怪人を狩る怪人   作:成金ヤック

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ここら辺の話はアシナとタツマキの2人がメインなんで物凄く視点変更激しいと思います


復讐

sideタツマキ

自分は負けない…つい先刻までは信じて止まない事だった。

それがこんなに…あっさりと。

 

「うっうぅ」

 

柔らかいものが下にある…ここは奴の巣の中だろうか。恐る恐る目を開ける。ふむ…知らない天井だ。灰色のなんの変哲も無い、どこにでもあるような…ここはどこだろうか…辺りを見渡すと、文明的な物があちらこちらに見られる。少なくとも、奴の巣では無いと考えた方が精神的には楽だろう。

 

「いっつ…」

 

まだ少し頭が痛むしボーッとする。耳の奥であの羽音が木霊し続けている。取り敢えず立ってここから出よう…

 

「起きたか?小娘。」

 

!?!?!?

 

そこには侍を装った男が胡座をかきながら鎮座していた。いつから?どうやって?そんな思考が頭をぐるぐると回る。

 

「おーい蝙蝠ぃただいまぁ。」

 

「ほら小娘。家の主が帰ってきたぞ。」

 

主?私は恐る恐る後ろを振り向く。

 

「あぁ起きてたんだねタツマキさん。どこか悪い所とかありませんか。」

 

あぁ…アシナだ…アシナがいる…心の中でまだ危険なんじゃないかって思っていた事が霧散する。

 

「おじや作りますからじっとしていて下さいね。今の状態で戦いに出るなどダメですよ。」

 

怪人を討伐なんて今の私にできるだろうか…1度明確に見えてしまった自分の最後。それを払拭するのはとても難しい事だった。

 

「今回タツマキさんが負けたのは相性の問題が強いです。超能力が使えなければ負けるような相手では無かったと思います。気を落とす必要はないですよ。」

 

気を落としたくもなる物だ。

 

「はい、おじや出来ましたよ。」

 

目の前に卵のおじやが置かれる。私はそれをゆっくりと口に運ぶ。

 

「蝙蝠、ありがとうね、ご苦労さま。」

 

「有り難きお言葉。」

 

隣で侍が刀に変形する。少し驚いたがそれだけだった。いつもなら頭がおかしくなるぐらいびっくりしただろうけど。今はそう言った状態では無いのだ。

 

気まずい空気が流れる。

 

おじやからほんのりと塩の味がして、とても美味しい。傷心した心を少しづつ解してくれる。麦茶を少し飲みゆっくりと食べる。

 

ぴるるるるる

 

「ごめんねタツマキさん。少し席を外すね。蝙蝠、ごめん、休んで貰ったとこ悪いけど…」

 

「承知しております。」

 

また侍風の男が現れる。

 

アシナがベランダに出て、喋り始める。

 

「あっ…」

 

気づいたらおじやを食べ終わってた。美味しかった。

 

「すいませんタツマキさん。協会からで…街に出て怪人の対処に当たって欲しいとのことで。ヒーローらしく無いこと言いますね。俺は怪人です、自らの欲で生きます。不特定多数の分からない命より、今目の前にある大切な友人の命を優先させたいので…協会には今は自分もダメージが大きく出れる状態じゃないと言ってしまいました。まぁ実際血液型タンクの容量が残り少なく。もう一度昆虫王レベルと会って居たら確実にやられてたでしょうけど。」

 

アシナの言葉は確かにヒーローとしてはマイナス点所の話ではないが。個人としてはとても嬉しい言葉だった。反面とても申し訳ない気持ちになった。

 

「そうだ!タツマキさん!前は石を渡したのがあまり良くなかったですね。」

 

石が割られてしまった事を言っているのだろう。

 

「今回はこちらにしておきますね。」

 

アシナはそう言って、私の手の甲に1本の赤い線を引く。

 

「これは…何?」

 

「これはゲートです。俺が転移するための壊されないゲート。あとタツマキさんが体に攻撃を受けた時に薄いバリアを貼るようにも出来ていますので。これが発動した時は俺は確実に向かいますので安心してください。ですから申し訳ないですが。もう少しだけ…頑張れませんか?酷なお願いにはなりますけど。貴方は間違えなく協会の最高戦力です…圧倒的な強さを持っています。俺のように45分しか戦えないとかではなく。常に全力を出せます。」

 

脳へのダメージが大きければ、倒れてしまうが

 

「それに…何かあれば、絶対に行きます。少し遅れる事もあるかも知れません。」

 

まぁアシナ自体に遅刻癖があるのは何回も経験している事だからよく理解してるつもりだ。

 

「ですが絶対、貴方を殺させるなんて事はさせません。それにタツマキさんなら手も足も出ないなんて事はないと思います。相手も弱っている可能性が高いです。2人で協力すれば絶対倒せます!まだ怖い事ありますか?」

 

ない…あるわけがない。

 

そうだ…何かあれば彼が助けてくれるのだ。それならば私は全力で戦って、勝てるならば勝てば良い。昆虫王のように嬲られそうなら。癪だが彼に協力を仰げば良い。なんせ彼は絶対に助けに来てくれるのだから…

 

「ありがとう。アシナ…私はまだ頑張れそうだわ。そうよ!ちょっとだけ負けたくらいでグジグジしてらんないわ!!!あの羽虫。今度あったら翼もいでボコボコにしてやる!!!」

 

殺る気が湧いてきた。そうだ…そうなのだ!あの羽と虫さえ無ければ負ける要素など皆無だったのだ。所詮多数で群れることしか出来ない虫風情が私を倒そうなどと烏滸がましいにも程がある。

 

「その意気ですよタツマキさん!」

 

「迷惑かけたわね。おじやご馳走様。帰らして貰うわ。」

 

「はい!お粗末様でした。送ってきますよ?」

 

「良いわ飛んで帰るもの。」

 

私はベランダから外へでて自分の家を目指す。あの羽虫が絶対殺してやる。




はぁやっと元に戻せた…(´・ω・`)
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