星と楓の異世界戦記(旧 2019年打ち切り)   作:ミュラ

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13獄炎

 

クワ・トイネ公国西方方面

 

 

アメリカ軍のスーパーコブラが発射した対空ミサイルは、敵機追尾中、金属製の落ちて来た物体に奇跡的にぶつかり、接触信管が作動したため、竜騎士には命中しなかった。

 

ムーラはできる限りの速度で本部へ飛行していた。何故敵の誘導火炎弾から助かったのか、解らず、いつの間にか妻から貰ったお守りがなくなっていた。

また、急な機動によって通信魔法具も破損してしまい、本部へ通信することができかった。

 

故にムーラは先遣隊の全滅を早く伝えるために向かっていた。

さっきの鉄龍はなぜか、自分を追わなかったが、あんなものがいるなんてアメリカ軍以外考えられず、一刻も早く情報を持ち帰れねば本部に危機が迫るのかもしれない。

 

 

「もしかしたら…妻が助けてくれたのかもな」と呟いた瞬間背後に何かが接近するような長年、竜騎士の感覚が警報を鳴らしていた

 

!!!??

(!?何だ…この胸騒ぎは…何かが来る!?)

胸騒ぎがおさまらず上を見た。

自分の飛行しているはるか上空を、複数の白い尾を引き、とんでもない速度で何かが多数西へ向かい、飛行していった。

 

「な、なんだあれは……あんな速度で飛行する生物は今まで見たことがない……あれは一体…」

 

 

 

 

 

ロウリア王国東部諸侯団

副将アデムはイライラと不安が増大させていた。

先遣隊との通信途絶によって、前線の様子も分からず、ワイバーンで編成された偵察隊を編成し、放射状に解き放った

しかし、偵察隊は途中まで問題がなかったが、突如悲鳴と共に12騎全ての偵察隊との連絡が途絶した。

ワイバーンは通常、空を飛び、強固な鱗で守られているため撃墜は困難であり、それが12騎全て撃墜することなど古の魔法帝国くらいならできるだろうが、トワトイネが倒せるはずもない

通信の内容も尋常ではなく、竜騎士の叫びが響いた

 

『こちら3号!東南方面を現在調査中、未だ敵影は見られず、この…………うん?なんだ、あれは?…!?な、なんだこいt』

 

『本部!国籍不明鉄龍から火炎弾が追ってきている!助けてくれ!助けてくれえええええええ!!』

 

『な、なんだ!?回避急げ!早く旋回するんd』

 

 

部下たちは冷や汗を掻く。悲鳴と共に12騎の偵察隊とは、連絡が途絶えた。

途絶えてから全く応答はなく、こちらから呼びかけに一切応答がなかった。

通信担当兵士達には頭の中で全滅という文字が浮かび上がった。

ワイバーンで編成された偵察部隊とはいえ、全滅するなんてあり得ない…

なら、この状況を説明することは無理な話であり、兵士たちの中で混乱していた。

先遣隊も全滅していることが確定となった今アデムも通信内容から見て、敵に襲われたことは間違いないだろうが、全滅はあり得えず、通信魔法具の問題と決めつけていた。

それ故、アデムはイライラを隠さず、通信担当兵士たちへ怒鳴りつける

 

 

「どうなっているのですかぁ!どの竜騎士からも通信がないとは通信魔法具の不具合ではないのか!」

 

「え、えっと…現在調査中でして……」

 

「具体的にどんな方法で調査している!ワイバーンで編成された12騎の偵察隊が全滅することなど、あり得ない!急いでこの事態をなんとかするのだ!」

 

静まり返る。

 

将軍パンドールが話し始める。

 

「偵察隊に何かがあったことは間違いない。偵察隊を何としても見つけ出すのだ。本軍の護衛は?」

 

「ワイバーンが50騎常時直衛に上がります。残りはギムの竜舎で休ませています。もちろん、命令があれば、いつでも出撃いたします。」

 

「50も?多くないか?戦力的に重要なワイバーンがいざ決戦となったとき、ワイバーンが役に立たないという事態は避けたい。」

 

