タツマキさんが帰ってから。
街の怪人の掃討のためにもう一度外へと出る。歩いてる内に、体に違和感を覚えて足を止める。
おかしい…耳鳴りが酷い、呼吸が苦しい。視界の端が紅く染まりつつある…
道の端っこに少し腰を下ろす。
昆虫王相手に不覚を負ったか?いや。怪我ぐらいなら簡単に回復出来るはず…なんだこれは…?
蝙蝠……聞こえる?
(如何なさいましたか……ッ!?主よ!…直ぐに毒抜きを!)
ん?……毒抜き?やっぱ昆虫王の毒貰ってた?
(一刻を争います!我を胸に!)
おっおう。わかっt…
ゴジャア
(主!?気をしっかりと!)
蝙蝠の声が遠くなる…おかしいなぁ?本来眠くならない筈なのにすっげぇ眠いや…
俺はそのまま久方ぶりの睡魔に身を委ねた。
side蝙蝠
何故だ。先程まで異常は無かった筈……小娘が立ち直って気が緩んだか?
我は主の懐から、人間形態となり対象と対峙する。
主の体を赤黒い血がゆっくりと飲み込むように包み1つの異形の体躯を形取る。奴の様は、目が無く、口は常に弧を描き、隙間から牙が除いており、耳は狐のように頭頂部で尖り、しなやかな血の尻尾が生えている。奴のとは今までも対峙したことがあり、その見た目から獣と呼んでいる。今まで主が寝静まってから。我が主の血を吸って毒抜きしていたが…今日は怪人を斬ることが多かったから暴走してしまったのだろう…
血の継承は記憶の継承である。その中には当然、切られたもの達の憎しみや破壊衝動等が混じっている。それは全怪人共通である。獣はその切った者たちの憎しみだったり、破壊衝動だったりの記憶の受け入れ値が限界に達した時に発現する。主の本当の姿…つまり主が怪人となってしまった姿である。離脱状態と似ているが性質は異なる。
尾の本数は……4本…多いが…我の相手ではない。癒しの能力の応用。退魔の剣の模造。癒しの能力は体を再生させるだけではない…心も元に戻すのだ…我ながら便利な能力だ…
「きゅー?きゅんきき?」
実に可愛らしい声だ…しかしその力の強さは化け物だ…実際今まで暴走は何度かあった。寝不足だった日は主の暴走の対象に追われていた時だ。今までは2本辺りで処理していたが……
剣を握る手に冷や汗が伝う。油断したら死ぬ……
ニチャァ
獣の口が張り裂けるレベルで上に釣り上がる。
来る……
バグィィィン!!!
単純な殴り掛かり。幸い吹き飛ぶ事は無かったが…まともに受けていたら体が持たない……4本でこれである。これより上など…想像もしたくない……奴が立っていた場所は深く抉れている。
ケタケタケタケタ
どこからか笑い声が児玉する。
「血流技『血纏』」
「血流技『夜叉宿し』」
「焔『青炎舞』」
身体バフ系のスキルを多用して張り合えるレベルに持ってく。
クスクスクス。ケタケタケタケタ。
笑い声が変わりながら四方八方から聞こえる。
ペタペタペタペタペタペタ。
真後ろを通る…遊んでやがる……
「血流技『窮地』」
自らの腹に剣を刺して剣の強化促す……地面に血溜まりが出きて準備が整う。一撃で決める。確実に、悪意を消し飛ばす。
ペタタタタタタタ………バグォ!!!
来たな?
我は少し後ろに飛び退き、奴を血溜まりの中央に誘導する。
「血流技『蛇締め』」
血溜まりから無数の細い蛇が飛び出して。獣に食らいつく。直ぐに蛇が引きちぎられるが、一瞬だけ奴の動きが止まる。
その隙さえあれば良い……
「退魔『悪鬼滅尽』!!!!」
紅色の血と青色の炎が混じりあった光が獣を包み込む。コンクリートは剥げて周りのビルが呑まれガラスが割れる。
「ギュギギギギ!!!ブギッギッギギギィ!!!」
獣が苦しみ黒い靄放ちながら、のたうち回り一部が霧散する。小さくなった黒色の靄が主の体に収まっていく。
何とかなったな……4本であのレベルでおぜん立てしなければ倒せぬか……
自らに慈愛の刀を突き刺して胡座をかいて主の目覚めを待つ。
蝙蝠はアシナが使えない様な血流技及び、焔の技を沢山使えます。まぁ血流技や焔の技を教えてるのは蝙蝠ですからね。
コメント等どしどしお願いします!励みになります!