星と楓の異世界戦記(旧 2019年打ち切り)   作:ミュラ

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6凶行

 

 

 

クワトイネ公国、西部国境付近 貿易都市ギム

 

クワトイネ軍西部方面騎士団、第一飛龍隊、第二飛龍隊を管轄する司令官西部方面騎士団団長モイジは、焦燥感と緊張感にかられていた。

 

西部方面の国境付近に配備されている戦力は歩兵隊2500人、弓兵隊200、重装歩兵隊500、騎兵隊200、軽騎兵100、飛龍隊合計24騎、魔導師30人、鉄砲隊10人

 

ロウリア王国は国境付近に軍を集結させているという情報が入ったときからクワトイネ側は警戒体制となり、準有事体制へ移行した。

 

国境付近に集結しているロウリア軍勢はこちらの戦力を優に上回り凌駕していた。

 

さらにロウリア王国側はこちらの通信を一切遮断し、無視されていた。

既にギムでは外国人を中心に避難が開始されているが、まだギムには9割の住民が住んでいる。

クワトイネ公国政府も、市民を避難させていたが、まだ時間がかかっていた。

 

ロウリア軍の戦力は歩兵隊2万、重装歩兵隊5千、騎兵隊2千、特化兵隊(攻城兵器や、投射機等、特殊任務に特化した兵)1500、遊撃兵隊1000、魔獣使い250、魔導師100、そして、竜騎兵隊150である。

 

これだけの戦力差に加えてワイバーンが150騎という圧倒的差である。

 

できれば、この場から早く逃げ出したいと思っていた。

目の前の軍勢はどう考えても勝てない。

我々ができることは精々相手に出血を負わせるくらいしかできないだろう。

モイジはそんな気持ちを抑えて、気品溢れる声で部下に尋ねる。

 

 

「ロウリアからの通信はないか?」

 

モイジは魔力通信士に尋ねる。

 

「こちらからの通信は、確かに届いているはずですが、現在のところ、返信はありません。

それどころか、こちらからの通信を無視し続けています。」

 

多少の兵力差なら作戦で、善戦はできる。

しかし、今回は圧倒的すぎる差がある。いったいどうすれば良い?

こんなものただの一方的な虐殺となる!

何とか司令部から増援が出ないものか…

 

「司令部からの、増援要請の回答はどうなっている?」

 

「司令部には、再三に渡り、要請していますが、「現在非常召集中」とのみ回答が着ており、具体的な回答はありません」

 

「ちっ!!のんびりしている暇は無いというのに!!!さっさと今ある兵力だけでも増援をもらわないと、ギムを放棄することになるぞ!!!奴らはどんどん侵攻することになる!畜生!!」

 

くそ!これだけの戦力差で敗北することは既にわかっている!ならばアメリカから導入したショットガンという新式銃で何とか相手にできるだけ出血を負わせてやる!

 

司令官として戦を始める前から負けることを認め、諦めることは間違いなのかもしれない。

だが、どうせ、敗北するというのならば、クワトイネ公国軍の誇りを見せてやる!!!

 

 

 

 

 

配備された鉄砲隊はアメリカから導入されたショットガンM37イカサやリボルバーの扱い方を教え込まれた鉄砲隊だ。

クワトイネの中でも最強の部隊であり、近距離ならばワイバーンすら勝利できるという画期的な武器だった。

ただし、アメリカから導入された鉄砲隊は導入されて2ヶ月ほどの部隊だ。

練度もそれほど高くはなく、高火力を有するが、まともに戦えるか、どうか…

 

元々弓矢や剣で戦う兵士に近代兵器の扱いを教え込むことは非常に難しく、そもそも常識が全く異なるところから壁が立っていた。

最初の段階でリボルバーの反動や発砲音に怯え、驚きを抑えるところから始まり、次の問題も馬がリボルバーやショットガンの放つ射撃音にびっくりし、使えなくなるという事態も発生した。

文明圏が持つ銃や大砲によって文明圏外の国家が運用する騎兵を発砲音のみで使えなくなったことは非常に有名な話で、まさしく課題も多かった。

それでもアメリカの企業や軍人は分かりやすく、簡単な整備や撃ち方などを教え込んだが、戦術についてはたった2ヶ月で教えるなんて焼け石に水だ。

それでも何とか形になり、優秀な人材を選別したメンバーだが、それでも不安な気持ちに駆られながら準備を着々と進めるのであった。

 

