星と楓の異世界戦記(旧 2019年打ち切り)   作:ミュラ

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22獣人国家

 

アメリカ合衆国とフィルアデス大陸との間にある島国

 

グラミラート王国

 

 

第3文明圏に属する小国ではあるが、人間種以外の種族の中でも獣人の割合が非常に多く、獣人の国と呼ばれている。

 

アメリカから4500km地点、日本列島ほどの大きさの島国で、他国との繋がりはあまり持とうとしない

 

グラミラート王国は建国1000年ほどしか経っておらず、建国以前はフィルアデス大陸で亜人を迫害する過激的宗教が流行り、多くの亜人は迫害を受けた。

その中でも獣人族やエルフ、ドワーフなどは農奴、炭鉱夫、剣闘士奴隷、性奴隷などに大変人気もあったため、積極的に誘拐、捕獲、奴隷生産などが行われた。

獣人族やエルフ、ドワーフなどの亜人族は迫害から逃れるためロデニウス大陸やウェレス島(グラミラート王国)、ルクセイト島(アルタラス王国)へ逃げ、その中でも獣人族は高い身体能力があったため、ウェレス島へ逃れ、建国した歴史を持つ。

 

獣人国家グラミラート王国首都ハーボン・ロット市へ向け、アメリカ外交団は3隻のアーレイバーク級駆逐艦を引き連れて、訪れた。

一方グラミラート王国は大混乱となっていた。

今まで王国へ来るものはほとんどおらず、近年ではようやく獣人族や他の種族に対しても差別がなくなってきたことで商船が寄港するようになったが、巨大な鋼鉄製の船が複数も現れたことに驚愕していた。

 

「これはまた幻想的だな…城と樹木が一体化しているよ…」

 

「wow!こりゃあ、ハリウッドの連中も喜ぶだろうな!ア○ターに出て来る巨大な大木があるぞ!」

 

「まさに異世界か…」

 

とそんな艦隊へグラミラート海軍の戦列艦が臨検を行っている頃、王宮では騒然となっていた。

突如現れた灰色の巨大な鋼鉄製の船が3隻、白と黒のラインが特徴の巨大な船が1隻

彼らが何者なのか、文明圏の大国か?

列強国がついに攻め込んできたのか?など不安が抱えていた。

 

グラミラート王国 第6代目女王 メルシェイ

青い髪色に陶磁器のような白い肌、白を基調としたヨーロッパのドレス衣装に見に包み、尻尾はいくつもの狐のような尻尾が伸び、頭にも耳がついていた

周りにも犬耳や猫耳、鳥のような翼を生やす者もいた。

 

「将軍、状況を説明しなさい」

 

将軍は狸耳を生やした少しぽっちゃり体型の中年男性だ

 

「は、はい、港に現れた巨大な鋼鉄製の船は4隻であり、そのうち3隻が戦闘艦かと思われます。艦隊の掲げる国家はどこの国にも該当しない国旗でした!」

 

「どこにも該当しない?どんな模様かしら?」

 

「赤と白のラインがいくつもの線が横に並んでおり、左上に四角い青の中に白の星がいくつも載っています。」

 

「そんな模様は見たことがないわね…彼らは何と?」

 

「はい、只今海軍が臨検を行っておりますので、間も無く結果が着く頃かと思われます。」

 

そこに執務室へ兵士が書類を抱えてやって来る

「メルシェイ様!」

 

「来たわね…臨検の結果ね?そのままでいいので報告してください。」

 

港湾へやって来た巨大な船の艦隊は海軍が臨検を行ったところアメリカ合衆国・カナダ連邦という国々の特使が代表して、敵対する意思はない趣旨を伝え、詳しい話を聞くと彼らは以下の内容を伝えて来た。

 

・アメリカ・カナダという国は、突如としてこの世界に転移してきた。

・ロデニウス大陸のロウリア王国との戦争後、貴国に所属する獣人族を保護したので、その身柄を引き渡したい。

・両国はグラミラート王国と正式な会談を行いたい。

 

国ごと転移した話など執務室にいる誰もが、信じがたい表情をしていた。

しかし、アメリカやカナダという国自体は外部からの情報により知ってはいた。

まさかロウリア王国と戦争したなんて誰も知る由もなかったが

そもそも200mの艦隊でこんな小国に来るなんて砲艦外交以外何者でもない。

本当に大丈夫だろうか?