「いえ、今までの軍の全滅、偵察隊の通信内容からして、もしかしたら敵はとてつもない力を手に入れたのかもしれません。本軍が壊滅したら、今回のクワトイネ攻略作戦は失敗します。」

 

「そうか……。」

 

上空には多数のワイバーンが編隊を組み、飛行していた。その光景はどの国家、敵でも圧倒できると言えるほどの威容だ。

偵察隊ではワイバーンの不意をついただけだろう。

これだけのワイバーンが編成し、精鋭部隊であればどんな敵でも勝てるだろう。

たとえ、伝説の「魔帝軍」にも跳ね返すことが可能だろう。

だが、ワイバーン1騎でさえ、撃墜困難なワイバーンを一体どんな手段で倒したというのか

そして、先遣隊との通信途絶

どうやら、敵はかなりの諜報部隊を編成して妨害を行っているかも知れない

と上空を見ていると何かが光る、その光は真っ直ぐ驚異的な速度で飛行していた。

「うん?あれは…敵騎か?」

 

パンドールの思考は強制的に一時中断させられた。

 

上空を飛行していた光はそのままワイバーンのうち、16騎に突如として突っ込んだ後、爆発し煙に包まれ、バラバラに寸断される。さらに8騎!見えない何かによって24騎がいきなり消える。

 

「なっ何だ!?何が起こった!竜騎士が!」

 

やがて、東の空に見たことのない飛行物体12機が信じられない速度で飛行していた。

姿が見えた後で音が聞こえた

 

ま…まさか、奴らの速度は音速を超えているというのか!?

6機各機が2発ずつ光弾を放つ。

 

光弾は超高速で飛行し、それを避けようとするワイバーンに喰らい付く。

さらに12騎がバラバラにその肉体を寸断され、落ちていく。

 

「あああああああああ」

 

「バカな…バカなぁ!」

 

「た、助けてくれえええ!!」

 

様々な声が聞こえる。

軍上空を『それ』は凄まじい速度で通り過ぎた。剣のような形、灰色に塗られた機体、後ろから炎を1本吐きながらそれは通り過ぎた。

 

ヒュー・・・‥…ゴオオオオオオーーーー!!!

 

衝撃波が彼らを襲う。彼らが見たのは、マッハ2以上という猛烈な速度で軍上空をフライパスしたF-35D型の姿だった。

 

「は…速すぎる!!!!!」

 

「なんなんだ!!!!」

 

恐怖……。

 

あれは…あんなものは今まで見たことがない……

剣のような形に灰色、後ろから2本の炎を吐き出しながら飛行していた。

ムーのような飛行機械とは全く異なった形状だ…

 

しかし、悲劇は待ってくれなかった。

先ほど飛び去った複数の敵の鉄龍が戻ってくる。さらに光弾を2発ずつ発射…。

精鋭竜騎士団が一方的に殺戮されていく…。

まるで射的のゲームのように効率よく撃墜され、抵抗さえできないうちにあっという間であった

ワイバーンの数こそが軍の力と思っていた。これだけの数のワイバーンがいれば、炎神竜にさえ勝てると思っていた。

ワイバーンは1騎だけでも歩兵大隊以上の価値を持ち、敵を一方的に攻撃できるはずだった

それが……こちらが一方的に攻撃され、精鋭ワイバーン部隊は数を減らした。

 

「ちく……しょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」

 

上空から精鋭ワイバーン部隊が一掃された。

どんなに精鋭でも、才能を持った者でも、実力者でも平等に撃墜され、なんとか抵抗しようとした竜騎士も血祭りに上げられた。

空の鉄龍はこちらのワイバーンを一掃した後、円を描くように旋回して何かを待っているような姿だった。

轟音を鳴らしながら旋回する。

・・・!?いかん!は、早く兵を散開させなければ、空から一方的に攻撃されて全滅してしまう!

