あー結局ふて寝しちゃったよ。相変わらず血のかよってない手で額を覆う。
飯は取らなくても何とかなりそうだな...経費が浮く、働かなくても何とかなりそうだ...問題は高熱費と家賃だけど...家賃は格安だから退職金と余りある預金で凌げ...高熱費も余裕やん...食費は出さなくていいし。あれ意外とこの体有能?喉が乾いた...水でも飲も。腹は減らないけど喉は乾くのか笑える。
自嘲しながら台所に向かい水を飲む。
おかしい...乾きが取れない。何が起きてる?水は今飲んだ筈だ。
「主よ如何したか?」
刀が侍になって訝しげに近づいてくる
「喉が...乾いた...乾きが取れないんだ。」
「ふむ...我は血に関する能力を有しており主食は血となっております...主の主食も一緒なのでは試しに我が昨日採って来たものをお飲みになっては?」
侍から渡された小皿には紅い血がドロリと注がれていた、それを舐めとると乾きが収まり落ち着く。
「はぁはぁはぁクッゥはぁはぁ。マジで血を飲んだら乾きが取れたよ...食費は浮くけど心労は溜まってくな...今後どうしよう。てか今の血はなんの血だ?お前の血か?」
「昨晩に殺した怪人の血となります。」
あー嫌悪感ゼロだわー、ふーんとしか思わなかった自分がすごい嫌だ。
「ふーん。あっお前って名前とかある?」
「ありませぬ、主が決めてくだされ。」
「んじゃあ『蝙蝠』でいいよ血を主食としてるし...赤いし。」
「では今後そのように名乗らせて頂きます。」
我ながら適当に名付けたなぁ。
その後数日間、昼間は寝て夜に人気が無くなった時を見計らって怪人や人を襲い...殺し、喰らい続けた。
街の路地裏で夜中までほっつき歩いてた女性を襲い、蝙蝠を首に突き刺して血を啜る。殺戮に対しての抵抗なんて最早無かった、これも食物連鎖と思ってくれ。貴様ら人間だって豚や牛を殺し食卓に並べ、あまつさえ道楽しているだろう?それと同じだよ。
路地裏の影の中1人で食事を楽しんでいると何か気配を感じた。人か?それとも怪人?どちらせよ食材であることには変わりない...濃厚で芳醇な血の香り...喉が自然と鳴るのが分かった。
「見つけたぞ!お前がミイラ死体の犯人か!?A級ヒーロー!ブリンクが相手だ!」
「あぁ今日は実に運がいい日だ...2度もご飯にありつけるなんて...そして君は運が悪い...今日で人生が終わってしまうなんて...」
相手の方を振り返ると自然と笑みが零れる。
目は半目で赤く煌めき口は今宵月のように孤を描き、発せられる声は鈴の音が如く響く。ヒーローと名乗る男にはさぞ恐怖を植え付けた事だろう。
さぁ食事と行こうか...
それは勝負にすらならなかった。相手が動く前に相手の足を切り落とし、手も落とした、そして蝙蝠の能力で傷口を焼き止血する。悲鳴が出せないように手頃な布を口に突っ込み食事を開始する。
「んー!?んー!!んーんー!!」
「頂きます...」
サクッ
刃は首にスっと入っていき血をゆっくりと吸い上げる。
蝙蝠が吸った血が自分の中に流し込まれてくる感覚に高揚しながら切り取った腕から零れる血を喉に流し込んでいく...今宵夜が永く夜はまだ明けない。渇望は収まることを知らず次の獲物へと歩を駆りたてる。
彼は蝙蝠を引き摺りながら夜の闇へと消えていった。
本編のアシナ君は初日で怪人を狩りに行ったから乾くと気づく前に血を蝙蝠から摂取しています。終わりみたいな雰囲気出てますけどまだ続きます。
感想等お待ちしております。