俺の親友は前世は男だったけど、今は幼女になった 異世界カルテット   作:ボルメテウスさん

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異世界かるてっと③

「それにしても、今日は疲れた」

 

授業が全て終わり、私はそのまま机の上にうつ伏せになるように倒れる。

 

「まさか、あの実験からいきなりこのような場所へと転移するとは、思わなかった」

 

「だけど、まだ問題は残っている」

 

「確かに」

 

この世界に転移されてしまい、一番の問題は、この世界の拠点になる場所だ。

 

このような場所へと移動されてしまい、この学校で寝泊まりするのか、それとも野宿しなければならないのか

 

「少佐!」

 

「どうしたんだ、ヴィーシャ中尉」

 

私としろがねが話しているとヴィーシャ中尉が話しかけてきた。

 

「はい、実は先程ロズワール先生からここでの生活拠点についての案内が来ました」

 

「なに?」

 

あのピエロのような奴から案内だと?

 

「既にヴァイス中尉達が現地に行って調査を行っています」

 

「ふむ」

 

正直言うと、この状況において衣食住の保証をされているのはありがたいが、どうにも用意されすぎて疑問に思う。

 

「とりあえずは見に行くだけ見に行ってみれば良いんじゃない?

このまま学校に寝泊まりする訳にはいかないし」

 

「それもそうだな」

 

さすがに一日に多くありすぎて、早く落ち着きたい事もあり、私達は立ち上がり、動き出した。

 

「では、私が案内します。

どうぞ」

 

「あぁ頼む」

 

その言葉と共にヴィーシャ中尉に案内されながら、街の風景を見てみる。

 

周りの風景は住宅街が絵に書いたような場所で、前世ならばそれ程違和感を感じながったが、あの存在Xによって既に常識は大きく変わっていた。

 

「こうして見ると懐かしい」

 

遠くに沈む夕日、カラスの鳴き声、なぜか倒れているアインズ達、多く立ち並んでいる家。

 

「あっあの、少佐」

 

「何も言うな」

 

何を言いたいのか、理解できているが、今日はもう疲れている。

 

しかも、よりにもよって、今回一番疲れる原因になった奴らとはこれ以上は関わりたくない。

 

既に疲れ切った私はそのままヴィーシャ中尉に案内されるように辿り着いたのは

 

「ここなのか?」

 

「はい、確か、こちらに」

 

そう言い、ヴィーシャ中尉に案内されたのは、どこにでもあるごく一般的な家だった。

 

戦場のあるあの世界とは違い、この世界に合わせた見た目なので、ヴィーシャ中尉は不思議そうにしているが、しろがねに至っては「懐かしいなぁ」と呟いていた。

 

私の家も似た様な環境だったので、自然と懐かしさはあるが、それも含めて家の中へと入っていった。

 

「あっ隊長、ヴィーシャ中尉、それにしろがねさん」

 

「はいただいま、戻りました」

 

部屋に入ると、既に何か調べ終わっているヴァイス中尉達がおり、各々が挨拶していた。

 

「ヴァイス大尉、とりあえずは落ち着いて話をしたい。

部隊を全員集め、落ち着ける場所に案内してくれないか?」

 

「了解しました」

 

その言葉をきっかけにとりあえずはリビングと思われる場所へと案内される。

 

「では、調査報告を」

 

「はっ!!」

 

そこから話されたのは、この家の内容についてだった。

 

家の広さは外からある程度分かっており、8人程度ならば住むのには困らない広さがあり、個人部屋が6部屋、和室が1部屋。

 

個人の部屋には各々の名前が書かれているネームプレートがあり、部屋分けは既にされていたらしい。

 

部屋には学業に必要最低限な分と、生活に必要な着替えが置かれている。

 

この世界における金は1階の金庫に仕舞われていた。

 

それ以外にも人が住むに必要な分は揃っており、戦場での生活に慣れている彼らからしたら驚くべき物が多くあった。

 

「ただ、問題があるとしたら、食事です」

 

「なんだ、何か問題でも?」

 

「はい、実は用意されている食材でどのような料理を作れば」

 

「ふむ」

 

見てみると、日本に合わせた家庭料理用の材料が多く、ヴァイス中尉達が驚くの無理はない。

 

「ふむ、これだったら作れるかな。

ヴィーシャさん、少し手伝ってくれるかい?」

 

「えっはい、問題はありませんが」

 

しろがねはそのまま材料を見ると、納得すると共にヴィーシャ中尉を連れて行った。

 

「おや、しろがねさんが料理を?」

 

「まぁ俺はこの状態だからな。

外したいのは山々だが」

 

「すまない、突然の転移で鍵を持ってきていなくて」

 

「ははっ、気にしていないから心配するな」

 

そう、本当ならばこの状況下においてしろがねが攫われる危険性もあって手錠を外したかったが、私のミスによりそれは不可能になった。

 

しろがねは気にしていないように笑いながらキッチンへと入っていった。

 

「それにしても、あの材料でどのような料理ができるか、少し気になる」

 

「よろしければ、見学してもよろしいですか?」

 

「別に良いぞ?

