路地裏でびちゃびちゃ、ずるずる、ぐちゃぐちゃと言った咀嚼音が児玉する。口を弧に歪め、目は座り、血を啜り肉を噛む。獣の様な食べ方をする影が1人。
「おい...本当にこいつなのか?スカウトするのは...」
「位置情報と人物像は合致してるからそうなんじゃないのか?」
まるで太古のプテラノドンの様な外見と、人と同じ大きさの人ならざる物、そしてティラノサウルスのような顔をした人型の物...アシナを探していたようだが食事中の彼に遭遇してしまったのが彼等の運の尽きと言わざるを得ないだろう。
怪人達の声を耳に入れた彼はゆっくりと立ち上がり。怪人と思われる人ならざる物達に背中を向けながら言葉を連ねる。
「あぁ今日もご飯に困ることは無さそうだ。くくく...女性の柔らかい肉や、味わいが深い血もすごくいい物ではあるのだが...偶には妙齢の男性や怪人のさっぱりとした血肉を屠らないと、舌が疲れてしまうと言うものだ。なぁ?そう思うだろう?」
彼はゆらりと首だけ怪人達に向けて、ニタリと笑ってみせる。月明かりに照らされ、血まみれの口周りに血のように紅い瞳は、見たものに確実に恐怖を植え付ける事だろう。現に怪人達の顔はひきつりながら体は後ろに後ずさる
「あっ...あぁ!?なんだよ!?お前!おっ俺様は災害レベル鬼のプテノ様ママママママ...」
「あ?お前どうし...ッ!?」
ティラノ型の怪人が気づいた時には何もかも遅かった。なぜなら既に翼竜の首が切り落とされており。身体から鮮血が飛び散っているところだったのだから。友を殺され、残された怪人には何が起こっているかなど見当すらつかなかった。今まで見据えて居たモノはその場から1歩足りとも動いておらず、依然背中を向けた状態。変化といえばただ黒い刀を抜いており右手にそれが握られていると言うだけの状態だったのだから。
「お前!何をし...」
それが彼の...最後の言葉だった。
ぐじゅぐじゅびちゃびちゃ。再び路地裏には咀嚼音と啜り上げる音が木霊する。バリバリボギョ。かの物は殺したもの達に経緯を示し骨の1片すら残さないのだろう。その全てを糧として自らに収める、なんと貪欲な事だろうか。
「ご馳走..様でした...」
食べ終えて手を合わせ終えた彼の元に1人の男が現れる。
「見事な食べっぷりだな?推定災害レベル虎と言われている...怪人 闇喰らい殿?」
アシナは最初その名前にピンと来なかった。それもそのはず彼がヒーロー協会に既に目をつけられ怪人名が付けられているなどと想像としていなかったからだ。
「随分と落ち着いているな?先程とは大違いだ。」
それもそのはず、彼は狩の時と平常時を使い分けている。惑えば死に行く。狩ることができるのは常に狩られる覚悟がある物だけ...なれば狩りに手は抜かないし相手の油断が取れるならどんなことだってしてのける...それがアシナと言う1人の狩人の考えである。
「ONとoffの使い分けぐらいできるさ...それで?君は僕に何の用だい?私のご飯になりに来たって訳ではないだろうし俺と世間話でもするつもりかい?残念ながら僕は今の世俗に疎くてね。君の期待に応えられるような回答は...」
「...ふむ?まぁいい...要件は怪人協会...怪人のみで構成された集まりに貴様を招待しようって言う上からのお達しが出た。」
そう言って鳥男が自らの名刺と怪人協会と言う子供が書いたようなカードを渡される。
「とりあえず話だけでも聞きに来ないか?」
アシナは暇だったので話だけならいいかと言う浅はかな思考の元鳥男に案内されながら怪人協会のアジトを目指した。
暫く歩きZ市の地下深くに到着する。彼が地下深くで目にしたのは1つ目で手が頭から沢山生えた太った怪人と、物凄く大きく凄まじい威圧感を放った怪人だった。
「よく来てくれたねぇ...怪人闇くらい...いやアシナ君?」
非常に声がねっとりとしており、耳に...いや脳髄に染み付くような語り方だった。
「私の名前はギョロギョロ、怪人協会で参謀と言う立ち位置に着かせてもらってるよ...早速本題に入らせてもらおう。君はまだ怪人になっても日が浅い、それにも関わらず災害レベル鬼2人を一瞬でやっつけてみせた...それに過去にはA級ヒーローを瞬殺している実績を持っていると言うじゃないか。S級下位なら既に相手取ったとしても負けない実力を持っているだろう?是非とも我が協会に加わって貰いたいと考えている...そうすれば幹部の座は固い...いや幹部の座を用意すると誓おう。」
ギョロギョロから絵がで褒められて入るように言われた。が、特にメリットも思い浮かばないので断わろうと口を開きかけるとさらに好条件を提示された。
「君はまだ迷っている、若しくは断ろうとしているね?ならば君には宿も提供するし、ある程度なら衣と食も提供しよう...もちろん家賃も高熱費もタタだよ?なんなら部屋を見てもらってから決めて貰っていいし部屋も好きに改造してもらって構わない...どうだい。」
確かに好条件だった...雨風凌げる場所どころかご飯も多少支援してくれるらしい..しかも幹部レベルは確実と言うことはある程度のワガママや融通は聞きやすいと言うことにほかならない...ある程度好きに暴れられて重責も感じず悠々とすごせる...ここまで言われたら答えはひとつだ。
「わかった。ギョロギョロと言ったか?私も怪人協会に加わろう。俺が入ったからには相応の活躍には期待して貰って構わない。僕は今そこそこ強いみたいだからね。」
ギョロギョロが笑顔になり。それは良かったと良い、部屋に案内してくれるらしい。部屋に着くまでにギョロギョロが独断と偏見で決めた今の俺の推定災害レベルと怪人協会で必要最低限守ってもらいたい事、他に存在する災害レベル竜以上の説明やフロアに居たクソデカ怪人(オロチと言うらしい)の事を教わった。
「ここが君の部屋になるよ...それじゃあまた集会の時にね。」
部屋は真っ白で無骨な部屋だった...後でホームセンターで家具を一通り揃えよう。
紅い目を煌めかせながら1人ウキウキしたまま部屋を出て地上に向かう。
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