兵士によれば捕らえられていた獣人族は2000名ほどで非常に健康状態が良く保護されていること。

 

 

「アメリカやカナダ…噂では聞いておりましたが本当に実在していたとは…それにロウリア王国とも戦争したとは…あの忌まわしい王国がなくなることは喜ばしいことであるが、両国の特使が言っていることは本当であるか?」

 

「はい、引き連れた戦闘艦も護衛艦隊と言っておりました。」

 

「なるほど…おそらく海賊や人攫いの組織による奪還を警戒してくれていた可能性もあるわね…わかりました、会いましょう」

 

「!メルシェイ様!?」

 

「危険です!」

 

「何を言っておられるのですか?彼らは我らの同胞を救ってくださったのよ?今まで我が国を差別してきた国家と違い、同胞をここまで丁重に扱ってくれた国は悪い国ではないでしょう。」

兵士達や政務官達は指示通り、両国を王宮アーバストへ案内し、会議室へ待機させた。

両国の外交官は今まで見たことのない自然と人工物が調和している建造物に魅了されていた。

王宮には巨大な水晶石やクリスタルがふんだんに使われている。

もともとグラミラート王国のウェレス島は水晶やクリスタルが多く含む鉱脈を持ち、さらに魔水晶石と呼ばれる魔石とは異なる鉱石を採掘することが可能だ。

魔石はこの世界に存在する魔の力が鉱石に集積することで鉱脈として誕生する。

魔水晶石は鉱石に長い年月をかけて断層の圧縮と熱によって魔の力と磁力を生み出す効果があった。

 

閑話休題

 

 

案内された外交団の代表はこれまたセオドアであった。

 

「そろそろ休みが欲しいと思っていたが、こんな幻想的な美しい世界を見られるものなら悪くないものだ。」

 

「それは我が国にとっても大変光栄なことでございます。」

と別の方向から声がし、そちらへ顔を向けると狐の尻尾と耳を生やした美しい女性がいた。

後ろには政務官と思われる他の獣人族もいる

「私としてもこの光景は是非とも本国でお伝えしたいものです。あなた様がこの国の女王陛下でよろしいですかな?」

 

「はい、私はグラミラート王国第6代目女王 メルシェイ・ラ・ミラドルと申します。我が国へようこそおいで下さいました。歓迎いたします。こちらは…」

と将軍や外務局長など紹介して行き、まずはお互い社交辞令から入る。

「ご丁寧なご挨拶嬉しい限りでございます。私はアメリカ合衆国外交官のセオドア・アーノルドと申します。」

 

「カナダ連邦外交官、ヴェロニカ・ジョセフと申します。」

とこちらも返す。

 

「まずは同胞を助けて頂き感謝の言葉を言わせて頂きます。誠にありがとうございました。」

 

「いえいえ、陛下自らその言葉を頂けるとは我が国にとっても喜ばしいことです。

我らは同盟国へ宣戦布告した敵国を殲滅したにすぎません。

その中では獣人族の皆様や他の種族の奴隷が多くおりました。

我らとしても大変許しがたいことであり、その中でお助けしたにすぎません。」

 

外交官らは相手が陛下ということで言葉を選びながら発していた。

 

「そうですか…貴国の殲滅したロウリア王国は我が国にとっては忌まわしい国家でもありました。

 この度の来られた目的の中に我が国との国交も視野に入れているとお話を伺いましたが、詳しくお聞きしましょう。」

 

アメリカはクワトイネ公国やクイラ王国の時に活躍したプロジェクターなどで丁寧に説明し、国の紹介、文化、軍事力などを解説した。

彼らが紹介する内容は驚愕でしかなかった。

どんな国かと思えば、巨大な大陸に超科学文明国家

港湾に現れた巨大な船以上の大きさを持つ海軍力

繋ぎ目のない道路、圧倒的高さを誇るビル街、魔法なしでも巨大な鉄の塊を飛ばすことが可能な飛行機

大量消費社会を支える生産システム

どれもこれもが圧倒的であり、グラミラート王国側は唖然とした表情で見ていた。

これはおそらく本当であろう、港湾に現れた艦艇、見たことのない機械で綺麗な絵を動かす技術

 

一体どれほどの国力を持っているのか、想像を絶するものだった。

 