だけど、少し手伝ってもらうかもしれないが」

 

「簡単な事ならば、お任せを」

 

「ふむ、では全員で晩の食事の準備をするか」

 

その声と共に材料を改めて見ると、見る限りでは

 

「ふむ、久しい日本の食事だな」

 

私は少しだが、それに心を躍らせる。

 

「しろがねさん、もしかして生姜をそのままに?」

 

「あぁ、この種類だったら問題ないはず」

 

確かに生姜は日本ならばお茶にして飲む事が多いが、海外では薬の材料として使われているので、イメージで食べにくい者も多い。

 

そう思っている内に生姜を水でよく洗い、皮ごとすりおろす。

 

用意されていた薄切の豚ロースの片面のスジを少しずつ切っていき、肉の両面に小麦粉で薄くまぶす。

 

「結構、薄い肉というのは久しぶりに見たな」

 

「よく食べるのと言ったら、ステーキやソーセージなどですからな」

 

たしかに帝国ではそのように大味な料理があるので、もしかしたらヴァイス中尉達にとっては新鮮かもしれないな。

 

「しろがねさんの料理って、結構個性的でおいしいんですよ」

 

「それはこちらに用意しているスープもですか?」

 

「まぁスープだけどな」

 

そう言いながらノイマン中尉とケーニッヒ中尉は切った材料を鍋の中に入れて、グランツ中尉はそれを混ぜていた。

 

何時の間にか全員参加にしているが、意外と器用な物だな?

 

「いやぁ、敵に弾丸を打ち込んだり、切り刻んだりするよりは」

 

「あぁ」

 

よく見たら、ある程度適当だが、確かにそれよりも簡単だな。

 

そう会話している間に、肉の準備が終えたのか、次に準備ができた豚肉を油で引いたフライパンに肉を重らないように入れ、一回焼く。

 

「一度焼いたら、一旦皿に移してくれ」

 

「なぜでしょうか?」

 

「まぁソースを作るみたいな感じだ」

 

「ソース?」

 

「あぁ」

 

そのままフライパンに先程すりおろした生姜、醤油、酒、みりんを入れて、程よく混ぜていく。

 

「これは、なかなか」

 

「特に始めはこの二つが入って、大丈夫かと思いましたが、なかなか良い匂いで」

 

帝国では醤油はなく、生姜もこのように入れるのも少ないから印象は強いだろう。

 

「それじゃあ、そのままさっき焼いた肉を入れて。

その間に、このキャベツを千切りにしてくれないか?」

 

「千切り?」

 

「あぁそれは私がやろう」

 

幾ら私でもこれぐらいはできるだろう。

 

「あぁ千切りにする時はキャベツの葉を少量ずつ丸めてから切っていくと均一になりやすいからな」

 

「ほぉ」

 

昔の料理番組では、確かキャベツごと行っていたが、確かにこちらの方が手軽にできるな。

 

そうしてキャベツの千切りを行い、全て終える頃に各々の人数分の皿に敷いておく。

 

「よし、焼きあがったから、肉をそれぞれ盛り付けていけば」

 

「これは」

 

「想像以上だ」

 

そこにでてきたのは昔懐かしいしょうが焼きだった。

 

帝国に入ってから、生姜焼きなどもう食べられないとは思っていたが。

 

「こちらもできたぜ、えっとなんだっけ?」

 

「豚汁だよ」

 

「おぉ」

 

どうやらグランツ中尉の方に頼んでいた料理もできたらしい。

 

見てみると、鍋の中には先程の生姜焼きとは違い、一口大の豚肉の他にも里芋、大根、人参が入っており、久方ぶりに嗅ぐ味噌の香りを楽しむ。

 

「ふむ、では大隊諸君、器に乗せて、食事にするか」

 

「了解であります!!」

 

「いつもこんな任務だと良いんだがな」

 

「ノイマン中尉は少しは食べる量を考えたら良いんじゃないか?」

 

「そう言うケーニッヒ中尉は食べたらいかがですかな?」

 

「おいおい、お喋りも良いが、料理が冷めてしまうぞ」

 

「「了解であります」」

 

そう言いながら、準備を行っていた。

 

こうして見ると、まるで学生が行事で料理を作っているようで懐かしくもあるな。

 

そうしている間に、机の上には生姜焼きに豚汁、それに白いお米と日本の定食の定番メニューがあった。

 

「さて、では頂くとるすか」

 

「頂きます」

 

その一言と共に食べ始める。

 

「あれ、少尉にしろがねさんはその棒のような物ですか?」

 

「まぁな」

 

他の者達はスプーンやフォークで食べているが、私達は久方ぶりの日本食という事もあって箸で食べている。

 

生姜焼きの甘辛い味に味噌の味、何もかも懐かしく落ち着いていく。

 

「なんだか、とっても優しい味ですね」

 

「あぁ普段食べている物に比べると、なかなかに」

 

帝国料理の多くは単純な味付けをしている物があり、こういうさっぱりな味のほとんどは魚料理が定番なので、彼らにとっては新鮮かもしれないな。

 

「それにしても驚きましたよ、まさかしろがねさんがこのような料理を知っているとは」

 

「これからも、料理長としてお願いします」

 

「あぁ、確かに医者以外にもそれは良いかもしれないな」

 

当分はこの世界にいるので、あの可笑しな連中と付き合う事になるかもしれないが、それ以上の幸運はもしかしたら、懐かしい日本料理を食べられるかもしれない事だな。

 

そう笑みを零しながら、生姜焼きをまた一口入れる。

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