とパンドールはすぐに指示を出そうとした時、さっきの鉄龍とは異なった轟音が響いていた。

東の空から先程とは違う形の鉄龍が編隊を組み、飛んでいた。

翼から何か黒い物を投下する。

黒い何かは細長く、魚を連想させる形だった。

将軍パンドールの脳裏、先遣隊の消滅が頭によぎる。

ま…まさか…あれのせいで先遣隊は……

 

「何だ、あれは!何かを落とされたぞ!!」

 

兵士たち全員が見上げた

 

誰かが声を上げる。

 

誰も逃げようとしない。

 

本能でわかってしまったのだ

 

例え逃げても逃げきれないことを

 

黒い物体は落ちてくる

 

パンドールは迫ってくる脅威を見つめながら頭の裏で自身の家族が映った

 

光――。 

黒い物体は着弾するのと同時に周囲に人体の骨すら残らないほどの灼熱の炎が広がった

 

将軍パンドールは、光と共にこの世を去った。

 

 

派遣部隊を襲った鉄龍の正体は空母艦載機F/A-18E/F

投下された爆弾は焼夷弾だった

焼夷弾攻撃により着弾した場所は超高温の熱を持った炎が辺りに広がり、兵士や軍馬、攻城兵器、運搬する補給部隊、精鋭部隊全てが炎に包まれた。

兵士たちは悲鳴をあげながら逃げようとするが、艦載機は先遣隊の逃げ道にも焼夷弾を投下し、爆炎に焼かれる。

全身火達磨となった兵士は気管を焼かれながらも必死に消そうと地面に転がるが、間も無く苦しみながら死亡した。

騎士も鎧が熱によって溶解し、溶けた金属が皮膚に付着する。

 

投下された爆弾が生み出した炎は連鎖的に派遣部隊を炎の津波が襲い、馬の速度を追い越す勢いで焼かれる。

ある集団は撤退している最中に後ろを振り返った途端獄炎に包まれた。

その光景は今までロウリア軍が虐殺したクワトイネ軍民の怨念がこもっているかのように炎はすぐに消えなかった。

 

 

 

 

 

アメリカ派遣艦隊エンタープライズ所属第25飛行団

 

「こちら攻撃隊、荷物を目標へ届けた、繰り返す荷物は配達完了だ、これより帰投する」

 

『HQ、了解』

 

「・・・中世の奴らに焼夷弾攻撃は悲惨なものだな…まさか中世の奴らを相手に爆撃することになるとはな……」

 

「1000度以上の灼熱の炎が襲いかかってきますからね……あれじゃ、骨すら残りませんよ」

 

「ああ、だが、忘れるなよ、奴らはギムの虐殺を実行した後、各地で民族浄化していたんだ。当然の報いだ」

 

「・・・未だに空軍が無人機で撮影した虐殺の映像が脳裏に残りますよ……まさか国の軍という組織でありながら平気で強姦、虐殺、暴行、リンチをやっていた…あの犬耳の親娘もレイプされた後身体の部位ごとに剣で刺され、最後は斬首ですよ…狂っている………………」

 

「・・・一つ忠告しておく、この世界は異世界だ、俺たちの世界ではない、俺らの考えや価値観で見ればおかしいさ、だがな……

この世界は暗黒時代のヨーロッパと同じ、絶対王政時代ではこれが常識なんだ」

 

「・・・くそったれ」

 

と彼は呟くが、もう一人の攻撃手は当然の反応だと思った。

虐殺やレイプ、暴行など国内、アフリカや中東、アジア、南米など各地で起こっていたが、ロウリア軍のように軍が組織的に民族浄化を行うことはあり得ない光景であり、自分たちがこの異世界を理解しなければ技術的アドバンテージがあっても、飲み込まれるだけだからだ。

そんな虚しくなる気持ちを抱きながら操縦した。

 

 

 

 

竜騎士ムーラは、西へ飛行していた。

クワトイネは蛮族と思い、舐めていた。しかし、偵察の際に見たのは、城塞都市エジェイの西側にて全滅した先遣隊の姿だった。

さらに見たことのない兵器の登場、アメリカ軍の存在。

クワ・トイネ公国に伝説級のドラゴンや魔王でも味方についたのだろうか?

先遣隊やワイバーンの全滅は伝説級のドラゴンや魔王であれば可能ではある

しかし、あんな短期間に全滅することなんてあり得ない

ま…まさか、古の魔法帝国が復活したというのか!?

