Sky Blue   作:そらかどせきね

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キスの日・ラブレターの日と聞いて思い浮かんだお話です。
オリジナルキャラですが、羽依里と蒼の娘である、空門碧羽(あおば)ちゃんをよろしくお願いします。


あの日、宛てた恋文-キスの約束-

 部屋の整理をしている最中に、古い箱を見つけた。

 箱には、『2002/5/23 H&A』と、かなり昔の日付。

 それと多分、お父さんとお母さんの名前、かな?

 

「ねぇ、お母さん~? これ、なぁに~?」

 

 一緒に、整理をしていた、お母さんに訊いてみる。

 

「どれどれ~見せてみなさい…あ、これ…」

 

 箱に書かれた文字を見て、分かったのだろう。

 お母さんは過去の出来事を想い出したのか、急に満開の笑顔になる。

 それだけで、お父さんとの素敵な想い出が詰まっていることが分かった。

 だから、無理に、それ以上、訊こうとはしない。

 だって、私は、いつまでもラブラブな二人のことが大好きだから。

 大切な想い出は、二人だけのものであるべきだと思うから。

 でも、そんな私の心はお見通しなのか、お母さんは言葉を続ける。

 

「碧羽(あおば)は、あたし達の大切な娘なんだから、良いのよ。それにこれ、すっごい面白いんだから!」

「いいの!? じゃあみたい!」

 

 何やら面白いものが入っているらしい。私の心も弾む。

 

「開けるわね~!」

 

 お母さんが箱の蓋を取り外す。

 中には一切れの布が入っていた。

 何かが大切に包まれているようだ。

 ゆっくりと包みが解かれる。

 そこにあったのは、真っ赤なハートのシールで封がされている二通の封筒だった。

 

「あっ! もしかしてラブレター?」

「そうなのよ! 五月二十三日って『ラブレターの日』らしくてね。昔、お互いに書いたの。何十年かしたらまた開けようってね、今日の今日まで忘れちゃってたけど」

「中身は!? ね、中身は~!?」

「慌てない慌てない、いまみせてあげるから」

 

 封を外し、綺麗な状態のまま入っていた折りたたまれた便箋が出てくる。

 それを広げて、お母さんは一目見ると、また、クスクス、と笑う。

 

「一応ラブレターなんだけど、もう付き合った後だから、別に告白とか、そういう内容じゃないのだけれど、ほら」

 

 受け取った二枚の便箋に目を向ける。

 そこには、想像以上に短い文章と、二人の名前が。

 

 『貴方の事を愛しています

  この手紙、読んだらキスしましょう』

 

 まったく。一言一句同じ文章が書かれていて、私も笑ってしまう。

 

「笑っちゃうでしょ? それ、別に示し合わせた訳じゃないのに、まったく同じこと書いてたのよね~」

「お母さん、すごい嬉しそうな顔してる」

「昔のこと、想い出しちゃってね」

「あ、でも、お父さん居ないときに、見ちゃって良かったの?」

「書き終わった後に、お互いの見てるからいいのよ。まあでも、帰ってきたら見せてあげますか!」

 

 お父さんの事を考えてるときの、お母さんの顔はいつも幸せそう。

 お父さん、帰ってきたら、これを読んで、赤面するかもしれない。

 いつまで経っても、恥ずかしがり屋さんだからね。

 でも、その後、私の居る目の前で、お母さんにキスしちゃったりして…!

 そしたら、お母さんは手をバタバタして、もがきつつも、また笑顔になると思う。

 鳥白島一番のラブラブ夫婦。

 私、空門碧羽はその一人娘として、大切に育てられてて、とても幸せです!

 

 

* * * * *

 

 

「あ、そうだ、藍ちゃんに報告しよっと…」

 

 スマートフォンを操作し、伯母に、今日の出来事をメッセージアプリで送る。

 即座に、既読マークが付く。

 そして、自身がデザインして販売しているらしい、スタンプが帰ってくる。

 グッジョブ、と。

 

 

【あの日、宛てた恋文-キスの約束- 終わり】

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