃねぇよ姐ちゃん……今回、俺達の敵は可笑しくなったアーサー王だ。」
……ジーザス、希望の光が見えて来たと思ったらコレとか、本当に運がない……いや、ある意味持ってるのかね?
まぁ、それはさて置き何か対策を立てないと、ねぇクーフーリンさん?何か、状況を良くする作戦ってない?
「一つだけ策がある。」
あるんだ……。
「あぁ、俺だけなら如何にもならなかったが、だがここに居る全員で行けば或いは上手くやれるかもしれん。」
それって、一人だけだと何か障害があるって事?
「おう、本丸に辿り着く前に厄介な風除けが居てな、俺一人だとそいつに邪魔されて辿り着く前に奥の手を切らざるおえなくてな。」
……切らないで辿り着くことは?
「不可能じゃないが、かなり無理をしなけりゃならん。ランサーとして顕現出来ていたら多少マシだったんだろうが、今の俺はキャスターだ限度がある。」
成程、召喚されたクラスの問題も込みで今まで手が出せなったのね、はいはい事情は分かりました。
で、その作戦の成功率は?
「そこはその楯の嬢ちゃんの実力次第ってところだな、そこさえ如何にか出来れば後は俺が如何にかする。」
そっかぁ~とは言っても、マシュちゃんも成り立て若葉マークのデミサーヴァントだからなぁ~。
う~ん……あっ!そうだ、マスター君。
「はい!何ですか?」
ちょっと、英霊召喚してみない?
「英霊……召喚?」
うん、マシュちゃんの経験不足は今更補い様がないし、幾ら覚悟を決めるにしたってそれだけで勝てる程あまい相手でもない、だったらここは戦力を増やす方向で考えよう!
幸いにしてここには、召喚に必要な素材は揃ってるしそれに、マスター君左のポケットに手を入れてみて?
「はい?……ん!何だコレ?」
「それはっ⁉ブイコマンダー!」
マスター君がポケットから出した物を見て思わず叫ぶ竜也さん。
何でコレがここにって顔で見てるけど、それは元々大消滅が起きた時間軸での私が竜也さん達のタイムレンジャーの戦力を増やす目的で制作した物、製作者が同じならコッチで同じ物を作るのだって訳ないんだよ。
「……これを使って、藤丸君に戦わせるのかマリー?」
「え?え?」
そんな怖い顔しないでよ竜也さん、大丈夫だっていくらこんな状況でもデミサーヴァントでもない普通の人間、更に言えばつい最近まで一般人だったマスター君を戦わせるなんてしないから、さっきも言ったでしょ?英霊召喚を試すって。
それは確かに直人さんが使ってた向こうに居た頃に私が作った物じゃない、でもさっき説明した通りソレも私がコッチの世界で作った、
「つまり……マリー、君は何が……?」
これは飽く迄も確率の話、この世界でオルガちゃんを通して得た魔術の知識と私が持ってた科学の技術が相互に作用し合ったとして、その英霊召喚の陣の間に二つの概念の混合物が挟まれば呼べる英霊はコッチの世界の英霊にのみには限定されないんじゃないかな?
「っ!まさか、直人を?」
うん、これは賭けだよ……今の状態の私だからこそ出来る賭け、もし失敗しても異物である私が世界から弾かれるだけだし、成功したらコッチは現代戦のプロを呼べる上に少なくともコッチの純正子であるマスター君やマシュちゃんに影響はない。
「あの、ちょっと質問いいですか?」
今までず~っと静観していたマシュちゃん、元々口数少なかったしこのままお話出来ずに済まされちゃうのかと思ってたけど、漸く話しかけてくれたねそれで何が気になるの?
「はい、さっき異物は弾かれるって言ってましたけど、それってつまりオルガマリー所長の肉体から乖離か分離するって事ですか?」
そうだよマシュちゃん、それがどうかしたの?
「その……離れた後、マリアオルタさんの魂はどうなるのかなって……。」
おや鋭いねマシュちゃん、この特異点に居る間は存在できるだろうけど、この特異点の問題が解決されて元の時間軸に戻されたら存在は保てずに消滅するかもね。
「なっ⁉」
「そんな⁉」
飽く迄そうなるかもって可能性の話だけどね、何たってこの世界でも前例の無い縁もゆかりもない全くの異世界からの英霊を召喚する訳だから、そりゃ元の伝承から多少乖離してもその話の根幹が同じなら少し位内容がブレて原作に居ない人が居ても召喚される可能性は大いにあるんだよ、だけど今呼ぼうとしてる人はそんな元の話がこの世界には根本から無いんだ、下手したらコッチでは存在していても一般人だったかもしれない向こうとの整合性が取りにくい相手なんだよ。
「そんな……あぁ!そのマリアさんの言ってる異世界からの召喚じゃなくても、それこそ普通にコッチの世界の英霊を召喚する方法でも!」
「そうですよ!マリアオルタさんがそんなリスクを負うような方法を選ばなくたって!」
それじゃダメなんだよ!
「……え?」
二人とも私に気を掛けてくれてるのは嬉しいよ、でもそれじゃ
異世界からの英霊召喚での失敗したならその繋がった半分が切り離されて今ここに居る私だけが独立した存在になるだけ済む、でもちょっと先の未来でアイツに捕まってしまったら……分離せず半分繋がった状態でアレに突き落とされたら、今の私もこっちも私も仲良く一緒に消滅する。
「「……。」」
だからさぁ、選んでくれるかな?ここで私が消えるリスクはあってもこっちの私は生き残れる方法を
「それは……。」
うん、そりゃ迷うね……私でもこんな決断を迫られたらそんな顔になるよ、でも決めて欲しいんだ……これが終りじゃ無いかもしれないからさ、こんな決断を迫られる場面は幾らでも出て来る筈なんだよ、あの記憶が正しいのなら。
「記憶?それって一体……?」
「……やりましょう先輩、何だかわかりませんけど今はマリアさんに従った方が良い気がしてきました。」
マシュちゃん、決断してくれたんだね……後はマスター君だけだよ、君は如何したい成功する可能性を信じるか失敗を考えてこのまま安全な方を取るかだよ。
「……分かりました、俺も覚悟を決めました!」
ありがとう……それじゃあ、早速始めますか!
「はい!マリアさん達だけじゃない、この時代も二つとも救って見せる。」
うんうん、いい顔して来た!そう思わない、竜也さん?
「そうだな、彼なら救えるかもしれないここにある全てを。」
そう言って、私達は二人は寄り添い合い前例の無い異世界からの英霊召喚に向けて準備を始めた。