ムーラの脳裏に、世界でも知らない者はいないと言われるおとぎ話が思い出される。

 

 

 

かつて、世界を統べた大帝国があった。

 

古の魔法帝国、絶大なる力をもって、すべての種を統べる者たち。

 

1人1人が人間より遥かに高い魔力を持ち、高度な知識を有し、超高度文明によって他の種から恐れられた人間の上位種、彼らはその高すぎる文明ゆえに、神に弓を引いた。

 

他の種族を支配し、超高度文明によって栄え過ぎた彼らに神々の怒りを引き起こした。

 

怒った神々は、古の魔法帝国のあったラティストア大陸に星を落とす。

 

星の落下を防げないと判断した帝国は、ラティストア大陸すべてに結界を張り、大陸ごと時を超越する魔法をかけ、未来に転移させた。

 

『復活の刻来たりし時、世界は再び我らにひれ伏す』と記載された不壊の石版を残し…。

 

ラティストア大陸の外れに少数の住んでいた魔帝の生き残りを、なんとか人族は物量で圧倒し、生き残りが持つ技術を全て吸収、絶滅させたのが、誰もが認める世界最強の国、中央世界にある神聖ミリシアル帝国と言われている。

 

ゆえに、神聖ミリシアル帝国は、古の魔法帝国復活を恐れていると言われている。

 

古の魔法帝国は最強で最恐であり、復活すればこの世界でも抵抗できず、支配されるだろう…

 

 

 

 

ムーラは、自分たちが戦っている相手は、もしかしたら、古の魔法帝国の末裔なのではないかと思い始めていた。

2万もの強軍の全滅、誘導魔法がかかった導力火炎弾、どれも常軌を逸している。

更に敵の鉄龍だ。

あれはムー大国で見るような飛行機械とは全く異なる形状であり、性能も桁違いだ。

 

 ヒューーン・・・・・・‥‥…ドーーン・・・ドンドンドーーン

 

鈍い音が響く。

前方に、火山が噴火したかのような猛烈な火炎が上がる。

 

「ま……まさか…あの位置は!」

 

嫌な予感、彼は本隊へ急ぐ。

彼が本隊上空へ達した時、その予感は的中している事を知る。

そこには黒く焦げた人間だったものが散乱していた。

本隊が居た場所は人間の骨すら残さないほどの火災が発生しており、まさしく地獄絵図が広がって居た

「ど、どういうことだ?本隊が…ぜ、全滅したのか?」

 

い、ったい……

 

と彼が燃え盛る光景を見ながら降り立ち、呆然としているところに背後から何かが接近するものがあった

それは鉄龍と似た金属の鉄像が迫ってきており、彼は驚愕した

 

「!?な、なんだ、あの鉄像は!?」

 

鉄像は複数いるのか、何両も移動し、彼の前に停車すると鉄像から何人もの兵士が降りてきた。

降りてきた兵士達はどこか熟練とした動きで何か変な杖をこちらへ向けた

 

(あ、あれは…)

 

相棒も怯えているのか、震えている。

「こちらはアメリカ海兵隊だ!降伏しろ、貴様はすでに包囲されている。」

 

彼はゆっくりと両手を上げた

もう勝つことができない抵抗に死が早くなるか、処刑されるか、のどちらかである。

ロウリア軍は数々の虐殺をしてきた

彼自身、あまりその手に加わっていないとはいえ、そんなことは関係ない。

目の前のアメリカ軍がどんな軍隊か、全く知らない。

だが、この様子だとすぐに処刑されるわけではないだろう。

せめて、処刑されるなら、家族に一目でも会いたいものだ…

アメリカ軍兵士が銃を向けたまま、近づく

「貴方を捕虜とします。抵抗しなければ保護しますので、抵抗しないようお願いします。」

保護?捕虜に保護なんてあるのか?

俺たちの戦争では敵兵士は捕虜とする場合、外交上有利となる貴族や将校なら捕虜となるが、一般兵は通常処刑されるか、奴隷のどちらかである。

すぐに処刑せず、捕虜を保護してくれるとはアメリカ軍とやらはどんな軍隊なんだ?

 

 

ムーラはアメリカ軍に対し興味を抱き、後に彼はアメリカカルチャーに驚愕することになった。

 

 

 

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