転生したかったけどこんな転生は望んでない   作:深淵のデカダンス

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[岩蔭|]_・。)ソォーッ


七二の呪い

1人の少年がある公園で複数の少年にいじめられていた。

 

「オラァ! 待ちやがれクソナードが!」

「や、やめてよかっちゃん!」

「やめて欲しかったら、大人しく爆殺されることだなァ!」

 

追いかけ回されている少年、緑谷出久は追いかけている少年の爆豪勝己の個性の爆破から必死に逃げ回っていた。彼らは幼馴染だ。しかし、緑谷出久は個性を持たない無個性であり、いじめている少年達のリーダー、爆豪勝己は爆破という優れた強個性だった。

 

そもそもこの世界は殆どの人間が個性持ちの世界だ。その世界で無個性が差別され、いじめられることは珍しいことではなく、重大な社会問題と言ってもいいだろう。個性があるのが、普通で当たり前なのだ。異端な存在はどうしても敬遠されがちになってしまう。

 

その為、爆豪勝己が緑谷出久を見下すのは自然な流れだった。自分は強個性。生意気な出久は無個性。天才でなんでもできる自分とナードで運動もできないし、会話も苦手な出久。

 

ここまで条件に差があれば、精神的に未熟な子供達が見下して優越感に浸ってしまうことはあるだろう。しかも、子供達も未熟ではあるが馬鹿ではない。大人がいるところでそのようなことをしては怒られること自体は理解しているのだ。

 

この公園には現状爆豪達と出久しかいない上に、周りにも人気は少ない。いじめるのには格好の場所だった。そのはずだった。しかし──。

 

 

「やめたまえ」

「誰だテメェ!」

 

爆豪は突然首根っこをむんずと誰かに掴んで持ち上げられていた。爆豪が振り向くと、そこには白髪を三つ編みにした男が立っていた。先程までそこには人ひとりいなかったのにもかかわらずだ。

 

「ハ、お前などに名乗る名などないぞ。凡百の人間。私の前から消えるといい」

 

白髪の男に無造作に投げ捨てられた爆豪。出久はそんな突然の出来事に呆然としていた。

 

「クソが……! 死ねッ!」

 

あまりの怒りに頭に血が上った爆豪が個性を発動させて爆発を白髪の男に浴びせようとする。白髪の男は避けようともせず、表情一つ動かさずにつまらなさそうな表情のまま襲いかかる爆豪に視線を向けた。

 

真正面から爆発が白髪の男に襲いかかった。白髪の男が重症を負ったと、居合わせた子供達誰もがそう思ったが、しかし白髪の男は怪我一つ、火傷一つ負っていなかった。

 

「──は。ハハ、ハハハ……ギャハハハハハハハハハハ! その程度か、凡百。ならば貴様は小便がお似合いだ! 去るといい、小便以下の小僧ども!」

「チッ……」

 

爆豪は小便以下と言われたことで怒りに震え拳を握りしめた。しかし、爆豪は己が怒って個性を他人に使ってしまったこと、そして自慢の個性が何一つ通用しなかったことである程度冷静になったのか、白髪の男を無視して公園の外に向かい始める。その為周りにいた他の子供達も爆豪に慌ててついていく。

 

公園には白髪の男と呆然と佇んでいた出久だけが残っていた。白髪の男は出久に向き合うと先程までの粗暴な様子ではなく、憐れむような、穏やかな表情を見せ、出久に語りかける。

 

「人間。なぜ君は彼らに追いかけ回されていた?」

 

出久は己が無個性の癖にヒーローを目指しているからだ、と話すことが苦手ながらたどたどしく説明した。

 

「ほう。何故ヒーローになりたい? 他の仕事に就けばいいだろう」

 

出久はオールマイトのようになりたいから。人を救う、彼のような凄いヒーローに、と答えた。

そう、出久は幼い頃からNo.1ヒーローのオールマイトに憧れていた。彼の偉大な姿はテレビ越しでも出久を魅了したのだ。

 

出久の話を聞いた白髪の男は無造作に突然出久の胸を手で突き刺した。ブシャァッっと辺り一面に血液が広がり、出久はあまりの痛みに耐えられず気絶してしまったが、白髪の男はそんなことはどうでもいいように手を出久の体の中でごちゃごちゃと動かす。

 

「気まぐれだ。力をくれてやる、幼き人間。このより歪んだ個性社会の中でお前が人をどれくらい救えるのか……ハハ、見ものだな。もし、我が前に立ちはだかるまでに成長できたのなら──楽に殺して有効活用してやろう」

 

手を出久の中から引き出して、白髪の男──魔術王ソロモンと共にあり、彼の中に潜む召喚式は突如その場から消えた。

 

血だらけで、今にも死にそうな出久をただ一人その場に残して。

 

 

 

 

 

 

 




★主人公が自分の中に引き寄せたロクでもないもの2人目★
魔神王 ゲーティア
出典: FGO 第一部 Observer on Timeless Temple
七つの人類悪の一つ、『憐憫』の理を持つ第一の獣「ビーストⅠ」。
真の叡智に至るもの。その為に望まれたもの。 人間を糧に極点に旅立ち、新たな星を作るもの。 七十二の呪いを束ね、一切の歴史を燃やすもの。 即ち、人理焼却式。魔術王の作った人を憐れみ失望した術式である。
「神にも匹敵する」と形容されるほどの魔力を持ち、存在するだけで領域を圧し潰すほどの力場が発生する上にスキル「召喚術」によって七十二柱の魔神であれば自在に現世に召喚できる。加えて過去と未来を見通すこともできるという。

緑谷出久はナニカサレタヨウダ
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