モチベが…!!
---小笠原諸島南東 600マイル---
深海棲艦の侵攻により陥落したグアム島を含む北マリアナ諸島、そしてほぼ対角線上に位置するミッドウェー諸島を結んだここは、国連が定めた哨戒ラインの一つとなっている。
この哨戒ライン手前まで、「そうりゅう」は近づいていた。
そのころ、''そうりゅう''はというと.....
艦長席で本を読んでいた。
「艦長、そろそろ哨戒ラインへと到着しますが....って今日は何を読んでるんですか?」
と、副長に問われ、そうりゅうは、
「んー.....今日はね、沈黙の艦隊読んでるの。出航前に''いよ''さんから貰ったの」
「ハエー...いよさんからですか.....艦長、たまに作品の影響で意味不明な言動ありますけど.....さすがに独立するとか言わないでくださいね。」
と副長。
「さすがに独立なんてしないよぉ。でもあれはやってみたいかな。''ワレ ゲンシリョクニテ コウコウチュウ''っていうの」
「ハハハ....国民の前でやったら叩かれそうですね」
と呟く副長。
ちなみに''いよ''さんとは、''そうりゅう''と同時期に発表され国民の更なる反感を買った、''改いぶき型護衛艦''の2番艦であり、現在船体は艤装作業中であり、近々就役の予定である。護衛艦と名乗ってはいるが、戦闘攻撃機を20機程度積んでいるので、実質空母である。
そんな一方、原潜の就役で叩かれた''そうりゅう''だが、国民にとっては、空母の衝撃の方がデカかったそうで、当時はそこまで叩かれなかったそうな。尚、建造を行った某重工は叩かれた模様。
当時の総理大臣は国民へとこう語っている。
「''いぶき''就役時にも同じように指摘されました。しかし今現在''いぶき''の就役により、他国からの侵略を抑止することが出来ています。F-15の空中給油機能も当時は現在のように、我国の防衛に大きく活躍するとは誰も予測していませんでした。今回の''きい型''そして''そうりゅう型''も今後、深海棲艦や他国への抑止として大きく活躍することを願っています。この先の未来がどうなるのかは誰も知らないのです。我国の未来はこれから自らの手で切り開いていくものなのです。」
「ところで、哨戒ラインへと到着しますが...如何しますか?」
と副長に聞かれ、
「水上警戒へと移行。潜望鏡深度まで浮上。」
とそうりゅうは返答し、副長は復唱を行う。
「水上警戒配置。潜望鏡深度、浮上。機関微速。」
「深度10、機関微速、ヨーソロー、アップ20度。」
と操舵士が答える。
「レーダーマスト上げます。対空、対水上警戒。」
そしてゆっくりと鯨のような大きな船体は深度10へと浮上し、潜望鏡を上げたのである。
「周囲に対空、対水上目標なし。衛星に若干のタイムラグが出てます。故障などを確認中。」
と通信士が報告する。
「水上目標、目視でも確認なし」
と潜望鏡を覗いた副長からの報告。
「気象庁から受信。3マイルほど先に突発的な低気圧とのことです。予報にはありませんでした。衛星のタイムラグから2分ぐらい前です。」
と通信士からの報告。
「ということは...実質的な現在の距離は2マイルぐらいか。」
とそうりゅうは呟き、
「まぁ潜ってしまえば一緒ね。水上警戒を3分後に終了。その後、潜航警戒配置へと移行。」
潜望鏡を覗きながらそう指示を出す。
「ねぇ、副長。手前に見える雲さ。どこかで見たことあるんだよね。」
とふとそうりゅうは副長へと呟く。
すると副長は.....
