私がコーンポタージュをすすっていると、テレビのニュースを見ていた仁くんが「おっ、雄英!」と言って音量を上げました。
『――現役高校生の新米サイドキックがお手柄です。インターン生としてファットガム事務所のサイドキックを務める雄英高校の一年生・切島鋭治郎さんが、インターン初日に単独で敵を退治しました……』
「すげーなあ、見ろよ! 固くなる個性だってさ。ケガしなさそうでうらやましいなあ。トガちゃん、こいつと戦ったか?」
「知らない人です」
「おっ、雄英体育祭の時の映像も出たぞ。俺らも、襲撃前に何回かこのビデオ見せられたよな!?」
「そーでしたっけ? あんまり覚えてません」
「なんかノリ悪いぜ、トガちゃん!」
「仁くんこそ、テンション高くないですか? なんだか親戚のオジサンみたいです」
「なんかこう……雄英の一年生には親しみが湧くんだよな! 一度戦った相手だからかな? 応援したくなっちゃうんだよね!」「ムカつくし嫌いだぜ! 地獄に落ちればいいのにな!」
「トガは興味ありません。音、小さくしてください。うるさいです」
『続いて、こちらもインターンでの大手柄です。ルックスもキュートな雄英高校の一年生ヒーロー、「ウラビティ」と「フロッピー」。リューキュウ事務所に、頼れる二人の相棒が加わりました』
「仁くん仁くん!! ボリュームあげてください!!! お茶子ちゃんと梅雨ちゃんがアップで映ってますよ!!!!」
「テンション高ぇな!?」
「ふあ~、二人ともコスチューム姿なんですね……とってもカァイイです」
テレビ画面には、私の大好きなお友達二人が一生懸命たたかっている姿が映し出されています。ああ、大事にとっておいたお茶子ちゃんの血も、逃げる途中で全部落としてきちゃいました。残念です……
あ、梅雨ちゃんの舌が伸びてる! カァイイなあ。切りつけたいなあ。切りつけたら泣いちゃうかな。でも梅雨ちゃんだったら泣き顔もかぁいいと思います。
はあ……二人に会いたいです。
「トガちゃんはこの二人と戦ったのか?」
「そうです。お友達になりました。恋バナもしたのです」
「そうか! ちょうどおない歳くらいだもんな! 仲良くなれてよかったな!」「いやヒーローと敵が恋バナっておかしいだろ!」
「おかしくてもいいのです。トガはもともとおかしい子ですから」
そう言って笑ったら、仁くんはおおきな声で、
「トガちゃんはおかしくなんかないさ! メチャクチャいい子だ!」「トガちゃんはちょっとおかしい! でも俺はそういうとこもいいと思ってるぜ!」
と言ってくれました。
「……えへ。えへへへ」
嬉しかったです。
なんだか久しぶりに、とっても嬉しい気分になったのです。
私は仁くんの頭をなでなでして、嬉しい気持ちを表現しました。仁くんはびっくりして、私の顔を見つめます。私も仁くんを見つめます。
「ト、トガちゃん……」
「仁くんのところに逃げて来てよかったです」
そう伝えると、私は空っぽになったポタージュのカップとスプーンを持って立ち上がりました。さあ、洗い物をしたら、またのんびりとベッドで横になりましょう。
「トガちゃん!」
あれ?
仁くんが私の腕をぎゅっとつかんでいます。何か緊急の用事でしょうか?
「どうしたんですか?」
「あ……いや、何でもない」
「??」
仁くん、どうしたんでしょう? 今の行動に、自分でもびっくりしているみたいです。ちょっと気になりましたが、お腹がふくれてだんだん眠たくなってきたので、さっさとお昼寝することにします。
最近、食べるか寝るかしかしてない気がしますけど、しょうがないですね。トガの体はまだ睡眠を欲しているのです。それじゃあ仁くんおやすみなさい。起きたらまたいろいろお話しましょうね!