 

 

 

 

クワトイネが導入したアメリカ製の武器はクワトイネ公国を驚かせるのに十分な武器であった。

今までの戦争は隊列を組み、槍兵、大砲、弓兵、歩兵隊、ワイバーンなどが主役であったが、ショットガンやリボルバーというものは恐ろしく効率よく敵を殺すことができ、一人の兵士から放たれる火力は魔導師の火力に匹敵する。

それが何発も連続で撃つのだから、敵からすれば絶望する火力だ。

さらに威力も重装歩兵を一撃で吹き飛ばすほどで、もし、市街戦、森林戦、洞窟など範囲が狭い地域でこの兵器を導入すれば圧倒的な制圧力で敵兵は肉片となる。

 

銃というものはパーパルティア皇国やロウリア王国でも導入しているマスケット銃があるから知っているが、非常に高価で維持費、製造費、火薬の確保などの問題から多くの武器を導入することはクワトイネやクイラ王国は財政的に厳しかった。

もともとお世辞にも裕福とは言えない二カ国がアメリカとカナダとの国交締結できたことは幸運だった。

ショットガンは射程150m、リボルバーは100mと従来のマスケット銃とは一線を画する。

ショットガンは水平連装式ショットガンとイカサM37、リボルバーはシングルアクションアーミーといった比較的に整備の簡単な武器をアメリカ側は無償提供した。

 

本当であればもっと欲しかったが、無償提供された以上の量を買おうとすれば、価格はクワトイネ側から見てマスケット銃の5丁分ほどの値段だったため、少数にしか配備できなかった。

最終的に配備できた数は全部でショットガン50丁、リボルバー150丁だった。

そのうち扱えた兵士は50人ほど。

 

 

シングルアクションアーミーは100年以上前のリボルバーで、現在では美術品としての価値が高く、少数ではあるが、生産されている。

 

だが、もし、時間と資金があればアメリカから導入したリボルバーやショットガンだけで戦争のあり方を変える武器に匹敵するものだった。

 

 

 

 

 

 

 

それぞれの思いを乗せ、無常にも時は過ぎていった。

 

中央歴1639年5月早朝―――――――――

国境から20kmの町、ギム

 

突如として、ギムの西側国境から、赤い煙が上がる。と、同時に通信用魔法から、緊迫した通信が入る。

 

『こちらホークス!!!ロウリアのワイバーン多数がギム方向へ侵攻!!!同時に歩兵…数万が国境を越え、侵攻を開始した!繰り返す、はっ!?クソ!背後からワイバーン接近!回避…ぐあぁぁぁ!』

 

魔法通信が突如途絶える。

赤いのろし、ロウリアがクワトイネに侵攻した合図、それを目撃した西部方面騎士団団長モイジは吼えた。

 

くそ!ついにきたか!

 

「第一飛龍隊及び第二飛龍隊は全騎上がり、敵ワイバーンにあたれ!!軽騎兵は、右側側面から、かく乱しろ!!騎兵200は遊撃とする、指示あるまで待機!!最前列に重装歩兵、鉄砲隊その後に歩兵を配置、隊列を乱すな。弓兵は、その後ろにつけ、最大射程で支援しろ!

魔道士は、攻撃しなくて良い、全員で、風向きをこちらへ風上としろ。」

 

飛龍が舞い上がる。全力出撃の24騎、高度を上げる。隊を2隊に分け、1隊を水平飛行、2隊目に上昇限度まで高度を上げさせる。

 

やがて、ロウリア王国の方向の空に黒い点が大量に現れる。その量に、クワトイネの飛龍部隊は驚愕する。

 

ロウリア王国東方討伐軍先遣隊 飛龍第一次攻撃隊 その数75騎

 

クワトイネの飛龍部隊は、勇猛果敢に、ロウリア側の飛龍へ突っ込んでいった。

 

ロウリア王国の飛龍部隊75騎は、クワトイネの飛龍を視界に捕らえた。

ロウリア軍第一飛龍部隊 部隊長

 

 

「火炎弾の空間制圧射撃を実施する。」

 