グラミラート王国にとって到底持ち合わせていないものばかりであった。

両国の要求は王国側で輸出物資、建材のクリスタルや魔水晶石、魚介類の輸出であった。

対して両国は科学やインフラ、基礎工作機械、留学の限定的な受け入れなどを輸出するとのこと。

 

あれほどの技術を輸出してくれるなんて、列強国ではあり得ないものであった。

これは関係者内部で詳しく話された。

実は獣人族は人よりもそれぞれの動物性に合わせて身体能力を有しており、中には飛行することも可能だ。

しかし、身体能力が高いのだが、魔法を一切扱うことができなかった。

なので、王国にとって魔水晶石は宝の持ち腐れであり、これを輸出するだけで圧倒的技術力や科学が入手できるならグラミラート王国側にとって大きなメリットであった。

アメリカ側にとっても王国との交流はアメリカから4500km離れている地点であり、民間船が補給できる場所が欲しいのと魔石はアメリカにとっても現在のところまで魔導師は生まれていないが、魔法を解析するにあたって重要な素材であり、他国からも魔水晶石は魔石の上位鉱石であり、遥かに稀少価値が高いとのこと。

他国はあまり王国に魔水晶石の鉱脈があるのを知らないが、アメリカは衛星解析により地中に埋蔵されているのを把握していた。

さらに亜人との交流はこれからの亜人国家との外交が柔軟に進ませるための一貫であった。

 

「こちらが詳しい国交内容でございます。」

と書類を政務官が受け取り、少しチェックしたのちにメルシェイへ手渡される。

 

メルシェイは内容に驚愕した。

話を聞くと確かにこちらに有利な好条件が多く含まれていたが、何かしらの条件はあるのだろうと思い、内容を読んだ

どの内容も平等な条約ばかりでこれだけの高い文明力を持つ国家なら、もう少し不平等な内容を仕掛けても問題ないのに…

 

(なるほど…両国は我が国と平和的永久のお付き合いを望んでいるのね?)

 

と生きて200年ほどの知恵で考えた。

(この二カ国なら長く付き合うことが可能なのかもしれないわね、内容は全く問題ないわね)

 

とグラミラート王国側も快諾し、アメリカ・カナダとグラミラート王国は国交を締結した。

 

そこへジョセフがとある質問をした

 

「この度国交を締結して頂きありがとうございました。

陛下は実に美しい女性でありますね、よければ年齢をお聞きしてもよろしいでしょうか?」

 

(!?おいばかやめろ!お前は陛下に何を聞いている!?)

とセオドアはやんわりと注意しようとすると

 

「はい、今年で201歳になりますよ」

 

「に…200?」

 

「・・・・・」

 

外交官らは絶句した。

まさか目の前にいる20代の女性が200歳なのだから、人は見かけによらないと思わず実感した。

「200歳とは長きに渡って長生きされているのですね…」

 

「はい。我が王家では代々妖狐族ですので寿命が長いのです、200歳であれば人族の30歳に該当しますわね」

 

「そ、そ、それにしてもお美しいですな」

 

「はい、ありがとうございます、良ければこの後我が国で歓迎の宴をさせてもらいたいのですが、いかがでしょうか?」

 

「はい、是非ともご参加させて頂きます。」

 

ということでグラミラート王国の宮殿の舞踏会で宴となった。

 

「これは肉料理か?これは結構イケる…これも美味いな…」(俺の日本人の友人もここへ連れてくると発狂するだろうな…日本のアニメ文化でケモミミ…だったか?ケモミミキャラクターは人気だからな…

いやむしろ犯罪を起こさないか、心配だな…)

 

「こんばんは、あなたがアメリカ合衆国の特使のセオドアでしょうか?今宵のパーティーは楽しんでおられますか?」

 

「うん?ええ、楽しませていただいておりますよ」

と貴族の若い獣人族の娘に声をかけられ、振り向く

そこには白髪の犬耳、白い尻尾、陶磁器のような白さとブルーアイ、豪華な民族衣装を身に纏った少女がいた

 

「それはよかったです。今宵は我が国の伝統的マルラマ料理や高級魚も使われておりますゆえ、セオドア氏のお口にあってよかったです。」

 

「ええ、貴国の料理は大変美味なるもので、美味しく頂いております、お嬢様の名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

 

「はい、私はエルモン家次女のマミュと申します。」

 

(・・・・・ああ、出たな、この手の宴はこの世界では貴族として繋がりを持つために近づく者が…ジョセフ殿は大丈夫だといいが…)

