終局特異点で死んだぐだ子がアヴェンジャーとして召喚される話   作:九条空

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ここからは幕間の物語。

要するに描きたいキャラをピックアップして、好きなところだけ書く。
時系列適当。


幕間の物語
マシュ=キリエライト


 

 ぐーすかぴー。ぐーすかぴー。

 

 私はカルデアの廊下の窓辺で丸くなって寝ていた。

 フォウと一緒にだ。

 フォウがあまりにも居心地良さそうにそこで寝ていたから、私もなんとなくそこで丸まってみたら、あまりにも居心地が良かったので寝た。

 

 睡眠とは人が神に与えた最高のプレゼントなのだな。

 

「あのう……アヴェンジャーさん」

 

 む、私の安眠を邪魔する奴は誰であろうと許さん……と言おうかと思ったがマシュだったから許した。

 

「起こしてしまってすみません。それでも、眠るならベッドの方が良いのでは?」

 

 マシュは物事を相対的に見るんだね。

 

「はあ」

 

 確かにベッドと床を比べたらベッドの方がいいかもしれない。

 でもそもそもベッドという比較対象がなかったら? 

 

 私は絶対的には床がいいって思ったんだよね。

 

「それって、つまり床で寝た際にはベッドで眠るという選択肢がなかったから、良し悪しを比べられなかったということなのでは……」

 

 まさしく。

 いやあマシュは頭がいいね。そして私はバカだね。

 

 それでこのバカにいったい何の用でしょうか。

 

「いえ、決して貶めるつもりは!」

 

 うん、分かってる分かってる。で? 

 

「その、冬木でのことをお聞きしたくて」

 

 ほう。それって別に、最近骨を拾うために周回した時の話じゃあなさそうだね。

 

「まだ、アヴェンジャーさんが自分の記憶を失っていた頃のお話です」

 

 その時は記憶を失っていたけれど、その時の記憶は失っていない。

 だから答えられる範囲なら答えよう。

 

「なぜ、私を守るためにその身を犠牲にしたのですか?」

 

 マシュ、マシュ。

 それは簡単なことだよ。

 

 私は生前■■デ■で■■ター……あ、これP音入るのか。

 

 うーんと、所属していた組織で、軍師のようなポジションをやっていてね。

 だから戦況を広く見ることに長けていた。

 マスターのさらに後方に控えていたのも戦況を見るためだったのさ。

 

「そうだったのですか? では、度々『死にたくないから、痛いのは嫌だから』と言っていたのは、ウソだったのですか?」

 

 そう、ウソ。

 嘘なんだよ。嘘でしかない。うん。そう。

 う、うそ……う、ううーん。

 

「ど、どうされました?」

 

 ごめん、誤魔化そうかと思ったんだけど。

 私の良心が、マシュに嘘をつくのは良くないって言ってるから本当のことを言おう。

 

 私は記憶をなくして冬木にいた頃、確かに死を恐れていた。痛みも。

 

 後方に控えていた理由は、正直言ってそれが一番だ。

 生前軍師みたいなことやってたのは、嘘じゃないけど、その頃には記憶がなかったから別に大して戦況なんて見れてなかったよ。

 

「ではなぜ?」

 

 全体の戦況からいって、勝ち筋が最もあったのは私が消えて、マシュを残すことだったから。

 

 っていうのはもちろん嘘だ。

 

「……ええっ?」

 

 あの、ごめん。

 私の中でも気持ちが分裂しててね。

 

 マシュに嘘をつきたくないという気持ちと、マシュに気を遣わせたくないという気持ちがせめぎ合ってて。

 うん。

 だから嘘ついてすぐそれを嘘だと白状してしまう奇行に出ているんだね。申し訳ないね。

 

「私に気を遣ってくださるのならば、お願いします。真実をお話しくださいませんか」

 

 だよねー。

 そうなるよねー。

 

 分かった。本当のことを言おう。

 

 あの時私は感情で動いた。

 マシュを死なせたくない、という強い気持ちが、死にたくないという気持ちを上回った。

 だからだよ。

 

 ああうん分かってる、なんでそんな感情になったのかを聞きたいんだよね。

 

 その答えは記憶を失っていた頃の私にはわからなかっただろうけど、今の私には答えられてしまうんだよな。

 だから答えないのは不誠実なのだよな。

 マシュ、私は君に対しては誠実でいたいから、恥を忍んでいうよ。

 

