「哀れな旅人さん。貴方はトラックに跳ねられそうになった少女を助け、そして死んでしまいました。」
「ですが、「ご安心を、貴方を転生させてあげましょう……とか言うんだろ?」……はい?」
「いや、この神様居そうな空間と「ですが」って言った瞬間に大体察しついたから。分かってたから。」
「多分もうみんな飽きてるところだと思うよ?テンプレだもん、テンプレ。」
「………」
「あ、なに?ひょっとして違った?なら俺めちゃくちゃ恥ずかしいヤツだけど。」
「……いえ、間違っていません。本来なら選択肢がありますが貴方は転生させます。」
「は?え?なに?もしかして俺、またなんかやっちゃいましたか?(○○の孫感)」
「さぁ、10秒以内に欲しい特典を言ってください。適当に飛ばすので。」
「あ、じゃあ仮面ライダーグリスが好きなんでそれで。」
「そうですか、ではさようなら。」
こうして今思えば何やってんだと自分を殴り殺したくなるようなことをして草の感触を感じ、木の下で風を感じながら目を覚ました。手元には黄色いレンチが目立ちプレス機のような物があるバックルと金色のゼリー飲料のようなキャップの付いたアイテムが転がっていた。
「(あ、本当に仮面ライダーグリスに変身できる……。神か天使か分からないけど、ありがとうございます!)」
上半身を起こして正面を見てみると、そこには自分がいた国、日本で見たような鉄棒、滑り台、ブランコ。いわゆる公園だった。周りには植物が植えられフェンスが車道を隔てている。
「(コイツは……?)」
立ち上がり辺りを見回す。家や遊具がある校庭が広がる学校。電柱が並び少し遠くには高層ビルが立ち並んでいた。
「ここは地元か?」
そう錯覚せざる得ない。高層ビルが立ち並ぶ街へ向かって行く。途中、スーツ姿のサラリーマンやら買い物袋を下げた主婦などを見掛ける。高層ビルが見上げなければ見えないほど近づくと会社員が行き来し、車が走る首都のような場所に着いた。コンビニのような場所を見つけて入っていく。しかしコンビニは自身が知っているどのものにも当てはまらなかった。
雑誌コーナーへ向かい、適当なファッション雑誌を取る。表紙には『これでモテモテ!今朱谷で大人気着こなしコーデ大特集!』と書かれていた。
「(なんだこれ?しゅう……や……か?なんて読むんだ?)」
コンビニを出て、交番を見つけて警官に聞いてみる。
「すみません。旅をしている者なのですが、ここはどこですか?」
「はい、ここは名黒ですね。」
「ッ!?」
「(見た事も聞いたことも無い地名だ!いや、仮に見た事があってもここまで発展しているのは新宿、渋谷や中目黒だ!そんな地名じゃない!)」
「ありがとうございます。あのここから近い図書館はあります?」
そして教えて貰った通りに図書館へ向かう。
「(文字は読めたし言葉も通じた。けど地名が違う。一体何なんだ!?)」
図書館へ到着し、歴史書を探す。教科書を見つけたのであらかた読んでみる。そこには自分が知っている歴史と流れは同じでも全く知らない人物や出来事が書いてあった。
「(おいおい、冗談だろ?)」
娯楽の本も見つけて読んだが仮面ライダーのかの時も無かった。持っていた旅用のバッグから先程のバックルとアイテムを取り出す。
「(これ、変身出来んの?)」
『仮面ライダーグリス』仮面ライダービルドに登場するライダーで最初は敵だが味方になるという胸熱展開がある。そして仮面ライダービルドにおいて仮面ライダーになる為には『ネビュラガス』と呼ばれるガスを体内に注入してそこから更にハザードレベルというものを上げなければならない。グリスに変身するためにはハザードレベルが4必要である。
「(まぁいい、今はそんなことじゃない……。)」
図書館を出て、噴水がある公園のベンチに座り、木の影に隠れる。自分がいたのはシンガポール。そして日本は6月でこれから梅雨だった。しかし今は蒸し暑い。木の影に隠れていなければ倒れてしまいそうな程に。しかし今は別のことで頭がいっぱいだった。
「転生したのに異世界じゃねぇじゃねぇか!!!!」
戦いが恐らくない異世界と言うより現代である世界に来た旅人。仮面ライダーという強力な扱えるかもわからない力を持ち、どう生きるのでしょう?