星と楓の異世界戦記(旧 2019年打ち切り)   作:ミュラ

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24フェン沖海戦後編

フェン王国派遣艦隊

旗艦強襲揚陸艦アメリカ級ブーゲンビル

艦長フランクリン

 

「艦長、フェン王国沖合まであと10分です。」

 

「うむ、わかった。」

 

米国が主体となり、新しく発足させた北米大陸条約機構(North American continent treaty

organization)NATOは、北大西洋条約機構とは全く違う新しい機構として発足した。

 

かつての国連はもはや機能しなくなり、旧国際連合本部を中心とし、国連の機能をそのまま移植したアメリカ合衆国とカナダを中心とする北米大陸条約機構の本部として使われた。

この条約機構はアメリカやカナダを中心とする北米大陸国家と軍事同盟、安全保障条約を締結する国家などが加盟する。

基本的に異世界の国家が持つ軍事力ではアメリカ軍との連携はかなり厳しく、アメリカ軍が主体となって敵国家と連合となり、敵国家と戦争する。

これはアメリカ合衆国との重要な貿易関係を持つ国家を保護することで権益を守ることが、最も重要な事項であった。

これが現代の地球であれば必要ないのだが、戦争が日常茶飯事の世界で安全に貿易国との交易ができるはずがない。

そのためにクワトイネ公国、クイラ王国、グラミラート王国など軍事同盟を締結。

 

まだ、新しく発足したばかりで加盟国は4カ国と少ないが、これはアメリカ政府とカナダ政府が事前に制限をかけているからだ。

無闇に北米大陸条約機構へ加盟してもらうと北米大陸国家側にとって利益を出さない国家まで守る義務が発生するからだ。

なので、加盟には厳しい審査があり、この条約を知る他国ではこれに加盟しようと外交上で躍起になっていた。

はじめに言えば、アメリカやカナダはあくまでも北米大陸条約機構へ加盟することには制限をかけているが、国交を締結しないとまでは言っていない。

だが、文明圏外の国家はアメリカやカナダと国交を締結することでアメリカ軍の軍事力を背景に外交に利用しようとする動きもあった。

 

 

 

閑話休題

 

 

 

フェン王国派遣艦隊は、フェン王国もアメリカ側にとって良好なウラン鉱石などが採掘できるため、パーパルディア皇国との戦争状態であったフェン王国を守るために派遣された艦隊だ。

 

フェン王国派遣艦隊はパーパルディア皇国との戦争状態が終結するまで駐屯することになり、現在パーパルディア皇国の艦隊が進撃している情報を受けて、急行していた。

 

フェン王国派遣艦隊

 

旗艦強襲揚陸艦アメリカ級ブーゲンビル

アーレイバーク級駆逐艦

・マスティン

・チャフィー

・マンセン

 

沿海域戦闘艦インディペンデンス級

・ジャクソン

・モントゴメリー

 

強襲揚陸艦には陸上戦力や航空戦力艦上戦闘機Fー35B型、輸送機MVー22D型、CH-53E/K、汎用ヘリコプターUH-1Y、MH-60S、戦闘ヘリコプターAH-1W

 

など計35機の航空戦力

 

それに加えて後期型のアーレイバーク級駆逐艦や沿海域戦闘艦インディペンデンス級など異世界の国家に対し十分すぎるほどの戦力を派遣した。

 

 

彼らに新たな下された任務が、第二次皇国監査軍東洋艦隊を撃滅するため現場へ急行し、今回は殲滅せず、できる限り戦死者を出さず退却させろ、と言うもの。

 

 

この艦隊の司令官はエイドリアン准将

 

エイドリアンは先のロウリア王国との戦争を考えていた。

特に4400隻VS20隻との戦闘はアメリカ軍の圧勝となった。

戦列艦とイージス艦、性能の差という話の次元ではない、もはや一方的なジェノサイドだった。

ロウリア王国のギム虐殺が大々的に報道されたことで国民は報復色が強くなったため、追求はされなかったが、今回は完全なる防衛戦となる。

帆船はマストがなければ行動能力を失ったも同然である。

ならば、最初の戦列艦はあえてマストを狙い、相手が退却できるようにする必要がある。

パーパルディア皇国と合衆国は戦争状態とはなっていないが、CIAやペンタゴンは戦争になるのも時間の問題と考えている。

あの国は列強国である上、我が国とカナダとの国交がある国へ侵攻する可能性が非常に高く、未だパーパルディア皇国外交団は良い返事をもらっていない。

だが、今のアメリカにとって大規模な戦争ができるほどの余力はあまり残っておらず、できれば避けたい。

少なくとも1年は待って欲しいところでもあった。

と考えたエイドリアンは戦闘準備に取り掛かるが、そんな彼に一本の通信が入った。

 