「どんな答えでも、アヴェンジャーさんをバカにしたりなんてしません」

 

 君ならそういうと思ったけど。

 

 あのね、マシュ、あの時、私はマシュと■■■を重ねて見ていた。

 まあマシュと■■■って、正確には重なっているけど、でも確かに違うものだからね。

 よくないよね。

 

 はーほんと私って英雄の資格がない一般人だからな。

 そういうことをしちゃうのはしょうがないのだ。許してくれ。

 

「ええと、話をまとめるとつまり……アヴェンジャーさんの大切な人に、私が似ていたから、身を挺して守ってくださったということでしょうか」

 

 た、大切な人……。

 

 本人からそういわれるとなんだか気恥ずかしくなるけど、まあ、そうだね。

 そういうことになるね。

 

 私は生前も■■■を助けるために死んだからな。

 だから記憶をなくしていた状態でも、マシュを助けるために死ねたんだろう。

 

「アヴェンジャーさんは、人を守って死んだのですか?」

 

 まあ、そういう解釈もできる。

 でもマシュが思っているような英雄的な行動ではなかったよ。

 

 私は■■■が、私の命と引き換えに生き延びることをよしとしないことを知っていてなお、そうしたんだ。

 ただの自己満足でしかない。英雄とは呼べない。

 

「アヴェンジャーさんとその方は、深く信じ合っていたんですね。なんだか、羨ましいです」

 

 ……。

 

 すぐに羨ましくなんてなくなるよ。

 

「どういう意味ですか?」

 

 立香とマシュは、きっと私と■■■のような関係になれるから。

 いや、なる。いやむしろ、ならせるからな。

 

「私と、先輩が、ですか……」

 

 そう遠くないうちにそうなるさ。必ずね。

 

「予言者のようですね」

 

 まあ、実際少し、この先起きることがわかったりもする。

 千里眼とか未来視とか、大したものではないけどね。

 

「そうだったんですか! それはダ・ヴィンチちゃんに報告しないと」

 

 え、なんで? 

 

「ドクターからも言われていますが、虫食いだらけのアヴェンジャーさんの情報を埋めるために、何か知ったら報告するようにと言われていますので」

 

 そうだったん? 

 なんだ、聞いてくれたら全然答えるのに。

 

「質問しても回答が聞き取れないからしょうがないのではないでしょうか」

 

 だってそれはロマンの質問が下手なんだもん。

 名前は? って聞かれたら■■■■って答えるしかないし、■■■■はマスターと被っている以上、バグって表示されるからな。

 

「アヴェンジャーさん、質問に答えてくださってありがとうございました。代わりに、何か困ったことがあったら遠慮なくおっしゃってください」

 

 まじ? 私そういうのお世辞じゃなくて本気で受け止めちゃうよ? 

 

「私にできることであれば」

 

 マシュにしかできないことなんだけど、いいかな? 

 

「私に? ……はい、おっしゃってください」

 

 今だけ、今だけでいいから。

 ■■■と思って、君に接していいかな。

 

「私はその方を存じ上げないので演技はできませんが……」

 

 そのままのマシュでいいから。お願い。

 

「わかりました」

 

 

 ありがとう。

 

 

 ……■■■、ごめんね。最期まで一緒にいれなかった。

 最期まで一緒にいると、瓦礫の下の君と約束したのに。

 

 こんな私を許さないで。ずっと忘れないでいて。

 私も■■■を忘れない。この後悔を、前に進む糧にする。

 だからきっと、君もそうしてくれ、■■■。

 

 

 ありがとう。

 もういいよ、マシュ。

 

 

「いいえ……あの、いつでも言ってくだされば、私でよければお話を聞きます」

 

 もうマシュを■■■だと思うことはないよ。

 それがさっきの、けじめだ。

 

 マシュ、私はマシュと仲良くなりたいんだ。

 ■■■とじゃない。■■■とはもうとっても仲良しだからこれ以上はない。

 

 わかる? 

 

「……はい! よろしくお願いします、アヴェンジャーさん!」

 

 よろしくなのだ。

 

 とは言ったものの。

 ■■■とマシュを重ね合わせないようにするのは骨が折れそうだ。

 

 だってその笑顔が眩しすぎるんだもの。

 はあ〜、マシュはかわいいなあ〜。でもうちの■■■も負けずにかわいいしな〜。

 かわいさが2倍と考えればお得だな、よし。

 

 私はポジティブなのだった。

 

 

 

 

 

 

 

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