飛龍を指揮する竜騎士団長アルデバラン、彼は一気にケリをつけるつもりだった。

75騎のワイバーンが、面のように、並び、口を開ける。

口の中には、徐々に火球が形成されていく。

 

「発射5秒前、4,3,2,1、発射!!」

 

75騎のワイバーンの火炎弾一斉射撃、火炎弾の回転方向により、面の内側の火球は推進力を経て射程距離が面外側よりも伸びる。

 

この特性を使い、クワトイネの龍が射撃を開始する前に、一斉射撃を実施。

クワトイネの飛龍12騎に直撃、落ちていく。

 

「隊を2つに分けていたか…。上空に警戒せよ」

 

アルデバランが指揮をした40秒後、太陽を背に、上空から12騎のワイバーンが1列になって突っ込んでくる。

彼らは、すれ違いざまに、火炎弾を発射した。

3騎の飛龍がこれに直撃し、落ちていく。

 

彼らはすぐに乱戦となった。ロウリア側は、5騎1騎にあたる。バタバタと、クワトイネの飛龍が落ちて行き、数分ほどで、クワトイネ公国飛龍部隊は全滅した、まさしく圧倒的だった。

 

「地上部隊を支援する。全騎、支援射撃を実施セヨ」

 

ワイバーンたちは、クワトイネの地上軍に襲い掛かった。

 

「ち…ちくしょう!!!敵の飛龍は、量も多い上に、技量も高い!!」

 

クワトイネ公国西部方面騎士団団長モイジは壁に拳を打ち付け、体を震わせていた。

 

「まさかこんなに早く竜騎士団が全滅するとは」

 

これが圧倒的差というものか!

 

敵の飛龍は、攻撃目標を地上軍に絞り、空から火炎弾を打ち下ろしていた。

被害が拡大する。

こちらからの反撃方法は、ただ一つ、風の魔法によって射程距離と威力を上げた付与した大弓を打ち上げるのみ。

しかし、基本的に魔力を滞留させる技術は難しく、数がそろえられない。

せいぜい10発程度であり、しかも誘導魔法もない。

対空の大弓は、空しく空を切る。

この世界の対空攻撃は、ほとんど当たらない。気持ち程度である。

(三大文明圏には、もう少し効果的な兵器があるらしいが・・・)

 

だが、できるだけ奴らに一撃を入れてやる!

 

「鉄砲隊!前方のロウリア歩兵隊へ射撃開始せよ!進みながらで構わん!」

 

鉄砲隊はショットガンとリボルバーを構える。ショットガン兵士4名、リボルバー6名

 

(しっかりと構える…構えは腰だめ…衝撃を逃すように…)

と鉄砲隊はアメリカ軍に教えてもらった銃の作法を何度も頭の中でシミュレーションしながら構え、引き金を引く

引き金を引かれたショットガンとリボルバーから大きな射撃音が響く、散弾銃から放たれる弾丸は広範囲に飛び、ロウリア軍へ命中する。

リボルバーからもバアン!と発砲音を鳴らす。

そして、2秒もしないうちに次弾も発射される。

 

「グアアアアア!!!!」

 

「ゴフッ!?」

 

「グッ!」

 

と6名ほどのロウリア兵士が倒れ、さらにショットガンの薬莢を排出し、次弾装填したショットガンの銃口から火が吹く。

 

カランカランと薬莢が地面に落ちる

 

銃口の火が吹くたびにロウリアは死傷する。中には馬から体ごと吹き飛ばされる兵士もいた。

 

さらにリボルバーはショットガンよりも早い連射能力で次々と攻撃する。

 

ロウリア側はクワトイネ側の鉄砲に驚愕していた。

 

「なっ!?バカな、どうして蛮族が『銃』を持っている!?クワトイネ軍にはなかったはず…」

と唖然とした表情になるが、その間にもクワトイネ軍は被害を増やそうとショットガンやリボルバーの弾薬を装填し再び発砲僅か数分の間で50名のロウリア兵が倒れた。中には頭部がミンチになるという馬鹿げた威力も持っていた。

 

「ええい!ワイバーン部隊!こいつらを焼き払ってしまえ!歩兵隊もこいつらを囲むのだ!」

 

「は、はい!」

 

 

とワイバーン部隊にも伝わり、鉄砲隊に向けて波状攻撃を仕掛ける

 

「くそ!もう残り3発しかない!」

 

「俺もだ!」

 

「せめてもう少し戦いたかったが、これも定めか…」

 

「くそ!来るなら来い!」

 

と残りの残弾を全て出し切るように撃った弾丸がワイバーンとの距離が300mほど離れた上空で命中せず、ワイバーン部隊は鉄砲隊へ火炎弾を放つ

 

「・・・ここまでか!アメリカの鉄砲があれほど効果を出すとは驚いた....

