〜if〜 いつかまた、この場所で。   作:ガイア#闇

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今回は前話の沙綾視点になります。
では、どうぞ。




邂逅〜山吹沙綾side〜

「_____!!!!!」

 

「ダメっ、 ______!!来たらダメっ!!!_____っっっ!!!」

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

「………はっ…!!」

「……夢…?」

 

怖い夢を見た。大切な何かが壊れるような、そんな気分になる夢。

今日から高校生だって時にこんな夢を見ると、朝から気分も落ちるなー。そんな憂鬱に陥りながら私、山吹 沙綾(やまぶき さあや)はベッドから身体を起こした。

 

「よいしょ…っと。」

 

時刻は朝の5:00。今どきの高校生にしては早起きだと自分でも思う。けれど、それにはれっきとした理由がある。

私の家は商店街のパン屋であり両親が経営しているのだけれど、私の母は生まれつき体が弱いため、母に負担をかけないようにと朝早く起きて母の代わりに店の手伝いをするというのが私の日課になっている。

 

制服に着替え、下に降り、身だしなみを整えて店の方へ顔を出す。

 

「おお、沙綾。おはよう。」

「おはよ、お父さん。手伝おっか?」

「いや、大丈夫だよ。沙綾はレジの確認をしてきてくれ。」

「わかった。」

 

今話していたのは、山吹 亘史(やまぶき こうし)。私の父。

いつも朝早くからパンを焼く作業をしてくれている、とても頼りになる父親。今日もパンを焼いていたので手伝おうと思ったけど、断られてしまったから大人しくレジへ向かい開店の準備をする。

今日が入学式なのにいいのか、と思う人も居るかもしれないけど、これは私が中学のときから身に染み付いた習慣なので、慣れっこなんだよね。

 

レジやその他の準備を済ませそろそろ開店だというときに、ふと後ろから声を掛けられた。

 

「沙綾、ありがとね。まだ寝てても良かったのに。」

 

私の母、山吹 千紘(やまぶき ちひろ)。身体が弱くて貧血等を起こして倒れることが多々あるから、無理をさせないようにとこうやって店の手伝いをしているんだけど…。

それが逆に心配させてしまっている気もする。だけど、これは私が自分の意思で決めたことなので、曲げるつもりはない。

 

「大丈夫だよ。お母さんこそ休んでて。体調、まだ良くないでしょ?」

「大丈夫よ。ほら、代わるから。」

「だーめ。無理しないの。私がやるから大丈夫!」

「もう…。じゃあお願いするわね、沙綾。何かあったら呼んでね?」

「はーい!」

 

そう言ってお母さんは店の奥へ戻っていく。それを見届けたあと、私はある事を思い出す。

 

「あ…。(じゅん)紗南(さな)起こさなきゃ!」

 

純と紗南というのは、私のきょうだいだ。

紗南はまだ懐いてくれてるけど、純は恥ずかしいのか最近一緒にお風呂に入ってくれない。お姉ちゃん悲しいなぁ。

 

2階に上がり、グースカと寝ている2人を起こす。

 

「朝だよー。起きろー!」

「…………」

「おーきろーー!!」

「うわっ!やめろよ姉ちゃん!くすぐったい!!」

「きゃははは!お姉ちゃんやめてー!」

「もう朝だよー。ご飯出来てるから、早く下降りてきなよ?」

「「はーい。」」

 

そう言い残し、一足先に下へ降りて店を開ける。

いつものように店番をする。いつもとなんら変わりはない。

そんな時、ある1人の客が入ってきた。東雲高校の制服を着た男子。それだけならまだいい。東雲の生徒はいつも何人か来るから。

ただ、この人だけは違った。

"どこかで見た事がある気がする"。

話そうかとも思ったけれど、他に客も居たため直接聞くことは叶わなかった。

彼がレジまでパンを持ってやってくる。

 

「これ、お願いします。」

 

…顔を見てボーッとしてしまった。後ろにも客が並んでいる、早くしなきゃ。

 

「………あ、はい!合計で324円になります。ありがとうございました!またお越しください!」

 

悟られてはいないみたい。ひとまず良かった。

 

「はい。ありがとうございます。………………。」

 

あ、これ、彼も私と同じ状況に陥ってるな。私の顔を見てボーッと立ってるもん。

話したいのはやまやまだけど、後ろに客がいるため声を掛けてどいてもらう事にした。すると、

 

「あのー……?」

「あぁ、すいません!ありがとうございましたっ!」

 

と、焦ったように店から出ていった。

…彼はまた来るだろう。そんな気がする。その時にでも名前を聞いておこうかな。そう思い、支度をして家を出て学校へ向かった。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

私は今日から"花咲川女子学園に通う高校生。

…といっても、中高一貫のためあまり変わり映えしないのだけれど。

ささっとクラスを確認して行こうと思い、張り出されているクラス表を見ていると、誰かとぶつかってしまった。

 

「わっ!」

「あ…ごめん。」

「………いい匂い」

「え?」

「すっごいいい匂いした!パンの!」

 

彼女はそう言うと、お腹から可愛らしい音を出した。

見過ごすのも可哀想だったので、飴をひとつ取り出し彼女に渡す。

 

「うち、パン屋だから。…いる?パンじゃないけど。」

「いいの?ありがとー!…何組?」

「A組…」

「ほんと!?どこどこ!?」

 

すごいグイグイ来るなぁこの子。高校が新鮮なんだろうか。

 

「…山吹沙綾。」

「あった! 私、戸山香澄!」

 

こうして戸山さんと仲良く?なった。

ちなみに、戸山さんがうちの高校にした理由は

"妹がここの中学に通っている"

のと、

"制服が好き"

という理由だそう。…確かに制服は大事かも……?