それはウラン鉱石を運搬するノース号からの救援だ。

内容は謎の45隻の艦隊から襲撃を受けたこと、ノース号を護衛していた巡視船マンローが敵艦隊との交戦に入ったことで、エイドリアンは直ちにFー35D攻撃隊を発艦させ、向かわせるのであった。

 

 

 

 

 

 

巡視船マンローの状態は非常に最悪な状態となっていた。

第二次皇国監査軍東洋艦隊から距離1000mで砲撃されたマンローはヘリ格納庫、機関室、通信アンテナ、艦橋などへ命中し、ヘリ格納庫で火災が発生。その数秒後に通信アンテナが残留した砲弾の爆発により損傷、さらに機関室でも運悪く砲弾が爆発した影響によりガスタービンとディーゼルエンジン2基と推進軸が損傷したことで15ノット程度しか速力が出せなくなった。

さらにハープーンSSM 4連装発射筒も1基が支える支柱に砲弾が命中し、倒れてしまった。

マンローはすでに半包囲されており、後続がマンローの退路を塞ぐように回り込む。

完全なる包囲状態となったマンローは満身創痍ながらも幸いだったことは武器系統にハープーンSSM 4連装発射筒1基以外あまり問題はなく、戦闘可能であったこと。

アメリカ沿岸警備隊と第二次皇国監査軍東洋艦隊との戦闘が幕を上げた。

 

目の前の白い船は後部から爆発したと思えば炎上し、船体には複数の弾痕があった。

あれだけ砲撃して轟沈しないとは驚いた…

蛮族が作る船はあっという間に沈むものだとヴァルロアートは思っていたが、どうやら考えが甘かったらしい。

だが、関係ない。砲弾は装填が完了するのに数分はかかるが、あの船は反撃のそぶりを見せない。

もう一撃与えれば撃沈するだろう。

ここまで巨大船だと竜母からワイバーンロードを出撃すべきか迷ったが、使うまでもない。

とタカを括っていると巨大な船は聞いたことのない唸る音がしたと思えば急加速した。

な!?なんだ、あの加速力は!?一体どんな魔法を使っている!

白い船は砲撃を回避するために回避行動し、船首の巨大な砲台が動いた。

 

「あれは砲台か、蛮族があれほどの大砲を作る技術があるとはな…」

と関心を抱くと突如砲台からダンと轟音をあげると近くにいた戦列艦が爆発する

 

「な、なんだ!?」

と考える余地もなく、砲台からはダン、ダン、ダン、ダン、ダンと連続的に音が響き、次々と戦列艦が被弾していく!

被弾した戦列艦は1発では沈まなかったが、すでに大破寸前まで追い込まれていた。

マストは倒れ、船首はすでに木っ端微塵となり、船倉に積まれていた爆発物が爆発する!

「く、なめやがって、あの船を撃沈しろ!放てええええ~ーー!!竜母からもワイバーンロードを発艦させろ!!!」

 

第二次皇国監査軍東洋艦隊はドドドーンと次々に砲撃するが、急発進急加速を繰り返す白い船になかなか当たらない。

そして、甲板についていた棒状の何かに人が取り付くとそこからダダダダダダダダダダと連続音が響き、戦列艦がボロボロになっていった。

 

 

 

 

「Fire!Fire!!Fire!!!全ての弾薬を使い果たす勢いでアタックしろー!!!」

とマンローに搭載されている62口径76mm単装速射砲×1基、Mk.38 25mm単装機銃×2基、Mk.15 20mmCIWS×1基が砲火を吐き、白い船は次々発砲する硝煙で漂っていた。

「か、艦長!ハープーン準備完了しました!」

 

「よし、左舷に展開している艦隊に攻撃しろ!そこから空いた穴から包囲網を抜け出す!」

 

「了解!目標B群、23番から27番目標!攻撃開始!ハープーンFire!」

 

とハープーンSSM 4連装発射筒からハープーンが連続的に発射する。発射されたハープーンはあまりにも距離が近いため、一旦艦隊上空を通り過ぎた後、外部から再び目標へ攻撃するようプログラムされていた。

甲板でも戦闘要員がMk.38 25mm単装機銃やM2 12.7mm単装機銃を使って、戦列艦に攻撃していた。

距離1000mであれば十分射程圏内であったため、銃座には機銃手、弾薬運搬、それ以外はM4カービンを使って攻撃する

「くそ!奴ら撃っても撃っても次々と現れやがる!ケン!そっちはどうだ!ジョージ!」

 