とジョセフを見るとすっかり犬耳や猫耳の女性を話してデレデレである。

 

(…外交官だよな?情報を漏らさないか、心配だ…)

 

少し頭を抱える

異世界各国はどうやら西洋の中世が中心に多くの文化がフランス・イギリス・ドイツ・イタリア風と多くあった。

貴族間との付き合いでも異世界に転移してから外交官たちはできる限り貴族のご機嫌をとり、穏便に婚姻話を避ける対話力も求められるようになった。

中世近世では貴族や王族が行うパーティーは情報交換の場だったり、秘密裏に何か約束事・互いの腹の探り合いも裏では目的だったりする。

このような場でアメリカやカナダは当然注目の的となるため、貴族から若い娘を紹介、外交官や護衛の若い女性が貴族男性にナンパされることもしばしばある。

 

「これはお若い、この国は本当に獣人族の方が多いのですな」

 

「はい、我が国は8割以上が獣人族で占められておりますので、色んな種族が居られますよ?」

 

「ほう、例えばどんな種族がおられるのですか?」

 

「ふふふ、アメリカやカナダの特使の方は本当に獣人族のことをご存じないのですね…私たち犬耳を生やしている種族は犬耳族、ほかにも猫耳族、狸人族、翼人族、狼人族、妖狐族、リス族、熊人族など多くの種族がおられます」

 

(つまり動物の種類ごとにいるというわけか、是非とも彼らの遺伝子を見てみたいものだ、しかも呼び名が地球の動物と一緒とはこの世界は本当に不思議なものばかりだ。)

 

「なるほど、多くの種族がおられますのですね」

 

「はい、貴国が助けて頂いた獣人族も多くの妖狐族や翼人族、狼人族などでした。」

 

「そうですか…彼らが助かってよかったものです。」

 

「はい………」

 

マミュが下へうつむいた後体が震え出した

 

「ど、どうしたのかね?具合でも…」

と言葉を続けることができなかった、なぜならマミュがそのままセオドアに抱きついたのだ。

 

「!?マミュお嬢様!?」

 

「・・・ありがとうございます…本当に…貴国が助けて頂いた獣人族の中には私の妹もいました…」

と落ち着く

 

「本当に…ありがとうございました…本当に…妹は五体満足で元気に戻るまで私は心配で堪らなかったのです…」

 

「・・・・・」

!そうえば記録の内容ではエルモン・リリシアという貴族女性もいた

エルモンと同じ特徴があるということは彼女で間違い無いだろう。

 

「それが元気な妹の姿を見て、私たちをちゃんと見てくれる人族がいるんだって……実感しました…」

 

「・・・・・」

 

「失礼なことはわかっています、ですが、どうしてもお礼が言いたくて…」

と涙を流しながら抱きついた

 

セオドアは無言で娘をあやす父親のように背中を優しく叩く。

 

「そうですか…マミュお嬢様のご家族がご無事でよかったです…」

 

しばらくそうしていたが、セオドアはあることに気づく、考えてみればここは舞踏会の真ん中だ。

色んな貴族や王族、外交官もいる。

つまり、視線を集めるのにそう時間がかからなかった。

端の方では微笑ましそうにメルシェイや政務官、兵士が見ていた。

端の方ではジョセフも羨ましそうに見ていた。

 

!?

 

流石に外交官の道を歩いて10年、実年齢30代であったセオドアは急激に恥ずかしくなった。

 

しかし、急に離すこともできず、いくつもの拍手が上がった。

 

獣人族は種族ごとに多くいるが、グラミラート王国は非常に結束力が高く、それ故仲間を助けたアメリカやカナダに好印象であった。

その後、アメリカとカナダの外交官や兵士はグラミラートからこれでもか、というほど熱い感謝を受け、アメリカ・カナダとグラミラートとの繋がりが誕生した瞬間であった。

 

 

余談であるが、セオドアはマミュから猛烈な熱愛を受けることになり、ジョセフから血涙で見られることになった。

兵士たちからは羨ましいそうな視線を帰国の旅路への間味会うことになった。

 

グラミラート王国からの鉱石でもアメリカ軍を仰天させる鉱物が発見されることになったのはのちの話になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ふふふ、第一印象はこれで良いかしら?超大国アメリカ、カナダ何としても繋がりを作らないとね♪…全ては王国のために…)

 

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