そんな話をしていると、

 

「楽しみだね〜。」

 

と戸山さん。

 

「何が?」

「教室!」

 

教室を楽しみにできるってなんか羨ましいな。内部生には分からない世界だから。

 

「あー…。私内部生だから、なんも変わらないっていうか…」

「でも高校生だよ?何か始まる感じしない?」

「えっ?」

「もう始まってるよ!ほら、新しい友達!」

 

友達、か。…戸山さんと一緒に居ると悪い気はしないかもしれない。

 

「友達認定早いね……よろしく、戸山さん。」

「香澄でいいよ!」

 

その後は入学式を終え、初のホームルームで自己紹介をした。というか新入生代表居なかったけど、良いのかな…

自己紹介では香澄が「星の鼓動」とか「キラキラドキドキ」とか言ってて少し面白かったのは内緒。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

ー花咲川女子学園 校門ー

 

「変なこと言ったかなぁ…?」

 

と香澄。

 

「何が?」

「自己紹介。」

「あぁー…。」

「"あぁー…。"って!やっぱり変だった?」

「私はいいと思ったよ。」

 

これは本当。面白かったけど、いい事言ってたし。

 

「本当!?じゃあ、部活…」

 

香澄に部活見学の誘いを受けたけれど、私は家の手伝いがある為やんわりと断っておくことにした。

 

「ごめん。部活はちょっと…」

「そっかぁ…またね、さーや!」

 

そう言って竜巻のように去っていった。…ホントに、あの元気はどこから出てくるんだろう…。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

ーやまぶきベーカリーー

 

「ありがとうございましたー!」

 

ちらほらと来る客を、慣れた手つきで捌く。放課後は朝と比べて客足も少ない為、そこまで大変ではない。

 

少し休憩しようかな。そう思って、店の奥に引っ込む。椅子に座って休んでいると、

 

「こんにちはー。」

 

と声がしたので急いでレジへ向かう。

 

「すいません、こんにちは!」

 

…あれ?

今朝も来てた、東雲の人だ。…客も居ないし、本人に確認してみよう。

 

「あれっ、キミ、もしかして東雲高校の1年生?」

「そうですけど…なんで分かったんですか?」

 

どうやらドンピシャみたいだ。

 

「今朝も来てくれてたし、制服で分かったよ。」

「そうだ、僕は久賀 零哉(くが れいや)って言います。貴女ももしかして花女の生徒ですか?」

 

あちらから名乗り出てくれた。そして此方も制服でバレていたらしい。とりあえず、自己紹介しなきゃ。

 

「お!良く分かったねー。私は山吹沙綾。ここの看板娘で、花女の1年生!よろしくね、久賀君!…あ、お互い歳一緒なんだし、敬語は要らないからね!」

「わかりm……。わかったよ、山吹さん。」

「さん付けも無ーし!」

「………。分かった、よろしくね、沙綾。」

「ん、よろしい!」

「僕だけは不公平だから、やm…沙綾も僕の事、好きに呼んでくれて構わないよ。」

「わかったよ。零哉、でいいかな?」

「うん。改めてよろしくね。」

 

こうして一瞬で親しくなった。

……なんだろう。零哉を見ると、なんだか懐かしい気持ちがする。

でも良く分からないから、気の所為ということにしておこう。

 

「前に初めて食べたんだけど、ここのパン、すごく美味しいね。」

 

と、店側からしたらとても嬉しい事をサラッと言ってくれたので、その気持ちをそのまま声に出す。

 

「そう言ってくれると嬉しいなー。今後ともご贔屓に!」

「うん。きっと毎日のようにお世話になるよ。…何を買って行こうかな?」

「零哉、まだ1回しか来たことないよね? だったら、メロンパンがオススメだよ。」

「メロンパンか。いいね!それを貰おうかな。」

「毎度あり。1つで良かった?」

「夜ご飯も兼ねてるから、もう少し欲しいかもな…」

 

…夜ご飯、作らないのかな…?

 

「だったら、ここにあるピザパンとかコロッケパンが良いよ。」

「なるほど…じゃあそれも貰うよ。はい、お代。」

 

……やっぱり気になる!聞いてみよう。

 

「毎度どうも!……零哉、夜ご飯って言ってたけど、家には誰も居ないの?」

「うん。今一人暮らしをしてて。今日は珍しく夜ご飯を作るのが面倒だったから…」

 

一人暮らしか…。何か特別な事情があるのかな。そこに関してはあまり干渉するのも良くないと思った為、これ以上掘り下げるのはやめた。

 

「そっか…。大変だね。 会ったばっかりで信用して貰えないかもしれないけど、何かあったら助けになるよ。」

「うん…ありがとう、沙綾。」

 

…やばい。笑顔が。。。

これ世の中の女子みんな惚れる。間違いない。

 

「ここのパン美味しいし、また来るよ。」

 

零哉のこの一言で、煩悩から脱出できた。危なかった〜…

 

「気に入って貰えたならなによりだよ〜。」

 

何事もなかったかのように話を進める。

…今まともに顔見れない。

 

「じゃあ美味しいパンも買えたし、僕はそろそろ帰るよ。またね、沙綾。」

 

どうやらもう帰るみたいだ。

 

「また来てねー!」

「もちろん!」

 

そう言って、彼はやまぶきベーカリーを後にした。

なんだか一気に仲良くなった気する。

…また会えるといいな。

そう思い、残りの客を捌いて店を閉めた。

 

 




やべぇよやべぇよ…
プロローグ更新するだけで1週間かかってるから。
いやほんとごめんなさい。リアルに余裕ができたらもっと頻度上げようと思ってるんで許して下さいぃ
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