「ああ、なんとか突破口を開きたいとこだが、さっきのハープーンが開いてくれることを祈っているよ…」

 

「だあ~ファック!それまではこの状態ということかよ!」

 

「!?伏せろ!」

とそこへ空からいきなり、火炎弾が甲板へ降り注ぎ、乗員を火だるまにする

「うわああああああ~ーーー!!!」

 

「助けてくれー!」

 

そこには火だるまになった者、火炎弾によって身体の一部が欠損した者、頭を抱えて伏せている者

まさしく戦争だ。

空にいつの間にか、飛んでいる竜から放たれる人間も炭に変えるかのような高温の火炎弾。

空の薬莢が甲板に転がる

繰り返し砲撃される火炎弾によって船体へ着弾音が響きわたる。

 

俺たちが一体何をした?訳も分からないのにいきなり転移して、ただ仲間作りしているだけなのにこんなことって…理不尽だ…

ちくしょう…娘に会いたい…

 

 

 

提督ヴァルロアート

 

マンローは持っている限りの装備をフル活用し、第二次皇国監査軍東洋艦隊は思わぬ苦戦を強いられていた。

たった1隻、1隻に第二次皇国監査軍東洋艦隊は既に4隻の戦列艦が撃沈され、6隻が無視できない損傷が出ていた

先ほど、打ち出した光の矢はなんだったのか、さっぱりわからなかったが、我が外務局所属皇国監査軍東洋艦隊がなんてざま…!

だが、奴もワイバーンロードが加わったことでいくつか被弾したのか、火災を起こしている。

あれならもうすぐ撃沈可能だろう。

まさか、あれほどの戦闘能力を蛮族が持っているとは考えにくい、やはり列強国か…

だがどこだ?あの白い船は魔導師からの情報では全く魔力の反応がない、とのことだ。

魔力を一切使わず、これほどの光の弾幕を張る?

あり得ない、できればあの船を拿捕したかったが、ここまで抵抗されては仕方ない。

せめて、あの乗員を捕虜にすれば何かしらの情報は得られるだろう

上空にはようやくワイバーンロード部隊が展開できた。

これで終わる。これで…と

「ち、思ったよりも頑丈だな…一体どこの列強国が建造した船なんだ?」

 

すると背後からヒュー・・・‥…と風を切るような音がだんだん大きくなってきた。

人生で聞きなれない音にヴァルロアートは後ろへ振り向く

するとそこには白い矢が天空へ向かって飛翔していた!

「な、なんだ、あの矢は!?」

 

白い矢は天空へ上昇したか、と思うとまるで誘導されるかのように下へ急接近した。

 

「!まずい、あの矢を迎撃しろ!!!」

とヴァルロアートが命令を出すが、水兵がそれを認識する前に白い矢は4つの戦列艦へ連続的に命中した。

命中した戦列艦は巨大な火柱を立てると船体が黒煙で見えなくなった。

爆発の衝撃波は隣にいる戦列艦へも影響し、マストが折れ曲がっていた。

 

「・・・・・!!!!!!!!!?戦列艦クロード!マミュニア!ダート!アルロート!しょ、消滅!消滅しました!!!」

 

「ば、バカな一体何が…先ほどの攻撃はどこから来たというのだ!……!!!??ま、まさか…」

 

先ほどの巨大な白い船から謎の光の矢!!!

 

あの時か!?だが、一体どうやって戻ってきたというのだ!?奴はまるで自分で意思を持つかのように正確に攻撃した!

しかもそれが寸分の違いもなく正確に4隻ともに命中したというのか!?

 

 

ヴァルロアートの中であの船は危険であると信号が鳴っていた。こいつの情報を何としても祖国へ届けないと…我が祖国の命運に関わることになる…!

最初はただの巨大なだけの蛮族の船だと思っていた。

それが蓋を開けてみればどうだ?

戦闘開始から5分ほどであの船はダンダンダンダンダンと連続の轟音が響くと次々と戦列艦が被弾し、連続音がなると蜂の巣にされた戦列艦も出た。

彼らは既にこちらの攻撃がいくつも命中しているだろうが、火災となり、艦が傾いていた。

たった1隻に第二次皇国監査軍東洋艦隊45隻のうち半数が中破損傷し、10隻が撃沈された。

こいつを何としても沈めなければ…

ヴァルロアートは白い船は既に満身創痍であることがわかっていた。

連続音も光の弾幕もだんだんとなくなってきた。

沈めるなら、今だ!と強く決心した提督は息を吸い、命令を出す

「砲撃しろ!!!奴はもう虫の息だ!あと少しで奴を沈めることができる!全艦突撃しろ!!!」

 

『うおおおおおおおおおおおーーーーーー!!!』

 

と艦隊はマンローを追撃する。

 

 

 

巡視船マンロー艦橋

 

「艦長!!!ハープーン命中!突破口が開きました!!!」

 

「よし、そこへ舵を取れ!機関最大船速!!!」

 

艦はガスタービンが唸りを上げる。

 

 

 

キュウウーーーーーーン!!!!!