だが、まだ、負ける訳にはいかない!せめて、住民を...家内が逃げ切るまで戦う!祖国はアメリカやカナダが助けてくれることを祈ろう」

 

「モイジ様!危ない!」

 

「!ゴフッ!」

 

と彼の意識はここで途切れてしまった

 

激しくクワトイネ騎士団は抵抗するが大量のワイバーンの対地支援で終止を打った。

真っ先に狙われた鉄砲隊は火だるまになりながら最終的に自身が持つショットガンの弾薬が火災により暴発したことで死亡する者や残弾が切れたところで歩兵隊や重装歩兵に滅多打ちされるという光景が広がった

 

その後軍勢はクワトイネ全軍へ攻撃を移したことでクワトイネの騎士団は大打撃を受けていた。

すでに戦力の3分の1が失われている。そこへ、ロウリア先遣隊歩兵、重装歩兵合わせて2万5千がなだれ込む。

30分で、クワトイネ騎士団は壊滅、動く者はいなくなった。

 

西部方面騎士団団長モイジは、気絶していたところで後ろに縄をかけられ、捕虜となっていた。ギムは、すでにロウリア先遣隊により包囲されている。

 

「あのモイジもこうなると形無しだな、弱い。魔獣を投入するまでもなかった」

 

ロウリア先遣隊副将アデムは、モイジを見下し、勝ち誇っている。

 

「そういえば、お前の妻と娘はギムにいたな」

 

「何をする気だ!」

 

「おい!」

 

アデムは部下に命じる。

 

「モイジの妻と娘は、ここにつれてこい。こいつの前で、散々嬲った後に、魔獣に生きたまま食わせろ…ああ、それと娘は兵士たちのおもちゃにしていいだろう。」

 

「き、きさまぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」

 

モイジは飛び掛ろうとするが、すぐに取り押さえられる。

 

「大丈夫だ。全て見届けた後で、お前も魔獣の餌にしてやるから」

 

「おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!」

 

アデムの恐怖の命令は、その日のうちに実行され、町のあらゆる所で、強盗殺人、強姦、略奪、暴行が行われ、モデムの一族も、悲惨な運命をたどる。

さらに処刑された住民は全て串刺しとし、街の周辺に晒された。

生きて解き放たれた100人は、その惨状を、各都市に伝えた。

 

ギムの出来事が終わったあと、アデムは一人で思案していた。

 

まさか、クワトイネごときが銃を持っていたとはな…それも連射を可能とする銃なぞ、第三文明圏でも見たことがない。

 

できれば回収したかったが、ワイバーンの攻撃によって黒焦げになった銃はとても解析できる状態ではなかった。

 

銃によって歩兵隊45名、騎兵隊34名という戦死者を出した。

 

全体で見れば79名は戦況に全く影響のない数値だが、たった10人に僅か10分間の間での戦闘で出た戦死者の数としては異常であった。

そして、負傷者は65名、合計死傷者144名

 

一体奴らはどこから仕入れたのだ?

 

 

 

 

その様子を空から見下ろす存在がいた。

高度1万m

灰色の巨大な航空機、アメリカ空軍が保有するグローバルホークだった。

 

無人機から送られる映像はまさしく凄惨・残虐・地獄という単語があっているものだった。

 

ロウリア軍はギムの住民を片っ端から殺害し、男性は手足を切り取られ、生きた状態で魔獣にゆっくりと殺され、兵士たちが面白半分にナイフの的となり、何本ものナイフを刺され死亡した人

 

女性は若い女性はほぼ全てと言っていいほどレイプされ、魔獣に食われたり、体の一部をゆっくり切り取られ、最後には心臓をくり抜かれる

 

子供に至っては馬で首を縄で縛られた状態で町中引きずられる。

 

まさしく地獄であった。

 

 

 

 

 

「ひでえ……子供まで殺してやがるよ」

 