「私は見たことないですし....何かの作品で見たのでは?」
と答えると、そうりゅうは
「あー......思い出した。米空母がタイムスリップしちゃう映画で見たんだ。よく似てるなぁ....。」
「ハハハ....さてそろそろ時間ですね。では指示出しますか?」
と軽く苦笑いをし、次の指示の確認を行う。
「そうね。」
と軽く返答し、艦内通達のためヘッドセットを取るそうりゅう。そして、
「艦内通達。水上警戒から潜航警戒配置へと移行。各マスト収納。ダウン30、深度60。」
と指示を出す。
深度60までダウンする間、そうりゅうは若干船体が横に傾いていることに気が付き、
「操舵士どうしたの?船体若干、横に傾いてるわよ。」
と操舵士へと聞くと、操舵士は、
「船体が何かに掴まっているようです。傾斜を平行に戻せません。」
と返答される。
「何とかしなさ.....キャッ」
指示を行おうとした瞬間船体が突然大きく傾く。立って指示していた副長は転び、発令所の水密扉へと叩きつけられる。
「どうしたの!?状況報告!」
とそうりゅうは報告を求め叫ぶ。
「船体が水流らしきものに飲み込まれています!操舵が効きません!現状の維持がやっとです!」
と操舵士からの報告を受ける。
船体は大きく揺れ、席に着いていた乗員もなげだされそうになっていた。その時、
バヒュゥゥゥゥゥゥン という音と共に艦内の電源が落ちる。どうやら機関が緊急停止したようだ。直ぐに非常電源に切り替わる。
「原子炉緊急停止!主電源ダウン!」
と機関士からの報告が入る。
「推力ダウン!現状維持出来ません!」
と操舵士から悲痛な叫び声の報告が入る。
そしてどれぐらい時間が経過したのだろうか。
そうりゅうはふと目を覚ます。
「ん.....いつの間にか意識を...」
目を覚ますと、そこは艦内の医務室だった。
近くには衛生長が居た。
「艦長、大丈夫ですか?」
と衛生長に聞かれる。
「えぇ...まぁ...それよりどうなったの?」
と、そうりゅうは現状報告を求める。
すると衛生長は、
「はい、先程の揺れの後、私も含め全員意識を失ったようで...気がついた頃には船体は懸垂状態で止まっていました。現在、水雷長が発令所で指揮を執っています。」
と報告する。
「水雷長が指揮を?副長はどうしたの?」
とそうりゅうが聞くと、
「はい、揺れの時に水密扉へと思い切り叩きつけられたようで...傷を手当しましたが、右腕を軽く捻挫していたため、安静にと。」
と衛生長は答える。
「そう....。じゃあ発令所に行くわね。」
とそうりゅうは答え、発令所へと向かった。
そして発令所。
「水雷長、現状は?」
と水雷長へと報告を求める。
「はい、現在本艦は深度10で懸垂中。各システムおよび機関への損傷はなし。詳しく確認できないのであれですが....モニター上では船体の損傷もありませんでした。」
と水雷長は報告し、付け加えるように、
「負傷者ですが、副長の捻挫以外全員唾を付けとけば大丈夫な程度の傷です。」
「現在の位置情報は?」
とそうりゅうが聞くと、水雷長は、
「衛星アンテナを上げ、確認したのですが、衛星の応答がありませんでした。故障も確認しましたが...問題はありませんでした。」
と報告する。
これにそうりゅうは...
「衛星が効かないとかまさにジパングじゃないの...( ´•ω•` )。」
とそうりゅうは呟き、頭を抱えた。
「どう致しますか?艦長。」
と頭を抱える艦長を横目に尋ねる水雷長。
「そうね.....海図を頼りに小笠原諸島海域まで反転。状況把握を優先するわ。」
「了解。針路反転。目的地、小笠原諸島海域。機関微速前進。」
と水雷長が復唱する。
「.....(これからホントどうしよ.....)」
そして、1隻の大きな鯨は小笠原諸島を目指す。
次は殆ど考えてないため気が向きつつ。
(*´ω`*)
<余談>
28DDGの艦名は''はぐろ''でしたね。
次のDDHは''きい''か''いよ''辺りが良きかな
(((o(*゚▽゚*)o)))