 

 

船体は急加速と急停止を繰り返し、既に機関室では残った機関を動かそうと乗員が走り回っていた。

武装も62口径76mm単装速射砲×1基、Mk.38 25mm単装機銃×1基などがなんとか射撃しているが、それ以外の装備が上空からの攻撃により既に使えない状態であった。

唯一頼みであるRAMも対空レーダーが損傷したことで攻撃することができなくなった。

しかし、できる限り主砲や機銃は弾薬が許す限り打ち続けた。艦橋内は悲鳴と損害報告や弾薬切れなどの報告が飛び交った。

元々海賊などの武装勢力を撃退することが前提の巡視船にこれだけの艦隊と近場でやり合うような艦ではない。

ハープーンも撃ち尽くし、対空システムも被弾してダメになった。

 船体はなんとか包囲網から脱出するも戦列艦に搭載された3連式カノン砲が船首からこちらを狙っており、距離は一向に伸びない。

全速力でも15ノットしか出せない状態で、ただひたすら助けを待った。

船首が艦隊とは反対方向を向いているため、艦隊へ砲撃はできない、できることは上空を飛翔している竜を追い払うために弾幕を張ることくらいだ。

だが、残弾も残り2割を切ったとき、艦長以下乗員たちは覚悟した。

 

「くそ…万事休す…か」

 

と聞いたことのある音が前方の方角から聞こえてきた。

それは何かを噴射する音であった。

この音は…

 

 

 

ケンも甲板の上でMk.38 25mm単装機銃を上空にぶちかましていた、上空に弾幕を張る中、最悪の通知音が響く

ドドドドドドド・・・ピーピーピー!

 

残弾が切れた音だ。

 

く!残弾なしか…マズイ…うん?この音は…これは…

 

マンローからの攻撃が止んだことを好機と見て上空に飛翔しているワイバーンロードが襲いかかろうと降下しようとしたときワイバーンロードは爆発した!

突如爆発したワイバーンロードは竜と竜騎士がバラバラとなり、そのまま海へ落ちる。

 

それを見たケンは歓喜した

 

「やっと来やがったか…おせーぞ!海軍!!!」

と上空にF-35Bが6機上空に現れた。

これに乗員たちは歓喜した!

やっと…やっと…救援が来たからだ。

 

その後、衝撃と共にケンは意識を失った。

 

 

それと反対に第二次皇国監査軍東洋艦隊の水兵や将校たちは驚愕した表情で顔色が真っ青になった。

 

自分たちはたった1隻の強敵に遭遇し、あと少しで撃沈できるところで頼りの上空へ展開していたワイバーンロードが突如見たことのない光の矢によって全て撃墜された。

光の矢は正確にワイバーンロードを狙っており、回避しようとしたワイバーンロードにまるでそこを通ることを予測しているような軌道であった。

状況が非常にまずいことになったことを察知した、将校をはじめとする水兵たちは恐怖を感じ始めた。

そう、上空に展開していたワイバーンロードは航空兵力の中でも最強の分類であり、その20騎全てが撃墜した。

上空には見たことのない鉄竜が飛翔し、ヴァルロアートも唖然とした表情で見ていた。

それは上空をずっと旋回している様子を誰もが恐怖で動けない中、白い船の先にさらに灰色の巨大艦が出現した。

 

それも複数…中には船とはとても思えない形状をしている船もいた。

 

白い船はその灰色の艦隊の後方へ避難すると目の前の灰色の艦隊にも搭載されていた大砲がこちらを向いた。

距離2000m、艦隊の数は5隻、前衛の3隻が一斉に砲撃した。

 

「!!!!せ、戦列艦クルート、ウッズ!ラルト!!ご、轟沈!!!!」

 

!!!???

 

ば、バカな…あれほどの距離が開いているのに関わらずこちらを正確に砲撃して来た。

ま、まさか…あの艦隊は古の魔法帝国の艦隊なのか!!!