「こいつら人間じゃねえよ、獣に生きたまま食わしている」

 

「これじゃあ、民族浄化と変わらないじゃないか!」

 

と無人機から送られる映像にオペレーターや司令官は険しく睨みつけていた。

映像で行われている虐殺はまさに悲惨、地獄絵図だった。

これはすぐにアメリカ政府へ伝えられ、衝撃的な出来事であった。

政府は直ちにメディアなどを通じ、ギムの大虐殺について規制は入っているものの大々的に公開した。

 

そのあまりの残虐な行為と虐殺に偵察していたアメリカ軍を中心に国内に戦争より再建を優先させる声がクワトイネ救出とロウリア戦争を望む声が上り、一気に参戦へ世論は傾くのであった。

 

「卑劣で野蛮な絶対王政のロウリアを許すな!」

と国民の声も大きくなり、アメリカ政府はロウリア王国を敵国と認知し、派遣することが決定した。

 

 

 

中央歴1639年 クワトイネ公国 政治部会

 西の町、ギムはロウリア王国に落ちた。しかも、町のほとんどの民が虐殺されるといった大惨事、政治部会は重苦しい雰囲気に包まれた。

 

「現状を報告せよ」

 

首相カナタの命令に、冷や汗をかいた軍務卿が答える。

 

「はっ!現在ギム以西は、ロウリア王国の勢力圏となっております。奴らの総兵力は、先遣隊だけで3万を超え、スパイの情報によると、作戦兵力は40万に達する模様です。また、第三文明圏、フィルアデス大陸の列強国、パーパルディア皇国が、彼らに軍事支援をしているとの未確認情報もあり、現に今回500騎のワイバーンを投入してきております。また、4000隻以上の艦隊が港を出航した模様です。」

 

 絶句―――

 

会議の誰もが息を飲み、その情報を頭の中で繰り返す。50万という数値、これは、クワトイネの予備兵力も入れた総兵力の10倍、しかも、ワイバーンが500騎もいる。

さらに、何処にいったか分からない4000隻以上の艦隊。彼らは本気で国を取りに来ている。そして、自分たちにそれを防ぐ力が無い。

絶望…

会場は、静粛に包まれた。

その時、外務卿が手を挙げる。

 

「首相、よろしいでしょうか?」

 

「何だ?」

 

「実は、政治部会が始まる寸前に、アメリカ大使館から連絡がありまして…。」

 

「内容は?」

 

「はい、全文を読み上げます。

(アメリカ合衆国とカナダ連邦は、クワトイネ公国、貿易都市ギムでの発生したロウリア王国による組織的虐殺、民族浄化は極めて残虐的なものであり、アメリカ・カナダは軍を対ロウリア王国戦に派兵の用意がある)とのことです。」

 

 

「よし!よし!!援軍を出してくれるということなんだな!?」

 

「はい、こちらが要望すれば更なる戦力を送ることも可能であり、我が国からの食料輸出やインフラ・工場計画が白紙になると困るようです。」

 

 

会場がざわつく。

絶望の淵を、静かに朝日が上ろうとしていた。

 

「よし!!すぐにアメリカに応援を要請しろ!援軍の食料はこちらで準備するとも伝えろ!また、領土、領空、領海での行き来を、対ロウリア戦終結までの間、自由に往来を認めるとも伝えるように、そして軍務卿!」

 

「はっ!」

 

「全騎士団及び飛龍部隊に、アメリカ軍に協力するよう伝えろ!」

 

「了解しました!」

 

 

援軍要請を受け、アメリカ政府は直ちに派遣する軍を送るのであった。

 

援軍を送るのは再建中の艦隊からイージス艦22隻、原子力空母1隻、補給艦2隻、潜水艦2隻、アメリカ級強襲揚陸艦3隻、LCAC-1級エア・クッション型揚陸艇6隻、航空兵力200機、多数の戦闘車両・人員を派遣すること決定。

しかし、アメリカ軍は潜水艦に関してはロウリア海軍の実力を図るのとロウリア王国へスパイを送るために別働隊として動員し、クワトイネ側には伝えなかった。

 

これが後にアメリカ・カナダにとってロデニウス戦争と呼ばれる戦争の始まりだった。

 

 

異世界で初めて星条旗とメイプルリーフフラッグは牙を向くのだった…

 

 

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