 

 

既にヴァルロアートは頭が真っ白になっており、第二次皇国監査軍東洋艦隊も合計20隻の艦隊を撃沈、5隻は逃走した。

残り竜母を含む20隻の艦隊のうち17隻が先ほどの白い船との戦闘で損傷していた。

 

一斉射撃した灰色の艦隊は2発目が放たれ、また、3隻が撃沈される。

3発目は3隻のマストに命中したのか一気にマストが他のマストを巻き込みながら倒壊したり、横転するものが出る。

信じがたい連射能力と命中精度…

通常大砲は有効射程2kmであるが、さらに命中弾を得るには弾幕を張るために大砲を多く搭載した100門級、150門級と大砲を多く搭載する。

波が存在する船の上で海の目標へ当てるのは至難の技だ。

多くの大砲を搭載しても距離2kmの100門中命中するのは1割未満、1kmであれば3割と命中精度はやっと上がる。

 

そして、さらにバラバラバラと何やら空気を叩くような音がすると思えば今度は鉄の虫が現れた!

「!?くそ~!!!撃ち返せ!あのハエどもをたたきおとせ!!!」

もはや命令は叫び声となり、兵士たちも恐怖の顔で撃ち落そうと大砲の広角を上げて上空へ打ち上げる。

 

第二次皇国監査軍東洋艦隊へ止めを刺しに来たのはアメリカ海軍のフェン王国派遣艦隊、旗艦強襲揚陸艦アメリカ級ブーゲンビルから飛び立った汎用ヘリコプターUH-1Y、MH-60S、戦闘ヘリコプターAH-1Wだ。

計12機の航空隊が空から第二次皇国監査軍東洋艦隊へ襲いかかる。

空に待機しているF-35Bも攻撃に加わり、わずか数分で第二次皇国監査軍東洋艦隊は4隻だけとなった。

竜母も戦闘ヘリコプターAH-1Wのロケット弾攻撃によって爆沈した。

4隻となり、攻撃が止む。

 

「ば、バカな…一体何を間違えたというのだ?」

 

「て、提督!!!た、直ちに撤退しましょう!!!」

 

「て、撤退だ…と…!」

 

「今や第二次皇国監査軍東洋艦隊は旗艦を含めたった4隻だけになりました!攻撃が止んでいる今がチャンスです!!!」

 

「く…う……て、撤退…する…」

 

 

ヴァルロアートは目の前の灰色の巨大艦を目線で殺す勢いで睨みつけたあと、撤退した。

 

艦隊が次々と撤退する様子にアメリカ軍は不気味にも一切何もせず、ヴァルロアート提督以下第二次皇国監査軍東洋艦隊は満身創痍になりながら撤退した。

 

旗艦強襲揚陸艦アメリカ級ブーゲンビル

エイドリアン准将

「司令官本当によろしかったのですか?彼らは軍組織に属しているとはいえ、民間船に手を出そうとしたテロリストどもですよ」

 

「・・・例え行動がテロリスト同様でも彼らは軍人であり、人間なのだ。既に決まっていることをわざわざ手を下す必要はない。できれば彼らには海面に漂う乗員の救助を行って欲しかったが、彼らを救助せよ」

 

「アイアイサー!」

 

これで我々アメリカの力はパーパルディア皇国に伝わり、戦争しようとする意思はなくなるはず…

できれば決まっている戦いにおいて無駄死にする兵士は少なくしたかったが、彼らは巡視船マンローに攻撃した。

それは即ちアメリカへの攻撃意思とも取れ、今のアメリカに大規模派兵はできなくはないが、そこまで余力はない。

戦争を行うことになれば何より民衆が許さず、例え結果が予想されていたことでもそれを認識することができなければ行動に移せず、アメリカ国民は戦争に消極的だ。

巡視船マンローも集中攻撃によりボロボロとなっており、現在本艦で負傷者を治療中だ。

これ以上戦火が広がらないことを祈りながら、任務をこなすのであった。

 

 

 

 

ブーゲンビル艦内

「う、うう…」

 

「!ケン!目覚めたか!」

 

「あ、ああ…ここはどこだ…」

 

「ははは、ここはアメリカ海軍の強襲揚陸艦の中だ。お前は甲板で敵機の攻撃を受けて、気絶していたのさ」

 

「そうか、もう戦争は終わったのか…」

 

「ああ、海軍さんが奴らを蹴散らしてくれた、ケンにも見せてやりたかったぜ」

 

「よせ、もう俺はコリゴリだ」

 

その後、巡視船の行動はアメリカ政府や国民から評価され、乗員全てに勲章を贈与されることになるのだった。

ケンも後日、無事帰国して娘と泣きながら会っていたという・・・・・・・

 

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